エ、期待してないからいいって?そりゃそうか。
◆◇◆◇
汽車くん「シュシュポポシュシュポポ...」
タイムリーすぎる現場への着任を言い渡された俺は、汽車で揺られること半日近く。とうに尻が限界を迎えた頃、目的地へやっと到着した。
時刻は
「ここ、かぁ...」
紀伊半島の南端付近にあるここの近くには、潮岬なる本州最南端の岬がある。らしい...
海沿いに堂々と聳え建つその施設の門には、控えめながらも達筆な文字で、“海軍中部地方艦隊第6号警備府”と毛筆の看板が。
はぇ^〜すっごいおっきい...(盲目)
俺がまじまじと見入っていると、敷地から箒を抱えた1人の少女が現れる。
...彼女はこちらに気がつくと、驚き、すぐさま姿勢を整える。
そして、敬礼...
「し...失礼しましたッ!お迎え遅れてしまい申し訳ございません...!」
アレ、なんか出迎えがないことに不満を抱いて門の前で出待ちしてたみたいに思われてない?
「あぁ、気にしないで大丈夫。予定より早く来たのは俺だから。そんなことより、よろしく頼む。俺、今日からここに着任する提督ネ」
何を隠そう俺は予定時間より30分近く早く着いていたのだ!
ホント汽車くんさぁ...!(八つ当たり)
そう言った俺は右手を彼女に差し出す。
しかし彼女は顔を赤くしワタワタとしているばかりで手を取る様子はない。
「アレ?握手...」
俺が言ってようやく手を取った彼女は、
「あっ...私、軽空母の鳳翔と、申します。ここでは一応、機動部隊の錬成を取りまとめてお、おります...」
ひどく緊張している、といった感じだ。
アレ?ここじゃ握手もボディタッチ判定でダメなやつはダメなのかな。
鹿島は息が荒くなってした後俺に隠れて手に頬擦りしたりスンスン匂い嗅いだりするだけだったのになぁ...(鬼畜)
自己紹介を終えた彼女は照れ隠しと言わんばかりに、張り切って俺に
〜〜〜〜〜
鳳翔による説明をまとめると、こうだ。
まず初めに、俺が今回赴任するのは、大規模な艦隊を有する“鎮守府”と呼ばれる海軍基地ではなく、沿岸の警備や人員・装備の養成を担う、小規模な“警備府”である。
そもそも、基本的に警備府というものには駆逐艦や海防艦などしか配備されず、偶に軽巡がいたりする程度である。
しかし、どうやら俺の赴任することになった6号警備府は少し異なるようであり、なんでも練度の低い、建造したて・
そのため、必然的に空母戦力が在籍することになる。
そんなことより、
〜〜〜〜〜
「––––というのが、我等が6号警備府の大まかな説明となります。どう、でしたでしょうか...?」
警備府の紹介を終えた鳳翔は、そんなことを言い出した。
「ああ、とても分かりやすかったよ。ありがとう」
わかりやすくパァッと明るくなる鳳翔。うん、美味しい!
こうも初心な感じだとこっちまで恥ずかしくなってくるな。セクハラおじさん浮かばなくて、良かです...
鹿島もちったあ見習えよ、オラァッ(飛び火)
俺がそう物思い(?)に耽っていると、
「あの...提督。良ければ、なんですが...」
「この後に、警備府の皆との顔合わせを兼ねた、提督の着任祝いの席を設けようと思っておりまして。それでその...提督は、如何でしょうか...?」
彼女はこちらをチラチラと伺うように言葉を繋いだ。
願ってもない提案。早々にメンバーと顔合わせできるのが嬉しい。
答えはもちろんイエスだ。
それに、ここの艦娘からの純粋(多分)な好意である。受け取らなければ無粋というもの。
「ああ、ありがとう。勿論参加させてもらいたい。楽しみにしてるよ」
俺はそう笑顔と共に告げると、案内された提督執務室へ消えていくのであった。
ちなみに執務室は埃かぶってて結構グロかった。明日は掃除だな、こりゃ...
◆◇◆◇
鳳翔との約束の
厨房の鳳翔は、時計を見た後俺をチラチラ...
