スキル・コレクター〜魔物を倒すとスキルをゲットできる俺は、強化合成を繰り返した最強スキルで、S級探索者へ成り上がる〜   作:有本カズヒロ

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第8話 咄嗟の分断

 俺・ソウ部長・ユイカ先輩・コノハは並んでフリーダンジョンへと入った。

 

「おお……! こんな景色になってるのか!」

 

 ビギナーダンジョンや笹森ダンジョンのような洞窟スタイルとは違う、どこまでも広がる草原のような内観に俺は感嘆の声を漏らした。

 俺と同様にコノハも周囲を見回しながら目を輝かせている。それを見て、部長が俺たちに声を掛けてくる。

 

「二人はこういう中身のダンジョンは初めて?」

 

「はい、今までは洞窟みたいな見た目のダンジョンしか入ったことなくて……」

 

「あーそっか、ビギナー向けやE級ダンジョンはそういうのが多かったね」

 

 ダンジョンの入り口から、舗装された道が緩やかに下っている。

 そこを歩きながら、部長が説明してくれた。

 

「通常、ダンジョン内は一つの景色が最深部までずっと続く。洞窟スタイルなら、ボス部屋までずっと洞窟だ。だけどここ、フリーダンジョンは違う。階層によってランクが分かれてるのと同様、一定距離から明確に異なる景色が広がってるんだ」

 

 ユイカ先輩が部長の言葉を引き継ぐ。

 

「この草原はE級エリアだけど、もっとずっと下ればD級エリア……荒野が広がってる。ガラッと見た目変わるから、ビックリすると思うよ」

 

 そんなことを話していると、俺たちの前に大量のスライムが現れる。

 その数、四十匹はくだらない。

 部長が若干驚く。

 

「うわ、こんな大量のスライムを一度に見るのは久々だな」

 

 部長は掌に紫電を発生させて、一斉にスライムを焼き払おうとする。

 それを俺が制した。

 

「ここは俺にやらせてもらえませんか?」

 

「え? いいけど……」

 

「この指輪の効果を試したいんですよ」

 

 俺は右手にはめていた、黄色の宝石がついた指輪を見せる。

 この黄色い宝石は、以前ビギナーダンジョンで出会ったゴルド・ゴーレムから出てきたものだ。

 

 フリーダンジョンに潜るまでの間、俺は色々な装備屋を訪ね、強力な効果を発揮できる装備に加工してくれるよう、頼んで回っていた。

 結局、とある装飾品専門の装備屋で指輪に加工してもらった。中々良い仕上がりになってると思う。

 

 指輪は丁寧に研磨され、今は光り輝いている。

 その指輪を付けた右手を前に出し、スキルを発動させた。

 

「『斬撃』!!」

 

 瞬間、俺たちの目の前に大量にいたスライムたちは、あっという間に核を粉々にされ、魔石へと姿を変えていた。

 す、すごい……軽く数発放っただけなのに。

 相手がスライムであることを加味しても、この威力の上がり方は凄まじい。今度装備屋に行ったら、お礼を言わなければ。

 

「な、なにその威力……!?」

 

 俺がビックリするぐらいだから、他の三人は唖然としていた。

 

「ハジメ君、その指輪……魔道具だよね?」

 

「はい。ダンジョンで手に入れた宝石を加工して、作ってもらったんです。固有スキルの威力が上がるとは聞いてたんですけど、まさかここまでとは」

 

「いや……すごいな。最初の1時間ぐらいはこの辺りを回ろうと思ってたけど、ハジメ君がいるなら、もっとハイペースに奥まで進んでもいいかもな」

 

 考え込む部長に対し、コノハが助言する。

 

「部長、私のことは心配しなくても大丈夫です。E級なので面と向かっては戦えませんが、先輩たちやハジメ君のサポートなら得意分野なので! そういう固有スキル持ちですし」

 

「そう? なら、今日はとりあえずD級エリアまで潜ろうか」

 

 頷く俺とコノハ。

 フリーダンジョンの攻略が始まった。

 

 ― ― ― ― ―

 

 E級エリアで見せた通り、俺の固有スキルは格段に威力を増していた。

 そのため、D級エリアでもほとんど苦労することがない。

 

「『火炎』『氷結』!!」

 

 両手から同時に異なる属性のスキルを放出すると、目の前で威嚇していたトライヘッド・スネークが跡形もなく消し炭になる。

 

