色々あったが、取り敢えず考えないことにする。クドの手とか体温とかちっちゃい胸とかもうなんにも考えないようにする。今日からはいつも通りだ。
さて、教室に入ろうとしたところでクドを見かける。廊下の窓際で何かを太陽に透かしているようだ。さぁいつも通り話しかけるぞー。
「おっ、はやうクド」
「あ、はろ〜。です」
うんすっごい裏返ったし噛んだな。もうやんなるね。クドの方はもう吹っ切れたのか、いつもと変わらない様子だった。して、何を見てるのかと目を凝らしてみると。
「鍵?」
「はい、鍵です。部屋の鍵です。鍵屋さんで作ってもらいました」
そう言えば部屋が変わったから、その鍵か。ふたつある鍵を私に見せてくれた。寮は安全性とかで、部屋の住人が変わる度に鍵を付け替えるそうだ。だから、卒業生はその鍵がそのまま思い出の品になるとか。
「寮生活楽しそうだよね。そういうの」
「はい、ルームメイトさんとの絆の証です」
「じゃあ無くさないようにしないとだね」
「そうですねっ」
「……そのキーホルダーは一体」
「ヒヨコグマさんです、可愛いでしょう?」
何故こんなにリアルなのか。謎だ。しかしクドが可愛いと言っているのでこれ以上何も言うことは無い。
と、そこでクドが何かに気がついたように廊下の奥をみやる。
「あ、二木さん」
クドが声を掛けたほうを見と、そこには二木さんが立っていた。目の前に立っているのは。クドのルームメイトになった少女だ。
「お呼びしてすみません」
「通り道だから、別に」
それから、二木さんはクドから鍵を受け取る、キーホルダーを要らないと良い投げ捨てる。
はい。喧嘩です表出ろよ風紀だかなんだか知らないけどお前にフキみたいな風穴空けてやる。
しかし、クドはめげずにカバンの中からじゃらじゃらと無数のキーホルダーを取り出す。
昔から色々転々としていたので、記念にと買っていったら集まっていたらしい。
「どれも」
「どれも?」
「変だわ」
「ガーンっ!?」
ごめんそれには全面的に同意する。
クドが泣きそうな顔でこちらを見てきた。やっぱりこいつとは一度喧嘩するべきかもしれない。だが、クドの目の前で思いっきり風紀を乱すわけにもいかないので、間に立ってみる。この人怖いけど。
「……鍵を無くしてしまっても困ると思うので、確かに変ですがその分無くさないと思いますよ」
「△△までそんなことをーっ!?」
ごめんクド。君のセンスは否定しないが変は変だ。嘘をついてクドの基準が偏ってしまって欲しくないんだ。これは変だ。間違いない。北海道のゆるキャラくらいには履き違えている可愛さだ。
二木さんは私を睨見つけると、観念したように手を伸ばす。
「……これでいいわ」
二木さんは小さなぬいぐるみがついたキーホルダーを選んだ。押すと音が出るのか、ピコピコと謎な鳴き声(?)がする。
「それ、生物……?」
「はい。犬ですけど」
「犬……?」
綿玉に目玉がくっついているようにしか見えない。百歩譲ってバックベアードである。
「はい、犬です。どこからどこを見ても犬ですよ。ほら、足ありますし」
その基準では私も犬になってしまう
「悪趣味なのばっかりでコレが一番まともそう」
ましかと言われれば別に変わらない気もするが、まぁ受け取ってくれたので何よりだな。二木さんお前は優しい子だ。
クドは鞄にじゃらじゃらとキーホルダーをしまう。
「じゃ……あ、そうだ」
二木さんは鍵をスカートのポケットに入れて、立ち去ろうとすると、私へと振り返る。
「あなた、……頼花って言ったっけ。別に敬語じゃなくても良いわよ。同学年だし。無理して敬語使われても気持ち悪いから」
「そう? じゃあ普通に喋らせてもらうけどおいクドは寮での生活どうですかァ?」