俺が頷くとマイクを手の取る。
着任のあいさつ、というヤツである。
俺が前に立つと、この空間にいるもの全ての視線が俺へ集まる。
『え〜諸君、私が今回この6号警備府に着任することとなった提督だ』
『ダラダラと話す気はないが、これだけは。私自身、経験の浅い未熟者ということもあり、至らぬところもあるかも知れん。全身全霊をかけて頑張るつもりだが、君達の手を借りることもあるだろうが、そこは助け合っていけると嬉しい。これから、よろしく頼みたい』
パチパチと聞こえる拍手の音。ええやん。
ン?なになに...鳳翔さん「乾杯の音頭も〜」って?了解。
みんな、ビール冷えてるか〜? <バッチェヒエテマスヨ~(幻聴)
『また、このような場を設けてもらったことに感謝したい。今回は無礼講、というやつにさせていただこう。是非、私に皆のことを教えて欲しい』
どこからかワーイとの声が聞こえてくる。ええやん(2回目)
『ゥオッホン、僭越ながら乾杯の音頭をとらせていただこう』
『それでは
––––––––かんぱーい!!』 <カンパーイ!!(幻聴じゃナイ)
キーン、とグラスのぶつかる甲高い音が響くのだった。
★
う〜ん...なんか昔からの癖で、大勢の前だと一人称が私になっちゃうんだよね。
まあどうでもいいけど。
そんなことをぼやきながら俺はビールを大きく煽る。
「まずい、もう一杯!」
あっあっ、言ってみたかっただけですぅ...すいません鳳翔さん次オレンジジュースでお願いします...(下戸)
そんなビールの苦味に顔を顰める俺を見てだろうか。4人組の少女たちが俺へ近づいてきた。
「新しい提督はビールも飲めないの?ハァ...大人のレディにはまだまだ程遠いわね!」
「暁、司令官は男だぞ」
そんなこと言ってたら少女がこちらに見せつけるかの如く、ビールを飲もうとし始めた。やめとけやめとけ(忠告)
「うわっ暁やめなさいよ。お酒はまだ早いって...」
「うわーん暁ちゃんが調子に乗ってビール飲もうとしてるのです〜」
俺はジョッキを少女の手から取り上げる。
「君にはまだ早い。ので、これは責任を持って俺が後で頂いておこう」
そう言って彼女の手が届かない場所へグラスを移動させた。あ、飲むとは言ってないゾ。
紫掛かった髪の少女はプンスカ、とか言っている。
悪い子にはお仕置きだど〜(虐待提督)
ここで一旦話題転換。誰?君たち(直球)
「ふむ、ところで君たちは...」
俺の問いに対して、先ほどのビールガールは機嫌を直したようで、
「良くぞ聞いてくれたわ!私達こそがあの、第一水雷戦隊所属の第六駆逐隊よ!私は暁型駆逐艦の長女の、暁!大人のレディとして扱ってよね!」
「私は響。よろしく、司令官」
「私、雷よ!いろいろ大変だと思うけど、私に頼ってくれてもいいのよ!」
「い、電です。よろしくお願いします、なのです!」
へぇ〜暁に響、雷、電ねぇ...(ねっとり)
俺は別にロリコンではないのだが、こいつを見ていると自然と心が和んでいく気がする。俺はロリコンではないのだが。
それに何というか、恐らく見た目年齢が幼いからであるが、やはりこちらも自然体でいける。何とも居心地の良い奴らである。
...アレ?こいつらまだ顔合わせて数分だよな...いかんいかん気をつけねば。
そんな事を考えていた俺であったが、少し難しい顔をしていたのだろう。
そんな俺を見た雷は、
「よしよし...司令官は男のひとなのに、お仕事頑張ってて偉いわねぇ〜」
そして俺は、頭を引かれると共に抱きしめられる。
ナデナデ...
俺の頭を優しく撫でる雷。
アレ?こいつ初対面だよな...?いや、しかし何だか心地よいようなムニャムニャ...
––––––––マ...マ...?
ああ、なんかいい匂いするなぁ...俺ってロリコンだったわ。そういえば...
あっかーーーーーん!!!!!
前言撤回だ。この雷とかいう娘、キケンである。何と言うか、ダメな感じの目をしている...!
危ねぇ...ロリコンとマザコンが併発するところだったぜ。何でだろ...アッ、坊やだからか...
しかし周りからの視線が痛い。ドン引きというか、青ざめてるというか...
コソコソ...
「雷、あなた...」
「い、雷!まずいぞ。セクハラは本当にまずい!」
「はわわわ、雷ちゃん、それは流石にマズいのです!」
おっと、一連の流れを見ていた六駆のメンバーが俺と雷に熱視線を送って何か言ってるゾ。
「えっと、そんなに見つめられると恥ずかしいのだが...」
そんな事を言っていると、六駆メンバーによって、雷は俺から引き剥がされる。
『雷(ちゃん)!』
皆に何か諌められたのだろうか、彼女のみるみる顔が青ざめていく。
こいつら見てて飽きないなぁ...
...ん?
Oh、そんなこと言ってたら今度は4人揃ってやって来たぞ。
「あの...司令官。今のは、いつも皆んなにやってるのが癖で出ちゃって...嫌な思いさせちゃって、ホントにごめんなさい!」
「妹がごめんなさい!」
「司令官、雷もこの通りだ。どうか許してやってくれ」
「はわわわ...ごめんなさいなのです!」
「?」
『?』
いや、4人揃ってはてなじゃないんだが。
全く、何を言って...
...あ。
雷のアレ、アウトだったのか。
いかんせん元の価値観と全然違うから慣れんのだ。
元の世界だったらアウトなのは完全に俺の方だっただろうに。てかこいつらまだ子供だからいいじゃん。
なんか気の毒になってくるな...
「あ、あぁ。俺は気にしていないから大丈夫だぞ。しかし、俺だから良かったものの
『はい(なのです)!』
パァ、と笑顔を取り戻し、俺の言葉に元気よく返事する4人。
う〜ん、元気そうなのでヨシ!
