ベイブレードNEO Season3   作:マツザキ蓮

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ベイブレードNEO 第53話 不和の女神

メイを正式に根尾中ベイブレード部のメンバーに加え、バンとヒカルはそれぞれ「チェインケルベロス」と「ノヴァユニコーン」を完成させた。

 

しかし、それと同時に魔の手が迫っていた。(ナレーション)

 

――根尾中ベイブレード部部室(翌日)――

 

エクストラブレード機構の完成から翌日、ソウタ達は部室に再び集まった。

 

「遂に全員エクストラブレード機構のベイになったんだな、俺達」

 

「ああ。だが俺達の他にもエクストラブレード機構を備えた奴らが本格的にやってくるかもしれない」

 

「それもそうだな。じゃあ今日も早速とっく__」

 

「ふざけんじゃねぇぇぇーーーッ!!」

 

「テメーこそ何様だぁぁぁぁ!!」

 

いつも通り、特訓に励もうとした瞬間、部室の方に罵声が響く。

 

「な……、何だ!?」

 

「ベイブレード部の皆、助けて!!」

 

何が起きたのか分からない中、一人の男子生徒が駆け込む。

 

「ど、どうしたんだ!?」

 

「2人が急に喧嘩を始めちゃって……、普段は仲良しなのに……」

 

「それは妙だな。とりあえず現場に向かおう」

 

部室のドアを開き、男子生徒の案内にしたがって現場へ向かう。

 

そこには……。

 

「前から思ってたんだ、お前のその顔はエリス様に相応しくねぇってな」

 

「言わせておけば調子に乗りやがって! そういうお前もその頭じゃエリス様は振り向かねぇよ!」

 

エリスという人物をめぐって、罵声を浴びせ合っていた。

 

「エリス……様? そんなやつここの生徒にいなかったような……」

「とりあえず、お前ら落ち着けって!」

 

ソウタが仲裁に入ろうとしたその時、一人の女の声が彼の鼓膜に入り込む。

 

「あらあら、いつ見ても醜いものね。男の争いというのは」

 

「!?」

 

「エリス様!」

 

その声を聞いた全員は一斉に彼女の下へ振り向く。

 

特に2人の男子生徒はその女をエリスと呼ぶ。

 

「うふふ……」

 

「お前がエリスか?」

 

「そうよ、私の名前はエリス。ソラナキ様の『眷属』の一人よ」

 

「ソラナキの眷属だと!? なら、この喧嘩はお前が原因か!」

 

「『原因』だなんて失礼ね。あの子達は私に夢中になって取り合いしているだけよ。もっともどっちとも仲良くなる気なんてないけど」

 

ソラナキの眷属・エリス。

 

バンの問い詰めに対し、彼女はスカしたような笑みて答える。

 

「なんて邪悪な……!」

 

それを聞いていたツバサも引き気味の顔をしていた。

 

「それはそうと一角ヒカル、門守バン」

 

「何だ……?」

 

「あなた達、新しいベイを作ったんですって?」

 

「……! 何故それを知っている!?」

 

「外から見ていたのよ」

「そしてこう思っているんじゃないかしら?」

「『俺が一番強い』とね」

 

(さっきから何故こいつは俺達のことを見つめて……)

 

エリスは何故か2人のことを見つめ、問いかけるように話す。

 

その時だった。

 

(何ッ……!?)

 

その言葉を聞いた瞬間、ヒカルとバンはお互いを殴ってしまった。

 

まるで操られたかのように。

 

「バン、すまない……」

 

「俺の方こそ……」

 

「ふーん、まだ耐えるのね。でも本当は『なんで俺が……!』と思ってるんじゃないかしら?」

 

エリスがそう言った瞬間、今度は二人の口が勝手に開く。

 

(な……、何だ…!? 口が勝手に……!)

 

「少しパワーが上だからって粋がってんじゃないぞ!(そんなことは一言も思ってないのに……!)」

 

「お前だって少し頭が回るからっていい気になりやがって!(そんなこと、一言も思ってない……なのに!)」

 

(何故か罵詈雑言が出てしまう……!)

