20YY/MM/DD
エリア□□内、地下666m、P4多層結界内の絶
Q:ご足労いただき申し訳ありません、こちらにも規定というものがありまして。
※ そういう係官に対して、気にする様子はなく□□□□□□□-□□□□(以降、半田仙と呼称)は挨拶を返すと肩をすくめる動作。
その行動、言動ともに遅滞はなく、多層結界と絶縁による影響は光学的、音響的、および係官の体感としては確認できない。
※ 後の観測結果によって、超常的観測装置の半数は半田仙を感知せず、残りの観測機器の観測結果についても、過去の観測と変わらず高い数値のままで安定。
「お邪魔します、こういうところに入るときもお邪魔しますでいいのかね?
ま、場所については仕方がないさ、構わないよ。
気にしてない、とは言わないけどね、そちらの事情も理解しているつもりだからね。
まぁ、あまり意味があるとは思えないけれど、必要なんだろう?」
※ 視線の移動を検知、チームSHO=TIKUの潜伏場所全てが視線移動のライン内に収まっている、観測機器についても、半田仙を検知しているものについては視線の範囲に収まっていることから、監視、防衛設備については知覚していると想定される。
※ 警戒ランクを一段階上昇。
Q:恐れ入ります。
早速ですが○○日の「仕事」について
「ちょっとまった」
※ 手を挙げて制止、3.8秒間の沈黙。
「うん、大丈夫のようだね」
Q:大丈夫とは?
「毎回同じこと聞くんだねぇ、いやこっちも毎回こんな事したくはないんだけど、一度一般人が前に立ったからねぇ、アンタラそういうおいたはいい加減にしときな、
※ 音声記録では「わたしら」と発音しているが、その場で聞いたもの全員
以降の発言でも同様に、発話した音声に特定の意味を持たせている場合があるため、ルビとして表記。
Q:記録のためです、ご面倒かと思いますがこれも手続きと思ってお付き合いいただければと。
※ 半田仙、吐息をつく。
「はいはい、お付き合いしましょうかね。
前に言ったろ?
相手に自分の都合を押し付けるための儀式のようなもんさ、それにしては何とも都合のいい等価交換くそ喰らえなものがほとんどだし、勝手に変える奴だっているから絶対じゃないがね」
「
恨みのこもった金を受け取って、恨む相手を殺す、人間かどうかは関係ない。これが基本。
恨みの程度や金の多寡、相手が恨まれることを本当にしているのか、そういった細かな所はあるけれど、大体そんなとこ。
そしてそれに付随して、
まぁ、これには抜け道も多い、全部は言わないが、そのうちの一つに
同業者はこの限りではない。
と、文字にすればそんな感じの不文律もあるのさ、あんたらは今同業者扱いだから、こうして語ることが出来るわけだ。
逆に言えば、現場の裏をろくに知らない人間や、実験のために何も知らない人間を担当のふりしてここに置いたとしたら、あんたら含めて皆殺しにしなきゃならない。
だから、おいたや試すようなことはやめときな、他の怪異だって似たようなもんさ、そういうことされて気持ちいいと思う奴はいないだろうからね?下手に試してあんたらが壊滅されたらこっちが迷惑だ。
せめて頼み料ぐらいは用意しておいで、そうしたら
※ 過去のインタビュー内容と今回の発言で、ルールについては内容は変わらないが、今回は実験に対する警告が明確に示唆される。
Q:ありがとうございます。
改めて○○日の「仕事」について教えてください。
人間については表のものが動いておりますので、それ以外の仕事について。
「仕事は二つ。一つは安芸ノ山と自称していた怪異。
詳細や由来はそっちの方が詳しいだろ?ウチの先生の推測じゃ悪徳商人や金貸しのイメージから生まれたんじゃないかって話さ。
言葉巧みに、というか、言葉巧みという伝承から得た認識誤認というか催眠術みたいなもので相手に何かを買わせてはその商品や商品を買うための借金で不幸にする類で、珍しくもなければ人間にもいるような平凡な連中さ」
Q:今回だと認識の改変のようですね、平凡とは言い難い能力のように思えますが?
「平凡だよ、時間も空間もいじらない、せいぜい人の認識をちょっと方向付けるだけなんて、昔から人間だって催眠商法とかやってるし、今なら
噂を捏造して怪異を生み出すのは昔は珍しかったけど、今じゃむしろそういうのの方が多いだろう?人間ってのは悪趣味だね。
似たようなのはいくらでもいるから、何の慰めにもならないんだけどね」
※ 半田仙、用意したペットボトルの水を飲む。
「二つ目はその噂話で作られて三ツ辻の怪、これはそっちから聞いた話だし、そっちの方が詳しいだろう?
