俺の異能が中華ゲーだった ~34歳無職、ガチャで引いたキャラに変身して働きます~   作:パラレル・ゲーマー

42 / 76
第42話 手足も心臓もない吸血神、初実戦です

 王宮の地下。複雑に入り組んだ石造りの通路を、一人の銀髪のメイドが疾風のごとく駆け抜けていた。

 

『《静刻歩》』

 

 音が消え、世界が完全に停止している。

 空中に舞い散る埃も、壁に掲げられた松明の炎も、巡回する完全武装の警備兵たちの瞬きすらも、全てが氷のようにピタリと凍りついている。

 

 エレノア・ヴァイスは、その静止した白黒の世界の中を、一切の迷いなく一直線に進んでいく。

 先ほどまでノア・ヴァレリウスとのやり取りの中で見せていた、直哉らしい葛藤や人間味は、今の彼女の顔には微塵も浮かんでいない。

 

 御影千里の観測によって正確に割り出された、ヴァルター・フォン・クロイツの現在位置。

 そこへ到達するための最短ルートだけを、ただ機械的になぞり続ける。

 

 もはや、隠密行動を維持する必要はなかった。

 これは、時間との勝負だ。

 停止した警備兵たちの間をすり抜け、長い螺旋階段を一気に駆け上がり、厳重に封鎖された分厚い扉のロックを破壊して強引にこじ開ける。

 

 王宮の中枢へと続く、巨大な通路を走る。

 途中に立ち塞がる親衛隊の精鋭たちには、目もくれない。

 

 そして。

 通路の最奥にそびえ立つ、異様なほど重厚な両開きの扉の前に到達した。

 

 本来ならば、アルビオン王家の血を引く者だけが管理を許されている、アルビオン吸血鬼公国の『国家境界機構』の最深部。

 

 エレノアは、その扉に手をかけた。

 

 《静刻歩》、解除。

 世界が、再び動き出す。

 

 重い音を立てて、巨大な扉が左右に開かれた。

 

 そこに広がっていたのは、広大で異様な空間だった。

 

 王宮の地下深くに位置しているはずなのに、天井は空が見えそうなほどに高く設計されている。

 空間の中央には、王家の人間が国を統治するために作られた、古い石造りの《中枢玉座》が鎮座している。

 だが、その玉座の周囲は、醜悪な機械と太い管で埋め尽くされていた。

 

 玉座から、無数の太い配管、制御用の導線、そして巨大な境界安定化の設備が、まるで生きた血管のように放射状に部屋の隅々へと伸びている。

 アルビオン王家が本来使用してきた境界安定化設備。その周囲へ、真新しい増設設備と、本来なら使われないはずの旧式の予備設備が異様な形で接続されていた。

 その全てが、無理やり一つの中枢の玉座へと集められ、空間そのものが低く唸るような重低音を放っていた。

 

 そして。

 その玉座に、一人の男が座っていた。

 

 ヴァルター・フォン・クロイツ公爵。

 

 彼は、重い扉を開けて入ってきたエレノアの姿を見ると、僅かに目を細めた。

 

「……なるほど」

 

 エレノアは、扉から数歩進んだ位置でピタリと足を止めた。

 

 クロイツが、冷たい声で告げる。

 

「アメリカの手の者か」

 

 エレノアの表情は、一ミリも動かない。

 

「なぜ、そのように?」

 

 クロイツは、鼻で笑った。

 

「この時機に、外部の者が王宮の最深部まで入り込み、真っ直ぐ私の前へ現れた」

 

 玉座の肘掛けへ、ゆっくりと指を置く。

 

「そして、アルフォンスが外へ助けを求めるとすれば、真っ先に頼るのはアメリカだ」

 

「ならば、候補などそう多くはない」

 

 エレノアは、静かに答えた。

 

「公王陛下は、すでにあなたの手を離れております」

 

 クロイツの表情が、ほんの僅かに止まった。

 

「……そうか」

 

 だが。

 すぐに、その口元へ冷たい笑みが戻る。

 

「ならば、なおさら構わぬ」

 

「あの男の役目は、すでに終わっている」

 

 玉座の周囲に接続された無数のケーブルが、不気味に明滅する。

 王を幽閉したあの地下牢で、すでにこの巨大な機構を起動させるために必要な『王権の認証』は、全て奪い尽くしていたのだ。

 

 エレノアが、一歩、前へ出た。

 スカートの裾をつまみ、完璧で優雅な礼をする。

 

「申し訳ございませんが」

 

 顔を上げる。その瞳には、絶対零度の冷気が宿っていた。

 

「あなたの野望は、ここで止めさせていただきます」

 

 クロイツが、声を出して嘲笑した。

 

「その程度の者が」

 

 見下すような目で、細身のメイドの姿を見る。

 

「私に、何ができる?」

 

