ゲー廃クズ女の転移生活   作:カピバラバラ

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ゲー廃にコミュニケーションは厳しくないですか

 

──命を捨てる。

その行為が意味するところは、本来優先順位の最上位にあるモノを最下層へと落とす自傷行為だ。ある種、最も自尊心に欠けた愚かな行為とでも。

 

この世界を楽しむための代金。そして代金と呼ぶには重すぎる代物でもある。

そして純粋な問題として、私は痛みに弱い。ゲームの台パンで喰らった痛みで、台パンをした事を後悔する程度には痛みに弱い。

 

つまり自死などもっての外。というか、大抵の苦痛に弱いのかな。

まともに向き合えるほど強くなかったから、避ける選択肢を取った訳だし。

 

『………………最初からそのつもりだったけど』

 

『まずは…口の中に草でも詰め込みまくって…』

 

『──死んで、みるか!』

 

──そうは言っても死ねる訳なくて。

また熱中症での脱水で死ぬ?それはあんまりにも非効率だし、この先の事を考えると受け入れられる苦しみばかりに縋ってちゃ行き詰まる。

 

誰かを頼るのも嫌だ、頼られるのも嫌だ、苦しいのも辛いのも嫌だ。そんな我が儘を押し通すために私がしてきたことといえば、

 

『──。すぅ…──』

 

『あーーーー!!!!!!』

 

まずは大きな声で叫びましょう。

頭の中の思考を、頭の中の雑音を全て外に追い出す。大声を出している最中に冷静になっちゃいけません。冷静さも吹き飛ぶぐらい、脳みそを叫びで満たすのです。

 

『よし』

 

からっぽになった頭蓋の中は満たさない。そして何かを思考する前に、私は小説やゲームのキャラから習った必殺技を繰り出す。

どんな恐怖も超越し、快不快すら克超する最強の技。

それは──、

 

『行きましょう。この世界を攻略しに』

 

RP、である。

ロールプレイ、自分以外の人格を模倣して自分を動かす。聞こえは難しいがそうでもない、物語の登場人物になりきる──ただそれだけ。

 

そこで幼い私は、メタ系キャラと自称『クール系の私』をRPし続けてきた。人間的な対人でのストレスに過敏で、だからすぐ頭を掻きむしったり爪を噛んだりしちゃうし、両親からも友達だった奴らにも疎まれてね。

 

問題が私の性格と精神の未発達さにあるのなら、それが不快で社会から外されるのなら、愚直な自分は全てRPの裏へと隠した。自分の弱さと醜さを、第四の壁を破るメタ系キャラに倣って俯瞰と指摘を繰り返したり──ってのは余計か。

 

唯のRPだと舐めちゃいけないよ、私はこれで現実を生き抜いてきたんです。気持ち悪くとも本当の私はもっと残念無念。

ひねくれてる癖に正しくない物事が嫌いな、自己中心的排他主義者。親に見捨てられる子供は、大抵ろくでもない。

 

けれど諸君、これ以上の現実逃避、そして適応が何処にあるのか教えてくれたまえ!──現実とちゃんと向き合えなんて言葉は、ゲー廃引きこもりに劇毒過ぎるぜ。もっとウィットに富んだ、ギャグセンスある面白い皮肉で包んでくれ。

 

『──RTA攻略の始まりです』

 

──人間として、人間性が一番腐っていた頃を思い出す。

自殺とは、数十年かけて摩耗して死んでいく人の一生を、たった一秒に圧縮する行為。過去を蔑ろにし、未来を生贄に現在(イマ)から解放される。

 

私の人生はいわば、解放されたいと願うだけの人生だった。

理由も無く生まれ、目指すべき道も無く育ち、ただ生きてるだけで苦痛を受けて求められる。

友達を作れ、グループワークをしろ、授業と向き合え、勉強しろ、運動しろ、社会に参加しろ、育て、働け、前に進め。

 

───輝ける光も無い暗闇で、私はどう歩けば良いのですか。私を産み落とした世界はどうしてこんなにも、求めるばかりなんでしょうか。

貴方(世界)はどうして、それほどまでに欲深いのでしょう?

