スキル・コレクター〜魔物を倒すとスキルをゲットできる俺は、強化合成を繰り返した最強スキルで、S級探索者へ成り上がる〜   作:有本カズヒロ

1 / 3
第1話 探索者適性アリ

 未知の遺跡『ダンジョン』がこの世界に現れて、はや70年。

 ダンジョンのある世界に適応した人々は、ダンジョン探索に適性がある人間……『探索者』を少年少女の内から判定する制度を作り出した。

 

 俺、揃合(せんごう)ハジメが今、高校の体育館に来てるのもそれが理由だ。

 

 体育館にはズラッとパイプ椅子が並べられており、その奥には軽自動車ほどの大きさがある、物々しい機械が設置されている。

 機械の真ん中には、浮遊する透明な球体……あの球体こそが探索者適性を判定する、ダンジョン原産の特殊水晶だ。

 

 パイプ椅子に座っている生徒たちは、先生に順番に名前を呼ばれ、水晶に触れて探索者適性判定を受ける。

 なんてことはない、いつもの健康診断と似たようなものだ。

 

 日本では、探索者適性を判定するために、こうやって毎年5月に体育館へ高校一年生を集める。

 俺の目の前では、探索者判定に受かった人間が諸手を上げて喜び、落ちた人間がガックリとうなだれて教室に戻っていく光景が、かれこれ30分以上続いていた。

 

 ダンジョンがあるこの世界にとって、『ダンジョン探索者』は花形の職業だ。

 少年漫画の主人公みたいな異能の力を振るい、魔物を倒していく。

 そのスター的な姿は、俺たち未成年にとてもカッコよく見えた。

 

 ……かく言う俺も、探索者に興味が無いフリをしながらも、この日をずっと待ち望んでいた。

 働く姿に憧れる上に、実力によっては富と名声が得られる職業なんて、なりたくない訳がない。

 

「142番、揃合ハジメ君!」

 

 やがて、俺の番が回って来た。

 先生に呼ばれるといそいそと立ち上がり、小走りで水晶の前へと移動する。

 

 先生の視線を気にしながらも、おずおずと右手で水晶に触れた。

 

「! おお……!」

 

 眩く光る水晶。

 これは……適性アリだ!

 俺は探索者になれる!

 

 そんな喜びも束の間、突然頭の中に未知の音声が流れ込んできた。

 

『揃合ハジメさんの固有スキルは、収集癖(スキル・コレクター)です』

 

 この水晶は、適性のある人間には『固有スキル』の情報も教えてくれるらしい。

 固有スキルというのは、探索者それぞれの特性や必殺技みたいなものだ。

 

 俺の固有スキルは……収集癖?

 

『収集癖は、倒した魔物からスキルを獲得できる能力です』

 

 少しダサい名前だが、能力は中々面白そうだ。

 恐らく、魔物を倒せば倒すほど使えるスキルが増えていくのだろう。

 

「結構いいスキルじゃんか……!」

 

 自分の拳を見つめつつ、ニマニマしながら体育館を後にする。

 

 今日の授業が終わったら、早速探索者としてダンジョンに潜りにいこう。

 この日のために、俺は探索者ライセンスの取得方法を何度も何度も調べて来た。

 授業が終わったら、すぐに探索者協会へ行くぞ。

 

 『収集癖』をゲットした俺の未来は、なんだか希望に満ち溢れている気がした。

 

 ― ― ― ― ―

 

 半ば夢うつつ状態で授業を終えると、俺は制服姿のまま探索者協会へ向かった。

 

 協会の受付に直行し、受付嬢のお姉さんに探索者になりたい旨を話す。

 お姉さんは「毎年あなたみたいに、適性を受けてからすぐ来る人が多いのよねぇ」と言いつつ、探索者ライセンスについて大まかな説明をしてくれた。

 

 その後、簡単な初心者講習を受講してライセンスを支給してもらった。

 探索者ライセンスとは、探索者にとっての身分証明書。

 紛失厳禁の大事なカードだ。

 

 ライセンスも取得して、俺は晴れてE級探索者として認定された。

 探索者は最下位のE級から最上位のS級まで、6段階ある。

 皆、日々研鑽を積んでS級を目指すのが一般的だ。

 もっとも、日本全体でもS級探索者は10人もいないが……それだけ、S級探索者は奇跡のような存在なのだ。

 

