スキル・コレクター〜魔物を倒すとスキルをゲットできる俺は、強化合成を繰り返した最強スキルで、S級探索者へ成り上がる〜 作:有本カズヒロ
ドラゴンは、一番弱い種でもB級並みの強さを持つ。
つまり、部長と同等かそれ以上の探索者でなければ倒せない。
しかも、俺の目の前にいるのはA級の『グランド・ドラゴン』。
通常のドラゴンよりも重量級の種だ。
動きは遅いが、その分強力な攻撃と火炎を放ってくる。
しかし、そんな難敵を相手に、俺は正面から殴り掛かった。
「オラァッ!!」
指輪で強化され、さらに魔力による身体強化を施した俺の拳は、ドラゴンに強力な一撃を与える。
「グウゥゥッ!」
ドラゴンは呻くと、よろりと一歩下がった。
畳みかけるように、俺は連続して拳を放つ。
二発、五発、十発……猛烈な拳によるラッシュだ。
ドラゴンに反撃する暇を与えない。
このまま押し切る……!
「ガァァァッ!!」
しかし、ドラゴンは俺のラッシュを受けながらも、口内で火炎を収束させ、俺に放ってきた。
喰らえばひとたまりもない。一旦距離を取るしかなかった。
「早くしないと、コノハたちが危ないんだよ……!」
ユイカ先輩と同様、俺も若干焦っていた。
俺自身ならともかく、仲間がピンチであれば否応なく焦る。
……しかし、こういう時こそ冷静に状況を判断しなければならない。
まず、目の前のグランド・ドラゴンはA級な上に硬い防御力を持つ。
身体攻撃での攻略は、逆に時間がかかるだろう。
それなら固有スキルを使うまで……だが、酸性斬撃は鱗に流される可能性がある。
斬撃は強力だが、鱗を持つ魔物相手だと滑りやすく、中々攻撃が通りにくいのだ。
となると、先に鱗を一部破壊してから、酸性斬撃を叩き込むのが最短の攻略法になる。
「そうと決まれば……『重力』『弱体化』!!」
相手を弱体化させるスキルを2連続で放つ。
ただでさえ動きが遅いグランド・ドラゴンだ。
この弱体化攻撃により、ロクなスピードで攻撃は出来まい。
「グガッ……」
俺の読み通り、ドラゴンは非常に鈍重な動きで俺に突進しようとしている。
しかし、そのスピードは最早止まって見えるほど。
とりあえず、これでドラゴンの動きは封じられた。
「次に『岩石破』『火炎』!!」
俺は岩石破に火炎をくぐらせることで、巨大な火球隕石を上空から降らせる。
大量の火炎球は、ドラゴンの皮膚を次々と穿っていく。
「ゴゥ……!」
苦悶の声を漏らすドラゴン。
その皮膚は爛れ、鱗がじわじわと破壊されていく。
さらに、俺はトドメと言わんばかりに両手に斬撃を発生させた。
「『酸性斬撃』!!」
大量の斬撃が、鱗を破壊された表皮部分に傷をつけていく。
そして、斬撃には酸が含まれている。
酸は急速にドラゴンの体を侵食し……内部から破壊していく!
