突然の変更申し訳ありません。
例えばそう、機動戦士な宇宙戦艦とか。
そんなフィクションな未来観を感じずにはおれない二人。
高町なのはと、刹那・ノイシュヴァンシュタイン。なのはの肩にはもはやそこが定位置化しているフェレット、ユーノの姿もある。
先刻の一件の後、リンディ・ハラオウンの提案を受けて次元航行艦アースラへと向かうことになった三人はリンディの先導の下、物珍しげに周りを見ながらアースラの通路を歩いていた。
本音を言えばアル・アジフやフェイト・テスタロッサの二人にも同行してもらいたかった、とリンディは思っていたし、実際に二人にも同行を求めてみたがアル・アジフがこれを拒否したのだ。短く、かつ反論を許さない調子で。
アル・アジフは管理者代行の任のため街から離れることは出来ない。
フェイト・テスタロッサは管理者本人から本件を委任されているのだから、次元管理局と言う外様の組織の介入について報告の義務がある。
というのがアル・アジフの弁だ。
そこで代わりとして、管理者代行と発掘者であるユーノの協力者であるなのはと、管理者から実働員として雇われている刹那を管理者代行代理としてアースラへ伴うことで妥協案としたのが現在の状況である。
「うわー、なんだか映画のセットみたい」
「本当だねー」
唖然とした感じのなのはの感想に、セツナは原作知識として既に承知のこととは言え、やはり実際に本物を見て体感するのは別物だと少なくない感動の色が滲む合いの手を入れた。
そんなまるでおのぼりさんのような二人の姿に小さく微笑を零しながら、リンディは内心で僅かに安堵を得ていた。
先刻の件でフェイトをバインドで捕らえた瞬間。リンディは自身が圧殺され、斬殺される様を幻視してしまったからだ。
それは言うまでもなく、あの時フェイトの近くで槍を手にしていた少女から発せられた途方もない殺気によるものだ。どういうわけだかリンディを視認した瞬間にそれは嘘のように霧消したが……。
それでも、あのまるで物質化しているかのような殺気の感触が未だにコールタールのようにこびれついて拭えないのだ。
だからこそ、あの時リンディは対して反論することなく向こうの要求を飲まざるを得なかった。
時空管理局と第九十七管理外世界地球は、裏ではそれなりに繋がりがある。
稀ではあるが魔法資質のある人間がみつかっては少なくない確率で管理局に勤め、ミッドチルダにはこの世界由来のモノが多数存在する。
そして何より、表向きには不干渉条約を結びつつ、各国重鎮とは幾つかの合意も成されている。
にも関わらず、アル・アジフの言う“魔術”という魔法に似て非なる技術がこれまで表出したことが一切ないのだ。
時空管理局と地球の関係は昨日今日のソレではない。にも関わらず今の今まで秘してきた技術。それも、影も形も一切漏らさないほどの隠密性を備えているだろうソレ。
何よりも、アル・アジフの言う「外からの侵略者に対抗するためのもの」という点が危機感を募らせる。
管理世界の全てが管理局の介入を由としているか、管理世界と括られることを是としているか。そう問われれば否と答えざるをない。中には管理局を侵略者だと揶揄している勢力も確かに存在するのだ。
アル・アジフは侵略者を『旧支配者』と言っていた。この名前もどうとでもとれてしまうのが厄介だった。
もしも仮にそれが管理局や、管理世界に広く普及する魔法技術を扱う勢力であった場合、アル・アジフの言う魔術という未知の技術が魔法技術への強烈なカウンターである可能性があるのだ。
魔法は万能ではない。未だ実用化にまで至ってはいないらしいが、AMF――アンチ・マギリング・フィールドという魔法の発動を阻害する技術も存在するのだ。
管理者代行代理という肩書きのセツナという少女があれほどの殺気を放った事実。肩書きからして上位だろうアル・アジフや、未だ見ぬ管理者は恐らくはセツナ以上にそういった事に長けているのだろう。そうでなくても、いざその時になった際にはきっと慈悲もなく事に及ぶのは疑いようもない。
「――にしてもさ。ファンタジーなのかSFなのかどっちかにしてほしいよね?」
「うーん、SFファンタジーなんじゃない?」
「おお。これは盲点」
思考の泥沼に肩まで浸かりそうになっていたリンディの耳に、そんな風に談笑する少女二人の声が入ってきた。
それが切っ掛けとなり、リンディ・ハラオウンはようやく思考を浮上させることができた。
そうだ、私は敵対しにきたのではなく、今現在進行形の事件を解決するためにきたのだ、と。
色々と強烈だったファーストコンタクトのインパクトと、ここへ来る前に就いていた“ある事件”の反動がリンディの心をいつにもない程ナーバスにしていた。