 

『────』

 

私に与えられたのは、苦痛とゲーム。

前者は貴方が私を求めている事を、後者は求めた理由を、それぞれ教えてくれた。

 

「──。ふー……あーん』

 

というかゲームで大体分かった。

求めるものなのだ、誰も彼も。登場人物の全てに意味があると。雑に作られたモブ敵は悪辣な配置で私の脳裏に焼き付けられたし、味わい深いNPCはネットで語り継がられる。

 

──ならばもしも、私達が生きる現実がゲームだとして。

 

『ひゅっ、ひゅっ…』

 

悪評も賞賛も何も無い、誰の記憶にも残らないモブが居たとして、Wikiで調べても人に聞いても、何処を漁っても何も無くて。

後はひっそり、ゲームそのものが消えてなくなるまで誰にも見つからなかったモブが居るとして。

 

ゲームの製作者は、多分とっても悲しむと思う。自分の為じゃなくて、そんなモブを憐れむと思う。

だから、苦痛を与える。その末に命を散らすとしても苦痛をもたらし続ける。それが貴方にとって、誰かに見てもらえる唯一のアピールだから。

 

まぁ私も名作には次回作を求めまくる性格で、ゲームに対しては良いも悪いも飲み込むタチだからどうとは言えないけど───貴方の手の中には、たった一つのゲームカセットしかないもんね。

 

『…………』

 

この草原には、ある筈の無い高めの背の木がある。何処から飛んできたのか、芽吹くはずの無い青々しい木が。

私がこの場所を出来の悪いサンドボックス、箱庭だと言ったのはその点もあった。人為的な不自然な自然。

 

さて、人というものは案外頑丈だが急所は多い。複雑なジグソーパズルの様な人体だからこそある程度の衝撃には強いが、特定の箇所を刺激すれば簡単に壊れる。例えばどんな箇所があるかというと、

 

『────。がんひゃれ、わらひ』

 

──今回は、頚椎とでも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──といった事がありまして、コミュ障の私は見事おじさんとの交渉を乗り切りました。え?死因は何かって?そんな事聞かないで下さいよエッチ。

大体脱出方法が死ぬことだけって理不尽にも程がありませんか。一般家庭産まれ一般家庭育ちの日本人にする所業じゃないと思います。

 

愚痴はさておき、何故か分かりませんがおじさんとの協力関係を結んだ所からスタートしまして、今現在私はというと、

 

「離せ―!麗しい少女にこんな乱暴な扱いをしていいのかー!!」

 

「麗しい少女は土も草も食わねぇよ」

 

「まだ検証する事が山盛りなんですけど!?おじさんの言う通りなら、私が飛ばされた空間って完全に私専用なんですよね!?それを利用しないのは勿体な──」

 

「だーまーれ。大人しく連れ去られろ」

 

なんとも無体な運ばれ方をされている。

脇下に腕を差し込まれ、米俵を運ぶように持ち上げられた。

 

「そんなにダンジョンに行かせたくありませんか!?強制イベントか強制スクロールの化身なんですか!?」

 

「…──」

 

「メンドクサイって顔されると傷つくなぁ~」

 

「あ?」

 

抗いはするもののびくともせず、騒乱が平常運転のこの場所、おじさん曰くダンジョン言い換え『地下墓』の受付口ですら注目を集める始末。

羞恥心は無い。人に迷惑をかけても堂々としていられる恥知らずさは、未開の地では武器となるものだ。

 

「異人なら先に知っとけよここの常識。今後の立ち回りに役立つぜ?ただでさえルール守らず地下墓飛び込んで人の目についてんだ。暫くは俺に任せとけ」

 

「ほう?いきなりタダで助けて下さると?」

 

「それだけの利用価値をアンタに見出してる」

 

「──。え、どのタイミングで!?ブラウおじさんもしかして変態趣味!?」

 

「なんか急にアンタを衛兵の前におっことしたくなってきたな」

 

「冗談じゃないっすか、ブラウの兄貴ぃ〜。私何しとけばいいっすかね〜?」

 

「…………口閉じてたらそれでいい」

 

「──そこの二人、少しいいか」

 

二人が言葉を交わす間に、大柄な男が割って入る。

鎧に身を包んだ、如何にもな大男。先手で制圧行動を行わない判断が『冷静』である二人組に声を掛け、コバナとブラウは目を丸くした。

 

脳裏に浮かぶのは逮捕の二文字。アドリブに任せて突っ走ったツケが巡ってきてしまった。

 

逃走?降伏?