 エレノアの両手の指の間に、銀色の鋭いナイフが数本、シャキッと音を立てて展開された。

 

「では」

 

「可能な限り、足掻かせていただきましょう」

 

 エレノアの姿が、かき消えた。

 

『《静刻歩》』

 

 時間停止。

 クロイツの嘲笑も。点滅する巨大な設備も。空間を震わせる空気の振動も。

 一瞬にして、全てが白黒の静止した世界へと変わる。

 

 エレノアだけが、その世界を歩く。

 

 玉座に座るクロイツの背後へ回り込む。

 

 そして。

 

『《銀刻陣》』

 

 クロイツの周囲へ。

 一本。二本。十本。数十本。

 無数の銀色のナイフが、音もなく空中へと生成され、配置されていく。

 

 頭。首筋。心臓。両腕の関節。死角となる背後。

 逃げ道は、一切ない。

 

 さらに、エレノア自身もクロイツの背後へと立ち、その鋭いナイフの切っ先を、彼の頸動脈へとピタリと突き立てた。

 

 そして。

 能力を、解除する。

 

 一瞬にして。

 空中に静止していた無数の刃が、クロイツの全身へと向かって殺到した。

 

『カァァァァァァンッ!!!』

 

 凄まじい金属音が、中枢の空間に響き渡った。

 

 だが。

 クロイツの身体には、一本のナイフも刺さっていなかった。

 彼の身体の周囲から、突如として噴き上がった『暗赤色の強固な障壁』が、数十本のナイフと、エレノアの直接の刺突を、全て完全に弾き飛ばしていたのだ。

 

 クロイツ本人は、ほんの少しだけ眉を動かした程度だった。

 

「……なんだ?」

 

 周囲の床に散らばったナイフを見る。

 

「今の刃は、どこから現れた?」

 

 クロイツは、時間が停止していたという事実に気づいていない。

 だが、その表情からは、先ほどまでの嘲笑がわずかに消えていた。

 彼は片手を《中枢玉座》の肘掛けへ置く。

 それに応じるように、玉座へ繋がる設備が低く脈動した。

 

 エレノアは、何も答えない。

 即座にバックステップで距離を取り、再び踏み込んだ。

 

「《静刻歩》」

 

 世界が止まり――かける。

 

 だが。

 

『ビシッ』

 

 空間そのものに、巨大な亀裂のような異常が走った。

 

 中枢玉座。

 クロイツ。

 そして、彼の周囲の数十メートルの空間だけが。

 

 白黒の世界に染まらず、元の色彩を持ったまま『動いて』いる。

 

 クロイツが、玉座からゆっくりと立ち上がった。

 静止した世界の中で。彼は、エレノアの方を見た。

 

「なるほど」

 

「これが、貴様の手品の正体か」

 

 エレノアの冷たい瞳が、僅かに細まる。

 クロイツが、両腕を大きく広げた。

 

「無駄だ」

 

 その動きに呼応して、巨大な中枢設備がドクン、ドクンと脈動を始める。

 

「今の私は、この城という物質と繋がっているのではない」

 

「アルビオンという、『この国そのもの』と繋がっているのだ」

 

 先ほどの一撃で、何らかの強烈な因果干渉を受けたことを察したクロイツは、《中枢玉座》から意識的に出力を引き出していた。

 クロイツが、エレノアの時間停止能力を『個人の力で無効化した』わけではない。

 彼は今、国家の領域そのものと接続し、外部からTier1級の巨大な権限と因果律改変の出力を得ている。

 そのため、公国の領域内における『時間の停止』という因果の改変に対して、国そのものの力で強引に抵抗し、相殺しているのだ。

 

「このアルビオンの地に存在する限り」

 

「私という存在を、世界から切り離して停止させることなどできぬ」

 

 クロイツの言葉と共に、エレノアの時間停止が完全に弾け飛び、世界が通常の時間の流れへと引き戻された。

 

 エレノアの最大の強みである絶対的な能力が、完全に封じられた。

 

 クロイツが、傲慢に告げた。

 

「王も逃げた。小細工の能力も通じない」

 

「もはや、私を止める者はいない」

 

 背後の設備が、さらに激しい振動を始める。

 中枢空間の石壁に、ノイズが走った。

 一瞬だけ、壁が透け、アメリカ側の近代的な高層ビルの夜景が、幻影のように重なって見えた。

 

「間もなく、我らがアルビオンは、この狭苦しい異界の底を捨てる」

 

「現実世界へと降り立ち、真の覇権を手にするのだ」

 

 エレノアが、静かに問う。

 

「そのために、アメリカ国民を犠牲になさるのですか?」

 

 クロイツは、一ミリの迷いもなく吐き捨てた。

 

「人間など、いくら死のうが、またすぐに増える。些細な犠牲だ」

 

 沈黙が、落ちた。

 

 エレノアが。

「……なるほど」

 