「随分なご挨拶ね……別に普通よ。じゃあね」
改めて、二木さんはぴこぴこキーホルダーを鳴らしながら歩き去った。
「悪い子じゃ無さそう」
「キーホルダー、受け取ってくれましたからいいひとです」
__
「いや謙吾なにそのイカれた服」
「何って、リトルバスターズジャンパーだが?」
「やっぱりおかしいよな! 俺たちが正しいんだよね!?」
「朝からこれなの……?」
「残念ながら、ね」
「やっぱアホになってる……」
__
練習を終えて、なんか理樹と西園がいい感じになっていたりする。
理樹が西園さんに携帯の番号を聞きにいったぞ。やるなぁあいつ。
だが、西園さん自体携帯をあまり使わないらしく、理樹から色々と教えている。優しいやつだ。
あ、私たちとも交換っすか。いやークド以外の番号いらないんすけどねへへっ。
あ、真人の番号が捨てられた
「……風で飛んだだけです」
__
Kudryavka
夕食を終えたあと、また、部屋の中で考え込みます。
今日は朝会えました。移動教室の時は、わざわざ私のことを探して先導してくれました。それから、お昼もご一緒しました。放課後は一緒に練習に行きました。
沢山一緒に居たからでしょうか? それとも、昨日のお風呂をまだ引きずっているのでしょうか? 答えは見つからないまま、胸のとくとくだけがずっとずっと鳴り響きます。
一体私はどうしてしまったのでしょう? 昨日からずっと△△の事を考えています。私はおかしくなってしまったのでしょうか。
そんな中、携帯が鳴ります。△△からかと思って見てみると、井ノ原さんからでした。
『ようクー公。今恭介の部屋の前に居るんだけどよ。ちょっと来てくんねぇか?』
「恭介さんの部屋ですか? はたまたどうして」
『理由は後で話す。みんな呼んでんだよ。どうだ?』
なんだか楽しそうな予感がします! これは行くしかありませんね! ……ですが、みんな、ですか。それは寮にいる皆さんの事? それとも……。
「△△は居ますか?」
あれ? どうしてそんな事を聞いたんでしょう。こんな時間に、寮以外の人を呼ぶ訳もない上に、私は行く気満々だったと言うのに。どうしてこんなに気になってしまったのでしょうか?
『○○? まぁ呼ぶだけ呼んでみるか。来そうだったら連絡入れとくぜ』
そこでぶつんと電話が切れます。今のうちに部屋着から着替えておきましょう。
数分後、井ノ原さんからメールが届きます。
『○○来るってよ』
そのメールに胸を弾ませて、私は帽子とマントを羽織るのでした。
__
○○
珍しく今日は何事もなく終わりそうだと思って夜ご飯食べて一息ついた矢先、真人から電話が掛かってきた。
『○○いまこっち来れるか? ちょっと大変なんだよ』
「お前の大変には騙されんぞ」
『チクショウ駄目か……まぁいいや、みんな呼んでるから暇なら恭介の部屋まで来てくれ』
「皆? おいおいそれを早く言ってくれよな」
『うわ気持ち悪いくらい乗り気だな……』
私は直ぐに制服へと着替えて、寮へと向かった。夜風はまだ寒いが、夜にもクドに会えるなら大いに結構だった。高笑いでもしながら向かおう
__
「第一回・恭介の野郎にギャフンと言わせてやろう選手権〜、はい拍手〜」
「よしきたぁぁー!」
真人と理樹が横断幕を広げる。
あぁ馬鹿共が馬鹿やってるんだ。第が策になってるし。
一番に来ヶ谷が抜け、続いて西園、ついでに三枝。鈴も抜けていく。
「真人君、どんまいだよ……」
「どんまいなのです〜」
「どんまいだ、真人」
私も慰めた方が良いのかな、いやいいか。別に。
「うーん、ぎゃふんとってなにをやるの?」
横断幕を見下ろしていた小毬さんが訊く。
「はっ、ぎゃふんといわせるなら、歯車と粉を見せればいいのではないでしょうか?」
えっどういうこと?
