スキル・コレクター〜魔物を倒すとスキルをゲットできる俺は、強化合成を繰り返した最強スキルで、S級探索者へ成り上がる〜 作:有本カズヒロ
部長は俺との間合いを測りつつ、口を開いた。
「俺の固有スキルは『
部長の周囲に浮かんでいるのは、大量の電気で形作られた魚の群れ……煌々とした紫色の光を放っている。
魚群を飛ばして攻撃してくるのだろうか。面白い能力だ。
「君のスキルも教えてくれないか。さっきのを見るに、粘液系の能力かな?」
「俺のスキルは……『
俺は部長を指差し、細かな斬撃を放った。
斬撃と言えど、その強さはまだ『弱』だ。
一発一発は大した能力ではない。
俺はそれを補うために、連射して斬撃を放てるよう、集中して魔力を込める。
数十発の斬撃が、部長に一斉に襲い掛かる。
しかし、部長はそれをギリギリで避けた。
「複数所持できるのか! すごいな」
部長は反撃と言わんばかりに、電気の魚群を俺に放つ。
俺は魔力を両腕に集中。
その場で腕を交差し、ガードした。
鮮烈な電撃を一身に受け、魔力でガードしてるとは言え俺の体に痛みが走る。
どうやら、部長も本気を出してくれてるようだ。
電撃が止んだ後、立て続けに部長は拳を繰り出してきた。
辛うじてそれを捌きつつ、合間合間で俺は部長に酸を飛ばしていく。
いくら弱い酸とはいえ、何度も喰らえばダメージは蓄積していく。
「ぐっ……」
何度目かの打撃を繰り出した後、部長が一歩よろめいた。
その隙を、俺は見逃さない。
「らぁッ!」
部長の顔面へ、俺は魔力を込めた一撃を当てる。
たまらず部長は数メートルほど吹き飛んだ。
「いてて、凄いなキミ。顔面にモロ食らったのは久しぶりだよ」
部長はそろそろと立ち上がりながら、流れて来た鼻血を拭いとる。
「まさか、E級の君とこんな全力でやり合えるなんてね。嬉しいよ」
「俺もです」
「こうなったら、とことん最後までやろうじゃないか……!」
俺と部長は接近し、互いの一挙手一投足に注視する。
組手がこんなに楽しいものだと知らなかった。
探索者として覚醒してから、自分の思うように身体を動かせている。
身体を自由に動かせる喜び。どちらかと言えばインドア派だったけど、スポーツ好きの気持ちが分かった気がする。
しかし、興奮した俺や部長と違い、ユイカ先輩は冷静だった。
「ストップストップ、ストーップ!!」
今まさに、次撃を放たんとする俺らの間に割って入り、ハンカチで部長の顔面をごしごしと拭いた。
「部長、鼻血出てるじゃないですか! ハジメ君も部長の攻撃で制服ボロボロだし! 組手はこれで終わり! これ以上やったら先生たちに怒られるよ!」
ユイカ先輩がギロリと睨んでくるので、俺と部長は思わず首をすくめた。
……確かに、全力でやれば部室棟にも被害が及ぶかもしれない。
これ以上の組手がやりたければ、ダンジョン内でやるべきだろう。
「そうだね、ここらでやめにしておこうか。それにしてもハジメ君、キミってホントに昨日探索者になったばかりなの? 正直、B級程度の実力は既にある気がするよ」
「そんなにですか? 実は昨日、ビギナーダンジョンでユニークモンスターと戦って……そこで、実際に戦いつつ身体の動かし方を少し学びました」
「ユニークモンスター!? ビギナーダンジョンで? いや、それも驚きだけど……キミ、探索者の才能があるよ。とにかく、探索者は続けた方がいい。ダンジョン探索部も君を歓迎するよ」
「うんうん、私もハジメ君が入ってくれるのは嬉しいな!」
「そう……ですか。ありがとうございます」
昨日の受付嬢のお姉さんもそうだったが、こんなに皆して『君には才能がある!』と言われて嬉しくない訳がない。
思わずニマニマしつつ、俺は頭を下げた。
「これから、よろしくお願いします!」
これからの高校生活……そして、ダンジョン探索生活はとても楽しいものになりそうだ。
― ― ― ― ―
その後、俺は入部届を持って帰路に着いた。
ダンジョン探索部の顧問がいる日に、また入部届を持っていくことになっている。