「こ、これは俺の出番なさそうだなあ」

 

 俺のスキルを見ながら、部長が冷や汗をかく。

 今、俺たちはD級エリア、荒野が広がる地帯にいる。

 

 次々と姿を現す魔物たちを蹴散らしていってるのだが……正直、E級と同じでD級では戦いにもならなかった。

 指輪の効力もあるだろうが、俺自身のスキルも相当に強化されてきている。

 この調子だと、C級エリアでも独走できるだろう。

 

「うーむ、このままハジメ君におんぶにだっこでもいい……というか、その方が楽だろうけど、俺たちも何か討伐しておきたいところだなあ」

 

「す、すいません。なんか指輪のバフがめちゃくちゃかかってるみたいで」

 

「ああ、いや。君の実力が飛びぬけてるって話だから……。なんか凄いパワーの上がり方しててビビるけど、その調子なら今度の昇格試験も余裕でパスできるだろうね」

 

 感心したように、部長は俺の姿をジロジロ見てくる。

 

「だけど、部活としてハジメ君一人に頼り続けるわけにはいかないし……どうしたものか」

 

 そう部長が首を捻った、その時。

 突然、ダンジョン全体に強い振動が走る。

 

「!?」

 

 何分突然のことに、咄嗟に俺たちはその場へしゃがみ込む。

 ダンジョン外なら地震が起こったって当たり前だが、ここはダンジョン……地震が起こることなど、まず有り得ない。

 

 と、なるとユニークモンスターのような異常事態(イレギュラー)が起こっていると考えるのが妥当だが、しかしダンジョン全体で起こる異常事態など、前例はそうそうない。

 

「と、とりあえず、ダンジョンから脱出しよう!」

 

 ユイカ先輩の提言へ俺たちは頷くと、急いで避難を始める……が。

 

「きゃあっ!?」

 

 突如地面に入った亀裂へ、コノハが飲み込まれる。

 

「コノハっ!?」

 

 俺は素早く手を伸ばすが、虚しくも空を切る。

 

「俺が行く!」

 

 すると、部長がコノハを追って亀裂の中へと飛び込んだ。

 

「部長……!」

 

 ユイカ先輩が焦るが、コノハと部長はすぐに亀裂の中へと飲み込まれていった。

 やがて、地響きが収まると、そこには俺とユイカ先輩だけが残されていた。

 

「どうしよう、部長とコノハちゃんが……」

 

 焦燥するユイカ先輩を落ち着けるため、俺は先輩の肩を持つ。

 

「先輩、落ち着いてください。俺が二人を助けに行きます」

 

「助けに、ってどうやって」

 

「亀裂から落ちたのなら、多分下の階層のどこかにいるはずです。ここから俺が急いでダンジョンを下っていけば、二人が魔物に殺される前に助け出せるかもしれない」

 

「それは……いや、でもハジメ君なら」

 

「先輩はダンジョンから出て、助けを呼んでください。二人で部長とコノハを助け出しましょう」

 

「……! そうね、わかった。助けを呼んでくる」

 

「じゃあ、行ってきます」

 

 俺は立ち上がると、先輩と反対方向へ駆け出した。

 目指すは下層階だ。

 まだ部長たちが落ちてから、そんなに間が立ってない。

 今ならまだ間に合う。

 

 しかし、先を急ぐ俺の前に、新手の魔物が現れる。

 D級エリアにいるとは思えない巨体の魔物……蛇のような鱗と一対の翼、ワニのような太い両手足を持つ、ドラゴンだ。

 

 ドラゴンは俺を見ると、唸り声を上げて威嚇してくる。

 先ほどの地震、明らかにD級ではないドラゴン……やはり、このダンジョンで異常事態が起こっている。

 

「どけよ。俺は急いでるんだ……!」

 

 俺は拳を構えると、まずは目の前のドラゴンを倒すため、殴り掛かった。

 

 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

<保有スキル>

■酸性斬撃(Lv.24)

■岩石破・中(Lv.1)

■火炎・弱(Lv.11)

■氷結・弱(Lv.10)

■重力・弱(Lv.7)

■弱体化・弱(Lv.5)

 

<保有武器・アイテム>

■ゴルド・ゴーレムの宝石指輪(固有スキルの能力上昇)

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