 

思ってもないことを互いに言い始める。

 

彼らの口から出るのは罵りの言葉だけだった。

 

「お前らどうしたんだよ!?」

「テメェ! ヒカルとバンに何をした!?」

 

ソウタはパニックになりつつも、エリスに怒りを向ける。

 

「何って『心』よ。古来から言われているわ、心と行動は表裏一体、負の感情が強いほどそれ相応の結果をもたらすとね。私はそれを利用した『術』で争いを起こし、傍観して楽しむのが趣味なのよ」

 

「なんつー悪趣味さだ……」

 

彼女の悪趣味さに対し、怒りを滲ませつつもその内容にドン引きしていた。

 

「ま、これ以上やってもキリがないから一旦『解除』してあげる」

 

「……ハッ……!?」

 

「バン、またしても俺は余計なことを……」

 

「ヒカル、俺もすまなかったな……」

 

指を鳴らした瞬間、先程までの罵声が一気に消え失せる。

 

正気に戻った2人は互いに罵ったことを詫びた。

 

「これ以上やっても埒が明かない、バトルで決着をつけさせてもらうぞ!」

 

「今度こそ見せてやる、俺達の絆を!」

 

気持ちを切り替え、エリスに対し宣戦布告をする。

 

ポケットから取り出されたチェインケルベロスとノヴァユニコーンは一瞬だけ、金属の輝きを放った。

 

「あなた達の絆がどれほどのものか試してあげるわ。この『ルーインアレス』で!」

 

それに対し、エリスは戦神アレスのベイ「ルーインアレス」を取り出す。

 

「あっ、忘れてたわ。私のかわいい10人の従者達もこのバトルに参加するわ」

 

「エリス様の邪魔はさせねぇ!」

 

「さっさと片付けてやるぜぇ!」

 

「……」

 

そう言って、自らの「術」で操った根尾中の生徒達も参戦させた。

 

「……」

 

そんな中、見慣れない人物が廊下の柱の隅からチラッと見ていた。

 

バトル前にエリスはアレスをソードモードに、ヒカルはユニコーンをカウンターモードに、バンはケルベロスをアタックモードに設定。

 

それをランチャーにセットし……。

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

一斉にシュートされた13機のベイ。

 

スタジアム内が一気に混み合う。

 

「深い絆であればあるほど切り裂きがいがあるわ。行きなさい、アレス! 従者達!」

 

従者達のベイが行く手を阻み、アレスがユニコーンとケルベロスに襲いかかる。

 

「生徒のベイの猛攻をさばくので精一杯だ……」

 

「バン、生徒達のベイは俺達が対処する! お前はアレスの方へ切り替えろ!」

 

「あぁ、分かった」

 

「あらあら『俺だけで十分、お前は不要だ』ってことかしら?」

 

「何を言って……」

(何っ……! 腕が勝手に……!)

 

またしても言葉を聞いた瞬間、腕が動き出し、拳を作る。

 

それはバンの方に向いていた。

 

(こいつ……! またヒカルを……なんとしても次の行動に繋がらないように阻止しないと……!)

 

(やっ……、やめろ……!!)

 

ソウタは必死になって阻止を図ろうとし、ヒカルも腕をなんとか抑えつけるが……。

 

「あなたはこう思ってる『さっさと退かないとぶんな__』」

 

どんどんその拳はバンに接近していく。

 

その時だった。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ソウタは突然叫び声を上げた。

 

「……! 止まった……!?」

 

叫んだのが効果的だったのかヒカルにかけられた術は打ち消された。

 

「……は……?」

 

予想だにしない結果だったからか、エリスは静かにブチギレた。

 

「何なの……!? そこで黙って見てればいいものを……!」

 

「悪いな、ちょっと何言ってるか分からねえ。分かるとすればお前の悪趣味さに胃が痛くなったくらいだ」

 

「……!!」

「この……ガキどもがぁーーーッ!!」

「従者もろともアレスで斬り伏せてやるわーーッ!!」

 

醜い本性を完全に露呈させた彼女は、敵味方見境なくアレスを突っ込ませようとする。

 

「!!」

 

「ったく……」

「さっきから喚いてんじゃねぇ!」

 

「!?」

 

そんな中、廊下の柱の隅で様子を伺っていた少年が乱入し、ベイをシュートする。

 

放たれたベイは剣のような形をしていた。

 

