ベイブレードNEO Season3   作:マツザキ蓮

20 / 22
ベイブレードNEO 第62話 青龍の帰還

天晶学園との戦いを制したソウタ達。

 

根尾杯もいよいよ大詰め、Dブロック代表との対戦となった。(ナレーション)  

 

「……」

 

「まだ落ち込んでのかよ……。確かに惜しかったけどよぉ」

 

轟から妨害をくらったとはいえ、征二狼を取り逃がした悔しさは拭えなかった。

 

「えぇー、生駒町長はまだ来ていません……。会場の皆さん、もうしばらくお待ちください」

 

一方で古面は生駒がその場を離れてしまったことに戸惑いつつも、観客席にアナウンスをし、彼の戻りを待つ。

 

――根尾開成国立競技場控室――  

 

ソウタ達は一旦、控室に戻ることにした。

 

関係者が行方をくらました以上、仕方のないことだ。

 

「お前達には話していなかったな。町長の『違和感』を」

 

「違和感?」

 

「思い出してみてくれ、ソウタ。町長は根尾杯開幕の挨拶の時なんて言っていた?」

 

控室ではヒカルが前々から感じていた、町長の違和感について話し出す。

 

「そういえば、ベイの歴史を『塗り替える』だなんてこと言ってたな……」

 

「そうだ。それに合の手にも違和感があった」

「普段の町長なら『えぇ』のはずなのに今回では『そうですね』と言っていた。この2つの違和感から俺は瀬際刑事に連絡し、調査してもらった」

 

「そういうことだったのか……」

 

「あの場で征二狼の名を叫んだのは『賭け』だ。まだ観客席にいるはずだから行ってみよう」

 

――観客席――

 

「瀬際刑事! それに聖も……!」 

「あれ? その人は……」

 

「町長だぜ、本物のな」

 

観客席にたどり着くと、そこには瀬際刑事と聖、生駒町長本人がいた。

 

「おぉっ! ……でも瀬際刑事、征二狼は……」

 

「逃げられてしまったよ……」

 

「えっ!?」

 

「私はやつの息子の神世轟にスタンガンで気絶させられた……。だから、気づいた時には……」

 

(そんな……轟お兄様まで来ていたなんて……!)

 

メイは兄の手がここにまで及んでいたことに動揺を隠せなかった。

 

「そうだったとは……」

「生駒町長、聞きたいことがあります。なぜ征二狼があなたに成り代わっていたのでしょうか?」

 

「私は帰り道にやつからベイを頭部に打ち込まれ、気絶した。服を奪われ、白髪染めも勝手に使われ、挙句の果てにベッドで放置されたんだ……」

 

「そんな……そんなことが……」

 

「さて、私はそろそろ実況の方へ行かなきゃいけない」

 

生駒は経緯を話した後、実況席の方へ向かっていく。

 

――根尾開成国立競技場――

 

「すみません、随分と遅れてしまいました」

 

「生駒町長!?……で良いんですよね?」

「……ですが念のため確認を」

 

ようやく現れた本物の町長だが、古面は確認と言って生駒本人に関する質問を次々と投げかける。

 

誕生日、就任した年月、根尾杯をテレビ放送している放送局、今年の打ち合わせ場所等本人にとっては簡単な内容だった。

 

「本物だ……。良かったぁ……」

「只今、生駒町長本人であることが確認されました。改めまして根尾杯最終戦、根尾中学校VS神世学園スタートです!」

 

彼の質問に全て正解した生駒は見事本人と認められ、古面も胸をなでおろした。

 

気持ちを切り替え、いつも通りの威勢の良い実況をし始める。

 

『根尾中学校、神世学園の代表生徒は直ちに集合してください』

 

「来たか」

 

「龍! 久しぶりだな! 俺、ずっとこの時を待って……」

 

「相変わらずだな、貴様のそういう所は」

 

龍太に敗北し、怪我を負っていたが早めに回復し、無事神世学園に復帰することが出来たのだった。

 

「だが俺もただ寝ていたわけじゃない……」

「龍の血族として貴様と対等に渡り合えるベイを作ってきた」

「それが『ナイトメアドラゴ』だ!」

 

龍は新たな進化を遂げたベイ「ナイトメアドラゴ」をソウタに見せる。

 

「すげぇ……! これが新しいドラゴ……!」

 

ソウタは瞳を輝かせ、バトルへの期待をより膨らませる。

 