 両手に構えていたナイフを、チャリンと音を立てて床へと落とした。

 

「本性が、出ましたね」

 

 クロイツが、怪訝そうに顔をしかめる。

 

「何?」

 

 エレノアが、真っ直ぐにクロイツの目を見た。

 

「それでしたら」

 

「これ以上の手加減は、不要のようです」

 

 クロイツが、声を上げて嘲笑した。

 

「笑わせるな」

 

 玉座の階段をゆっくりと降りながら、エレノアを見下ろす。

 

「頼みの時間停止は封じられた。武器も捨てた」

 

「その状態で、この私を前に、他に何ができるというのだ?」

 

 エレノアは、静かに首を横に振った。

 

「いいえ」

 

 一拍、置く。

 

「これからあなたと戦うのは、私ではございません」

 

 クロイツが、訝しげに眉をひそめた。

 

「……何?」

 

 エレノアの身体が、いつものキャラクターチェンジとは明らかに違う変化を起こした。

 

 足元の石床。

 そこに、一滴の『真紅の液体』が落ちた。

 

 ピチャン、という小さな音。

 だが、その一滴の血は、重力に逆らうようにして床から逆流し、空中に浮かび上がった。

 

 二滴。十滴。数百滴。

 血のような真紅の液体が、突如として空間に溢れ出し、猛烈な渦を巻いてエレノアの身体を包み込んだ。

 

 真紅の渦の中で、シルエットが劇的に変わる。

 

 172センチの長身の姿が。

 一気に縮み、158センチの小柄な少女の体躯へと変化する。

 

 血の渦が弾け飛ぶ。

 

 そこに立っていたのは、《ヴェルミリア・ノクス》の姿となった直哉だった。

 

 銀白色の、腰まで届く長い髪。

 血の気が全くない、白磁のような肌。

 黒を基調とした、豪奢で禍々しい古式のドレス。

 そして、世界の底のような深紅の瞳。

 

 彼女は、靴を履いていなかった。

 裸足だった。

 

 腕。そして、脚。

 ドレスの袖口から、そしてスカートの裾から伸びているのは、人間の肌ではなかった。

 

 本来存在しない四肢の先を補うように形成された、半透明の、どろりとした深紅の『神血』。

 

 それは明確に液体でありながら、完全な人間の手足としての形を保ち、表面張力でその存在を維持していた。

 

 絶対的な静寂が、空間を支配した。

 

 ヴェルミリアは、自分の深紅の血でできた右手を顔の前にかざし、ゆっくりと、その指を開いたり閉じたりした。

 

 そして。

 ヴェルミリアの口から、古風な声が零れた。

 

「……妾(わらわ)じゃ」

 

 クロイツの顔が、初めて明確な動揺に歪んだ。

 

「…………」

 

 無意識に、彼の一歩が後ろへと下がった。

 

「なんだ……貴様は……」

 

 クロイツの目が、彼女の赤い四肢に釘付けになる。

 

「何だ、その血は……?」

 

 ヴェルミリアは。

 深紅の瞳でクロイツを一瞥し、極めて冷淡に吐き捨てた。

 

「煩(うるさ)い」

 

 一瞬。

 ヴェルミリアの姿が、完全に視界から消えた。

 

 音は、まだ鳴っていない。

 

 次の瞬間。

 

 ヴェルミリアの、深紅の血で形成された右腕が。

 クロイツの分厚い胸の装甲を貫き、心臓の位置を完全に貫通していた。

 

『ドッ』

 

 クロイツの背中から、赤い液状の腕が深々と突き出ている。

 

 クロイツが、目を見開き、血を吐き出した。

 

「ぐっ……!?」

 

 その、さらに一瞬後。

 

『バァァァァンッ!!!』

 

 ヴェルミリアが駆け抜けた軌道を追いかけるように、凄まじい破裂音が中枢空間へ響き渡った。

 空気が遅れて弾け、床の細かな瓦礫が一斉に吹き飛ぶ。

 

 彼女の身体は。

 自らが生み出した音よりも先に、クロイツへ到達していた。

 

 ヴェルミリアが、冷たい声で告げる。

 

「喚(わめ)くな」

 

 クロイツの顔のすぐ目の前まで、顔を近づける。

 

「虫風情が」

 

 ズブッ、と音を立てて、ヴェルミリアが右腕を引き抜く。

 クロイツの身体が大きく後退し、その胸には、向こう側の景色が見えるほどの巨大な風穴が開いていた。

 

 だが。

 クロイツの胸の肉芽が、瞬時に蠢き始めた。

 超常の再生能力。中枢から送り込まれる莫大な出力によって、彼の胸の巨大な穴は、瞬く間に塞がり、元通りに修復された。

 

 クロイツが、息を荒くしながら叫んだ。

 

「貴様……吸血鬼か?」

 

 胸の痛みに顔を歪めながら、ヴェルミリアを睨みつける。

 

