「ふぅ……」
村の掟により、20の齢で旅立つ事になった青年……ケレン・バン。
その旅に同行する事になった三人の女の子が居る。
その三人は……一癖も二癖も。
「ねぇ、いつになったら私の目を見て話してくれるの?ケレン?そんな恥ずかしがり屋な所も大好きだけど……♡」
「いや、目を見て話してもいいけどさぁ……目を見たら見たでめちゃくちゃ頬に手食い込ませてくるじゃん」
俗に言う『ヤンデレ』であるシェニー・バーナード。
「そのザマを見せられるアタシの気持ちになってよね……!目の前でイチャイチャイチャイチャ……ふ、ふん!私には関係ないけど?」
「爆速でチラチラ見てるの何?もはや速度のせいで残像残ってるけど」
俗に言う『ツンデレ』であるサナ・モーガン。
「早く先行こ。お腹減った」
「さっき俺の分の予備食料とか諸々食ってそれかい?君は慈悲とか他人を慮る心とかがないんだねぇ」
俗に言う『クーデレ』であるレイン・エルドリッチ。
二癖越えて、三癖あるこの三人を……ケレンはどう扱うのだろうか。
この物語はケレンとかがめちゃくちゃ奮闘する感じの物語である!!!
──────
── テント設営 ──
「ここら辺の野営地を探そう。とりあえず候補地は、森の中は危険な野生動物とかも多いし、見晴らしのいい平原にテントを……」
「ケチらず宿屋で一泊したら良いじゃない!テントって密室空間で……ど、どーせアタシに?!その?!良い感じにえっちな事を?!する気でしょ?!」
「それで皆の意見を聞きたいんだ、野営テントの設置は一人に任せて夜更けまで食料を確保するか、野営テントを全員でやって、その後にもう一度全員で食料確保にその後の夜更けまでの時間を使うかって二択なんだけど」
ガン無視。
サナは何処ぞの砂漠に住むキツネの様な顔をしてケレンを見つめていた。
早速意見を提出したのはシェニーであった。
「二人でテント設置しよ?そしたら……二人で食料確保して……♡」
「アタシ達の存在は?」
「それで……夜は……ふふ♡」
「無視は酷いぞ、シェニー」
「アンタが言うの?」
次に意見を提出したのはレイン。
「食料確保が始めで良いと思う。四人で確保して、私が食べたらOK」
「テントわい」
「ご飯食べたら眠たくなるからいらないと思う」
「脳筋すぎかも」
その次、サナは意見をちゃんと提出する様だった。
「アンタの二番目の意見に賛同するわ、役割分担と言うよりは全てを完璧に終わらせてから次の作業を移る方が失敗も防げるしいいと思うの」
「よし、了解。それじゃあテント設営に移ろう」
今度は無視されなかった安堵でサナは少し笑みを浮かべていた。
シェニーは不満気だが、ケレンの意見ならば……と渋々行動していた。
レインはなんか……乾パンを食べていた。
── ♦︎ ── ♦︎ ──
── ひまつぶし ──
「夜更けだし、外に出るのも危険だよなぁ……」
「暇つぶし。カードとかなら持って来てる」
「ケレン♡私と楽しい事しましょ♡」
「貴方がそうお願いするなら?!暇を潰す遊びをしてあげない事もないけど?!」
元気だなぁ、と言った顔で二人を見つめるケレン。
ケレンはレインのカードに興味を持った様で、二人をガン無視してレインのカードを見つめていた。
「ケレン?♡」
「ごめんごめんってそんな頬に指食い込ませなくていいじゃんやめてって跡着く跡着くから!!!」
ビンタを受けた後みたいな体勢を取りながらケレンは頬を抑えていた。
「アタシもこうすればいいのね」
「加害者予備軍が増えたんだけど」
ケレンは気を取り直してカードを手に取る。
『トランプ』形式のカードの様で、様々な手軽な遊びが楽しめそうだ。
「正直俺トランプ苦手なんだよな、頭弱すぎて数に弱い」
「そんなケレンもかわいい♡」
「アタシが教えてあげるわよ……QとかKとかにも実質的な数が……」
ケレンは黙ってその説明を聞いた。
ケレンの耳からすり抜ける空気がサナには目に見えていた。
「アンタ聞いてないでしょ!!!」
「いや聞いてるよ、聞いてるけど数が苦手すぎて上に入ってかないんだよ」
「ほんとバカね……」
「ならカードは無理……他のは無いけど」
「ん〜、諦めて寝ようぜ」
「覚える努力をしなさいよ!!」
ケレンはジト……とした目でサナを見つめていた。
それに続いてシャイニーもジト……とした目に。
レインは素からジト目だった。
「なんでアタシが悪いみたいになるのよ!!!」
── ♦︎ ── ♦︎ ──
── あさごはん確保 ──
「ここら辺は川が流れてたよな」
「そうね、近くに大きな川が……ケレン、水浴びでもしましょ?♡」
「……ご飯確保しなきゃ」
レインは躊躇なく川に手を突っ込む。
さすれば、右手には魚が握られていた。
「熊とかなの?」
「天性の才ね……」
「手がヌルついてそうね……」
ギリ、ボロクソ。
レインは即座に近くの乾いた木を調達すると、凄まじい勢いで回転させる。
さすれば……火が着く。
「魔法とか使った方が楽だぞ」
「魔法使いなさいよ」
「魔法は……?」
サバイバルの醍醐味とかは、無かった。
冷めた冷笑連中である。
「こういうのが好きな人もいるから、学んだ」
「でも原始的な感じがしてちょっといいな……炎に温かみがある」
「これで魚を焼くのね?ふぅん……なんか良いわね」
「ちょっと面白そう……ケレン、私達も一緒に魚を取りましょ?♡」
他の三人も決死の勢いで魚を取りに行く。
いや決死という程では無いのだが。
しかし……中々苦戦しているようで、逃げる魚や捕まえても滑る魚に翻弄されている。
「うん、美味しい」
「もう食ったのかよ……」
レインはもう一度その場から立ち上がると、川の中を引っつかむと一瞬で魚を捉え、もう一度焼く。
……。
「俺らの分取るとか無いの?」
「私がお腹いっぱいになったら、十分」
「か〜、幼馴染の情とかなし」
その後、三人はやっと各々一匹取れたようだった。
そして焼いた魚は格別に美味しかった様だった……レインはそれを尻目に熊ロールプレイをしていた。