ベイブレードNEO Season3   作:マツザキ蓮

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ベイブレードNEO 第44話 冥王

突如、部室にやって来た少女・神世メイ。

 

そんな彼女は瀬際刑事が捜査している事件について一通り話した後、ソウタにバトルを申し込む。

 

「ここへ来て早々、バトルか……」

 

「ええ。バトルは2ポイント先取制。試させてもらうわよ、あの人らを止められる器か」

「この……『デミスハデス』で」

 

メイがポケットから取り出したのは、ハデスモチーフのベイ「デミスハデス」。

 

その形状は円形に近く、隙のなさを物語る。

 

「やってやるさ、アイツラの野望は俺達が止める。お前とのバトルでそれを証明してみせるぜ」

 

ランチャーを手に取り、そう宣言する。

 

「楽しみね……」

 

彼女が不敵そうな笑みを浮かべた次の瞬間……。

 

彼はハデスのブレードを分割し、セットしたのを瞬間的に目撃する。

 

「…!」

(何だ今のは……? ブレードを分割したように見えたような……)

 

しかし、当の本人はその記憶に自信がない様子だった。

 

それでもバトルの準備をし、ドラグニルをランチャーにセットするのだった。

 

「審判は私が務めよう」

 

ソウタとメイ、2人のバトルの審判は瀬際刑事が名乗り出る。

 

「Ready……Set!」

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

シュートされた直後、デミスハデスは中央を陣取る。

 

「相手はディフェンスタイプ。タイプ相性は不利だが、ここからどう立ち回る?」

 

「ヒカル。相手の実力は未知数だ、先ずはどういうもんか……ひたすらアタックを仕掛けていくぜ!」

 

ヒカルの言う通り、メイが使うデミスハデスはディフェンスタイプ。

 

相性上は不利だが、小手調べという形で次々とアタックを仕掛ける。

 

しかし、メイは一切動じなかった。

 

「あら? それで良いのかしら?」

 

――スルッ――

 

「え……!? 攻撃が受け流された!?」

 

なんと、セイバードラグニルの攻撃がいとも簡単に受け流された。

 

続けて攻撃するも何事もなかったかのようにいなされていく。

 

「驚いたかしら? これがハデスの守りよ」

 

「何度攻撃しても、それが向こうに流れていくようだ……!」

「まさか……! さっきの『アレ』は『モードチェンジ』だったのか!?」

 

「今までのベイでギミックを持つのはほんの一握り。だけどあなたの言うとおり、ブレードを進化させることでモードチェンジ機能の搭載に成功したのよ」

「言うなれば、XB『エクストラブレード』!」

 

ソウタが少し前に見たあの瞬間。

 

それは決して嘘ではなかった。

 

彼女が言うには「それ」は「XB(エクストラブレード)」と呼ばれる新機構だった。

 

今までのベイの中で、モードチェンジを持つものは限られていた。

 

しかし、2つのブレードに分けることでモードチェンジの「標準化」に成功したのだ。

 

「エ……エスクトラブレード!?」

 

ソウタを始め、ベイブレード部のメンバーは一斉に驚愕する。

 

「エクストラブレードはギミックの肝となる『ギミックブレード』と土台である『アンダーブレード』で成り立つ。私のデミスハデスは、ギミックブレードを反転させることでアンダーブレードが干渉しなくなり、フリー回転するわ」

 

バトル前にしていたモードチェンジ。

 

デミスハデスの受け流しは、それによるものだった。

 

(何だよそれ……! 征二狼の奴、こんな機能を持ったベイを作っていたのか……!?)

 

昨日相対した邪悪がこのような性能のベイを作っていた事実に驚きを隠せない中、ドラグニルがブレ始める。

 

「そろそろ終わりね」

 

「あ……」

 

「デミスハデス、スピンフィニッシュ。メイ君に1ポイントだ」

 

デミスハデスのフリー回転になす術なくスピンフィニッシュ。

 

開始早々、1点目を奪われた。

 

「どうするの、蒼龍ソウタ。このままではハデスの牙城を崩せないわ」

 

(真正面からの攻撃はフリー回転で受け流される……。今のでギミックブレードを狙うのは危険だと判断した。なら……!)

