俺の彼女が邪神だと電波巫女がのたまうんだが 作:納豆シェイク
「恭介さん……今日は、何の日でしょうか?」
「うーん。何だったかなぁ。まぁその前にぃ……何で俺、縛られてるの?」
学校が終わり、ゴリ男と残念イケメンからのラブコールを躱し。
彼女と下校する時の待ち合わせ場所へと向かって――こうなっちまっていた。
椅子に縛られている。
目隠しもされていて、妙に手と足と目隠しがぬめついていた。
その癖、恐ろしいほどに冷たい部屋であり、冷凍庫かと思ってしまう。
近くから彼女の息遣いが聞こえる。
色っぽい声であり、それだけで寒さも気にならないほどに体が火照って仕方がない。
息子は万歳三唱状態であり、正直、今何をされようともオールオッケー状態だった。
「今日は、恭介さんが――生まれ変わる日です」
「それってぇ――一皮剥いてくれるって事!?」
「ふふふ、皮を剥いだ方がいいですか? 痛い事はあまりしたくはないのですが」
「痛い!? 一体、どんな剥き方を!? ちょっと詳しく教えてくれませんか!!」
俺は椅子をガタガタと揺らしながら興奮する。
すると、撫子さんは人差し指で俺の頬をなぞってから唇に指をあてた。
「先ずはつま先に切れ込みをいれて、それからゆっくりと丁寧に剥がして。それから、途中で切れないように」
「――あ、もう大丈夫です!」
彼女の剥き方があまりにもスプラッターだったので説明を止めさせる。
彼女はくすくすと笑いながら、俺に対して恐ろしい冗談を言ってくる。
それだけで彼女がどれほどにやきもちを焼いているのかが理解できた。
今の彼女は飼い主に牙を剥くチワワちゃんだ。
可愛いけど、怒っていますよとアピールしているチワワちゃん。
清楚で可憐な彼女らしくないスプラッターな発言も、俺をどきどきさせる為の演出。
そう、全ては可愛い彼女の嫉妬から来る仕返しなのだ――俺超愛されてるぅぅぅ!!
「むふ、むふふふ、や、やべ、は、鼻血が」
「……今の恭介さんは、今までの恭介さんと違って……少し性欲が強過ぎますね」
「え? そ、そう? まぁ中坊の頃は20連射の介さんって呼ばれてたけど。あ、20連射ってのは下半身のマグナムの」
「――切っちゃいましょうか」
「ワッツ?」
切るという玉ひゅんワードに俺は間抜けな声を出す。
瞬間、刃物が擦れる音が聞こえてくる。
冗談抜きで男として恐怖を感じる演出であり、俺は鼻水を垂らしながら何とか声を絞り出す。
「な、撫子さん? じょ、冗談ですよね? い、いや! 俺が悪かったです! ちょっと女子から黄色い声援来るかなぁとは思いましたよ!? で、でも! 本命は撫子さんだけです!! 俺が愛しているのは貴方だけですから!!」
「ふふ、嬉しい。私も、貴方だけを愛します」
「相思相愛っすね! いやぁ良かった良かった! ハッピーエンドということで刃物を研ぐのはやめません?」
「大丈夫ですよ。痛みは一瞬です」
「はは、全然大丈夫じゃねぇやぁ! いや、そもそも俺のマグナムをえんがちょしたら将来子作りとか子孫繁栄とかぁ!?」
「――いりませんよ。私は恭介さんさえいれば何もいりませんから」
「嬉しいけど嫌だぁぁぁぁぁぁセックスしてぇぇぇぇぇ童貞のまま一生を終えたくないぃぃぃぃぃ!!!」
「……なら、今、しますか?」
「……………………い、いや! ダメだって言ってるでしょ!? 俺たちは未成年で、ま、まだ、キスも」
「……ふーん、そうですか」
今するかという魅力的な提案。
どうせチンポがえんがちょされるのなら最後に使ってやるのがダディとしての務めか。
一瞬そんな事を思ったが、俺の強すぎる遺伝子が撫子さんを孕めオラする可能性が高すぎた。
故にこそ、俺は血の涙が出るほどに理性を振り絞って提案を断った。
すると、撫子さんは刃物を研ぐのを止めたようで……な、何か空気が変わったような?