「さぁ、それではいよいよ根尾杯決勝戦スタートです!」

「生駒町長、ルールの設定を……」

 

「必要ない」

 

「えっ……!?」

 

龍の「必要ない」という言葉に驚きを隠せない周囲の者達を他所に、指を上げながら言う。

 

「1VS1だ、蒼龍ソウタ。俺と貴様のな」

 

「龍、いきなり何を言って……」

 

「そうよ、ここはルールに従った方が……」

 

「規則に縛られながらするバトルは飽きた。それに奴のドラグニルがドラゴを超えられるかを見ておきたい」

 

「コウ、リン、ヤツの意思は本物だ。俺達は見守っていよう……」

 

「……いいぜ」

 

「ソウタ!?」

 

「生まれ変わったドラゴの力、俺に見せてくれ!」

 

ソウタは笑顔で龍の「1VS1」の対決を受け入れる。

 

最高のライバルの帰還に胸が踊っている証拠だった。

 

「えぇー、臨時ルールとなりますが蒼龍ソウタ選手VS皇龍選手のバトルを開始致します!」

 

臨時のルールとはいえ、血族……そしてライバル同士の戦いが幕を開けた。

 

バトル前、ソウタはドラグニルをヘビーモードにモードチェンジ。

 

ランチャーにセットし、準備完了の合図をした。

 

『Ready……Set!』

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

同じ次元へ進化した2つの「龍」。

 

今までのバトルとは想像もつかないほどのぶつかり合いを繰り広げる。

 

それぞれの回転方向が異なる故に起こる正面衝突。

 

ナイトメアドラゴはアルティメットドラグニルの回転を吸い上げていく。

 

「やっぱり強いな、その回転吸収……!」

「けど……俺も負けねぇぜ!」

 

ドラグニルの刃がナイトメアドラゴのブレードを弾いたその時、龍は少しだけ口角を上げた。

 

「フッ……」

 

「?」

 

「青ざめたな……」

 

「……ハッ……! ドラゴの3枚刃が動いた……!?」

 

ソウタが驚いた理由、それはドラゴの特徴である龍を模した3枚刃が小気味よい音を立てて動き出した。

 

「ナイトメアドラゴはブレードとメタルディスクが一体化した異端の龍。攻撃をすればするほどその牙は貴様に近づく」

 

龍の言う通り、攻撃をする度にナイトメアドラゴの3枚刃がどんどん動いていく。

 

「喰らい尽くせ、ナイトメアドラゴ!」

 

龍の声に呼応し、青龍のオーラが現れる。

 

「ナイトメアブロウ!」

 

強烈な一撃が炸裂し、ドラグニルは大きく弾き飛ばされた。

 

「ドラグニル!」

(これ以上の攻撃を食らったらバーストしちまう……! どうすれば……)

 

「ソウタ」

 

迫りくる危機に焦る中、ソウタの後ろから声がする。

 

しかし、その声はどこか懐かしかった。

 

「誰だ? ……!」

 

「……」

 

「爺ちゃん……!」

 

振り返るとそこには今はもう亡き祖父・蒼龍龍吾の幻影があった。

 

「な、何で……!」

 

「ソウタ。久しぶりだな」

 

「久しぶりだよ……! でも、何でここに……?」

 

「ワシがなぜここにいるかはどうでもいい。ソウタ、お前は今の状況をどう乗り越える?」

 

「どう乗り越える……。龍は確かに強い……けど、あいつがいたからこそ俺は成長できた。この勝負で今まで積み上げてきたものを示す! それが今の俺だ!」

 

「積み上げてきたものを示す……か。お前も龍二にそっくりだな。……最後に言っておく、失敗を恐れるな。転べばその分起き上がれ。何よりその身に宿る清き心を忘れるな。皇龍と天道シオンを救ったその心をな……」

 

そう言うと龍吾の幻影は消えていった。

 

「爺ちゃん……」

 

「もう終わりか?」

「ならば……貴様を悪夢の中に包みこんでやろう……!」

 

余韻に浸る暇もなく、龍は再びナイトメアブロウを叩き込もうとする。

 

「……来い」

 

そんな中、ソウタは囁くような声で「来い」と言う。

 

「!?」

 

「ほぅ……!」

 

周辺は騒然としていたが、龍だけは興味深そうな表情を浮かべる。

 

「但し、受け止めるのは『こっち』だ」

 

「何…!?」

 

ナイトメアブロウをレガシーギアのディスク部分で受け止めた。

 

「こ、これは……! アルティメットドラグニル! ギア部分でナイトメアドラゴのアタックを受け止めたーーッ! ここから巻き返しとなるのでしょうか!?」

 

(咄嗟にナイトメアブロウをギアで……しかもこの動きは……!)

