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Kudryavka
ぶらっくほわいと。それは乙女にとって一世一代の大勝負……なのですが。まさかこんな事態になるとは。
「△△ー! 起きてくださいー!」
小さな私には、屋内へ△△を引っ張っていくことも出来ず、呼び掛けをするしか出来ません。
「らんららんらら〜ん」
と、そこに助け舟。おめかしした小鞠さんを見つけました!
「小鞠さーん! こ、こちらへ、お助けをー!」
「んー? 何かなクーちゃんって、え、えええぇぇえ〜!?」
小鞠さんも倒れた△△の姿を見てすっごく驚いています。と、とにかくどこかへ運ばなくては!
「ク、クーちゃん、とうとうやっちゃった!? 手出されてのっくあうと!?」
「ち、違いますっ、ただ、ただー……」
ぶ、ぶらっくほわいとのことを言うべきか、いや、でも小鞠さんといえど恥ずかしいですし、何より、それが原因でそうなったと説明する訳には!
「とにかく、誰か呼んできてくれますか! 私達だけではどうにも出来ません!」
「な、なんだかよくわからないけどわかったよ。ちょっとまっててね」
それから小鞠さんが走っていって数分後。
「連れてきたよクーちゃん!」
「何故呼ばれたのかわかりませんが……まぁ」
「西園さん! △△を屋内へ運ぶのを手伝って頂けますか?」
「……私に力仕事を? まぁ、構いませんけれど」
三人でおーえすおーえすと△△を引っ張り、なんとかか日陰まで連れてくる事は出来ました、出来ましたが……。
「だ、ダメですー。まだ力が足りませんっ」
「わかったよクーちゃん、もう1人連れてくるね!」
「よろしくお願いします、小鞠さん!」
「初めから私以外を呼べば良かったのでは……」
数分後、また小鞠さんが戻ってきました
「連れてきたよクーちゃん!」
「よすよすクド公。面白そうな事なってますネ」
「三枝さん! △△が気絶しちゃって、早く安全な場所に避難させなければ!」
「今日快晴だし大丈夫だと思うんだけどなぁ。まぁいいや。落書きしていい?」
「ダメですー!?」
「話になりませんね」
「いやー手伝いたいのも山々チョモランマって感じなんですけど、実は今日朝からずーっと見張り付きで校庭の草むしりやらされてたせいで力はいらないんですヨ。ほーら腕がごぼうみたい」
「やっぱり話になりませんね」
「わかった、もう一人連れてくるよクーちゃん!」
「お願いします……出来れば男の人で」
数分後……。
「で、僕が呼ばれたんだね」
「そういう事! さー理樹君やっちゃって!」
「リキ! △△が大変なんです!」
「呼ばれたからには精一杯頑張るけどさ……最初から真人か来ヶ谷さんでも呼べば良かったんじゃないかな」
「あー! その手が!」
「なんて妙案なのです!」
「僕は○○より君達の方が心配だよ……」
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○○
……なんか凄く幸せな夢を見ていた気がする。クドが私のことをずっと覚えててくれて、それから……なんだっけ。
なんて都合のいい夢なのか。まぁ夢くらいは良いだろう。どれだけ好きにやったって。
さて、私は今何処にいるのか。さっきは芝生で目覚めたし、今度はちゃんと自室で寝れているだろうか。とは言っても今は西園さんの部屋だが。
匂うのは畳の香り。それに、凄く安心する良い香りがする。忘れもしないその香りは……。
「あ、起きましたか? △△」
目を覚ますと、眼前にクドの顔があった。頭の下には何か小さくて柔らかい物がある。
……やばいもう一回意識飛びそう。刺激が強すぎる。今ってもしかして膝枕ですか?
「お、お……起きました」
「もう、どうして敬語なんですか?」
くすくす笑うクドの声がダイレクトに聞こえる。声を聞くだけで脳が揺れる感覚に襲われた。
「まったく、あれから大変だったんですよ。色んな人に手伝ってもらって、ようやく部室まで運んでこれたんですから」
そこでようやく、ここがいつもの家庭科部室であることに気がついた。
「……心配かけてごめん」
「良いんですよ。私も、沢山心配かけたのでおあいこです。それで、なんですけど……」
クドが口ごもって、また指をてしてし合わせている。
「その、えと……あの」
「どうしたのさ、クド」
手を伸ばしてほっぺたを撫でる。ん? ほっぺた? なんか引っかかるな。
「わふっ……それで、えーと……おへんじ、もらえませんか」
「……おへんじ」
おへんじ。お返事? なんの……。
……。ぶわっと体から汗が出た気がする。全部思い出した。さっきのこと。つまり、私はクドに答えを……出さなければならない?
いやいやいや、まだ私の勘違いって可能性もありますやん。ここは一度、さっきの言葉の意味を尋ねてみましょうと、私は体を起こしてクドと向き合った。
「……え、えっと……さっき、のクドが言ってた言葉の意味って……」
「もう、言わせるんですか? ……やー・るぶりゅー・てぃびゃー……わたしはあなたのことがほんとうにだいすきです」
あっもう駄目だ。逃げ道がねぇ。
「……」
クドがうるうるした目で見てくる。やめろーそんな目を向けるなー。
「△△は、私のこと、好きだって沢山言ってくれますよね」
「……うん」
「私も、△△のことが……好き、なんです」
この少ない時間に、色々な事を考える。つまり、ここで私も好きと言ってしまえばそれはどうなる? 結婚? いやまだ早いか、付き合うって事になるのか? 私とクドが? 本当に?