どんな選択肢を迫られても不思議じゃない状況で、ブラウは先に口を開く。顔見知りであるのか目配せだけで会話をする様な仕草をしてから、コバナを男の前に突き出した。

 

「ぎょえ゛っ」

 

「この馬鹿がしたことは俺が償う、でいいか?」

 

「話が早くて助かる。まぁ罰金だけで済むさ」

 

「──マリーとの優待券を三枚」

 

「……おいおい」

 

「本気で金が無ぇんだ、それで許せ」

 

「駄目だ」

 

「あのー、なんか滅茶苦茶今えっちな話してます?」

 

「黙ってろつったろ!?」

 

──そう言われても、である。

流石初対面の女に娼婦行きを検討させる男、男の欲求を掌に握っている者が行う『賄賂』は中々に魅力的なものだ。

その姿に本気で呆れている風に見える大男さんの目線も、ブラウの必死さを透かして見ているようで、思ったよりもスポンサー側が頼りない。

 

ただ、助けられてる側が文句を言っても戯言でしかないのでここはひとつ、ネットで鍛えた詭弁を使おう。

 

「お兄さん、目配せだけじゃ分かんないので私に声を掛けた理由をちゃんと話してもらっても?」

 

「ふむ。君自身分かっているだろが地下墓へのワープゲート、その無断利用で手配中だ。君は珍しい髪色をしているからね、見紛う事無く君が犯人だと判断して声を掛けた…どうかな?」

 

「──。えー?なんですかそれー、わたし~ちかぼ?って所にも、わーぷげーとにも立ち入ってませんよ~」

 

「────」

 

「髪色も似てるだけじゃないですか?偶然、たまたま。奇跡で。顔ははっきり分かってるんです?」

 

「………顔をはっきりとは。手配の通告を受けたのもついさっきで…でも君とは似てる──」

 

「ブラウおじさま~。わーぷげーとの仕組みって分かります~?」

 

「──!…地下墓への侵入と脱出、どんな手段を使っても地下墓から出るにはゲートを経由するな」

 

「と、言う事は~?」

 

目の前の大男さんが思いっきり苦い顔をして天を仰いだ。私が言いたいことが分かってしまったのだろう、そして理屈的には私がこの場に居る筈が無い事を。

 

地下墓はというと、ジメジメとした石造りの、アトラクションパークの入口みたいな感じで、無我夢中で突撃する過程、地下墓へアクセスするゲートには目立った監視設備が無い事と、帰還者がゲートから出てきたのは視ていた。

 

要は、ここの人達にとって『証拠』とは現場で見たモノでしかなく、地下墓へ『入った』所を見たのなら、『出ていく』過程が無いと外に居る私を犯人とは呼べないのだ。

 

──普通に問答無用で処罰するってなら終わっていたけどね。

 

「……ブラウ。コイツを娘にすんのは辞めとけ」

 

「分かってるわ馬鹿野郎、誰がこんな生意気チビ女を売りに出すんだよ」

 

「生意気チビ女からアドバイスすると、あんまり情けない姿見せてるとこっちから手、切りますから」

 

「──このクソ生意気大鬼(オーク)小鬼(ゴブリン)頭女は一生売りになんて出さねぇから安心しろ」

 

ああやっぱりあるんだ、そういう差別表現。それはそれとして力を手に入れたら絶対ぶち殺してやるこの変態親父。

ともかく、コレで乗り切れるほど世間はそう甘くないと思いつつ、うるうるとした瞳を大男さんへ向ける。涙なんてとうに枯れ果てた女から滲む、本気の演技。

どうにか──頑張ってみよう。

 

「わたしっ、ここに来たばっかりなんですっ。路頭に迷ってた所をブラウおじさまに助けられて……!今後、何かご迷惑をおかけした時は問答無用で構いません!でも、今はどうかっ」

 

「…あー、分かった分かった」

 

「本当ですか!?」

 

「──マリーの優待券五枚で、見逃そう」

 

「「───」」

 

──このスケベ野郎。最初からその目的(ゆすり)で声を掛けたな!?