「ガァァァァッ!!」
休まず酸性斬撃を撃ち続けると、やがてグランド・ドラゴンはグズグズとその体を溶かしていき、魔石へと姿を変えた。
「……俺一人でも、なんとかなったな」
俺だけでもA級魔物を倒せる。
その事実は少し嬉しいが、今は喜びに浸るよりも部長たちを探し出すのが先だ。
俺はドラゴンの魔石を拾い、一応スキルを回収しておく。
「『
脳内音声が流れたのを軽く確認し、俺は先を急いだ。
― ― ― ― ―
D級エリアをさらに下り、C級、B級エリアを通っても、部長たちはどこにもいなかった。
とりあえず、亀裂の真下を重点的に走り回って確認するが、中々見つからない。
途中、魔物に倒された探索者たちの死体が転がっているのを見て、思わず息をのんでしまった。
無惨に手足や腹を食いちぎられ、虚ろな眼には光を灯していない。
このままでは、部長やコノハたちもああなってしまう可能性がある。
その前に、何としてでも助け出さねば。
「ついにA級か……」
A級地帯は、これまでのランクとはかけ離れた、嘘のように穏やかな場所だった。
見渡す限り一面、金色の小麦畑が広がっている……そして遠くに、小高い山が点在していた。
しかし、そんな豊かな情景とは裏腹に、A級地帯の空は曇っていた。
いや、地下のエリアなのに『空』というのもおかしいが……ダンジョンはそういう不思議な空間だ。
地下に空があっても何らおかしくはない。
とりあえず、俺はコノハたちが落ちた真下辺りを探すため、ぐんぐんと小麦畑を進んでいく。
その時だった。
「……コノハ!?」
小麦畑をかき分けながら進んでいた俺は、その中にコノハが倒れているのを見つける。
傷だらけではあるが、どうやら気を失っているだけのようだった。
「おい、おいコノハ! しっかりしろ!」
コノハの体を引き起こし、何度か肩を揺さぶってみる。
すると、コノハはうっすらと目を開けた。
「わ、たし、は……」
「よかった……大丈夫か、コノハ。助けに来たぞ」
「……! ハジメ君、部長が、部長が!」
「とりあえず落ち着けよ。何があった」
俺はコノハをその場に座らせると、自分も片膝をついた。
コノハはぶるぶると震えながら、先ほどの落下後の顛末を話し始める。
「わ、私が落ちてから、すぐ部長が助けてくれたの。凄いスピードで落下しながら、なんとかダメージを軽減しつつ、このA級地帯に降り立ったけど……そこでS級の『タイラント・デビル』に襲われて……」
「S級!? そんな、A級地帯でも滅多に出現しないはずだろ」
「部長曰く、「さっきの地震からして、アイツも異常事態の影響だろう」って……それで、私一人だけを逃がしてくれたんだ」
「そうだったのか……」
コノハは、俺の肩を掴むと、必死に訴える。
「お願い、ハジメ君! このままじゃ部長が死んじゃう! あんなのから部長を助け出せるのは、ハジメ君しかいない……」
「……わかった。何とか部長を助け出してみせる。ただ、まずは」
俺は立ち上がると、拳を構えた。
俺たちの目の前には、S級魔物タイラント・デビル……それに似た姿を持つ、三体の悪魔型魔物が、三叉槍を構えて威嚇していた。
コノハが悲鳴を上げる。
「で、デビルの分体!? あれ一匹にも、部長は苦戦してたのに」
「落ち着くんだ、コノハ。俺なら大丈夫」
次々襲い掛かってくる分体デビルたちを俺はいなしつつ、その毒牙がコノハへと向かないよう距離を調節していく。
そして、コノハから分体デビルをある程度遠ざけた瞬間。
「悪いが、一発で決めさせてもらう! 『火炎』!!」
先ほどのグランド・ドラゴンで超強化された火炎を使い、俺は一気に分体デビルたちを焼き払った。
醜い声を上げながら、デビルたちは次々消し炭になって崩壊していく。
「す、すごい」
コノハが思わず声を漏らす。
それに対し、俺はニッと笑った。
「この調子で、すぐ部長も助け出してみせるさ」
その後、俺はコノハが隠れられるような場所を見つけるため、周囲を少し歩いた。
すると、小高い丘の下に窪みがあるのを発見。
とりあえず、そこに隠れてもらうことにした。
入り口は岩石破の魔法で閉じておき、魔物がコノハを見つけられないようにしておく。
「じゃあ、行ってくる」
「ハジメ君……気を付けてね」
俺は頷くと、部長とデビルが戦っているらしい方向へ向けて、走り始めた。
相変わらず天気の悪い中、俺は襲い掛かってくるA級の魔物を次々と倒しながら、部長の元へと駆けていく。
魔石を多く手に入れたのでスキルを吸収しておきたかったが、今は部長を助けるのが優先だ。のんびりとスキルを増やしている暇はない。
しかし、やがて……部長とデビルの姿を肉眼で捉えた頃には、スキルを全て吸収していなかったことを後悔し始めていた。
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<保有スキル>
■酸性斬撃(Lv.24)
■岩石破・中(Lv.1)
■火炎・強(Lv.8)
■氷結・弱(Lv.10)
■重力・弱(Lv.7)
■弱体化・弱(Lv.5)
<保有武器・アイテム>
■ゴルド・ゴーレムの宝石指輪(固有スキルの能力上昇)