ソラナキの眷属の一人、ロキに勝利したソウタ。
そんな中、もう一人の眷属であるルシフェルが現れ、彼を連れ去ってしまった。(ナレーション)
――根尾中ベイブレード部部室――
ロキとの戦いから翌日、ソウタ達は部室に集まり、昨日の出来事について話していた。
「眷属を解放したのはカイだということは分かった。けどよぉ、なんであいつがあの怪物たちを……」
神世カイが何故眷属たちを解き放ったのか、ソウタは今に至るまでその疑問を持ち続けていた。
そんな中、メイが口を開く。
「カイお兄様は恐らく『あの人』に命令されたのかもしれないわ」
ソウタも自然と彼女の方に視線が移り、真剣な表情となる。
「あの人?」
「神世轟。神世家の長男で、私を含めた征二狼の子どもたちの中で最も強いわ。あの人は一見穏やかだけど『アイツ』のことしか考えていない『狂信者』そのものよ」
「狂信者……」
少し前にも話していた神世轟という男。
メイは彼がカイに眷属の復活を命令したのではと推察する。
しかし、その顔はどこか曇っていた。
その時、ヒカルが彼女に質問をする。
「メイ、すまないが少し聞いてもいいか?」
「何よ?」
「お前はソウタを探しにここへ来たが、そこには神世家に『変化』があったからじゃないのか?」
「……流石、鋭いわね」
「あの時、私は創星学園最上階でお父様の帰りを待っていたわ」
その通りと言わんばかりの乾いた笑みを浮かべた後、思い返すように顔を上げる。
__
『ぐっ……!』
聖永杯最終決戦時に征二狼は紫琉石でシオンを洗脳していた。
しかし、紫琉石の停止パスワードを聖永4戦士のカイトにハッキングされ、ソウタに紫琉石の最大出力をリセットされた。
挙句の果てに同じく聖永4戦士のエイキとアイからそれぞれ、アポカリプスクロックとドレッドピファウルの仕置きの挟み撃ちを腹部と背中に受ける。
呪詛の言葉を吐いた後、その場で倒れた。
しかし、なんとか起き上がりボロボロになりながらも創星学園へ戻ってきた。
「お父様!?」
「一体何が!? 誰がこんなことを……!」
父の姿を見て子どもたちは動揺。
中でも、征二狼の息子にして狂信者である轟は握りこぶしを作るほどに怒りをあらわにしていた。
「……」
一方で、メイをはじめとする子どもたちは只々戸惑うだけだった。
「蒼龍ソウタ……、聖永4戦士共です……!」
(蒼龍ソウタ……! 確かお父様が学園長を務める神世学園、そしてそのリーダーの皇龍を倒したブレーダー……!)
征二狼からソウタの名が出て、メイは驚いた。
「そんな……! お父様はこの世界を改めるために天道シオンの『紫琉石』と皇龍の『ボルトドラゴ』にソラナキの力を取り込ませたというのに。お父様がは何も間違っていないはずです……!」
(何が『間違っていないはず』よ……。そんな思想のために誰かを操るなんてバカじゃないの……!)
メイは心の中で征二狼の行動、それを肯定する兄、轟を軽蔑した。
(でも、蒼龍ソウタはこいつの行動を止めようとした……少なくとも)
(こいつを再び止められるのは彼しかいない……!)