正直に本音を言ってしまうなら。
リンディはもう次元世界どうこうよりも、最愛の人との間に儲けた唯一の息子を連れて辺境の世界にでも身を潜めて、ひっそりと生きていたいとさえ思ってしまうのだ。
次元航行艦の艦長という肩書きは伊達や酔狂で、つまりは実力を伴わずして就けることのできるものではない。
実力とは魔導師としてのものは勿論、指揮官適性やキャリア、精神力等多岐に渡るものだ。
それらを高水準で満たしていると自他共に認めるリンディをして、逃げを考えてしまう程に凄惨な事件だった。
航行艦三隻轟沈。四隻が大破。三隻が小破。
人的被害に関しては思い出したくもない……。
アースラは小破した三隻の中でも比較的軽微の損傷だった。あくまでも“他と比較して”ではあるが。
現在乗艦している武装隊員でまともに動ける者は僅か五名。それも魔導師ランクがB~Aの者たちだけだ。
他に急行可能な部隊が、艦がいなかったのは十分に理解している。それでも、たったこれだけの人員で何をしろというのか。
リンディはそこまで考えて、ため息と共に思考を棄てた。
自分がこんなことではダメだ。上に立つものは常に堂々と在らねばならない。そう自らを戒める。リンディ・ハラオウンとしてではなく、アースラの艦長として。
(さぁ、対話を始めましょう――)
セツナたちがアースラへと赴いている一方で、アルとフェイトは報告と今後の方針を話し合うために時の庭園へと訪れていた。フェイトにとっては一時帰還であり、アルにとって初めての来訪となる。
アルとしては海鳴市から全員が居なくなることに不安がないでもなかったが、スザクが言うには口約束とは言え約定を易々と反故にするような者たちではないという。それにもし仮に約定を破り勝手を行うと言うのなら、それならそれで『そういうものだった』と言う確認が取れるので問題は無いらしい。
そんなこんなで転移した時の庭園は、正しくその名に相応しい様相をしていた。
転移ゲートから見える範囲だけでも、青々とした緑と、目にも鮮やかな花々が季節と言う境を無視しながらも絶妙なバランスで咲き誇っていた。
「これは……」
アルが思わずと言った具合にぽつりと呟いた。
「うゎぁ……!」
次いでフェイトも驚きと喜びを混ぜた感嘆を漏らす。
「いや、ちょっと待て。フェイトよ、此処は汝の家であろう。何故妾と同じ反応をしておる」
「だ、だって母さんが元気をなくしてからずっと荒れてたのが、母さんが元気だった頃の時と同じように戻ってるんだよ!」
感極まったように興奮しながら、目尻に涙を浮かべて、それでも表情に笑みを乗せて答えたフェイトの様子にアルはそうか、と苦笑しながら軽く頭を撫でてやる。
思わず出てしまった手に、アルはふと違和感を感じたものの、目の前で泣き笑いを浮かべるフェイトにそれも消え。
「あ、フェイトー! おかえり! あと……えーと……、」
「アル・アジフだ。スザクから話は通っておろう? とりあえず、案内を頼めるか?」
フェイトと別行動だったアルフが二人を見付けて駆け寄ってきた。
スザク曰く忠義者で過保護気味な使い魔としては、ご主人様が目の届かない所で別行動中というのは何かと心配だったのだろう。アルフの表情には安堵の色がありありと見て取れた。
その真意がどうであれ敵対姿勢を取っていたアルとアルフは簡単に自己紹介を済ませた後、館か城かという偉容の建造物へと向かった。
「ところでアルフ、その格好は……?」
外観通り広い廊下を進む道すがら、フェイトは横を歩くアルフにそう問い掛けた。
アルフの今の服装は普段の活発さが見て取れつつも露出の多いそれとは違い、どこか作業着的なものだ。
「ああ、これかい? スザクの奴がゴーレムの試動を兼ねて庭園を掃除しておけっていうからさ。ほら、いつもの格好だと汚れが気になるじゃないか」
「え、あれアルフがやってくれたの!?」
「んー、あたしはあんまり。殆ど監視してただけだし。凄いのはスザクの用意したゴーレムたちさ。見た目は完全に無骨な石人形なのに働き者でさ」
「そのゴーレムって、ここの警備システムみたいな?」
「いやいや、あんなゴテゴテのロボじゃなくて本当に石人形。あ、ほらそこから調度見えるあれだよ」
そう言ってアルフが指差した先、窓から見える光景に思わず立ち止まって見入ってしまう。
石や土を固めて造りましたと言わんばかりの姿でやや緩慢さはあるものの、しっかりとした動作で作業を続ける複数のゴーレムたち。ゴツゴツとした無骨な大小のゴーレムたちが庭仕事をする様は、アルの目にはシュールに映った。