「ふたつ合わせて『ぎやー・ふん』なのですっ」
私だったら直ぐににっこりしてしまうな。可愛い。もう勝ちでいいだろこれ。
ようやく、経緯を聞く。どうやら恭介が構ってくれないからどうにか恭介の気を引こうと言う会らしい。夜に呼び出しといてこれか。
「それだったらなんとかなりそうだよ〜」
「え、ほんと?」
「みんな恭介さんとケンカみたいに思ったから、手伝ってくれなかったんじゃないかな?」
「くそう……オレの説明不足か……人の上に立つってのは難しいぜ」
「どんまい、真人」
謙吾は一体グラウンドに何を落としてきてしまったのか。
「もう一回みんなを呼んで説明すれば、きっとだいじょうぶだよ〜。じゃあ、メール出すね」
小毬さんのほうが余程人望があるな。というわけで再び全員集合。小鞠さんから事情を説明する、
「というわけなのです」
「で、策一回大喜利大会か」
「てめぇに指摘されたから直してきたよ……よしっ、見やがれっ!!」
ばっ、と再び広げる。
「今度は『弟一回」か」
「わざとだな」
「完全に出来ないっていう特性か何か?」
「はっは、さすが真人だ。笑わせてくれる」
「はいはい天然ですよオレが頭わるうございましたぁーーっ!!」
ということで大喜利大会開始。三枝&西園ペアが爆死し、小鞠さんはネタ被りで爆散。来ヶ谷さんはいじって満足して帰ってきた。いやもーくちゃくちゃだなと鈴が言う。何それ。
「じゃあ、残ったのは……」
「はいっ、私達なのですっ」
「じゃ、かえろっか」
「ガーンっ!? 全く期待されてませんっ!?」
「目にもの見せてやるぞ三枝!!」
「見せるなら恭介さんですね」
さて、実は先程みんながえいやこらやってる間に、クドと作戦会議をしていたのだ。クドのおじい様から伝えられた秘伝の笑っちゃう感じの必殺技らしい。クドも自信満々である。
「すべてはおまえに託されたっ」
謙吾はもう今のままの方が楽しそうなんじゃないかとすら思うよ。
「クーちゃんたちかっこいいよ〜」
「はいっ、カッコよく決めてくるのですっ」
「二度と無表情にならないようにしてやる」
「なるほど、骨を砕くのか」
「違うと思うけど……」
私達はいざ恭介の部屋へと向かっていった。こそこそと恭介の元へ
「今なのですっ」
「恭介捉えたぞっ!」
私が恭介を羽交い締めにして、隙をついたクドが恭介へ襲いかかる。
「こちょこちょこちょ〜」
……えっ無反応なん……。漫画から視線を逸らしすらしないぞどうなってんだこいつ。
「わ、わふーっ、全然効かないのですっ!?」
「仕方あるまい撤退だ……っ」
私達は恭介の部屋から逃げ出した。あんなくすぐり私だったら直ぐに抱腹絶倒破顔拳なんだけどなー。
「大失敗でした〜」
「無念なり」
「あー、恭介はくすぐりには強いからね」
「このガッカリダメダメワンコどもっ」
「なんだおはなし三枝やんのかごらぁ!!」
「わ、わふ〜っ、ご、ごめんなさいーっ! 私だったら1なのせかんどもがまんできないのにーっ」
はい。全滅。そんなところで恭介が部屋から出てくる。
「楽しかったか?」
「あれ……どういうこと?」
「え? 漫画に集中してたんじゃないんですか?」
「ああ、してたさ。もう半分は読み終えた」
「ついでにおまえらの暇つぶしもできて一石二鳥だったろ」
「えーっ」
結局恭介に乗せられていただけだと言うことを痛感する。うざい。やっぱりこいつ嫌い。
まぁクドと会えただけ許してやるか。
__
Kudryavka
皆さんと解散したあと、私はまだ△△のことを考えています。
一緒に遊ぶと楽しい。
なのに、ドキドキする。
凛さんやリキのようなお友達は、楽しいけどドキドキしない。
うむむ……謎は深まるばかりなのです。
どん。
「わふっ、す、すみません」
「おや、能美さんですか」