「その血……その再生力……貴様、吸血鬼なのか!?」

 

 ヴェルミリアは、少しだけ眉をピクリと上げた。

 

「吸血鬼?」

 

 彼女は、フッと鼻で笑った。

 

「違う」

 

 一拍、置く。

 

「妾は、吸血神(きゅうけつしん)じゃ」

 

 クロイツの目が、驚愕に見開かれた。

 

「…………!」

 

 ヴェルミリアは、敵の血で濡れた自らの神血の指先を、つまらなそうに眺めた。

 

「もっとも」

 

「今の妾は、心臓も手足も失った、ただの欠けた写し身に過ぎぬがな」

 

 クロイツの顔から、全ての余裕が消し飛んだ。

 

 彼は絶叫した。

 背後の中枢玉座へと、両腕を大きく伸ばす。

 

「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!」

 

 巨大な境界設備が一斉に危険な赤い光を点灯させた。

 公国全体から集められた莫大な出力が、クロイツの身体へと直接注ぎ込まれる。

 

 彼の肉体が、おぞましい音を立てて変質し始めた。

 

 背中を突き破り、巨大な血色の翼が生える。

 両腕が異常に肥大し、指が長い獣の鉤爪のように伸びる。

 骨と血肉が膨張し、さらに城の境界構造そのものの金属や石の柱が、彼の身体へと強引に融合していく。

 

 十メートル。

 二十メートル。

 三十メートル。

 

 巨大化したクロイツの頭部が、中枢空間の高い天井を粉砕して突き破る。

 

 王宮の中枢から。

 完全に巨大な大怪獣と化した、異形の吸血鬼が立ち上がった。

 

 158センチの、小さな女。

 彼女は、天井を突き破った巨大な異形を、ただ静かに見上げていた。

 

 しばらく、見つめて。

 

 そして。

 ヴェルミリアの口角が、凶悪な弧を描いて吊り上がった。

 

「なるほど」

 

 クロイツが、ビルを砕くような巨大な腕を、ヴェルミリアの頭上高く振り上げる。

 

 ヴェルミリアは、血の指先を鋭く尖らせた。

 

「少しは」

 

「遊べそうじゃ」

 

 クロイツの咆哮が、王宮を震わせる。

 

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 巨大な拳が、ヴェルミリアの立つ地点へと真っ直ぐに振り下ろされた。

 

『ドォォォォォォォンッ!!!』

 

 中枢の石床が、紙くずのように崩壊する。

 ヴェルミリアの身体ごと、中枢玉座の間の床が丸ごと抜け落ち、一階下の巨大な空間へと叩き落とされる。

 

 もうもうと舞い上がる瓦礫の煙。

 だが、その煙の中から、赤い影が一直線に飛び出した。

 

『《血歩》』

 

 半透明の赤い脚が、一瞬だけ物理法則を無視して細長く液状に変形する。

 

 一歩。

 

 石床が爆ぜる。

 

 二歩目には。

 ヴェルミリアの姿は、すでにそこにはなかった。

 

 赤い残像が壁面を駆け上がる。

 次の瞬間には、ヴェルミリアは巨大化したクロイツの肩へと着地していた。

 

 その直後。

 

『ドンッ!』

 

『バァンッ!』

 

『ドォンッ!』

 

 ヴェルミリアが蹴り抜いた床と壁が、彼女の通った軌道を追いかけるように、遅れて次々と爆ぜた。

 踏み込みの音さえ、本人の移動速度についていけていない。

 

『《緋爪》』

 

 神血の指が、巨大な赤い鉤爪へと変形し、クロイツの巨大な顔面を深く切り裂いた。

 クロイツが苦痛の咆哮を上げ、巨大な腕を払ってヴェルミリアを薙ぎ払う。

 

 小柄な身体が、ボールのように吹き飛ばされる。

 

 壁を三枚。四枚。五枚。

 石壁を次々と突き破り、王宮の外壁の外まで一直線に吹き飛ばされた。

 

 システムUIが、無機質にステータスの変動を表示する。

 

『HP 4,150 / 4,150』

 ↓

『HP 3,742 / 4,150』

 

 王宮の外壁の瓦礫の中から。

 ヴェルミリアは、何事もなかったかのように立ち上がった。

 黒いドレスについた埃を、面倒くさそうに片手で払う。顔色一つ変えていない。

 

 ヴェルミリアが、片手を空へ向けて高く上げた。

 彼女の周囲の空間に、数十本の、真紅の血でできた硬質な杭が浮かび上がる。

 

「《血杭》」

 

 一斉発射。

 真紅の杭が、ミサイルのように空を裂き、巨大なクロイツの肩、翼、腹、脚へと次々と深々と突き刺さった。

 

 轟音が響く。

 巨体がバランスを崩し、隣接していた王宮の巨大な塔へと倒れ込んだ。塔が真っ二つに折れ、瓦礫が降り注ぐ。

 

