スキル・コレクター〜魔物を倒すとスキルをゲットできる俺は、強化合成を繰り返した最強スキルで、S級探索者へ成り上がる〜 作:有本カズヒロ
翌日。
俺は筋肉痛で痛む体を引きずりながら、学校まで来ていた。
「いだだだ……」
歩くだけでも猛烈に全身が痛い。
初めてのダンジョン探索の代償は、中々高くついたみたいだ。
回復ポーションは怪我に有効でも、疲労から来る痛みには効きが悪い。
なるべく痛くないように、自分の席へと座る。
一時間目の授業に合わせて、鞄から教科書を取り出していると、俺の隣席に友人の
「よ、ハジメ。やっぱ昨日は早速ダンジョン行ったのか?」
「ああ。ビギナーダンジョンを一通り探索してきた。ユニークモンスターにも出会って、中々面白い体験ができた」
「マジで!? また色々聞かせてくれよ~俺は適性無かったから探索者にはなれねぇんだよ~」
俺の肩をガクガク揺さぶりながらそう言うスバルに苦笑しながら、「わかったわかった」と昨日の顛末を話す。
「いきなりC級魔物を1人で倒すなんて凄いな。お前にそんな才能があったなんてなぁ」
「うーん。受付嬢のお姉さんにも逸材だって言われたけど、どうだかなぁ。言ってもC級って上から4番目のランクだぜ? トップ層から比べたらまだまだよ」
「そうは言っても初探索だぞ。もうちょっと誇ってもいいと思うけどなあ」
そんなことを喋ってると、スバルは突然「あ、そうだ」とポケットから1枚のチラシを取り出した。
「探索者適性があるんなら、お前もダンジョン探索部に行ってみれば?」
「ダンジョン探索部?」
チラシを受け取ってみると、そこには『新入部員求ム! 我ラ
「昨日、お前は『早く探索したい!』つって授業終わりにすぐ帰ったじゃんか? あの後、そのダンジョン探索部の人が俺たちにチラシ配りに来たんだよ」
「へぇ……というか、うちの高校にダンジョン探索部なんてあったんだな」
「なんか部員が全然足りないらしい。前はもっといたけど、今の2年・3年の先輩たちはそもそも適性を持ちが少ないんだとさ」
チラシの下部には、部室棟の部屋番号が書かれてある。
「確かにソロでやるより、部活で先輩たちに色々と教えてもらえる方がいいかもなあ」
「だろ? とりま入部して来いよ~」
「そうだな。行ってみる」
― ― ― ― ―
放課後になると、俺はダンジョン探索部があるという部室棟まで足を伸ばしていた。
「ここか」
部室は他の部と変わらない、至って平凡な感じだ。
コンコン、とドアをノックしてから扉を開く。
「すみません、チラシを見て来たんですけど……って……」
部室の真ん中には大きな長方形のテーブルがあり、それぞれの端に二人の先輩が座っていた。
先輩のうち、一人は青い長髪を持つ溌剌とした雰囲気の女子。
もう一人は机に突っ伏していびきをかいている、細面の黒髪男子だった。
しかし、驚くべきことに部屋にあるものはテーブルと、数脚の椅子だけだった。何というか、殺風景だ。
これで本当に部活として機能してるんだろうか。
女子の先輩が、俺の方を向いて目を丸くする。
真正面から見つめられると、思わず照れてしまうぐらい美少女だ。
「き、キミ1年生?」
「え、あ、ハイ。昨日、探索者適性アリとわかったんで、ダンジョン探索部に入りたいなと……」
「ちょ、部長! 部長ー!! 新入部員だよ!! 起きて!!」
女子の先輩は、男子の先輩の頭を叩き、肩を揺さぶる。
「んぐっ、んが……ああ、何、何だって?」
「新入部員です!! 彼!!」
「ホントに!? 昨日の今日で!?」
男子の先輩……部長は飛び起きて、俺にぐいと迫る。
「君は探索者になりたいと!?」
「なりたいというか、ライセンスはもう取得してきました。昨日」
「早っ!? 行動力の塊じゃないか!」
部長も、近くで見るとかなり美形だった。
しかし、喜びからか顔をニマニマさせている所を見ると、若干変人に見える。
女子も部長と俺の近くまでやってきた。
「こんな感じでほとんど何もない幽霊部だけど、歓迎するよ。一年生くん」
「部長に同じく! 私、
「せ、揃合ハジメです。よろしくお願いします」
「俺は
ユイカ先輩とソウ部長の二人が、それぞれ握手をしてくれる。
新入部員が少ないからか、かなりフレンドリーだ。こちらとしても嬉しい。
「ところで、先輩たちだけなんですか? 部員って」
