ベイブレードNEO Season3   作:マツザキ蓮

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最終決戦編
ベイブレードNEO 第63話 逆襲の海神


根尾杯最終戦、神世学園の皇龍と1VS1のバトルをしたソウタ。

 

エクストラブレード機構を引っ提げて帰ってきた「ナイトメアドラゴ」の異端なギミックによるぶつかり合いは熾烈を極めた。

 

そんな中、祖父の幻との対話で自身の本音を吐露。

 

それを皮切りに勝機を掴み、龍に勝利を収めた。

 

同時に神世轟から世界を賭けた挑戦状がベイブレード部のもとへ届いたのだった。(ナレーション)

 

――蒼龍家――

 

根尾杯を優勝してから翌日、ソウタは朝食を摂り、学校へ向かう準備をしていた。

 

いつも通りで身支度をする両親の様子を見て、何気ない光景が愛おしく感じられた。

 

――

『父さん、母さん、話したいことがあるんだ』 

 

『話したいことか。……お前の真剣な顔を見るのも久しぶりだ』

 

『これを……』

 

彼は昨夜、両親に「アレ」を見せることにした。

 

『……!!』

 

―― こんばんは根尾中ベイブレード部。僕は神世家長男・神世轟。根尾杯優勝おめでとう。いきなりだけど根尾杯のスタジアムにはエネルギーを貯めるための細工がしてあったんだ。そのエネルギーは僕達と眷属の強化に使わせてもらったよ。お陰様でかなりのパワーが得られた。僕達は創星学園で待っているから、来たければ来なよ。さぁ、始めようじゃないか。僕達の正義と君達の正義の『戦争』を ――

 

ソウタが見せた「アレ」、それは部室の窓に挟まっていた轟からの挑戦状。

 

大会での暗躍とベイブレード部に向けた挑発に両親は絶句した。

 

『そうか……。奴らもとうとう動き始めたか』

 

『うん……。アイツラはこの世界を本気で手に入れるつもりだ。俺達にとっても長い戦いになるかもしれない』

 

『ソウタ……』

 

『母さん、これから先は負けられない戦いがずっと続いていくのは確かだ。けど、俺にはアイツラが……仲間達がいる。そいつらがいる限り、俺は一人じゃない。だから……安心してくれ……!』

 

息子の先を案ずる母の心境を察知し、澄んだ瞳とともに力強い言葉を投げかける。

 

『ええ……!』

 

『その意気だ! ソウタ、アイツラに見せてやれ『ブレーダーの魂』というものを!』

 

龍二と龍海は、ソウタの成長に温かい笑みを浮かべる。

 

重々しかったリビングの空気は一気に心地よいものへとなった。

――

 

昨夜の出来事を振り返り、靴を履く。

 

出発の準備が整った。

 

微笑をたたえ、はっきりとこう言う。

 

「行ってきます!」

 

アスファルトを踏みしめ、学校の方まで駆け抜けていく。

 

――根尾中ベイブレード部部室――

 

学校に着き、暫くして迎えた昼休み。

 

生徒たちが行き交う中、ソウタは部室の方へ足を運ぶ。

 

「来たか」 

 

彼が来た頃にはバン、ヒカル、ツバサ、メイが集まっていた。

 

「ああ……。とうとう神世家と眷属達との戦いが……」

「皆! この戦い、全員で乗り越えようぜ!!」

 

緊張感が体を伝う中、ソウタが4人に発破をかけ、拳を高く突き上げる。

 

彼らも息を合わせて拳を高く突き上げた。

 

そんな中、一人の生徒の悲鳴が5人の鼓膜を揺らす。

 

「うわぁぁ、侵入者だ!!」

 

現場に駆けつけると、そこにはバイザーをつけた謎の少年少女達が突っ立っていた。

 

「な……、何だコイツラは!?」

 

「根尾中ベイブレード部、我々と勝負しろ」

 

謎のブレーダー達はソウタ達に勝負を申し込むも、その話し方はどこか機械的だった。

 

「どうやらやるしかないようだな……」

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

「量産機か……」

 

ヒカルの分析通り、バイザーのブレーダー達から放たれたベイは全て既存のモデルだった。

 

性能も元のベイと変わりはない。

 

「だが、数で押せばいいってわけじゃない」

 

根尾中ベイブレード部はそれぞれのベイで相手を一掃する。

 

その直後のことだった。

 

バイザーの方から歪な音が鳴り、不快な爆発音とともに機能停止。

 

更にはそれを身に着けたブレーダー達が一斉に倒れた。

 

「何だッ!?」

 

「うぅっ……」 

 

どうやら彼らの正体は、操られた創星の生徒だったようだ。

 

