スキル・コレクター〜魔物を倒すとスキルをゲットできる俺は、強化合成を繰り返した最強スキルで、S級探索者へ成り上がる〜   作:有本カズヒロ

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第6話 E級狩り

酸性斬撃(さんせいざんげき)を獲得しました。現在Lv.11です』

 

 合成が終わると、いつものように脳内音声が流れて来た。

 酸と斬撃を合わせると、酸性斬撃になる……割とそのままの名前だな。

 だが酸や斬撃の時に付いていた、『弱』が無くなっている。

 レベルによる強化のみに統一されたのか?

 

「とりあえず撃ってみるか。『酸性斬撃』!」

 

 俺は壁に向けて、スキルを放った。

 

 酸性斬撃を当てた壁は、まず斬撃によりピシリと亀裂が走る。

 そして、その亀裂からジワジワと酸が侵食していった。

 一度に二つのスキルを放てるようなものらしい。

 結構便利だな。威力も合体させてから上がってる気がする。

 

 一瞬、『手持ちのスキルを全て合成すれば、より強くなるんじゃないか?』という考えが浮かぶ。

 しかし、合成を繰り返したキメラスキル1つを持つのみでは、それが効かない相手に出会った時に詰んでしまう。

 合成や強化は積極的に使うべきだが、やたらめったら1つに統合するのは避けておこう。

 

 ― ― ― ― ―

 

 酸性斬撃を獲得したのち、俺はダンジョンで出会う魔物全てを倒し、それぞれの魔石を拾っていった。

 結果、手に入れたスキルは以下の通り。

 

 レッド・スネークの『火炎・弱(Lv.5)』。

 ブルー・スネークの『氷結・弱(Lv.5)』。

 ヘビー・バットの『重力・弱(Lv.7)』。

 ウィーク・フロッグの『弱体化・弱(Lv.3)』。

 

 そして、スライムとブラック・バットにも何体か遭遇したため、スキルを回収。

 『酸・弱(Lv.4)』と『斬撃・弱(Lv.5)』を再び手に入れた。

 酸性斬撃を持っている俺には不要だと思っていたが、どうやら酸性斬撃の強化に使えるらしい。

 ということで、全て強化につぎ込み『酸性斬撃(Lv.15)』を獲得した。

 

「いや~、大分強くなったんじゃないか?」

 

 俺は両手に次々スキルを出現させながら、使用感を確かめる。

 身体能力だけでは、部長のようなB級探索者には及ばないが、スキル込みならあまり負ける気がしない。

 明日また、部長に組手を頼みに行ってもいいかも……そんなことを考えていると、奥から少女の悲鳴が聞こえてきた。

 

「なんだ!?」

 

 魔物にやられたのか?と悲鳴のする方向へ急ぐと、同時に数人の男が恫喝するような声も聞こえてきた。

 嫌な予感がする。

 

 視界が開けると、そこには一人の少女探索者を囲み、五人の男性探索者の姿があった。

 まさか、ダンジョンの中で少女を襲おうとしているのか?

 

「おい!! 何やってんだよお前ら!!」

 

 ギロリとこちらを睨んでくる男たちに、俺は嫌な気分になるが、ここで少女を見捨てるわけにはいかない。

 そんな風に思ってると、探索者のうち一人……大柄な三十代ぐらいの男が、ニヤニヤと笑いながらこちらへ歩いてきた。

 

「何だお前? お前もE級か?」

 

「E級だったらなんだよ」

 

「いいこと教えてやるよ。俺らはな……E級狩りだ」

 

 E級狩り……いや、探索者狩り。

 初心者講習で少し聞いた話だ。

 探索者の中には、ランクに似合わず高級な装備を持つ人間がたまに存在する。

 元々金を持っていたり、ベテランの探索者から装備を受け継ぐ人もいるからだ。

 探索者狩りは、そんな人間を集団で襲う下種な探索者のことだ。

 

 確かに、よくよく見てみれば、少女の装備はシンプルながら高級感溢れる作りだった。

 ぱっと見ゴージャスな感じではないが、周囲の男たちが装備しているものとは輝きが違う。黒を基調とした上品なものだった。

 

「た、助けてくださ……っ!」

 

 少女はこちらに手を伸ばすが、それを男たちに睨まれ、怯えたように縮こまる。

 探索者狩りに襲われ、装備を剝ぎ取られた探索者は殺されてしまう。

 口封じのためだ。

 

 この場で男たちを倒し、少女を助けなければならない。

 

 剣を構えた俺を見て、男たちはバカにしたように笑う。

 

「俺たちは全員D級だぜ!? E級一人が何をしようが勝てねぇ……よッ!!」

 

 大柄な男は斧を片手で操り、俺の首を刎ね飛ばさんと振るってくる。

 しかし、攻撃自体は緩慢だ。

 既にC級を倒せる俺からすれば、容易く避けられる。

 

 そのまま、剣の柄を利用して男の横っ面を思い切り殴り飛ばした。

 

「ぐへあっ!?」

 

 空中をきりもみ回転した男は、後方に吹き飛んでいく。

 凶悪な犯罪者といえど、自分の手で殺すのはやはり忌避感がある。

 魔物と人間は違う。それが俺の線引きだ。

 殺さない程度に無力化して、探索者協会まで連絡する。

 

「てめぇ!」

 

 残りの四人が、一斉に襲い掛かって来る。

 しかし、今度は避けるまでもない。

 

「『岩石破』!!」

 