 クロイツが、刺さった杭を再生能力で強引に押し出しながら、再び起き上がろうとする。

 

 だが、その時にはすでに。

 

 ヴェルミリアの右の神血の腕が。

 急激に、異常なまでの巨大化を引き起こしていた。

 

 人間サイズから、数メートルへ。

 そして、十数メートルを超える、巨大な赤い腕へと。

 

 その巨大な赤い手が、起き上がろうとしたクロイツの顔面を、鷲掴みにした。

 

「遅い」

 

 ヴェルミリアは、そのまま自身の身体の数十倍の質量を持つクロイツの頭を掴んだまま。

 王宮の外壁に沿って、猛烈な速度で引きずって走り出した。

 

『ドゴォォォォォォン!!!』

 

 壁を破り、巨大な石柱をへし折り、儀式用の設備を巻き込んで全てを破壊しながら。

 数十メートルにわたって、クロイツの顔面を王宮の壁に擦り付けながら引きずり倒す。

 

 最後。

 その巨体を、床へと強烈に叩きつけた。

 

『ズドォォォォォォォン!!!』

 

 クロイツの顔面が、王宮の分厚い石床に深くめり込む。

 

 ヴェルミリアは、その上空へ跳躍し。

 巨大化した深紅の脚で、クロイツの後頭部を無慈悲に踏みつけた。

 

『バキィィィッ!』

 王宮の床が、さらに大きくクレーター状に陥没する。

 

 それでも。

 国家の中枢から莫大な出力を得ているクロイツは、瓦礫の中で頭部を強引に再形成し、死なない。

 

 ヴェルミリアは、そのしぶとい再生力を見て。

 

「……しぶといのう」

 

 瓦礫の下から、クロイツの怨嗟の声が響く。

 

「き……貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 クロイツが完全に怒り狂い、背中の巨大な翼を力任せに振り回した。

 

 境界中枢からの莫大な出力が、そのまま物理的な衝撃波となって王宮を吹き荒れる。

 王宮の巨大な屋根が、丸ごと空の彼方へと吹き飛んだ。

 

 二人の戦場が、完全に地上の夜空の下へと露出した。

 

 王宮の周辺を固めていた警備の兵士たちが、蜘蛛の子を散らすように悲鳴を上げて退避を始める。

 王宮の職員たちも、警報に追われるように中枢区画から離れていく。

 クロイツ派の兵士たちですら、巨大化した自分たちの主人と、血の四肢を持つ銀髪の少女の、次元の違う怪獣決戦を前にしては、近づくことすらできない。

 

 ヴェルミリアは、逃げ惑う兵士や人間たちには目もくれなかった。

 彼女の視線が捉えているのは、クロイツただ一人だ。

 

 クロイツが、両手を天に向かって大きく広げた。

 

 中枢機構と、公国内の空間境界が激しく呼応する。

 王宮の上空の空間が、グニャリと不気味に歪んだ。

 

 国家そのものの空間圧力が、ヴェルミリアの小さな身体を上から押し潰すようにのしかかる。

 

『《血衣》』

 

 ヴェルミリアの身体を、薄い神血の膜が覆う。

 激突。凄まじい衝撃。

 だが、Tier1級の権限による空間圧力は、完全には防ぎきれない。

 

『グシャッ』という音と共に。

 ヴェルミリアの深紅の右腕が、根元から完全に吹き飛んだ。

 右脚の神血も、圧力に耐えきれずに半壊して形を崩す。

 

 システムUIが変動する。

 

『HP 2,986 / 4,150』

 

 ヴェルミリアの右肩の断面から、赤い血が激しく噴き出した。

 

 だが。

 その噴き出した血が、空中でピタリと止まり、そのまま逆流するように腕の形へと再構成されていく。

 

『《神血成形》』

 

 新しい深紅の右腕が、瞬時に形成された。同時に、崩れかけていた右脚も元の形を取り戻す。

 

『HP 2,611 / 4,150』

 

 HPを消費しての、即時再生。

 

 クロイツが、それを見て勝ち誇ったように叫んだ。

 

「何度再生しようと同じだ!」

 

「私は、この国そのものから力を引き出しているのだ!」

 

 巨大な翼を広げ、威圧する。

 

「その血が尽きて死ぬのは、貴様が先だ!」

 

 ヴェルミリアは、新しく形成された自分の赤い右手を開閉して確かめた。

 それから、見下ろしてくるクロイツを見て。

 

 そして。

 彼の背後で、未だに不気味な光を放ち続けている、巨大な『境界中枢設備』の方を見た。

 

「そうか」

 

 ヴェルミリアが、笑った。

 

「ならば」

 

 クロイツが、怪訝そうに顔をしかめる。

「?」

 

「その国ごと」

 

「全て壊せばよかろう」

 

 クロイツの顔が、一気に青ざめた。

 