その証拠に壊れたバイザーには創星学園のマークが印刷されていた。

 

「どうやらコイツラはただの創星の生徒だな。無論、操られていたのは確かだが……」

 

「罪のない生徒たちまで巻き込むなんて…たちの悪い連中だ」 

 

神世家のやり方に一同は怒りをにじませる。

 

そんな中、彼らのもとにドローンが近づく。

 

「な……何だ……? 」

 

地面に向けて光が投影され、見覚えのある映像が映し出される。

 

「お久しぶりですね、根尾町の皆さん」

 

その映像は神世征二狼だった。

 

「征二狼……!!」

 

町中に広範囲に映し出されたその姿に、町民達は一斉にざわついた。

 

「私からのサプライズ、いかがでしたか?」     「根尾町全体に創星の使徒を派遣いたしました。彼らには究極のプロジェクト・『世界新展開』のお手伝いをさせています」

 

「せ、世界新展開……!?」

 

「コマ遊びに夢中になっている、このダラケきった世界を『ソラナキ』様の手で畳み、神を尊び権力を奪い合う世界へ再構築する……素晴らしい『新時代』の幕開けが今ここに……!」

 

顔に手を当て、狂気的な笑みを浮かべながら自身の目論見を語る。

 

それを聞いていた町民達は当然、不気味に思うが……。

 

「ふざけんじゃねぇ! お前らに都合の良い世界だなんてゴメンだ! 皆の日常は誰にも奪わせねえ!!」

 

ソウタが威勢の良い声で彼に向かって啖呵を切った。

 

「邪魔しても構いませんが果たして全部片付けられますかね?」

「フフ……ッ!」  

 

挑発の笑みとともに立体映像が消えた。

 

しかし、次々とバイザーのブレーダー達が迫ってきた。

 

「創星学園に向かおうと思った矢先にこれかよ……!」

 

それにも関わらず、一斉にベイをシュート。

 

もはやベイ自体が一種の兵器となる中……。

 

「そんなに遊んでほしいなら僕達が遊んであげるよ」

 

見覚えのあるベイ達が彼らのベイを蹴散らしていった。

 

「あっ、お前らは……!」

「天晶学園……!」

 

駆けつけたのは龍真達、天晶学園だった。

 

「蒼龍ソウタ、君は龍の血族の『代表者』だ。今のうちに向かうべきところへ進みなよ」

 

「ああ!」

「けど、なんで俺達の場所が……」

 

「同じ血族同士なんだ、離れていても自然とその場所へ向かっていくもの……つまり、『勘』さ」

 

龍真曰く、血族故の「勘」だという。

 

「そっか……。じゃあ、行ってくるぜ」

 

――創星学園――

 

天晶学園の面々に使徒の対処を任せ、遂に創星学園へたどり着いた。

 

「ここへ来るのも随分久しぶりだ……。待ってろよ! 征二狼、轟!」

 

「君達の顔を見るのも久しぶりだね……」

 

1階に入って早速、第一の刺客が現れた。

 

「お前は……神世カイ!」

 

「……」

 

ソウタ達の目の前に現れたのは神世家次男・神世カイ。

 

しかし、その表情はどこか暗かった。

 

「お前がソラナキの眷属を………」

 

「教えて、カイお兄様。なぜあの怪物達を………?」

 

メイからの質問にカイは洗いざらい話す。

 

「君達に負けてから僕はお父様、轟兄さんからの信頼を失った」

「轟兄さんは僕に半ば脅しをかけてソラナキの眷属を解放させた………」

「そうすれば再び認めてもらえる………! その思いでやって、認めてもらえることに成功したよ」

 

話していく内にカイの表情は曇っていった。

 

「けど………、これで良かったのかも分からなくなってきたんだ……」 

「だから君達に勝って完全なる信頼を……!」

 

彼は家族からの信頼に取り憑かれているような様子を見せる。

 

心なしかウェーブポセイドンを持つその手は震えていた。

 

「カイお兄様……」

 

「メイ、俺がやる」

 

「ソウタ……!」

 

「カイ、お前の迷いはドラグニルで断ってやる」

 

ソウタは一歩前に出て、カイとの対戦に臨む。

 

「……」

 

カイはウェーブポセイドンをアッパーモードに、ソウタはドラグニルをフュージョンモードにモードチェンジする。

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

ドラグニルとポセイドンはどちらもアタックタイプ。

 

それ故に開始早々、小突くような音が連続してスタジアムに反響した。

 

(心なしか攻撃力が上がっている…?)