頭がぐるぐる回って、熱でも出ていそうなくらい身体が熱い。テストの時より何倍だって負荷が高い気がする。
それに、私がクドを独り占めにしてしまって良いのか? クドだって、これぽっちしか生きていないんだから、私よりも何倍もいい人、それこそ理樹とか、そういう人を見つけるんじゃないのか……?
そうだ、この先のことを見据えて、ここは断るべきだ。私とクドなんて不釣り合いにも程がある、ただの限界オタクとホワイトフェアリーが結ばれるなんて事があるハズが……。
と、考え込んでいると、クドが目を伏せる。
「不安、なんです……△△が言ってくれる好きと、私が△△に思っている好きが違うんじゃないかって」
「……」
「私のことが、妹とか、ペットにしか見えないのでしたら……わ、わたしは、受け入れますからっ」
クドは涙を堪えている声をしていた。私の前で涙を流さないように。ずっと我慢していたクドが、私の前で泣こうとしているのだ。
答えは決まった。私は、好きな人の未来とかなんだとか言って、今の笑顔を奪うようなことはしたくない。私よりもふさわしい人が見つかればそうすればいいし、そうならないよう、私がクドの隣に居れるように頑張ればいいだけだ。ていうかクドが好きって言ってんのに受け入れない馬鹿がいる訳ないよな!
私はクドを抱きしめる。今までで強く、能動的に。
「……△△?」
「好きだよ。私も、クドのことがずっと好きだった。初めて見た時から、恋ってこうなんだって気がついたんだ」
「……そ、それって、つまり」
「うん。ふつつかものですが、よろしくお願いします」
「! △△ーっ!」
クドは抱き締め返して、私の事を押し倒す。私もそれを受け入れて、もう一度抱きしめて、私が恋した亜麻色の髪を撫でた。
これからどうしよー、小鞠さんにメイクでも教えてもらおうかなーなんてぽやっとした事を考えていれば、胸元から寝息が聞こえてくる。
昨日も頑張ったし、今日も沢山遊んだし。……色々、心配かけた見たいだし、寝てしまったようだ。
「……おやすみ、クド」
私はこのいつもの部室で、彼女の頭を撫でながら、しばらくそうしていた。
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クドを自室まで送り届けて、西園さんの部屋まで帰ってくる。
「ただいま〜」
「どうしましたか? 彼女でも出来ましたか?」
「ただいまだけでなんでそこまでわかるんだよ怖いよ……」
「いえ、先程色々あったので」
「あぁ、手伝ってくれたのか……御足労おかけしました」
「殆ど直枝さんがしてくれたので、お礼ならそちらへ」
「マジか、取り敢えず電話するか……」
私は二つ折りの携帯を取り出して、理樹に掛ける。
「もしもし〜」
『あぁ良かった。ちゃんと起きたんだね』
「お陰様でその報告とお礼の電話ですよ」
『随分上機嫌だね、彼女でも出来たの?』
「お前らなんなん口裏合わせてんの……?」
「いえ別に」
『○○が卒倒するなんて言うならそのくらいかなーと思って』
「図星だよこんちくしょう……」
『何はともあれ幸せにしてあげてよ。クドもずーっと抱えてたらしいし』
「……えいつから」
『小鞠さんが言うには、えーと確か、家具部? の時とかだったっけ』
「めちゃめちゃ前じゃん……私これまで気づかなかったってわけ?」
自分の鈍感さにビビる。そりゃあクドも泣くし自分が許せないんだけど。
『○○も春からでしょ? こじらせ度合いは変わらないと思うけどなー』
「私これからクドとどう接すればいいと思う?」
『いつも通りでいいんじゃない? その方が喜ぶと思うし、変に気を使わせる方が責任感じちゃうんじゃないかな』
「それもそうかー……いつも通りに出来るかな」
『慣れるしか無いのかもねぇ。明日から頑張ってみてよ。ともかく、○○が無事で良かったよ。じゃあね』
電話が着られる。心細い……。
「西園さん今日は一緒に寝ない……?」
「嫌です」
「すっごい心細いよ……」
「能美さんにそう言えば良いのでは?」
「寝れるわけないって……」
「ではおやすみなさい」
「ねー西園さーん」
夜は更けていく。西園さんが部屋の電気を消して床に着いた。
一体これからどう過ごしていけば良いんだ……不安でいっぱいだ……うおおぉ……。
クドの恋人かー……何日持つかなー、1週間保てればいいなー。
「多分、一生逃がされませんからそんなこと考える必要はありませんよ」
「さらっと心読むのやめてよね……こっちは不安でいっぱいなんだから」
「……明日教室に行けばわかりますよ」
「今日が夢でしたって?」
「確かにこれから夢のような日々ですね」
「傷は朝いうちにしてくれぇ……」
布団の上でのたうち回り、本の雪崩に襲われた所で観念して眠りについた。明日が来ればわかるってなんだよ、もう私は怖くて怖くて仕方がないよー。