「な――」

 

 ヴェルミリアが、両腕を大きく広げた。

 

「《血月顕現・赤海(せきかい)》」

 

 世界の色が、変わった。

 

 空。王宮。地面。

 全てが、赤黒いフィルターをかけられたように変色する。

 空に浮かぶ月が、巨大な真紅の血月へと変貌した。

 

 そして。

 城の床から、大量の『神血』が、まるで海のように溢れ出した。

 

 海だ。

 赤い血の海が、王宮の中庭を、長い廊下を、崩れ落ちた玉座の間を、全て波のように飲み込んでいく。

 退避していた兵士たちの足元にも赤い波が迫る。だが、神血は彼らの身体へ絡みつくことなく、その足元をすり抜け、中枢設備へ向かって奔流のように流れていった。

 

 システムUIのHPが、ごっそりと減る。

 

『HP 1,936 / 4,150』

 

 赤い海の中から。

 巨大な赤い腕が、浮上してきた。

 

 一本。二本。四本。

 

 城の塔よりも太い、数十メートルを超える四本の神血の腕が、波打ちながら立ち上がる。

 

 巨大なクロイツへ向かって。

 一本が、右の翼を掴む。

 一本が、左腕を。

 一本が、太い首を。

 一本が、胴体を、完全に拘束する。

 

 クロイツが、焦燥に駆られて絶叫する。

「離せぇぇぇぇぇ!!!」

 

 ヴェルミリアは、158センチの小さな身体で。

 空中に浮いたまま、右手をギュッと固く握りしめた。

 

 それに連動して、四本の巨大な血腕が、クロイツの巨体を締め上げ、空高く持ち上げる。

 

 そして。

 

 クロイツの巨体を、王宮の中枢設備そのものへと向かって、力任せに叩きつけた。

 

 一回。

『ドォォン!!』

 

 二回。

『ドォォォォン!!』

 

 三回。

『ドゴォォォォォォン!!!』

 

 王宮の一角の城壁が、完全に粉々に崩れ落ちる。

 

 クロイツが、血を吐きながら悲鳴を上げる。

 

「やめろ!!」

 

 だが、ヴェルミリアは止まらない。

 

 クロイツが叫ぶ。

「そこは、境界中枢の設備だぞ!」

 

 ヴェルミリアは、冷たく吐き捨てた。

 

「知らぬ。妾の国ではない」

 

『ドォォォォォン!!』

 巨大な血腕が、クロイツの身体を使って、中枢の巨大な塔を一本粉砕した。

 

 クロイツが、本気で焦り、恐怖し始めた。

 

「貴様!! そこを壊せば、転写中枢まで破壊されて――!」

 

『バキィィィィン!!』

 別の設備が、クロイツの背中の衝突で完全にへし折られる。

 

「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 追い詰められたクロイツは、残った中枢の出力を全開にした。

 巨大な異形が、さらに悍ましく変形していく。

 

 もはや、吸血鬼と呼べるかどうかも怪しい。

 巨大な翼、腕、下半身が。

 境界の機械設備と、王宮の石壁、金属、そして自身の血肉と完全に融合していく。

 

 王宮の建物そのものが、高さ五十メートル級の巨大な怪物へと変貌し始めた。

 完全に、理性を失った大怪獣だ。

 

 同時に、戦場の空間が激しく明滅し始めた。

 

 一瞬。アメリカの舗装された道路の景色が映る。

 次。公国の王宮の瓦礫が映る。

 

 それが、高速で交互にフラッシュし。

 さらに、重なったまま元に戻らない部分まで現れ始めた。

 

 転写儀式が、最終段階に突入したのだ。時間がない。

 

 クロイツが、怪物の口から重低音で響く声で笑った。

 

「もう遅い!!」

 

「転写は完全に始まった! アルビオンは、現実世界へと――!」

 

 だが。

 ヴェルミリアは。

 

 その五十メートル級の、自分の何十倍もある巨大なバケモノを見上げて。

 

 血月と、赤海と、崩壊する城の中で。

 

「ハハッ」

 

 と、最高に楽しそうに笑った。

 

「そうでなくてはな」

 

 足元の赤海から、巨大な血の脚が一本勢いよく伸び、ヴェルミリア自身の小さな身体を、怪獣の頭上よりもさらに高く、空の彼方へと打ち上げた。

 

 クロイツの巨大な拳が、空中のヴェルミリアを狙って振り抜かれる。

 拳の先端が空気を押し固め、白い衝撃波の輪が幾重にも広がった。

 

 ヴェルミリアも、赤海から形成した巨大な血の腕で、それを真正面から迎え撃つ。

 

 大質量の、真っ向からの衝突。

 

 激突。

 

 だが。

 その瞬間には、まだ音は追いついていなかった。

 

