ベイブレードNEO Season3   作:マツザキ蓮

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エクストラブレードの秘密編
ベイブレードNEO 第47話 創造主


聖永学園に来た神世カイを嘗ての仲間であるマイとともに退けたベイブレード部。

 

彼らはエクストラブレードのルーツについて調査していた。(ナレーション)

 

「エクストラブレード……。この斬新な機構を誰が思いついて、どうやってヤツラが作れたんだ……」

 

ヒカルはエクストラブレードの機能を誰よりも興味深そうにしていた。

 

「だが、エクストラブレードの設計図的なものを神世家が所持している可能性が高い」

「メイ、それについて何か知っていることはないか?」

 

バンはエクストラブレードの設計図があるか、それについてメイに問いただす。

 

「私が知っているのはハデスの設計図を与えられたことだけよ。恐らくその設計図ってのはお父様が管理していると思うわ」

 

彼女が言うには、自身に与えられたのはハデスの設計図のみ。

 

エクストラブレードの本質に迫る設計図は、征二狼が持っている可能性が高いという。

 

「やっぱり、征二狼のヤツはそう簡単には見せないか」

 

参ったなと言わんばかりに、ソウタは頭を少しだけ掻いた。

 

そんな中、部室のスピーカーからチャイムが鳴る。 

 

「もう帰りの時間か、進展が見込めないな……」

 

進展がないことにヒカルは不満を漏らす。

 

「仕方がない、今日は解散だ」

 

惜しむような顔で、解散を宣言。

 

各々、荷物を手に取り、部室を後にするのだった。

 

――根尾通り――

 

(あの場所に戻りたくない……。はぁ、生まれる場所が違ったら私は幸せになれていたのかしら……)

 

メイは下を向きながら、心のなかでそう呟く。

 

彼女にとって家へ戻るための足取りは、常に重く感じていた。

 

その直後……。

 

「おっと……!」

 

「痛っ……!」

 

誰かとぶつかり、その拍子にハデスがポケットから転げ落ちる。

 

「ちょっと、どこ見て歩いて……!」

「えっ……!」

 

怒りながら顔を見上げた瞬間、その顔は一気に赤面へと変わった。

 

「それはすまなかった、怪我はないかい?」

 

「もしかして、あなたは……!」

「キング・ジン!」

 

黒いジャケットに身を包んだ、カーリーパーマの男。

 

その顔を見て、メイは彼を「キング・ジン」と呼ぶ。  

 

そうなのか、そうでないのかドキドキしながら、返答を待った瞬間。

 

「イエス、大正解だ」

 

「ほ、本物ーー!?」

「まさか本物のキング・ジンに会えるなんて……!!」

「私、ファンなんです! 先月リリースされた新曲、『Seeker』も聴きました!」

 

本人であることが分かった瞬間、彼女は重い足取りを忘れるほどのはしゃぎ具合を見せた。

 

「それは嬉しいなぁ、ところで君。名前はなんて言うのかな?」

 

「神世メイです!」

 

瞳を輝かせながら、はっきりと自分の名を名乗った。

 

「メイちゃんか……、いい名前だ。覚えておくよ」

「そうだ、何か書くものとかあるかな。アーティストの礼儀としてサインをあげよう」

 

「は、はい……!」

 

メイは興奮冷めやらぬまま、カバンからノートを取り出す。

 

彼にそれを渡す際の手は僅かに震えていた。

 

ジンが握ったペンは、彼女のノートに疾走感のある音を立てながら、彼の名を書き記す。

 

そして、上機嫌でそれを受け取った。

 

「あぁ……、幸せ……」

 

「そうだ、これ。君の大切なものなんだろう」

 

ハデスを拾い上げ、ハンカチで汚れを拭き取る。

 

新品のような輝きを持ったそれをメイに手渡す。

 

「ありがとうございます……!」

「ところで、キング・ジンがこの町に来た理由は……?」

 

礼を言った後、この町へ来た理由を尋ねる。

 

「あぁそれはね……、実は大事なものを失くしちゃって……」

 

「大事なもの……ですか?」

 

彼曰く、大事なものを失くしたというが……。

 

「イエス、実は我がクリエイトノートこと『エクストラブレード機構の秘伝書』を失くしてしまったんだよ……」

 

「えっ……!?」

(エクストラブレード機構の秘伝書……!? まさか、カイお兄様のポセイドンはそこから……!?)