 それぞれに一発ずつ、岩石を発射する。

 途端に吹き飛んでいく、四人の探索者たち。

 

「集団で1人を襲うような奴らなんか、たかが知れてるな」

 

 俺は倒れた男たちを見てため息をつくと、少女まで駆け寄った。

 

「大丈夫か?」

 

 近くで見ると、ユイカ先輩に負けず劣らず可愛い。

 ボブカットの金髪に、エメラルドのような緑の眼を持っていた。海外の人だろうか。

 しかし、手を差し伸べる俺を少女は恐怖の目で見つめている。

 男たちをボコボコにしたことで、怖がらせてしまっただろうか。

 

「ま、まだ、終わって……」

 

 少女が言いかけた言葉と、背後から立ち上る殺気に俺は戦慄する。

 振り向くと、先ほどの五人とは違う、長身でやつれた男がそこにいた。

 倒れた男たちを抱き起し、状況を確かめている。

 

「だ、誰だよお前」

 

 男は倒れている奴らの顔を丁寧に見ていくと、立ち上がってこちらを睨んできた。

 

「こいつら、さ。俺の後輩なんだよ」

 

「……はぁ?」

 

「探索者狩りをしたがるような、しょうもない奴らだけどさ。俺はコイツらとバカやってる時が一番楽しいんだ」

 

「……」

 

「ちょっと用を足してる間に、俺の楽しみを奪ったんだ。相応の報いを受けてもらう」

 

「お前が、探索者狩りのリーダーってことかよ」

 

「ああ。B級の力で、今からお前をねじ伏せる」

 

 瞬間。

 やつれた男は俺の視界から消えていた。

 同時に、俺の顔が殴り飛ばされる。

 

「ッ!」

 

 痛みと共に、俺は少し緊張していた。

 B級、この男はB級と言った。何より、スピードがソウ部長と全く同じだ。

 ソウ部長と再戦する前に、B級との戦闘機会が訪れたのだ。

 

 相手がB級レベルなら、剣で戦おうとしても、太刀打ちできずに追い込まれるだろう。

 なら……スキルを使う。

 

 よろめいた俺を追撃と言わんばかりに、男は連続で蹴りを放ってくる。

 それを俺は、逆に地面に倒れ込んで回避し、同時に掌を向けた。

 

「『酸性斬撃』!!」

 

 男が反応し避けるまで、とにかくありったけの量の斬撃を叩き込む。

 

「チッ」

 

 男はすぐに距離をとってくるが、既に防御の薄い部分に斬撃は叩き込まれている。

 斬撃によってできた傷から、ジワジワと酸のダメージが広がっていくはずだ。

 酸性斬撃は傷口に塩を塗るがごとく、裂傷をさらに酸で重傷化させられる点が強みだった。

 

 だが、B級の男はそれだけでは止まらない。

 再び距離を詰め、俺の体に大量の打撃を浴びせてくる。

 

 男の拳に白い光が灯っているのを見るに、相手は恐らく身体強化系のスキルだ。

 飛び道具的な能力だと厄介だったが、これなら俺の『収集癖』で押し切れる。

 

「『火炎』『氷結』『岩石破』!!」

 

 出せるものをありったけ放出して、男に叩き込む。

 至近距離にいた男は、それらをモロに喰らい、よろめいた。

 

「ッ……属性攻撃のデパートかよ、お前!」

 

 男は体勢を立て直しながら吠える。

 しかし、もう会話には取り合わない。

 とにかく僅かでも隙をついて、最善手を叩き込んでやる。

 

「『重力』!!『弱体化』!!」

 

 男の周囲、半径3メートル程度の空間に重力を付与し、さらに男にデバフ能力の『弱体化』をかけた。

 これでその場からほぼ動けないだろう。

 

「ぐっ……何なんだよ……!?」

 

 それでも男は、地面に亀裂を走らせながらゆっくりとこちらへ向かってくる。

 だが、それももう終わりだ。

 

「俺はただのE級探索者だよ……今はな!!」

 

 両掌を合わせ、魔力出力を最大にする。

 

「『岩石破』!!」

 

 俺の身長よりも巨大な、2メートル四方ほどある岩石が、男へ向かって発射される。

 

「ぐあッ!?」

 

 男を捉えたまま壁へ突撃し、ぐしゃりと押しつぶした。

 

「はぁ、はぁ……」

 

 魔力を大量に消費しつつ、俺は勝利をもぎ取った。

 

 岩に押しつぶされた男に歩み寄り、一応生きてるかを確認する。

 

「……なんとか無事か」

 

 流石はB級。こんなデカい岩の攻撃を受けても、辛うじて生きてるようだ。

 まあ、これから生きて罪を償ってもらおう。

 

「さて、これで終わりか?」

 

 俺は少女の方を向くと、微かに笑った。

 少女は涙で瞳を滲ませながら、俺に駆け寄った。

 

「あ、ありがとうございまずう……!」

 

「はは」

 

 抱きつかんばかりに近寄り、両手でぶんぶんとお礼の握手をしてくる少女に、俺は何だか照れくさくなるのだった。

 

 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

<保有スキル>

■酸性斬撃(Lv.15)

■岩石破・中(Lv.1)

■火炎・弱(Lv.5)

■氷結・弱(Lv.5)

■重力・弱(Lv.7)

■弱体化・弱(Lv.3)

 

<保有武器・アイテム>

■ゴルド・ゴーレムの宝石(固有スキルの能力上昇)

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