 残っていた王宮の窓ガラスが一斉に砕け散る。

 塔が傾く。

 地面が沈み込み、赤海が数十メートルの高さまで跳ね上がる。

 

 そして、ほんの僅かに遅れて。

 

『ドォォォォォォォォォォォォン!!!!』

 

 二人が置き去りにした爆音が、一つに重なって王宮全体を殴りつけた。

 

 クロイツの鋭い翼が、ヴェルミリアの巨大な血の腕を切断する。

 ヴェルミリアの神血の杭が、クロイツの翼を城壁へと縫い止める。

 

 クロイツのもう片方の腕が、ヴェルミリアの小さな本体を真上から叩き落とした。

 

『HP 1,211 / 4,150』

 

 神血の脚が、ダメージで不安定に揺らぐ。

 それでも。

 ヴェルミリアは、すぐに立ち上がった。

 

 パッシブスキル《血月の残神》。

 HPが低下するほど、神血系攻撃の威力が異常に上昇する。

 四肢の安定性は落ちている。しかし、その分、攻撃の凶悪さだけは跳ね上がっていた。

 

 クロイツが、再び巨大な拳を振り下ろす。

 

 ヴェルミリアの、通常の人間サイズの赤い手が、その五十メートルの怪物の巨大な拳を、真正面からガシッと受け止めた。

 

 今度は。

 一ミリも、押し負けなかった。

 

 ヴェルミリアは、そのままクロイツの巨大な腕を掴み。

 自身の小さな身体を捻り。

 

 五十メートル級の巨体を。

 そのまま、一本背負いのように、宙へ放り投げた。

 

 投げる先は。

 

 最後まで無傷で残っていた、最も巨大な『中枢塔』。

 

 クロイツの顔が、絶望に歪む。

 

「なっ――」

 

『ドォォォォォォォォォォォォン!!!』

 

 クロイツ自身の巨体が、強烈な勢いで中枢設備へと激突した。

 

 巨大な設備が、根元からボキリと折れる。

 火花が散り、血が舞い、王宮の中枢が完全に崩壊した。

 

 その瞬間。

 

 クロイツの巨体の動きが、ピタリと止まった。

 

 境界中枢との接続が、完全に切断されたのだ。

 

 肉体を覆っていた、巨大な石と金属の異形が、ボロボロと崩れ落ちていく。

 翼が溶け、城の建材が剥がれ落ちる。

 

 三十メートル。二十メートル。十メートル。

 そして。

 

 元の、等身大の人型の吸血鬼の姿へと。

 本来のTier2の出力へと戻ったクロイツが、王宮の瓦礫の上へと無様に落下した。

 

 クロイツは、血反吐を吐きながら、それでもまだ立ち上がろうと足掻いていた。

 

「ま……待て……」

 

 ヴェルミリアが、ゆっくりと歩いてくる。

 ダメージで壊れかけ、形を維持できなくなっている血の脚を引きずりながら。

 一歩。また一歩。

 

 クロイツが、必死に弁明する。

 

「私は……この国を……この国の誇りを、救おうと……!」

 

 ヴェルミリアは、冷たく見下ろした。

 

「興味ない」

 

 ヴェルミリアの赤い手が、クロイツの顔面を鷲掴みにした。

 そのまま片手で身体を宙へ持ち上げる。

 

 そして。

 

 地面へと、力任せに叩きつけた。

 

『ズドンッ』

 

 クロイツの意識が飛び、完全に戦闘不能となった。

 だが、命までは奪われていない。

 

 クロイツが無理やり増設した転写系統が破壊されたことで、転写儀式は完全に崩壊した。

 

 増設された設備の稼働音が、次々と停止していく。

 一方で、公国そのものを維持する本来の境界安定化設備は、損傷しながらも低い稼働音を保っていた。

 

 空間に重なっていたアメリカの道路やビルの景色が。

 蜃気楼のように揺れ、剥がれ落ち、遠ざかり。

 そして、完全に空の彼方へと消え去った。

 

 半壊した王宮。

 壊滅した中枢。

 空間は、再び公国側の座標だけで安定を取り戻した。

 

 クロイツは、意識を失ったまま動かない。

 

 ヴェルミリアは、月明かりに照らされた瓦礫の中央に、ただ一人、静かに立っていた。

 

 数秒の、完全な沈黙。

 

 そして。

 

(…………)

 

(……勝った?)

 

 直哉は、ヴェルミリアの視界で、足元に倒れているクロイツを見た。

 ピクリとも動かない。

 周囲の空間のノイズも消え、アメリカの景色は完全に消え去っている。増設された転写設備は完全に沈黙していた。

 

(……止まった?)