 

なんとそれは、エクストラブレードについて書かれたノートだという。

 

思わぬ持ち主もとい創造主にメイは驚きを隠せなかった。

 

「ち、ちなみにいつから失くなったとかは……?」

 

「……あれは公園で一休みしている時だった……」

 

空を仰いだ後、何があったかを思い返す。

 

――

 

『次の新曲を考えるための休憩《リフレッシュ》と行こうか』

 

ベンチにもたれかかり、鼻歌を口ずさんだ途端の出来事だった。

 

公園にいい匂いが漂い、ジンの鼻を通過する。

 

『……! この匂いは……』

『ポップコーンの匂いだーーッ!』

 

ポップコーンの匂いにつられて、店の方に駆け込んだ彼。

 

しかし、ベンチにはあの秘伝書があった。

 

――

 

「私としたことがポップコーンの匂いにつられて、秘伝書を置いてきてしまった。恐らく、誰かがそれを見つけたのだろう」

 

「それはお気の毒に……」

(いやいや、待って! そんな一面があったなんて……! 高いダンス力と歌唱力……私達から見れば、遥か遠くの存在だと思ってた、けどそれを聞いたらもっと推したくなっちゃうじゃん!)

 

胸の高鳴りは止むことなく、更に加速する。

 

遠い存在だと思っていたスーパースターが目の前にいることはもちろんだが、思わぬ一面を覗いた瞬間、更なる高揚感が彼女の頭を支配した。

 

「それなら……、心当たりがあります」

 

「おっ! 心当たりが……!」

 

「ですがもう暗いので……。明日、根尾中学校に来てくださいますか?」

 

「OK、根尾中学校だね」

「それでは、また会おう!」

 

超有名歌手、キング・ジンと出会い、最高潮のメイ。

 

ジンも根尾中に来ることを彼女と約束した。

 

――根尾中ベイブレード部部室――

 

「〜〜〜♪」

 

「メイ、どうしたんだ? 今日はやけに元気だな」

 

翌日、部室内でとびきりの笑顔で鼻歌を口ずさむメイ。

 

それを見て、ソウタは何があったのかを聞いた。

 

「今日はあのスーパースター『キング・ジン』がここに来るのよ!」

 

「へぇ〜。…………え?」

「えーーーーーッ!?」

 

サラッと出た情報に、部室に反響するほどの驚愕っぷりを見せつける。

 

「おいおい、キング・ジンっていったら1stアルバムの『Scary Night』は売上枚数5500万枚の超大ヒット……、ライブチケットも完売必死の生ける伝説じゃねぇか!! 本当にここに!?」

 

「えぇ、そうよ。もうすぐここに……」

「あっ、来たわ……!」

 

窓をチラッと眺めた直後、黒い高級車が校門前に止まる。

 

「なんだなんだ……!?」

 

「一体誰かしら……?」

 

次々と校舎内から生徒達が溢れ出る。

 

校庭は一気にそれで満たされた。

 

そんな彼らの前にキング・ジンが車から降りてきた。

 

「やあ、皆」  

 

「キャーーーーーッ!」

「キング・ジンよ!」

「本物!?」

 

彼が校庭に足を運んだ瞬間、そこには黄色い悲鳴が鳴り響いた。

 

「お出迎えご苦労さま、子猫ちゃん達」

 

「はわわ……! ありがとうございます!」

 

「やっぱりすげぇ人気だな……」

 

ソウタ達も続いて校庭の方へ出てくる。

 

そんな中、ジンも彼らの方に気づいた。

 

「おっ……! 君が蒼龍ソウタ君か……」

「お噂はかねがね伺っているよ」

 

「ど、どうも……」

 

「ん〜〜〜! 感じる、感じるよ! 君のベイが魂《ビート》を刻みたいと言っている……」

「それでは早速案内してもらってもいいかな?」

 