「クーちゃんこんばんは〜、さっきぶりだねぇ」
考え事をしながら歩いていると、西園さんとぶつかってしまいました。
「わざわざこんな所まで、どう言ったご要件でしょうか?」
気づけば、旧館の方まで歩みを進めていたようです。い、いつの間に。
「い、いえ、用事といった用事もないんですけど……、西園さん達は何故ここに?」
「私はすぐそこに自室がありますから」
「みおちゃんに借りてた本返しに来たんだ〜。それで続きも借りに来ました〜」
小鞠さんの手には天使の書かれた本が握られています。
「何か、考え事ですか?」
「うぅ……お恥ずかしながら」
「☆☆のこと?」
「なぬ!? どうしてそれを!?」
「わかりやすいですね」
「今日も来てくれたもんね〜」
立ち話もなんだと、そのまま西園さんの部屋に招かれました。西園さんのお部屋は至る所に本が置かれていて、なんだか図書館のようです。
「粗茶ですが」
「あ、お構いなく……」
「ずずー、ぷはっ。美味しいねぇ。で、クーちゃん」
……なし崩し的に招かれてしまいましたが、あれ。これってなんだか……。
「お風呂入ってどこまで進んだの〜?」
ピンチなのでは……?
【クドは『跳んで湯に入る春の犬』の称号を得た!】
__
Kudryavka
結局、小鞠さんに促されるまま、お風呂であったこととか、これまで思ったこととかを全部吐き出させられました……。なんだかとっても顔が熱いです。飲んでるお茶がお酒のようにさえ感じてきます。
「お、おおお……おっぱい当てたの……?」
「ふ、ふかこーりょくですっ、そんなつもりじゃ……」
「なかなか大胆ですね」
「全く話を聞いてくれません!?」
「で、でも大進捗だね。本にもそこまでは書いてなかったよ〜」
「と、と言うかそうですよ小鞠さん! 一体どこからそん情報を」
「あぁ、それのことなら〜」
がさごそと西園さんのお部屋を漁ると、そこから取り出したのは何やらピンクな表紙。タイトルは……『これで安心! 恋のキューピッドハウツー講座!』
さ、最近おかしいと思ったらこれのせいですか!?
「みおちゃんに貸してもらったんだ〜、すっごく参考になったでしょ?」
「もとより本の福袋の余りです。良ければ、先程貸したものも一緒に差し上げます」
「えぇ!? 良いの〜? ありがとうみおちゃん」
思えば、抱きしめちゃいなよーとか、お風呂入っちゃいなよーとか。全部小鞠さんの手のひらの上でころころされてたってことですか……うぅ。
「でもでも、役にはたったでしょー?」
「そんなことは……ど、どうなんでしょう?」
「最近はよくクーちゃんから誘えてるし、せいちょーせいちょー。だね」
「そう……ですかね」
「こうして丸め込まれがちなのも問題ですね」
「丸め込まれてたんですか!?」
どうも最近の小鞠さんがおかしいのも本のせいだけじゃない気がします……。
そうしていお茶を啜って落ち着いていると、おもむろに西園さんが口を開きます。
「告白はいつするんですか?」
「ぶふーっ!?」
「わー大変! クーちゃん大丈夫!?」
小鞠さんが私の口元を拭いてくれます。
「い、いきなり何とことを言うんですか!?」
「いえ、だから告白はいつするのかと」
「こ、こここ告白って……! 私と△△はそういう関係では……では……では……?」
ただの仲良いお友達……の、筈ですけど。
小鞠さんは新しく貰った本をぱらぱらと捲って、私に問いかけました。
「第一問、その人の事を考えると胸がドキドキしてしまいますか?」
「な、なんですか急に?」
「はいか、いいえで答えてね〜」
そんな、ただのお友達の事を考えてドキドキすることなんてありません! 小鞠さんや西園さんのことを考えてもドキドキしないのと同じです! そんなに言うなら考えてみようじゃないですか!