 

 その瞬間だった。

 

 直哉の視界の右上に。

 見慣れた黄金色の、これまでで最も巨大な《因果変動記録》のウインドウが、激しい光を放って展開された。

 

 正規のシステムUIのテキストが流れる。

 

『【因果変動記録】』

『外部因果への有意な干渉を確認しました』

『集結者の介入によって成立結果が変動しました』

『活動記録を更新します』

『評価処理完了』

『活動報酬を獲得しました』

 

 続けて、見慣れない文字が並ぶ。

 

『育成機能が拡張されました』

『キャラクターレベル上限が解放されました』

『新規機能《並列集結》が解放されました』

 

 そして。

 一番最後の一行。

 

『《因果晶》 × 32,000』

 

 直哉の思考が。

 

(…………)

 

 完全に、停止した。

 

 視線が、その数字の一点に釘付けになる。

 

『《因果晶》 × 32,000』

 

(さんまん……)

(にせん……?)

 

 三十四歳の脳が、必死に計算式を弾き出す。

 

 ガチャ一回、160石。

 十連、1,600石。

 

 32,000、ということは。

 

(…………)

 

 一拍置いて。

 

(……200連)

 

 直哉の脳内から。

 レベル上限解放だの、《並列集結》という謎の新機能だの、そんな重要そうな文字の情報は、完全に宇宙の果てへと消え去った。

 

 直哉の内心は。

 

(うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!)

 

(石だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)

(200連分!!! 200連分の石ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!)

(ヒャッハァァァァァァァァァァァ!!!!!)

 

 狂喜乱舞。大爆発。大歓喜。

(なんかレベル上限とか新機能とかも増えてるけど!! それは後でいい!!)

 

 世界を救ったとか、神の力とか、そんなことはどうでもよかった。

 彼にとっては、この32,000石が全てだった。

 

 遠くから。

 瓦礫を踏み越えて、慌ただしく走ってくる足音が聞こえた。

 

「おーい!!」

 

 ノアだ。

 彼は、アルフォンス王を緊急境界路まで送り届け、アメリカ側で待機していた政府関係者へ引き渡していた。

 王本人から上書き計画を伝え、境界周辺の住民の避難を急がせる手筈が動き始めたことを確認してから、直哉の安否を確かめるために一人で公国へ戻ってきたのだ。

 

「生きてるか!?」

 

 ノアは、息を切らして王宮の跡地にたどり着き。

 

 その、原型を留めないほどに崩壊した王宮を見た。

 

「…………」

 

 赤い海の残滓。

 巨大な怪物が暴れ回ったかのような、圧倒的な破壊痕。

 倒れている、クロイツ。

 

 そして。

 その中央に立っている、見たこともない銀白髪の少女。

 手足が、血でできている。

 

 ノアは、完全に言葉を失った。

 

「…………」

「……お前、一人で何やってるの???」

 

 ヴェルミリアの姿の直哉が、ノアの声に振り返った。

 その顔は、満面の笑みとまではいかないが、誰の目から見ても明らかに、異常なほど機嫌が良かった。

 

「戻ったか!」

 

 ノアが後退る。

「え? 何?」

 

 ヴェルミリアの、深紅の美しい瞳が、歓喜の光に輝いていた。

 

「聞け!」

 

「石が、二百連分も出たぞ!!」

 

 ノアは。

 

「…………」

 

 長い、長い沈黙。

 

 ノアは、崩壊した王宮を見た。

 足元で気絶しているクロイツを見た。

 血の手足を持つヴェルミリアを見た。

 

 もう一度、全壊した王宮を見た。

 

 そして。

 ノアは、ものすごく疲れた、全てを諦めたような顔になって。

 

「……良かったね」

 

 とだけ、呟いた。

 

 直哉の内心は。

(ヒャッハァァァァァァァァ!!! 石だぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

 と、お祭り騒ぎのサンバを踊っていた。

 

 ノアが、深い溜息をついてボヤいた。

 

「……マジで、この状況で最初に言ってくる報告が、それなんだな」

 

 ヴェルミリアが、胸を張って即答した。

 

「当然じゃ!」

 

 ノアは。

「…………」

 

 一拍置いて。

 少しだけ、本当に少しだけ、安堵したように笑った。

 

「まあ」

 

「生きてて良かったよ」

 

 直哉は、そのノアの言葉に、一瞬だけ静かになり、少しだけ申し訳なく思った。

 

 だが。

 直哉の視界には、依然として。

 

『《因果晶》 × 32,000』

 

 の数字が、燦然と輝いている。

 

(200連……!)

 

 直哉の異世界の潜入任務は、ガチャへの尽きせぬ欲望と歓喜と共に、幕を閉じた。




ここまで読んでいただきありがとうございます! もし「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ページ下部より【お気に入り登録】や【評価】、感想などをいただけると執筆の励みになります。 作者のモチベーション上昇に直結しますので、是非ともよろしくお願いします!

YouTubeチャンネルを開設しました!
自作小説の朗読動画を投稿しています。
よかったら、下のリンクから聴いてみてください!

YouTubeチャンネル「パラレル・ゲーマー」はこちら
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。