尋常じゃない緊張感がありながらも、部室にまで案内をする。

 

「ところで、メイ」

 

「何かしら?」

 

「お前どうやってキング・ジンと……」

 

「昨日の帰りに偶然出会ったのよ。なにやら探し物をしていたから」

 

「探し物?」

 

面と向かって2人が話し合う中、ジンが口を開く。

 

「それは私が説明しよう」

 

その瞬間、5人の視線は一気に彼のもとへ集中した。

 

「実は大切な『エクストラブレード機構の秘伝書』を失くしてしまったんだよ」

 

「エクストラブレード機構の秘伝書!?」

 

メイを除いた4人は一斉に驚愕。

 

思わぬ関係者の登場に冷や汗まで流した。

 

「私はファンとの交流こそ、真の礼儀だと思っている。かわいいファン達がベイブレードにどんどん興味を示していき、私も交流の一環としてその世界へのめり込んでいった。次第に楽しくなっていった私は遂に『エクストラブレード機構』を独自で開発した。そして記したんだ、『エクストラブレード機構の秘伝書』に」

 

「そういうことだったのですか……、ではなぜ紛失を……」

 

「あぁ、君達にはまだ言ってなかったな。次の新曲を考えるついでに公園で休んでいたら、ポップコーンの匂いがしてね。それに釣られるがままベンチに秘伝書を置いてきてしまったんだ……」

 

(あぁ……、やっぱりこのギャップがいい……!)

 

「えぇ……」

 

ソウタ達は顔を引きつらせながら困惑したが 、メイは相変わらずだった。

 

「ちなみにそれがないとやはり……」

 

「イエス……、凡ミスとはいえあれがなければ『王』は輝けないんだ……」

 

そう言って肩を落とし、顔に手を当てる。

 

その時のことだった。

 

「!?」

 

部室に設置されたテレビに砂嵐が巻き起こる。

 

「な……なんだ!?」

 

次第にそれも安定した瞬間……。

 

「ごきげんよう、根尾中ベイブレード部。そして、メイ」

 

「征二狼!!」

 

「お父様……!!」

 

画面から現れたのは神世征二狼だった。

 

「エクストラブレード機構……ご堪能いただけましたか? この機構は『エクストラブレード機構の秘伝書』というものからインスピレーションを得たものです」

「いやぁ、公園にこんな興味深い代物があったとは……嬉しい限りです」

 

「待てぇ、それはキング・ジンの……!」

 

「ですが、あなた達は納得していないのでしょう……!」

「ならば、創星学園に来なさい。創星学園の試練『ベイ100機VS根尾中ベイブレード部とメイ。合計5機』の勝負をクリア出来たら返してあげましょう」

「その怒り顔が泣き顔になるのが楽しみです……!」

 

挑発的な言動をした後、テレビの画面が一瞬で消える。

 

「何だって……! 征二狼のヤツ、ジンの情熱を踏みにじりやがった……!」

 

「しかし……ベイ100機VS5機。このままでは勝てるビジョンが浮かばない」

 

ソウタは拳を握りしめるほどの怒りを見せる一方で、ヒカルは試練の内容に対し、打つ手無しと考えてしまう。

 

そんな中……。

 

「それなら私も同伴しよう」

 

「!!」

 

「私の愛を盗むことは、ファンの愛を盗むことと同義……! 王の力、ここで知らしめる!」 

 

ジンも名乗りを上げ、創星学園の試練に同伴することを決意する。 

 

「キング・ジン……!」

 

「よし、行こうぜ! 皆!」

 

ソウタ達は創星学園を目指して、出発するのだった。

 

遂に現れたエクストラブレードの創造主。

 

しかし、そこにも邪悪の手が迫っていた。

 

ソウタ達は果たして「秘伝書」を取り戻すことは出来るのか。(ナレーション)

 




__イメージCAST__

蒼龍ソウタ-小林千晃

門守バン-梶裕貴

一角ヒカル-小野賢章

神世メイ-竹達彩奈

キング・ジン-子安武人 
(髪型:黒のカーリーパーマ/目の色:オレンジ)

神世征二狼-遊佐浩二

ナレーション-森川智之
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