頑固爺のちゃぶ台返し   作:ニャンニャン丸

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 異世界にチート付きで転生させて貰える程の行為、若しくは転生担当の目にとまる程の何かって何だろうと考えてたら出てきた
 でも九八歳じゃ多分実際にはマトモに体も動かないってか大抵は寝たきりだろうからこんなのも無理だろうなぁ。
 もうちっと若い方がイイか
 爺さんの言動に昭和も初期、下手をすると明治大正の言い方が混じってるのは主人公自身が爺である自身に込めた自嘲です。


共通プロローグ

◎月×日

 

 歳はとりたかねぇもんだ。

 

 歯はそこそこ残ったが目はもうほとんどみえねぇ。

 体もよたよたとしか動けねぇし、座ってから立つってそれだけでもナニカに掴まらんとままならねぇ。

 肩に腰に足に、痛くねぇ所なんて多分ねぇ。

 喰いたいもんだって食えやしねぇ、ああ、ついでに金もねぇ。

 そんなことを考えてただけで、ニチアサのアニメが終わってなんか芸人が面白くもねぇ話で笑ってる。

 自覚はネェが、頭っつうか記憶だって大分いかれてんな、今のプリキュア、じゃねぇ今は何だっけ、プリキュアの系譜が終わって原典回帰とか大人に変身する魔法少女系が入ってすぐ消えて、何か魔法の極彩色の奴らのアニメが。あ~

 番組の名前も思い出せねぇ、何となく話の流れは覚えてるんだがな、テンプレートは大事だ。

 

 御年九八歳で白寿、にはちょっと足らねぇか、自他共に認める頑固爺でオタクで独身で孤独死カウントダウン中、ついでに童貞。

 とっくに魔法使いの年は越えたが、竜破斬(ドラグスレイブ)の呪文を唱えても何もでんな、若いころのネタはいまだに割と覚えてる。霊覇天塵とかフォルブランニルとか。

 

 そのガキを見付けたのは安アパートで洗濯物を干してるときだった、ああ、洗濯機はとっくに壊れてるしコインランドリーなんざ年金暮らしじゃ無理だからな、手洗いだ、足で踏んでたら転んで大ごとになりかけたからな、意外と綺麗になるもんだぜ。

 まあいい、そのガキは隣の下手にいるのがベランダから見えた。床に生えてたコケ?を喰ってる

 

「やえろ」

 

 駄目だな、頭が真っ白に、とは言わんが、どう反応したらいいか分かんねぇ

 かすれた声が出た、ちゃんと聞こえる声だといいが。

 

 言葉をろくに覚えてねぇガキと呂律もままならん爺のもどかしい意思疎通は省略しよう。

 結論だけいやぁ虐待だ。

 ネグレクト?ハイカラな言い方だとそうなるのか?ナントカの配慮とかで最近は色々言葉が変わってなぁ、覚えてられねぇ。

 今だとどう表現してるんだろうな、ま、虐待には違いあんめぇ。

 

 とっときのジャムパンをちまちまかじる幼児に見えるガキ、見た目よりは多分としくってるんだろう、ガリガリだしな。

 粉のポカリでジュースを作り、薄い粥も作って喰わせてやる、

 腹減ったらこっちに来い、と言いつつ、救急車を呼ぶ、病気はしてねぇかも知れねぇが、体を見りゃ明らかに病人だ。

 ついでに児童相談所にも言うとしよう、こういう時パソコンがあったら便利なんだろうが、生憎携帯だしそれだって「使用中」だ

 何事かと出てきた近所の人に説明したいがそこまで口が回らねぇ「虐待だ、餓死しかけてる」と言った、言えたかな?いや知らんが、見た目がアレだから説得力はあるだろう。

 

 後日栄養失調で死にかけだったと教えてもらった、七歳だったらしい。もっとちっこく見えたがやっぱりか。

 あとクソご両親にめっちゃにらまれた、そして不法侵入その他で訴えられたので、携帯のちっぽけな16Gメモリに残った録音を警察に渡してコピーしてもらった。

 カカカ、こちとら老い先短い爺だ、無敵の人だぞ?

 がっつりと証拠になったらしくこっちは無罪?かどうかは知らんが放免、相手は厳重注意だが、今のとこ法的にはどうのこうので子供を保護とかはできんらしい。一応児童相談所の奴が定期的に見ると言ってるが、あぶねぇなぁ。

 ガキにはいつでも遊びに来て良いと言ってやった。

 

 しかし、もちっと頭回ってたら何か上手いことが言えたろうし、体が動きゃ非力なりにアイツラぶん殴ってやったんだがなぁ。

 歳はとりたくねぇもんだ。

 

□月△日

 あれからも時々ガキは来る、流石に飯は食ってるようだがそれでもガリガリだ、

 実家から送ってきたりんごとか喰わしてやる、俺じゃみじん切りにしねぇとくえねぇしな。いや、すり下ろしてないだけでも褒めて欲しいモノだが。

 それにあちこちに青たんとか虐待の跡がある。

 

 それまで言ってなかった町内会に言って頭を下げて、傷の写真を見せてどうか気にかけてやってくれと頭を下げた。

 生まれて初めての土下座もした、爺で腹の肉が落ちたから出来る様になってて良かった。と、自嘲する。

 んなことやってたから、今の他人に興味のないご時世でも、流石に人目とか気になったんだろう、クソご両親様が。

 

 廊下で包丁を振りかざしてガキを刺そうとしてた、あとなんか叫んでたがそっちは何言ってるか分からねぇ「オマエノ」「アイツガ」とかなんか聞こえるがそんなの聞いてる場合じゃねぇ

 全身使ってガキを引っ張り込んで腹の下に庇う、火事場の馬鹿力って奴か、良くこんな素早く(一般成人男性程度)動けたもんだ、居るなら神様仏様に感謝だ。

 ああ、流石に死んだな、内蔵のどれかは知らんが、薄っぺらい筋肉突き破って刃物の刺さる感触がある。

 ガキが泣きそうな顔で見てる。何でぇ、そんな顔も出来るんじゃネェか、

 だがおめぇのお陰でこのクソ爺の何の役にも立たなかった人生の最後、正義の味方のまねごとが出来たんだ、感謝するぜ。

 無理矢理筋肉を使って笑ってみせる、笑えたか?笑えてくれ。

 

「ありがとよ」

 

 声が出ねぇ。聞こえたかなぁ・・・・・・・・・・・・・・・って。まて?