コソコソ...ザワザワ...
「お、女の子ですって...」
「気にしてない...」
「悪い気がしなかったとか言ってるわよ...」
お?なんか周りが騒ついてるゾ。しかも色んなとこかは視線を感じるような気がするのだが...
...まあ、気のせいか!(鈍感系主人公)
そんなことより警備府の皆と交流を深めようではないか。
辛気臭いこと言ってたら酒が不味くなっちまうよ(ソフトドリンクを飲みながら)
おっと、そんな事を言っていたらまた4人組がやって来たぞよ。
こいつらは...
「初めまして。私は主力オブしゅr...オホン、夕雲型駆逐艦1番艦の夕雲よ。提督、いっしょに頑張りましょうね」
「巻雲です!司令官様、夕雲姉さんと一緒によろしくお願いします!」
「風雲です。ふううん、じゃないですよ!」
「秋雲さんで〜す!イラストがご入用なら、この私に任せてね!」
ふむ。さっきのが第六駆逐隊となると、こちらは...
「第十駆逐隊、か」
「あら提督、知っていらしたの?」
意外、とでも言いたげな夕雲。
「ああ、先ほど鳳翔からここについていろいろ聞いた時にな」
何でも
「皆のことはもっと知っていきたいのでな。仲良くしてくれると嬉しいよ」
仮にも指揮を取る立場なので、部下になる者たちのことは色々知っておかねばならんだろう。
「あら、嬉しいこと言ってくれるのね。じゃあ、
「ふう〜ん...まあ、悪い気分じゃ...ない...かな!」
うむ、ファーストインプレッションは良好。こいつらとは上手くやれそうである。
ーさて、これで六駆と十駆のメンバーと顔合わせは済んだワケだが。
まだ喋れてないのは...翔鶴瑞鶴と、間宮さんはさっき鳳翔さんと一緒に話したから...明石か。
どうだ。ここらでいっちょ俺から訪ねてみるかな?
そう言って俺は、汽車くん(♂)の猛攻によって大破した重い腰を上げる。
ボソ...「よっこらS○X」
「あら提督、何かおっしゃったかしら?それに、もう行ってしまわれるの?」
おっとアブナイ。夕雲に尋ねられる。
「イヤ、何でもない。ちょっとまだ顔を見てない連中のとこに行ってくるヨ」
十駆面々は口惜しそうな顔をこちらに向けている。駆逐艦にそんな顔されると困るんだが。
...さあ、気を取り直していってみよう!
確か空母組はあっちのテーブルに〜
お、いたいた。
向こうへ歩みを進める俺。
談笑していた彼女らはどうやら、テーブルに近づ俺に気がついたようで、
「〜アハハ...って、提督さん!?」
瑞鶴のこの驚きようである。
翔鶴はなんかモジモジしてるし。
「あ、あのぉ...」
「待て待て、そう構えるな2人とも。まあ、何だ。これから共に仕事をする仲間となるのでな。皆に挨拶を...な」
こういう時にウインクとかできたら便利なのかな...
「そういうこと...えと、提督さん、よろしくね!」
「ソ、そうなんですね!私たちからも、ドウゾよろしくお願いします!」
こいつら緊張し過ぎじゃ無いだろうか。そんなに萎縮されたら凹む...
「お、おう...なんか緊張させてしまったみたいで悪いな。邪魔して悪かった」
そう言って俺が立ちあがろうとすると、
『そんなことない(です)!』
想定外の大きな声に思わずたじろぐ。
「おぉ...それは良かった。初対面の女性を怖がらせてしまったようでは、こちらとしてもダメージがデカいのでな」
もし初対面の女性に嫌われてしまったら当分立ち直れない自信がある。
しかも艦娘って美人だしな...俺のハートは大破じゃ済まんだろう。轟沈だよ、轟沈。
うむ...何だか気を使わせてしまったようである。これはいけない(戒め)
...あ、そういえば空母娘に会ったら是非聞いてみたいことがあるんだった。
「ところで2人とも」
『ハイ!』
息ぴったりなのな。
「ああいや、そんなかしこまった物じゃなくてだな。単純に疑問なのだが、君たちはどうやって、その...艦載機を出したり入れたりするのだ?教本には載ってなくてな」
横須賀の士官学校で供与された教本には、空母についての戦術上の特徴や、用兵上の注意などが詳しく記されていたのだが...
そんな俺のくだらない疑問にも懇切丁寧に答えてくれる2人。
ええ娘たちやで、ほんま(ニッコリ)
「艦によって異なるのですが、基本的には弓を使ってーー」
「中にはお札を使う人もいるんですよーー」
へぇ〜興味深いな...
それでね提督さん...
...
––––––––そんなこんなで彼女らと談笑し、暇を持て余した駆逐艦達の突撃を喰らったりしているうちに。
小さな警備府の賑やかな夜は更けていくのであった。
話の終わらせ方が雑だな、とか言ってはいけない。いいね?