家に帰った俺は、制服がボロボロになってるのを見た母さんから、またしこたま叱られた。
部長との組手が楽しすぎてつい忘れてたけど、修繕出来ないぐらい制服はボロボロになっている。
新しい制服はダンジョン探索の報酬で買うことを約束させられた後、何とか解放してもらえた。
そして、綺麗な服装に着替えた俺は、今日も探索者協会が指定するE級ダンジョンまで来た。
昨日のビギナーダンジョンとは違い、今回は自宅の近くにある『笹森ダンジョン』だ。
入り口でライセンスを見せ、警備員さんに許可をもらうと、俺はゲートの中へと入った。
笹森ダンジョンは、基本的にビギナーダンジョンと同じ洞窟的な内装だ。
しかし、監視員は存在しない。
今回からが、正真正銘のソロ探索だ。
「ダンジョン探索部に入るまでに、手持ちスキルのレベルを上げておきたいよなあ」
ウロウロ駆け回りながら、俺は今後の方針を固めていく。
とりあえず、酸と斬撃の強さを『中』ぐらいにはしたいところだ。
それに、忘れかけていたがゴルド・ゴーレムの宝石も加工して装備にしたい。
探索者協会には、武器や防具を販売する店がある。
いつまでも装備をレンタルするわけにもいかないし、今回の探索で得たポイントを元手に装備を買おう。
「おっと、出やがったな」
俺の目の前に、赤い鱗を持つ大蛇……レッド・スネークが現れた。
チロチロと覗く舌と一緒に炎が見え隠れする。
火炎を吐き出して戦うのだろう。
服に火が付いたら厄介だ。そうなる前に仕留めさせてもらう。
「『斬撃』!」
細かな斬撃を繰り出すが、スネークはそれを鱗で受け流した。
どうやら、滑らかな鱗はある程度攻撃の威力を削ぐことが出来るようだ。
「なら、『酸』だ!」
スネークが吐いた火球を避け、俺はお返しに酸をスネークの眼に当てた。
「ギャシャッ!」
眼が溶けていく痛みに悶えているスネークにトドメを刺すため、俺は剣を振るう。
しかし、痛みによって暴れ回るスネークには剣が中々通らない。
よしんば当たっても、鱗で滑って逸れてしまう。
「クソッ、どうする」
攻めあぐねていた俺は、昨日手に入れた『岩石破』スキルを思い出す。
まだ使ったことはないし、試してみる価値はある。
「『岩石破』!!」
俺の手のひらから、大量の拳大の岩が、散弾のようにスネークを襲う。
「ギャッ! ギャッ……シャァ……」
何発も打ち込んでいくと、スネークはやがて威力に耐えきれず爆散してしまった。
岩石破、凄い威力だ。ユニークモンスターから取れただけの事はある。
斬撃の方が細かい操作が可能だが、威力的には圧倒的に岩石破の方が上だ。
これからは積極的に使っていこう。
俺は新たなスキルを得るため、スネークの残骸の中からブドウ程の魔石を取り出す。
意識を集中すると、昨日と同じようにスネークの魔力が流れ込んできた。
『火炎・弱を手に入れました。現在Lv.1です』
『新たな機能、『合成』が追加されました。異なるスキルを合体させることで、新スキルを取得できます』
合成?
どうやら、また新たな機能を手に入れたようだ。
新しいスキルを手に入れられるのか。
現状、自分が持っているのは酸・斬撃・岩石破・火炎の4つだ。
試しに、これらのどれか2つを合体させてみるのもいいかもしれない。
しかし、どれを合体させるべきか……そして、合体したらレベルはどうなるのだろう。
取り返しのつかない要素だったりはしないだろうが、初めての合成となるとどうしても慎重になる。
「うーん……とりあえず、使い慣れてる奴からいくか」
俺は右手に酸、左手に斬撃を出現させた。
「『酸』、『斬撃』を合成!」
両手を組み合わせると、眩い光が辺りを包んだ。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
<保有スキル>
■酸・弱(Lv.10)
■斬撃・弱(Lv.12)
■岩石破・中(Lv.1)
■火炎・弱(Lv.1)
<保有武器・アイテム>
■ゴルド・ゴーレムの宝石(固有スキルの能力上昇)