(蒼龍ソウタ、やはり貴様は我が好敵手《ライバル》に相応しい……!)

 

「サンライトストライク!!」

 

ディスクによるバウンド攻撃でナイトメアドラゴの3枚刃を動かし、バーストフィニッシュ。

 

龍はどこか嬉しそうな笑みをたたえていた。

 

『アルティメットドラグニル、バーストフィニッシュ! 根尾中学校の勝利!!』

 

「決まったぁぁーーッ!! 蒼龍ソウタ選手、皇龍選手との戦いに見事勝利しました!! そして、今大会の優勝校は……根尾中学校となりましたーーッ!!」

 

「よっしゃぁぁぁぁ!」

(ありがとな、爺ちゃん……)

 

ソウタは空を見上げ、祖父に礼を言う。

 

幼き頃に別れた家族との限られた時間での再会に彼は目を潤ませていた。

 

「ソウタ、貴様になら龍の血族として背中を預けられる」

「全てが終わった時には再びこの俺と戦ってもらうぞ」

 

「ああ!」

 

互いに言葉を交わした後、神世学園の面々は去っていく。

 

――根尾中ベイブレード部部室――

 

閉会式を終え、ソウタ達は学校へ帰ってきた。

 

「いやぁ、根尾杯初出場にして優勝しちゃったなぁ」

「色んな奴らと戦えて楽しかったし……」

 

「だが神世家や眷属の件がまだ残っている。浮かれている時間はない」

 

ヒカルは真剣な表情で今後のことについて注意喚起をし、改めて気を引き締めるよう促す。

 

「それは……知ってるよ」

「ん?」

 

そんな中、ソウタは部室の窓に紙らしきものが挟まっていることに気づく。

 

「なんだろう?」

「! ……これは!」

 

――

こんばんは根尾中ベイブレード部。僕は神世家長男・神世轟。根尾杯優勝おめでとう。いきなりだけど根尾杯のスタジアムにはエネルギーを貯めるための細工がしてあったんだ。そのエネルギーは僕達と眷属の強化に使わせてもらったよ。お陰様でかなりのパワーが得られた。僕達は創星学園で待っているから、来たければ来なよ。さぁ、始めようじゃないか。僕達の正義と君達の正義の『戦争』を

――

 

その紙は神世轟が書いたもので、そこには根尾杯のスタジアムへの細工とソウタ達への「挑発」が含まれていた。

 

「スタジアムに細工だって……!? しかもそれで強化した!?」

「コイツラ、完全にこの世界を奪う気だ……! やってやるさ、お前らの思い通りにはさせねえ! 俺達がこの世界を守ってみせる!」

 

ソウタは自身の知らないところでの所業に対し、怒りに震えるも、この世界を守るという決意をいっそう強めた。

 

――創星学園――

 

「月が輝くいい夜だ。楽しみだ、この世界が変わる瞬間が……!」 

 

根尾杯を制し、自分達の実力を証明した根尾中学校。

 

しかし、次に控えるのは世界を賭けた「最終決戦」。

 

神世家と眷属、そして古代の厄災との戦いの火蓋が切って落とされた。(ナレーション)




__イメージCAST__

蒼龍ソウタ-小林千晃

一角ヒカル-小野賢章  

神世メイ-竹達彩奈

瀬際勝-玄田哲章

剣山聖-小野友樹

生駒柊斗-遊佐浩二

古面定太-小野坂昌也

皇龍-諏訪部順一

水城コウ-内山昂輝

華炎リン-沼倉愛美

蒼龍龍吾-塩屋翼
(髪型:銀の短髪/目の色:黒)
(ソウタの父方の祖父。故人。)

神世轟-石田彰

ナレーション-森川智之

ベイブレード

ナイトメアドラゴ.J
(ジョルト)
(青龍モチーフのアタックタイプ。爆転シュートベイブレードのドラグーンとベイブレードバーストのロンギヌスのオマージュ。)
(備考:左回転)

ディスク一体型ブレード:ナイトメアドラゴ

外周の龍を模した3枚刃が可動し、高火力の攻撃を叩き込む。外周にラバー刃が搭載されていて回転吸収も出来る。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。