「ソード・オブ・ロード!」

 

剣のベイは操られた生徒達のベイを一瞬でバーストさせた。

 

「あぁぁぁ! 私の従者がぁ!」

「アンタ、何者よ!」

 

「俺は剣山聖(つるぎやま ひじり)。通りすがりのブレーダーだ」

「湿気た雰囲気は嫌いな質なんだ、さっさと終わらせるぜ」

「一角ヒカル、門守バン。協力しろ」

 

その少年は「剣山聖」と名乗り、ヒカルとバンに協力を仰ぐ。

 

(いきなり現れて、何なんだこいつ……? だがこいつの言う通り協力しなければまずいかもしれない)

 

「やむを得ない、行くぞ! バン」

 

「ああ!」

 

「セイントインパクト・トリプル!」

 

「アレスーーー!」

 

謎の少年・聖との連携技でルーインアレスをオーバーフィニッシュして勝利した。

 

「アタシが負けるなんてあり得ない……! 何かの間違いよ……! きっと……」

 

「間違いなんかじゃねぇよ。今度は『中身』も綺麗にしてくるんだな」

 

(強いな/強いわね……)

 

堂々とした態度にソウタ達は思わず感心する。

 

「…………!! 今回は不調だっただけよ……! 剣山聖、根尾中ベイブレード部……! アンタ達がいつまでも勝てると思ったら大間違いよ!」

 

エリスは捨て台詞を残して根尾中を去る。

 

「助かったぜ、聖。お前、すげぇな……!」

 

「……勘違いするな、蒼龍ソウタ。俺はあの『雑音』が気に入らなかっただけだ。お前らとお仲間ごっこする気は更々ねぇ」

 

聖はそう言い残し、颯爽と去っていった。

 

「素直じゃないな……」

「あっ、そういえばあの二人は?」 

 

先程まで言い争いをしていたあの2人を思い出し、まだそこにいないか確認をし始める。

 

その時、背後から声がかかる。

 

「あの……」

 

そこには例の件の2人が並び立つ。

 

彼らは一転して申し訳なさそうな表情をしていた。

 

「!」

 

「お前ら! もう大丈夫なのか?」

 

「はい、すいません……。騒ぎを起こしてしまって……」

 

「気にするな! お前らがもとに戻ってくれただけでも何よりだ!」

 

頭を深く下げ、一連の騒動について詫びる。

 

それに対し、ソウタは励ましの言葉を送る。

 

2人の肩に手を置き、笑顔を見せて安心させた。

 

「ベイブレード部の皆、本当にありがとう!」

 

「また何かあったら来いよ!」

(ありがとな、聖……。また会おうぜ)

 

依頼人からもお礼を言われ、彼らに見送られつつも部室の方へ向かうのだった。

 

――根尾通り――

 

「蒼龍ソウタ、次会った時には確かめさせてもらうぜ。お前が、俺の守護すべき『龍の血族』に相応しいか」

 

一方で聖はと言うと、通りの方で意味深長な言葉を呟く。

 

根尾中学校にまで侵攻してきたソラナキの眷属・エリス。 

 

彼女の術は厄介さを極めたが、思わぬ助っ人・剣山聖の参戦に救われることとなった。

 

そして、彼の目的は一体何なのか。(ナレーション)

 




__イメージCAST__

蒼龍ソウタ-小林千晃

門守バン-梶裕貴

一角ヒカル-小野賢章

焔ツバサ-榎木淳弥

神世メイ-竹達彩奈

剣山聖-小野友樹
(髪型:黒のポニーテール(オレンジのメッシュ入り)/目の色:茶色/その他:右目に傷)

ソラナキの眷属

エリス-甲斐田裕子
(髪型:ワインレッドのウェーブヘア/目の色:青)

ナレーション-森川智之

ベイブレード

ルーインアレス.Zt3.T
(ゼータスリー・トランス) 
(アレスモチーフのバランスタイプ。)

ソードモード→ギミックブレードを上向きにセットすることで剣のような形状にモードチェンジ。3枚のアッパー刃で相手を弾き飛ばす。

シールドモード→ギミックブレードを下向きにセットすることで盾のような形状にモードチェンジ。連打形状の刃で相手の攻撃を受け止める。
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