男とはどうしてこう、下半身の事に関しては頭が回るのか。今回はソレ(性欲)に救われたので何も言えぬ。

 

その後ブラウさんはしぶしぶ、自身のサイン入りチケットを大男に渡し、共々難を逃れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──。ふむふむ」

 

人と獣の境界が存在しない古代、神は知性と魔力をとある獣の一族に与えた。以降、その『獣』は『人』となり、この世を制する種族となった。

与えられた魔力は生物としてより純粋な命の形であり、それは神の姿を模倣しようとする。原初、『与えられし獣』はその力を切り分けた。

 

明確な個が存在しない生物は、魔力によって我を得る。自然は魔力の肉体を作り、最も神に近い『与えられし獣』を神と見立て、その原初の存在から生まれた『人』という種はあらゆるものに祝福される。

 

身に宿した魔力と、『人』を擁する者達によって人類は──。

 

「はいはい、繁栄を極めましたと」

 

「ありがちなカバーストーリーですね。世界観は大体分かるので別にいいですけど」

 

「流石は異人、俺らに染みついた神話を一蹴してくれる」

 

「此処に来た人大体『あっそ』ぐらいにしか思ってませんよ」

 

あれからどうなったか、現状報告をしよう。

ビックリするぐらいテンプレの、中世ヨーロッパ風──というには少し現代感が織り交ざる街並みを抱えられて移動し、エッチなお店を抜けた先、ブラウさん宅で猛烈読書中。

 

ゲーム攻略において基礎知識は盤石に。攻撃方法も分からずエンドコンテンツに挑むなんて正気の沙汰じゃない。

世界の歴史、魔法の使い方、世間の常識。諸々吸収してパーフェクトな状態を目指すと致しましょう!

 

「でか、ブラウさん。私の事『異人』だって分かってたんですね」

 

「まぁな」

 

「……」

 

──提供される情報の中で、死ぬほど重要な代物が三つ。

 

まずは『異人』。読み取る限りこれは私以外の、この世界に転移してきた地球人だ。容姿に関する記述もかなり様々あり、日本人だけといった訳ではなさそう。誰も彼もが英雄か、それに準ずる存在へ成れる力を有していたと。

 

次に『魔力』。あるとは思っていたけれど、残念ながら私とは関わりのない話になってしまった。どうやら魔力はこの世界の人間にしか備わっていない遺伝的なものらしく、自然──つまりは魔力が存在する世界自体とのパスにより、魔法を使うのだと。

 

最後に『獣』。神話で魔力を与えられなかったとされる奴らは、現代では所謂魔物として人から魔力を奪おうとする化け物になっているという。オークとかゴブリンとか、どうにも誰かがデザインしたようなThe・ドラゴンも居る。

 

「異人のみんなも大概自由人だなぁ…絶対現代知識チート無双しようとした奴もいるでしょ。ほらこいつ、発明王ジェン・ドゥとかあからさま過ぎない?」

 

「…言語も、これもある種文化侵略だけど……転移させた神様が悪いか」

 

数々の異人が、地球人が、バトンを繋ぎ今日に至る。多分だけどみんな、楽しんだは楽しんだだろうけれど、色々責任だとか義務だとか、大いなる力にはなんとかがあって歴史に名を刻んだのだろう。

 

私には──そんなもの、一切ない。

だが困った、みんなが色々やってくれてるお陰で『攻略』の対象が見つからない。衛生面が壊滅的だとか、世界は魔物の危機に瀕しているだとか、そういうのも特になくとても平和。

 

現状は目の前の疲れ切ったおじさんを助けるぐらい、それじゃその先は?私から全てを奪った事への復讐(攻略)はどう成し遂げる?

 

──最終目標はゲームを再び手に入れる事だけど、私はこの世界に『期待』をしている。

 

「ねぇおじさん。地下墓を完全に攻略した人って居るの?」

 

「居ないな。それこそ異人の連中が挑んだって話もあるが、未だ詳細は何も」

 

「そこら辺も後々調べなきゃだな~…さてさて…」

 

何の期待を──?