朝、明るい声で私の名前を呼んでくれる△△……。
とくとく。
ふとした時に私の周りを気にかけてくれる△△……。
どくどく。
お、お風呂で私を気遣ってくれた△△……。
どきどきっ!。
「はい……」
「見事に真っ赤ですね」
「じゃあ第二問!」
「ち、違いますから! これは楽しい時のドキドキで、沢山運動した後にドキドキするのと変わりませんから!」
だから違う……はずです。
「その人が、自分以外の人とお話してるとムッとしちゃいますか?」
「し、しませんよ! △△は仲のいい人多いですもん」
「本当ですか?」
「ほんとーですっ」
「じゃあよく考えてみてください。頼花さんが能美さん以外にデレデレしている所。能美さん以外の前に立っている所。能美さん以外と……そうですね、借りに直枝さんにでもしておきます。借りにですけど。直枝さんと抱き合ってるところを想像してみてください」
「? はい……」
……『理樹は可愛いね』
『理樹、好きだよ』
『理樹、私の後ろに隠れろ!』
『理樹……』
『私も理樹が笑ってるところを見れると嬉し__
「ふぐ……」
「ふぐ? ふぐさん?」
「どうですか? 意外といけるとおもいませんか?」
「い……」
「胃?」
「いやです……」
「ではチェックですね」
「はーい、第三問」
な、何故でしょうか……仲のいい事は良いことのはずなのに、何故か凄くいやです……。△△はリキとずっと一緒にいるくらい仲が良かったというのに……。
「その人と触れ合いたいと思いますか?」
「おもいまー……」
「まー?」
「……す」
「チェックです」
「だ、だっていつも撫でてくれますし。△△に撫でられると気持ちいいんですよ」
「もうそろそろ言い逃れが出来ないことに気がつく頃だと思いますが」
「く、来ヶ谷さんだって私の事を撫でますよ? ハグだってします!」
「来ヶ谷さんにドキドキしますか?」
「えっ、あー……うー……」
「ちなみに、この診断はもうちょっとあるけど、一つでも『はい』があったらその人の事が大好きみたいだよ〜」
「能美さんのチェック。幾つでしたっけ」
「み、みっつ……です」
「何回中ですか?」
「さん、かい……ですぅ」
「わおっ、満点だ〜」
私は、俯いて、人差し指を指をくるくる回します。
考えると、胸がドキドキ高鳴ってしまって、自分以外の人と話してると、嫉妬してしまって、もっと撫でて欲しい。手を繋いで欲しい、ぎゅーってして欲しい。
「本当は……もっと前から気づいてた気がします」
でも、今の関係が壊れてしまうのが怖くって、もしも、△△が向けてくれた愛情が、妹やペットに対するものと同じだったら、と。自分の気持ちを隠していたんです。
「でも、こんな私が好かれてる事が信じられなくて、ずっと見ないふりをしていました」
小鞠さんが、私の手を握って、微笑みかけてくれました。
「だいじょーぶっ。クーちゃんはとっても素敵だよ? そのこと、☆☆もわかってるから。だから自信をもって好きになってもいいのです」
△△は、私のことが好きだと言ってくれました。それがどう言った意味なのか、まだわかりません。ですが、それを疑って臆病になっては、△△にも、こうして勇気づけてくれた小鞠さんにも失礼です。
……私は、△△の事が……。
「好き、です」
__
翌日の夜。恭介さんからメールがありました。リトルバスターズ全員が、渡り廊下に招集されます。
恭介さんとリキが横断幕を広げると、そこには『第一回リトルバスターズ肝試しでホラー・NO・RYO! 大会』と、書かれていました。
肝試しとは何か尋ねてみれば、どうやらお化け屋敷のようなもの。恭介さんが校舎に色々仕掛けたので、それらを回ってキモを試すだとか?
「そういう訳で、メンバー編成な」
そして、こういう時は……きっと。
「クド、一緒に行こう」
△△は、私へ手を差し伸べてくれます。だから、私はそっと微笑んで、こう言いました
「……はい」