「この方は…。」
「アラヤ、ヨシヒデの娘だ。」
レンをアラヤに会わせる。この子がアラヤに害を与えないと考えたから。
「そして、この子がヨシヒデをここに戻らせるもの。」
「あれ、姉さん何してるの?」
「姉…と?」
……アラヤに伝えるのを忘れていた。
「いずれお前に見せようと思っていたことだ。」
体を現在の姿に戻す。髪が元の白色になり、皺のメイクも落ちる。
「これが、主様の…。」
レンの顔が驚きで埋め尽くされる。
「ハッ、馬鹿みたいな顔をするな。」
「あ、久しぶり見たなぁ。姉さんの格好。」
「アラヤ、そんなことをあんまり口にするな。」
「何その言い方、普段はもっと優しいじゃん。」
アラヤ……、なんか調子が狂うな。
「わかったよ、これで良い?」
「そうそう。」
レンの方を見る。
「幻滅したか?」
「…いえ、納得したところでございます。」
「ほう、なぜだ。」
レンは私をしっかりと見つめる。
「主様は小生の…意味を見出せず、朽ちるしかないこの体を拾ってくださりました。他の者どものような扱いではなく、一人の人としての扱いをくださりました。」
どうやら既に優しいと思われていたようだ。
「ハハッ、ならただの一人芝居だったか。」
わざわざ厳しい口調を選んだのに。
「いえ、小生に様々な物事をお教えになられたあの時は確かに小生の師でございました。」
どうやら私は上手に師匠として動けていたらしい。
「そう思われたなら、した甲斐があったものだ。」
本当の私を見せたけど親方と子方という関係性は変わらない。時折、別の指の人との組み手を行わせた。
「他の子方はどうだ。」
「親指の者は…正直に申し上げると何故あの親方に付き従っていられるのか見当もつきません。人差し指の者は、盲信が過ぎておりまする。中指の者は、あの者が好む作品を見せてくるのですが小生の好むものとは違う故。薬指の者は、些か悪趣味でございましょう。」
あまり良い関係とは言えないか。親方が親方なら、子方も子方か。
「そうか。だが、いずれ共に戦うかもしれん。その時は我慢しろ。」
「承知しました。」
「指令が来た。娘を迎えに行く時になったようだ。」
「ハッ、うちの教本が何処までやれるか…見ものだな。」
姉が所属している会社、リンバスカンパニーに襲撃を仕掛けるとのこと。
「レン、私と共に来い。」
「承りました。」
「親指はLCBの足止め、それ以外は本拠点に向かう。」
「ああ、どんなインスピレーションが浮かぶのでしょうか。」
「俺が楽しめる玩具がありゃ良いんだがな。」
ようやく姉を一目見ることができる。どれだけ記憶が切り裂かれているか。
「もう一人の娘、ようやくヨシヒデに会えることができるな。」
「私に共感を求めないでください。」
大人たちと違う、純粋な喜び。あの時の約束を果たせるかもしれない。
バンバン投稿してますが、いつか力尽きるかも。