「いや、他にも数人いるけど……みんな幽霊部員だな。一人でダンジョンに潜る方が楽しいらしい」
「部としての活動は、ほぼほぼ私と部長だけで行ってたの。いや~一人増えてくれただけでもかなり嬉しいな!」
「な、なるほど」
実質二人だけの部活でよくやっていけるな……と思っている俺の心を読んだのか、部長がその疑問に答えてくれた。
「探索部の顧問がかなりのダンジョンオタクでね。熱烈な後押しをしてくれてるから、何とか存続出来てるんだ。今日は来てないけど、入部するならまた会いに行くといい」
いつの間にか、ユイカ先輩がどこからか入部届のプリントを持ってきてくれていた。
言われるがまま、必要事項を記入していく。
「さて、と。それじゃあ、せっかくだし恒例の入部テストでもするかな!」
入部届を書き終わると、部長が隣で柔軟運動をし始めた。
「入部テスト? 試験があるんですか?」
「昔からこの部にある伝統でね。部長と新入部員が組手を行って、新入部員の実力を見極めるんだ。最近は部員も少ないから、落とすことはないけどね。まあ軽い運動みたいなモンだよ」
部長、ユイカ先輩に続いて外へと出る。
部室棟の裏は、雑草が生い茂る25mプール程の空間があった。
どうやらここで、組手を行うらしい。
ユイカ先輩が端の方へ下がっていくのを見た後、部長は俺と向き合った。
「俺はB級探索者。多分、君が全力でやっても俺が怪我を負うことはない。好きに攻撃してくれていいよ」
そう爽やかに言い放つ部長に、若干意地悪な気持ちが浮かんでくる。
俺がC級魔物を倒せる力を持つとは、まだ部長たちは知らない。
ある意味、油断してると言ってもいい。
今なら、部長に一撃を入れることも可能なんじゃないか。
「……本気でやってもいいですか?」
「勿論」
了承を得た俺は、ニヤリと笑って拳を構える。
未だに筋肉痛で全身が痛いが、動いてアドレナリンが出たら少しはマシになるだろう。
今はお互い武器を持っていない。
存分に攻撃しても致命傷にはならない。
胸を借りるつもりで、力試しといこうじゃないか。
俺はいきなり全速力で駆け出すと、部長の腹部へ向けて拳を繰り出した。
部長はそれを片手で難なく受け止める。素早い。
B級というのは嘘ではないのだろう。
反射速度が桁違いだ。
だが。
「はぁッ!」
拳を戻すと同時に俺は体を捻り、後ろ回し蹴りを放った。
さて、今度も受け止められるか?
……。
「?」
おかしい。
蹴りが当たる感覚がない……そう思った時、既に部長は目の前から消えていた。
「中々素早いね」
声のした方を振り向くと、そこに部長がいた。
つまり、一瞬にも満たない間に俺の蹴りを避け、距離をとったのだ。
B級の身体能力は伊達じゃない。
「こっちからも、少しいこうか」
部長がそう言った瞬間、俺は掌底を食らっていた。
「がはッ!」
数歩ほどよろめいて、俺は体を九の字に折る。
全く見えなかった。
認めたくはないが、明らかにレベル差を感じる。
その上、俺は酷い筋肉痛だ。万全な状態ではない。
恐らく、体術だけでこのまま戦うのは不利だ。
……これなら使っても大丈夫だろう。
「……『酸』」
俺が素早く飛ばした酸性の粘液を、部長は両腕でガードした。
しかし、急速に部長の制服を溶かしていく。
「スキルあり、でやってもいいですよね」
俺は体勢を立て直しながら、再び両腕を構える。
本気でやっていいと言ったんだ、卑怯とは言われないだろう。
部長は溶けた制服を見て、苦笑した。
「いいよ。スキルの力も見ておきたいしね。ただ」
パチ、パチ、と部長の周囲で紫色の火花が散る。
その火花は次第に力強く、巨大な電気の塊……魚群の形へと姿を変えていった。
「俺もスキルを使わせてもらおう。どうやら君は、力をセーブしていい相手ではないようだ」
ユイカ先輩が、あわあわしながら俺たちを見ているのはわかっている。
だけど、俺としてはこの組手を最後までやり切りたい。
俺の実力が、どれぐらい通用するのかを試してみたい。
右手に酸性粘液を纏い、左手に細かな斬撃を出現させる。
さあ……反撃開始だ。
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<保有スキル>
■酸・弱(Lv.10)
■斬撃・弱(Lv.12)
■岩石破・中(Lv.1)
<保有武器・アイテム>
■ゴルド・ゴーレムの宝石(固有スキルの能力上昇)