あえて説明するなら、割と無理矢理作られたからか、場所以外の設定が曖昧で形が定まっていなかったし、振りまく不幸も方向が定まってなかった、名前だって仮にこっちがそう呼んだだけさ。
その程度だから市販のお守りでも多少は効果があったんだろうね。
もう少しイメージが収束されれば、それこそCMにあったような着ぐるみの怪人になってたかもね。
首を絞めたら死んだ、その程度の相手だったよ」
Q:首を絞めたら死ぬ、とは?
「相手はわけのわかんない
なのに、首を絞めたら死んだ。
つまり、首を絞められたら窒息して死ぬという世界の常識の方が、相手の怪異としての強度より強かった、まぁその程度の相手だったと言う事さ」
※ 半田仙、肩をすくめる。
「仮にそういうのが通じない相手だったとしても、私らは殺すんだけどね。
頼み料をもらったら相手を殺す、相手の都合にこっちの都合を押し付けるのさ。
仮に相手の方が押し付ける力が強かったら、それも効かないのかもしれないが、今のところそういう相手には会ったことがないね。
まぁ、仮に会ったらこっちは滅んでるか改変されてて理解できなくなってるんだろうけどね。
何しろこっちは撃たれ弱いんだ、相手を殺すことは出来るけど、こっちが殺されないとは限らない」
Q:それは、我々でも?
「出来るよ、可能性はある。
なぜならそういう
ただし、仕掛けて仕損じなし、必ずそちらも壊滅する。それも、そういう
Q:今回の依頼者は生存していますが、こうしたこともあるのですか?
「死んでるよ。
あの家族は、頼み人じゃない。
ああ、ただし、
こちらの素性や正体を知ったなら殺すが、知らないまま依頼したなら殺さない、その上で恨みのこもった金を払ったなら、こちらは仕事を
Q:では依頼者はどなたでしょう?
「守秘義務、は生きている者だけかい?
どうせそちらも、あたしが換金した物品は調べているんだろう?
あそこに住んでいたかつての家族たちだよ、死者の頼みを聞いてくるのは先生がよくやることでね」
※ 半田仙、誰かは言えない、の発言の直後に一度視線を上に上げると頷く仕草。
「さて、情報提供のお礼がてらに顔を出して見せたが、このぐらいが限度かな。
今度は面倒なやり取り抜きにご飯を食べにおいで、タバコを吸わないなら歓迎するよ」
※ 半田仙、右手を上に上げてテーブルに振り下ろす、軽いポンという音の後に姿が消える。
※ 監視カメラ上では手の動きに観測していた全員の視線が吸い寄せられていることを確認、その全員が、目の前で半田仙が消えたと証言。
また半田仙自身は映像ではテーブルに手を下ろした時点で椅子を揺らさずに上空へ跳躍しているが、部屋の天井部分には隠れられる場所がなく、天井側を映しているカメラには姿は移っていなかった。
以上で記録終了、映像、音声記録の直接の確認については別途△△以上の許可を受けた上で▲▲以上の監督官の監視の上、P3レベルの個室にて確認を行う事。
○○博士所感
貴重な話の分かるサンプルだ、出来るだけ敵対しないでつかず離れずの緩やかな協力関係を模索すべきだろう。
我々が相手をしている連中の大半は人類に敵対的で、そのうちの少なくない割合が悪意を持っている、多大な犠牲の上に対応を見出してマニュアル化したと思ったらそれを逆利用して罠にかけられたこともある。
残りのほとんどは中立と言えば聞こえがいいが、超越的で人類の事を意識しない、足元の蟻か大気中の細菌程度にしか認識しない、気まぐれで消毒されないのを祈るばかりだ。
数少ない友好的な存在も、友好的過ぎて人類を拉致監禁してみたり、特定の人物にのみ友好的で我々とは敵対したり、あるいは話が通じても零落しすぎてほとんど権能を持たなかったりと、これまた、まぁ歯に衣着せぬ言い方をするなら、
彼女、あるいは彼女たちはいわば友好寄りの中立だ、話が通じる貴重な情報源だし、暴走してもそれが世界や国家の崩壊にはつながらない、せいぜい我々が壊滅する程度だ。
そして場合によっては「依頼」すら可能というのは大きい、最悪の事態でも切り札として機能するかもしれない、万能の切り札ではないが手札に在ればいざというとき役に立つ程度にはいい札さ。
ただ、どうせ時代劇をミームとして取り込むなら、もう少しわかりやすい、水戸のご老公あたりが出てきてほしかった、というのも、正直な気持ちではあるのだがね。
手を振り下ろして視線を誘導してその隙に天井に飛んで消えたように見せかけるのは忍者の技とされる、コータローまかり通るやパタリロでも使用された。