 

「何で俺は日記を書いている?」

 

 トロかった思考もそこそこマシになってるし体も痛くねぇってか体が知覚出来ねぇ、なんだよおい成仏出来ねかったのかよくそだっせぇ。

 煩悩まみれだったからかねぇ。

 ここはどこだ?賽の河原、虹の袂、花畑、って全部出た、混ざるとカオスな光景だが、大体イメージ通りになるな、逆にいや見た目にゃ意味がないって事か。

 

『そろそろいいかい』

 

「おう、またしたな、で、どちらさんで?」

 

 喋ったつもり、声は出たかな?相手の声は良くワカランが、意味は通じる、レンズ通信(byレンズマン)見てぇなもんだろう。

 姿は見えないし何処に居るのかもワカランが、居るのは分かる、こっちの理解出来る三次元(?)座標以外の、幻想第四次とかそっち方向にいるんだろう。

 

『その認識であってるさ、アリシア人じみた高次元に遷移した意識、まぁ神様みたいなものさ。

 お望みならステーキハウスで焼きたてのステーキにたっぷりのマッシュルームもつけて見せるよ』

 

 レンズマンのネタで返すかい、懐かしいなおい。どうせなら木場のビリーでブラックのステーキ…って出てきたよ、思考だか地の文だか知らんが読んでるよなそりゃ。

 

『そんなとこ、あなたは志半ばで命を失いました、しかし死に際の輝きで特に将来偉業をなすわけでも無く、

 普通に幸せに生きた少年を救うことで徳がちょっと上がりました。』

 

「教えてくれてありガトよ」

 

 ま、分かってたんだろうがな、だとしても声(?)で礼を言う。気になってたんだ、アレだけ騒ぎ起こしても親権とか残るときは残るらしいからなぁ。

 あと、九八歳は志半ばというか現代の寿命でも普通に大往生の方だと思うぞ。

 

『いやぁ、全身30箇所以上刺されてなお背中の筋肉で包丁もぎ取った挙げ句に起き上がりざまのバックハンドで二人まとめて殴り倒したところを端末で撮ってた奴が居てね、サムライ爺とか最強老人とかでちょっとバズったし、それが証拠になったというか、それで逃げ切れなくなってたよ』

 

 マジか、ってか全然覚えてねぇよおいまじか?何やってたんだ死に際の俺。

 でもサムライとか無茶を言うな、こちとら運動音痴のオタクだぞ、格闘技なんて高校の柔道の授業が最期だ、ああ、すぐ「高校」とか思い出せる、今の状態がなんなのかとか、脳も無いのに記憶領域はどうなってんのかとかSF的に色々気になるが、とりあえず有り難いな。

 しかし爺が頑張ると日本の爺最強とか騒ぐ奴はいまだに居るのか。

 

『まぁ、ちょっとだけ手を貸したげたからね、流石に死なないのは無理だったけど』

 

「マジか、そりゃ感謝だな、お陰で死ぬかもとか気にして躊躇ったりせずとっさに動けたし」

 

『そっちは君の地、こっちは肉体をちょっと強化しただけ、今は混乱されると困るからちょっと安定させてるけど』

 

 まじか、絶対躊躇うと思ってたわ、死にかけの爺でも命は惜しいし、特撮の見過ぎだったのかねぇ、

 それに絶対混乱するのに普通に思考してるのも異常かそういや、気が付かねかったぜ。

 

「何にせよ死に際にヒーローのまねごとが出来たんだ、感謝感激だ」

 

『うんさてここからが本題』

 

 ああ、あんまり考えないようにしてたが、いわゆる「テンプレ」か?

 

『はい、死に際になんともおもしろ格好いい死に様を見せてくれたあなたは、たまたま私の目に入りました。

 それで、ここ2周期くらい私たちの一部で流行ってるチート異世界転生をちょっとやってもらいたいと思います。

 まぁ、こっちにも付き合いとか有ってさ、同じゲームしてないと話題には入れないって奴なんで、そっちにも第二の人生とか有るから得だと思うし。

 あ、2周期は大体2~3世紀ね』

 

 時間の流れも違うってかい。そして世知辛ぇな神様の世界。

 まぁ、今なら死の恐怖とかも感じないからこのまま消えるのもありな気がするが、せっかくならイカしてもらおうかな、それで恩返しになるなら尚更だ。

 

「分かった、お願いします、え~と、何と呼べば?」

『さてね、テンプレはここまでだから、あとは名前も含めて派生先の私に聞いてくれたまえ』




 大体OPの展開は同じでその後の一発ネタがメインなので、OPは共通。
 転生元爺は毎回同じ設定ですが、転生後の生活などで性格や外見や性別は毎回異なります。

レンズ通信:レンズマン作中の万能テレバシーによる通信
アリシア人:レンズマン作中の超越存在の秩序側、善玉だがそれはそれでやべぇ連中
ステーキ~:レンズマン作中の主人公キムボールキニスンの好物、入院中に病院食に切れて要求したりしている。レンズを得られるほどの超エリートとは何だったのか。
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