「キスなら、してくれますか?」
「うぇぇぇ!? こ、此処で!? ま、マジですかぁ!? い、いや、もっとシチュエーションとか!?」
「してください。それとも、私の本当の姿を知ったら――出来ませんか?」
「え?」
彼女の声にノイズのようなものが走る。
そうして、手足の拘束が緩み目隠しが取れる。
視界が戻って目の前を見れば――凄まじい存在が立っていた。
「こ、これ、って」
「……どうですか? 私の本当の姿は? これでもまだ――愛せますか?」
その姿はこの世の憎悪と嫌悪を集約したかのようなおぞましい姿だった。
虫なのか腐敗した獣か。
いや、それ以上に醜悪で不快な臭いを放ち、ハエが群がっていた。
辛うじて口があるだけで、人間ともいえない異形の姿。
全世界。いや、全ての魂が拒絶するような何かで……それは撫子さんの声で笑っていた。
「キス、しましょう? 愛しています。だから、私と――ぅ!?」
「――」
俺は彼女が両手のようなものを上げ切る前に――唇を奪う。
ディープな方であり、中へと舌をねじ込む。
荒々しく獣のようであり、口内に汚物や吐しゃ物、あらゆる不快な何かが流れ込んでくるようだった。
が、俺は決して唇を離さない。
むしゃぶりつくように彼女の唇を奪い、彼女の全てを――受け入れる。
数分の間、互いに抱きしめ合って愛を確かめ合う。
が、呼吸が苦しくならないようにと俺はそっと唇を離した。
瞬間、彼女は床に倒れ込み、顔を上げて俺を見つめて来た。
「あ、あぁ……こんな、姿でも、貴方のそれは、あ、あぁ」
俺の益荒男はズボンを突き上げて天高く伸びる。
俺は指で口元の唾液を拭い舌で舐めとる。
「例え貴方がどのような姿であろうとも、例え俺を拒絶させようと仕向けようとも――愛する人を、俺は決して拒みはしませんよ」
「……! 恭介さん!」
「貴方がゴキブリになっても、貴方が山をも覆う巨体になっても――俺はぁ抱きますからね?」
「――!」
俺が笑えば、彼女の姿が変わっていく。
それは元の絶世の美女の撫子さんで。
彼女は光の無いとろんとした目で俺を見つめながら、今まで見た事もないほどの嬉しそうな顔をしていた。
「あぁ、やっぱり、やっぱり貴方は変わらない。何度、転生しようとも、どれだけ不純な存在になろうとも、貴方の心は何時も綺麗で…………だからこそ、私は貴方しか愛せないんです」
「ふ、ふふ、そ、そうっすか? ふへ、ふへへ、お、俺も! あ、愛してますよ! 心と――体もね!」
俺は鼻の下を伸ばしながら親指を立てる。
彼女はゆっくりと立ち上がって、ぱちりと手を鳴らした。
瞬間、冷たく真っ暗だった空間に亀裂が走り――夕焼け空の下の河川敷に出て来た。
「うえ!? またトリック!? す、すげぇ!」
「では、帰りましょうか――旦那様」
「お、おほ! お、おっぱいがぁぁ!!」
彼女は俺の横に並び立ち、腕を絡めて来た。
その瞬間に彼女の柔らかいものが俺の腕を幸せにしてくる。
俺は鼻血を出しながら、ハッとしてそういえば何の日だったのかと聞く。
「生まれ変わる日って言ってましたけど……な、何をしようと?」
「ふふ、私の間違いでした。生まれ変わる必要はありません。それに、今日は――これ、頂きましたので」
「ふほ!?」
彼女はゆっくりと人差し指で俺の唇に触れる。
そうして、自身の唇にあててからちろりと赤い舌で舐めた。
そのエロい仕草だけでニシコリ刑は確定だが。
俺は何とかここで発射しないようにと踏ん張る。
彼女は嬉しそうに笑いながら、俺の肩に頭を乗せる。
「ずっと、ずっと、永遠に――貴方はそのままでいてくれるんですね」
「そのままというか何というか。お、おっぱいとあまいぃひひいにほいがぁぁ」
「……可愛い」
俺は最高の時間を堪能しながら、撫子さんと一緒に帰る。
俺も彼女と永遠に素敵な時間を味わっていたい。
そして、叶う事ならば――俺の童貞を貰って欲しいです!!
「えぇ私のものですから」
「ほぉぉぉぉぉ!!! あ、あれ、心を読んでます?」
「嫌ですか?」
「じぇんじぇぇぇんもうどんどん見ちゃってくだしゃぁぁい!!」
「ふふ、嬉しい」
もう何でもいい。
彼女が知りたい事なら何でも教えちゃう。
通帳の暗証番号もスマホのパスも何でもねぇ!!