 探索者となった俺は、早速レンタル武器と防具を借り、近場で難易度の一番低い『ビギナーダンジョン』へ行った。

 ビギナーダンジョンでは、探索者をサポートする監視員が一定間隔に配置されているので、基本的にダンジョンの魔物に殺されることはない。

 

 初心者講習も受けたし、準備万端。

 恐れるものは何もない。

 

 俺は改めて自分の格好を見る。

 制服の上から軽装の鎧を付け、腰にはロングソードを差している。

 持ち物は最小限に、と鞄の代わりにウエストポーチを支給してもらった。

 中には回復のポーションが入っている。

 ビギナーダンジョンで使うことはないだろうが、あった方が心強い。

 

「よし、それじゃあ行くか!」

 

 ぽっかりと虚空を映すダンジョンゲートの中へと進み、俺はビギナーダンジョンへ入った。

 

 ― ― ― ― ―

 

 ビギナーダンジョンは、極めてオーソドックスな作りのダンジョンだ。

 洞窟のような見た目をしていて、等間隔に松明が設置されている。

 

 普通、ダンジョンはボスを倒すと一定期間後に崩壊していく。

 しかし、ビギナーダンジョンはボスの量産に成功したため、こうやって初心者向けに解放されているらしい。

 

 初めてのダンジョン探索に緊張しながら、俺は慎重に歩を進める。

 ……と言っても、約200メートル間隔で監視員さんがいるので、そんなに気を張ることはないが。

 

「おっ、早速お出ましだな」

 

 ゲートが見えなくなる程度に潜った頃、目の前にスライムが現れた。

 魔物は周囲の魔力がモヤとなって収束していき、その場に姿を現す。

 だから、一見何もないような空間からいきなり現れたように見えるのだ。

 

 雑魚魔物の代名詞でもあるスライムだが、それでも一般人ではとても太刀打ちできない。

 俺を敵とみなしたスライムは、いきなり自分の体の一部……酸を飛ばしてきた。

 

「おっと!」

 

 探索者適性アリの俺は、ゲートを潜ったことで肉体が超強化されている。

 普段の数倍の速度で酸を避け、ロングソードを引き抜くとスライムへ振り下ろした。

 

 スライムの体が剣によって真っ二つになる……が、惜しい。

 まだ倒せてない。

 スライムの体は流動体だ。

 炎などのスキルで焼き切るか、物理攻撃なら核を破壊しなければならない。

 

 攻撃を受けて焦ったのか、スライムは次々に酸を飛ばしてくる。

 何とか避けきれてるが、これでは決め手にかける。

 

 一瞬、スライムが動きを止めた瞬間、核が見えた。

 

「そこだッ!」

 

 素早く振り下ろした一太刀は、俺の予想通りに核を斬った。

 するとスライムは崩壊していき、核のみがそこに残った。

 

 初めての魔物討伐、成功。

 ジワジワと喜びが溢れてくる。

 

 固有スキルを試すため、俺は早速スライムの核……『魔石』を拾い上げた。

 『収集癖』を発動するためには、どうやら魔石に触れる必要があるらしい。

 

 力強く握った瞬間、俺の中にスライムの魔力が流れ込んできた。

 

 魔力。

 それは、スキルを操るために消費する特殊な力だ。

 身体能力の強化などにも応用できる。

 

 と、同時に頭の中に音声が流れる。

 

『酸・弱を獲得しました。現在Lv.1です』

 

 ゆっくりと手を払ってみると、俺の手の中から先のスライムと同じ、酸が飛び出した。

 地面に着弾すると、ジワジワと土を焦がしている。

 

「すごい、ホントにゲット出来てる!」

 

 スキルについては脳内で語り掛けられるだけだったので、こうやって実際に使えるまで正直、半信半疑だった。

 でも、今の俺はスライムのスキルを使いこなしている。

 

 他の探索者は固有スキルを1つしか持てないが、俺は複数所持できる。

 それだけ成長の余地・幅があるということだ。

 

 このまま少しずつ、他の魔物のスキルもゲットしつつ鍛錬すれば、探索者の上位ランカーも夢じゃないかもしれない。

 楽しみになってきた。

 

「よし、目指すぞ。A級……いや、S級探索者!」

 

 俺は気合を入れると、次なる魔物へ出会うために駆け出した。

 

 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

<保有スキル>

■酸・弱(Lv.1)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。