 

ソウタは何かを考えついたのか、ランチャーを斜めに構えだす。

 

「……」

 

「ソウタ、そのシュートフォームは……!」

 

「バン、それは直に分かるぜ」

「瀬際刑事、準備は出来ました」

 

「……Ready……Set!」

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

斜め打ちでシュートされたドラグニルはスタジアムすれすれにまで斜めっていた。

 

「そんなに斜めらせたらスタミナを消耗するだけよ」

 

「いや、これで良いんだ。『今』は、な」

 

「……?」

 

意味深長な言葉を放った直後のことだった。

 

「え……!?」

(ハデスが弾かれた……!?)

 

ハデスがスタジアム中央から外周にまで弾かれた。

 

「あなた……一体何を?」

 

受け流しが出来ないことに戸惑う中、ソウタは天井を指差しながら答える。

 

「何って、簡単なことさ」

 

「お前のベイは真正面から立ち向かえば、また受け流される……さっきので学習したからな」

「そこで気づいたんだ。お前が言っていたもう一つのブレードの存在に」

 

「もう一つのブレード……ハッ!」

 

彼の言う「もう一つのブレード」。

 

メイもどうやらそれに気づいた。

 

「そうだ。エクストラブレードを構成するもう一つのブレード……『アンダーブレード』だ!」

 

「ソウタ。こっちから聞いていいか? さっきのシュートフォームはそれを狙ってということか?」

 

「そういうことだぜ、流石はヒカルだ!」

「あくまで回転するのは『ギミックブレード』だけ。その下は固定されてるから、狙ってしまえばこっちのもんだぜ!」

 

ソウタが言う通り、フリー回転するのはギミックブレードのみ。

 

その土台になるアンダーブレードは固定されたまま。

 

先程の斜め打ちはそこを狙い撃ちするためのものだった。

 

自身の戦略を語る中、ソウタの体から謎のオーラが放たれる。

 

(……!)

(……何だこの感じ? まるで溢れんばかりの希望が体を伝うような……)

 

しかし、それを認識しているのは彼のみで、他は気づいていない様子だった。

 

(ハデスのフリー回転はギミックブレードで発揮される。アンダーブレードはその土台、そこを突くなんて……)

「見事よ、ソウタ」 

 

一方でメイは、ソウタの戦略を静かに称えた。

 

「タービュランスオーバードライブ!」

 

体勢が崩れたところを畳み掛けて、バーストフィニッシュに持ち込んだ。

 

「セイバードラグニル、バーストフィニッシュ! ソウタ君の勝利だ!」

 

「っしゃああ!」

(さっきのアレは気になるところだけど、今は結果を受けとめよう)

 

ソウタは自分の身に一瞬だけ起こったことを気にしつつも、目の前の勝利を喜ぶ。

 

「蒼龍ソウタ。あなたの実力、見させてもらったわ。あなたに賭けてみるのも悪くないわね」

 

「ありがとな。一時はどうなるかとヒヤヒヤはしたけど、中々に楽しかったぜ」

 

先程までの緊張感が一気に解ける。

 

しかし、メイはふと後ろを振り返って何かを思う。

 

(待ってて『お母様』。あの男の野望は必ず止めて見せるから……!)

 

神世メイとのベイバトルを制したソウタ。

 

しかし、エクストラブレードというベイの進化を目の当たりにしたのは事実。

 

彼らはそのステップを踏むことは出来るのだろうか。




__イメージCAST__

蒼龍ソウタ:小林千晃

門守バン:梶裕貴

一角ヒカル:小野賢章

焔ツバサ:榎木淳弥

神世メイ:竹達彩奈

瀬際勝:玄田哲章

ナレーション:森川智之

ベイブレード

デミスハデス.N8.WS
(ナローエイト・ワイドスパイク)
(ハデスモチーフのディフェンスタイプ。)

ディフェンスモード→ギミックブレードとアンダーブレードの凹凸が噛み合うことで固定。円形に近い形状となって守り抜く。

フリー回転モード→ギミックブレードを反転することで、アンダーブレードとの干渉がなくなる。フリー回転で相手の攻撃を受け流す。
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