そう聞かれれば、こう返すしかない。

 

『私を異世界転移させてまで、見せたいものがあるんだ』

 

作ったプログラムを、完成させたゲーム(世界)を、見せたいんだね。

 

貴方は私の所と同じでどうしようもなく寂しがり屋で目立ちたがり屋だから、別の世界から人を攫ってでも見せたいものがある。でも、貴方が見せたいものは誰にも見つかってない。

 

だから、私に順番が来た。私が攻略しきれなかったら、きっとまた別の人を呼び込むんだと思う。それでも私は、今貴方と通じ合えている。

貴方には伝わっていますか、私の──燃え盛るマグマの様な殺意と怒りが!!!!

 

──ふぅ。

 

ゲームは対話。

向き合うほどに、私はゲームではなくそこに込められた『知性』に惚れたんだ。人を嫌悪しておきながら、その創造物に心奪われた。

 

こう話すと毛嫌いする人もいるけれど、私は『意図』が大好き。制作陣が手塩にかけた箇所を味わう事も、逆に興味の薄さを見抜くのも楽しい。

だからこそ、完全攻略は前提なんだよ。

 

手段であって、目的じゃない。

私は、ただ窮屈で下らない私の人生を押し広げてくれたものと、真摯に向き合いたいだけなのだ。それはそれとしてこの世界を作った奴は青ざめさせてやるけど。

 

「──先に、はっきりさせておきましょう。ブラウさん、人の感情はすぐに移り変わる。不安定なものに頼るのが嫌いなので」

 

「…何だよ急に」

 

「ブラウさん。うだうだと私に手助けする理由を話してましたが、最初私が異人である事を抜きにしても──」

 

「私情で、手を差し伸べた。人を助けるときに相手の目から視線を逸らす人は、決まって過去を重ねてる」

 

経験談だが、そういう奴は手を離す時も感情論だ。さしずめ、思い描いた形にならなかったから見放したとか。

何にせよ、感情で人を助ける奴は感情で人を切り捨てる。それは確信に近い、トラウマと呼ばれるモノでもある。

 

「誓ってください。一度餌を与えた獣を、感情だけで見捨てないと」

 

「それはアンタが金を──」

 

「その提案自体が過去の悔恨のせいだと、私は言っているんです」

 

「…──」

 

「私は恐らく魔法が使えない。武器も無く体は小さく、騙しやすい子供で価値はつきやすい女の子。そんな私の、私だけの攻略を邪魔したいのなら、覚悟して欲しい。どんな手を使っても、その下らない脳みそに風穴を開ける」

 

「誰にも、お前にも──私の人生は壊させはしない」

 

「────」

 

私を見つめる目から、漸く幼子を守る様な温かさが消える。

薄灰色の瞳孔が細まり、立場をわきまえず大言を喚く相手を前に、指先で白髭をさすりながら後ろ頭を掻く。

 

後悔を折り重ねた冷たい色の瞳が、静かに瞼の裏へ消えていった。

 

「分かった」

 

「アンタみたいな悪魔の手を取っちまった俺の責任だ。約束は違えねぇよ。だが忘れんな。アンタが俺を暗闇の底まで沈ませる時は──」

 

「路地裏で冷たくなる子供の数が、十人ほど増える」

 

──。

はーあ、コミュニケーションって難しい。

いつになったら上手く話せるようになるんだか。

 

「分かってますよ。それじゃ誓いましょう、私は必ずこの世界を攻略する、その足掛かりにブラウさんの店をこの街一番の繁盛店にしてあげます」

 

「出来んのか?」

 

「──誰に聞いてるんですか」

 

知りようがない事だけれど、今、ベッドに座りながらうだうだ話して読書を楽しんでる女は、地球という星に生まれ育ち、そして最底辺から駆け上がり、そしてここに居る。

鬼畜戦略ストラテジーなんてお茶の子さいさい、現実さえも自分なりの攻略をして見せた──。

 

「ブラウさん」

 

「ゲー廃に、攻略できないゲームは無いんですよ」

 

この世界をもクリアする、生粋のゲーマだ。

 

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