「……ねぇアルフ。あれ、どうやって動いてるの?」
「さぁ? どうなんだいアル・アジフ」
アルとアルフ。呼び方が紛らわしいと主張したアルフはアル・アジフをフルネームで呼ぶことにしたようだ。実際にアル自身も同じ感想を抱いたのでそれに応じている
「妾に訊かれてもな。確かに妾もスザクも魔術を使うが、妾の使うものとスザクの使うものは別物なのだ」
「そうなの?」
「うむ。説明が面倒だから簡単に言えば、カレーライスとドライカレーの違いだ」
「うーん……」
「わかるような、わからないような……」
「どうしても気になるなら今度ちゃんと説明しよう。だが、今は他に優先することがあろう?」
アルの言葉を締めに、三人は歩みを再開した。
「――なるほどな。状況は理解した」
時の庭園、来賓室。
アルとフェイトから報告を受けたスザクは目を細めて口元に手をやって暫し思案し――。
「察するに、向こうは現状では万全でない可能性がある」
「どういうことだい?」
「次元航行艦には武装局員が乗艦しているはずだ。なのに艦長がわざわざ出張ってきたという状況が既に有り得ない。どれだけ実力を備えていようと一個の部隊の頭が自ら現場に出るなど愚策に過ぎる。武装局員という現場専門が居るならなおさらな。にも関わらず艦長が、それも単独で現れたと言うことは――」
「動かせる人員が不足している?」
「管理局が人員不足なのは今更だが、それにしたって必要数未満で部隊運用をするほどではないだろうし、そんな愚行を犯すとも思えない」
「武装局員では対処できないって判断の可能性は?」
「フェイトとセツナはジュエルシードを探していただけなのだろう? そんな状況が艦長でしか対処できない目をのだと思うか?」
それもそうかと納得顔でフェイトとアルフは頷く。そんな二人を尻目に刹那の間、アルとスザクの視線が交差した。
「とりあえず、何らかのイレギュラーが発生しているのは間違いないだろう。向こうに行ったセツナたちから通信があればそれも何か分かるかもしれない。とりあえず、フェイト、アルフ。二人はツーマンセルを崩すな。何があるかもわからん、不味いと思ったら直ぐに逃げろ」
「そんなに警戒する必要があるのかい? 管理局に何が起きてたってそれは向こうの事情だろう? あたしらには関係ないんじゃない?」
もっともな意見だ。
仮に管理局が居なくたってそもそも問題は無いのだ。
まだ未熟な部分があるとは言えフェイトは訓練を受けた魔導師で、使い魔のアルフもやや直情径行の気があるが優秀なサポーターだ。それに加えて補助魔法でアルフと戦えるユーノや、魔法を手にして日が浅いにも関わらず異常な速度で上達しているなのはがいる。
更にはアルやセツナも居るのだ。
ジュエルシードを収集するという目的を達成するだけならば、現状で既に過剰戦力。目的に異相体との戦闘を加えてもそれは変わらない。
スザクは気にしすぎじゃないのか。
何も知らない二人がそう感じてしまっても仕方がない。
だが、原作という本来の
だが、それを口にするわけにはいかない。荒唐無稽に過ぎるのだ。
故にスザクは内心の懸念を隠しフッと微笑む。
「フェイトに何かあれば、プレシアが悲しむからな」
「あ、」
プレシア母さんが……。
スザクの一言で、フェイトの胸にあたたかなものが溢れる。
優しかった母さんが突然人が変わったように厳しくなった理由。
フェイトとアルフはそれを聞いて、そしてその理由を解消出来ることを知った。
今はまだどこかぎこちなく、よそよそしい部分はあるけれど、以前のように優しかったプレシア母さんに戻りつつある。
そんな母さんの為に頑張りたいという気持ちに逸っていたフェイトの裡に、母さんに心配をかけたくないという気持ちが灯る。
「フェイトが無事であることは大前提なんだ。わかったな、フェイト、アルフ」
うん。と頷いた二人と共により詳細を詰めたあと、スザクはプレシアに顔を見せることを提案。最近では眠っていることの多かったプレシアが起きていると聞いて、フェイトは逸る気持ちを抑えきれないという風に慌ただしく部屋を後にした。アルフはそんな自分のご主人様に苦笑しながら後を追って行った 。
「――さて。プランの変更だ、アル」
スザクは先ほどまでの表情を消し、厳しい顔つきでそう口を開く。
上着の内ポケットから取り出したケータイには、セツナからのメールが届いていた。
ラブライブとFGOとデレマスにドはまりしてましたごめんなさい許してください(ドゲザー
いやまぁ他にも仕事忙しかったり色々あったんですよ?
割合は7:3ですが。
エタらせることはないですが、次が何時になるかもわかりません。
申し訳ありません。