しかし、軽蔑と同時にソウタに可能性を見出したのだ。
__
「あの時、あなた達が聖永学園との戦いの時……ソウタだけは征二狼を止めるために動いていた。あいつの行動を、それを肯定するお兄様を私は許せなかった。あなたがそれを『悪』と断言し、『正義』を実行したから私にとっての『希望』となったの」
思い返すのも終わり、ここへ来た経緯を話す。
ソウタ達は言葉にはしなかったが、話していくたびに彼女の体は震えていた。
「メイ……」
「そこでお願いがあるの。私をこの輪の中に入れてくれるかしら?」
「当たり前だろ!」
「お前は自分の気持ちに決着をつけるためにここへ来たんだろ? それに応えるのが俺達の役目だからな!」
「ありがとう……」
メイは涙を浮かべながら、ソウタに感謝の言葉を示した。
ソウタも穏やかな笑みを浮かべた後、ポケットティッシュを渡す。
「メイ。俺達はお前を一人ぼっちにはさせない。決して」
「そして、俺とバンも応えるときが来たようだな」
「そうだな」
「?」
ヒカルとバンが意味深長な表情をしながら話し合う。
「俺とバンのベイだけエクストラブレード機構になっていない。これからやってくる強敵たちに備えようと思ってな」
「そこで、メイ。お前の技術が必要だ。俺とヒカルは既に新しいケルベロスとユニコーン、それぞれの設計図が出来上がっている。それを形にするために協力してほしい」
「分かったわ、私も応えてあげる」
部室の空気は温かさに包まれていた。
3人は部室を後にし、2階の開発室に向かう。
――開発室(2階)――
開発室にはアルティメットドラグニルの時のように、機械音と電気の音が響いた。
…………
新ベイの開発に集中しているヒカルとバン、それに付き添っているメイの側にユニコーンとケルベロスの幻影が並び立つ。
「よし……!」
数分後、3人は部室に戻ってきた。
「2人とも、遂に完成したぞ」
「おぉ……!」
そう言うと、ヒカルとバンは新しくなったベイをソウタとツバサに見せる。
エクストラブレード機構に生まれ変わったユニコーンとケルベロスを見て、2人は目を輝かせた。
「名付けて……」
「ノヴァユニコーン!」
「チェインケルベロス!」
予め描かれていた設計図、そこにはこう記されていた。
――
ノヴァユニコーン
ギミックブレードをずらすことでユニコーンのたてがみを模したディフェンスモードにモードチェンジ。
ギミックブレードとアンダーブレードを重ねることでユニコーンの角のようなカウンター刃を形成するカウンターモードにモードチェンジ。
チェインケルベロス
鎖形状のギミックブレードの空洞部分にアンダーブレードの出っ張りをはめると攻撃特化のアタックモードにモードチェンジ。
鎖形状のギミックブレードの空洞部分とアンダーブレードの出っ張りを互い違いにすると衝撃吸収特化のディフェンスモードにモードチェンジ。
――
「これで全員エクストラブレードに……!」
「早速練習だね!」
「ああ!」
ソウタ達は一斉にランチャーを手にし、各々のベイをセットする。
3・2・1 ゴーシュート!
夕暮れに染まった部室では、掛け声からのベイの衝突音が鳴り響いていた。
(私は今までずっと孤独だと思っていた……、この先もずっと……。でも、それは違ったみたいね。『お母様』、アイツのことは私達が止めるから、見守っていてね)
メイはポケットからそっと御守りを取り出す。
心の中で「離れ離れ」になってしまった母親を想いながら、それを見つめる。
一方でその様子を観察して不敵に微笑んでいる者がいた。
「うふふ……」
今に至るまでずっと心の闇を抱えていた少女、神世メイ。
しかし、ソウタ達の熱意に触れ、その心は次第に救われていくこととなった。
更にはヒカルとバンのベイの進化によって、新たな段階への一歩を踏み出した。
果たして彼らはその先に待ち受ける試練をどう乗り越えるのだろうか。(ナレーション)
__イメージCAST__
蒼龍ソウタ-小林千晃
門守バン-梶裕貴
一角ヒカル-小野賢章
焔ツバサ-榎木淳弥
神世メイ-竹達彩奈
神世征二狼-遊佐浩二
神世轟-石田彰
ナレーション-森川智之
ベイブレード
チェインケルベロス.Tc3.Al
(タクティススリー・アルター)
(ケルベロスモチーフのバランスタイプ。)
アタックモード→ギミックブレードを重ねると攻撃特化の形状にモードチェンジ。連打攻撃に優れる。
ディフェンスモード→ギミックブレードとアンダーブレードを互い違いにすると衝撃吸収特化の形状にモードチェンジ。ダンパー刃による衝撃吸収に優れる。
ノヴァユニコーン.V7.Kp
(バーチカルセブン・キープ)
(ユニコーンモチーフのディフェンスタイプ。)
ディフェンスモード→ギミックブレードをずらすことで連打形状の刃を形成。細かい形状で攻撃を分散。
カウンターモード→ギミックブレードとアンダーブレードを重ねることでカウンター刃を形成。攻撃してきた相手にカウンターをしかける。