 

そんな中、ソウタはポセイドンの攻撃力が上がっていることを感じ取る。

 

「根尾杯の時に集まったエネルギーをポセイドンに適用したんだよ……」

「それによってポセイドンはパワーアップを遂げた」

「見せてあげよう……!ポセイドンの真価を!」

 

カイの声に共鳴し、ポセイドンのオーラが現れる。

 

「ウェービングラッシュ!!」

 

ポセイドンのギミックブレードがドラグニルに連打攻撃を繰り出す。

 

「ソウタ!!」

 

「これで全てが終わる……」

 

勝ちを確信したのか、歪んだ笑みを浮かべ始める。

 

しかし……。

 

「……いや、まだだ」

 

「!!」

「あんなに攻撃を受けてまだ倒れてない!?」

 

ドラグニルの回転力はまだ残っていた。

 

それを見てカイは一気に焦りだす。

 

「確かにお前の攻撃は強力だった……」

「けど……忘れてはいないか?」

「俺がなんのためにこのモードにしたのか……」

 

「まさか……!!」

「ラバー刃でポセイドンの攻撃を受け止めつつ、メタル刃で反撃をするために…!」

 

ソウタはこの作戦のためにあえてポセイドンの攻撃を受けきっていた。

 

更にはそのお返しかのようにドラグニルの軸先が格納した。

 

加速をし始めたドラグニルを受け切る余力はポセイドンにはもう残っていなかった。 

 

(蒼龍ソウタ……これが彼の強さ……!)

 

「カイ、これで最後だ……!」

「フュージョンスラッシュ!!」

 

スタジアム内をいっせいに駆け抜け、ポセイドンへ激突。

 

その衝撃に耐えられなかったのか、全てのパーツがバラけた。

 

「あぁっ……!」

「そんな……。負けてしまったのか……僕は」

「家族からの信頼を取り戻せたと思った矢先に……」

 

2度目の敗北にカイは膝をついて項垂れる。

 

そんな中、彼のもとにメイが近づいてきた。

 

「カイお兄様……あなたが必死だったってことはよく分かったわ」 

「だからここを離れてあの人の達のことは……」

 

彼女はカイに向かって、征二狼達のもとを離れるよう提案をする。

 

「何を言っているんだい? メイ……」

「僕に情けをかけたつもりかい?」

 

それに対し、戸惑いの表情を向けるが……。

 

「情けじゃないわ、私はカイお兄様と仲直りをしたい。あなたの妹として……」

 

「……メイ」 

 

妹の本心からの考えであることを察知したのか、彼女の方へ一歩踏み出すその時だった。

 

「おやおや、どういうつもりかな。カイ?」

 

「!!」

 

「轟兄さん!! ……グッ……!!」

 

「まさか裏切ろうって魂胆じゃないだろうね」 

 

神世家長男・神世轟が現れ、突如としてカイの首根っこを掴む。

 

「悪い子にはお仕置きが必要だ」

 

「メイ……、僕に構わないでくれ……。けど……最後に一つだけ言いたい……。僕はどこで道を踏み外したのだろうか、いつから君と対立するようにまで……。すまない……」

 

カイはどんどん轟の方へ取り込まれていく。

 

そしてあっという間に彼の肉体は、轟に吸収された。

 

「カイお兄様!!」

 

メイの叫びには、何が起こったのか分からない戸惑いと兄の所業に対する怒りが込められていた。

 

「テメェ……! カイに何をした!」

 

そんな中、ソウタが激昂しながら彼のもとへ近づく。

 

「何って、吸収だよ。ルシフェルからこの力を貰ったんだ、裏切り者には制裁を加えろってね」

 

「だとしても自分の弟だろ……! お前には人の心っつーのがねぇのかよ……!」

 

轟の能力はルシフェルから「裏切り者への粛清」として分け与えられたものだった。

 

「お父様のご意思に反したから当然じゃないか」

「不服なら残りの者全員倒してきてから向かいなよ」

 

轟は余裕の笑みを浮かべながら、その場を後にした。

 

「当然だ! 直ぐに追いついてやるぜ!」

 

拳を握り、次の階層へ向かっていく。

 

再び神世カイと相対したソウタ達。

 

勝利を収め、彼に前を向かせようとした寸前に起きた悲劇。

 

それでも世界を守るために退くことはしない。(ナレーション)




__イメージCAST__

蒼龍ソウタ-小林千晃

門守バン-梶裕貴

一角ヒカル-小野賢章

神世メイ-竹達彩奈

蒼龍龍二-小山力也

蒼龍龍海-井上喜久子

金山龍真-櫻井孝宏

神世征二狼-遊佐浩二

神世カイ-興津和幸

神世轟-石田彰

ナレーション-森川智之
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