お金貯まったからホロウレイダー辞めるわ   作:イグアナ

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最近感想欄にそこそこの数のボンプが居て草

作者の目は誤魔化せないンナよ





13話:ガチンナ

「────んんぅ……?」

「……目が覚めましたか」

 

 エレンが目を覚ますと、横に居たライカンが彼女に声をかけた。

 

「ここは……?」

「ホロウの外です。安全な場所で休憩を取っていたのですよ」

「そっか。……良かった、無事に出れたんだ……」

「………………エレン」

「……ボス?」

 

 ライカンは言いづらそうに表情を歪め、重い口を開いた。

 

「……心を強く持って、聞いてください」 

 

 

 

 

『やだっ! やだやだやだっ!! 待って! 消えないでよっ!! まだ中に、フルメットさんが──!』

『ど、どういうことですか……? さっきカリンが開けたばかりの穴が、もう閉じかけて……?』

『裂け目が消滅しかけている……? いや、しかしプロキシ様が仰った時間には、まだ…………』

『……っ! やられましたわ……。あの人、まさか──!』

『肯定。エージェント"フルメット"は、自分以外の全員がホロウを無事に脱出することを望みました』

『何、言ってるの……?』

『……なので、私はキャロットのデータを改竄し、出口が消滅するまでの時間を水増ししました。マスター達が彼を気にせず逃げられるように、彼(・)が(・)後(・)か(・)ら(・)外(・)に(・)出(・)ら(・)れ(・)る(・)と(・)思(・)い(・)込(・)め(・)る(・)よ(・)う(・)に(・)』

『そのホロウの裂け目はもう、役割を終えました。入り口としてはおろか、出口としても使用することは出来ません』

『……申し訳ありません。彼を切り捨てることしか出来なかった、私(・)の(・)能(・)力(・)不(・)足(・)で(・)す(・)』

 

 

 

 ライカンの脳裏に先ほどの出来事が過ぎり、言葉が止まる。

 

 それがかえって、エレンの不安を増幅させた。

 

「ボス……? な、何があったの……?」

「…………ッ」

 

 不安に揺れる彼女の瞳を見て、ライカンは意を決して言葉を発した。

 

「……エージェント"フルメット"が、ホロウ内に取り残されました。殿を務める人間が脱出可能な時間など、初めから無かったのです」

 

「──────…………は?」

 

 

 


 

 

 

 

「いやぁ、それにしてもバレたのがライカンさんで良かったですよ。 星見雅とかビビアン(あの二人)だったらどうなってたか……」

「はぁ……なんともまあ、気楽なものですね……」

「気楽にもなりますよ! だってライカンさんですよ!?」

「それは……褒められている、のですよね?」

「勿論!」

 

 ニコニコしながらそう言ったイツキに、ライカンは半ば呆れたような表情を向けた。

 

(まったく、こちらの気も知らないで……)

 

 ライカンの頭に思い浮かぶのは、あのふざけた別れのメッセージをイツキが送ってきた日のことだった。

 

 ソファーで休みながらスマホをポチポチしていたエレンが、通知音が聞こえると共に満更でもなさそうな表情でメッセージを確認して──

 

『は?』

 

 一瞬で空気が凍った。

 

 そのときのドスの利いた声とエレンの黒い表情は、今でもライカンの記憶にこびりついている。

 

(せめて辞める理由がまともであれば……。いや、結果はさほど変わらないでしょうね……)

 

 とはいえ過ぎたことを気にしても仕方ない。そう考え、ライカンは考えを切り替えた。

 

「そう言えば、貴方に確認したいことが2点ほどあります」

「何です? 今ならなんでも答えますよ!!」

「もう隠すこともないでしょうからね」

「はい!」

「『はい』て」

 

 どこか調子が狂うのを感じながらも、ライカンはイツキに問うため言葉を続けた。

 

「まず1点目。昨日とあるライブ会場にひょっとこのお面を付けた、語尾が『ンナ』のシリアルキラーが現れたという話があります。刀を所持していたこともあり、その正体がフルメットだという噂があるのですが、本当ですか?」

「……ふふ。ライカンさん、何言ってるんですか」

「失礼。そうですね、いくら貴方でもそんな風に目立つような馬鹿な真似は──」

「本当です(ガチンナ)」

「ガチンナ!?」

 

 受け入れ難い真実にライカンは頭を抱えざるを得なかった。

 

「あの……本当に隠れるつもりはあるんですか?」

「ありますよ! だからわざわざボイチェンまで付けて甲高い声で『皆殺しンナ!』とか『鏖殺ンナ!』とか言ったんですから!」

「そんなふざけたシリアルキラー貴方以外に居ないでしょう!?」

「俺どんな評価受けてんですか!?」

 

 『真面目にやってきたはずなのに……!』とブリッジしながら頭を抱えるイツキを見て、『そういうところだろ』とライカンは思いつつ、一旦この話を止めた。

 

「では2点目……の前に、念のため確認です。お金が貯まったから辞めると仰っていましたが、アレは事実ですか?」

「はい、がっぽり稼いだので辞めようかと」

「そうですか。そう、ですか……」

「……?」

 

 実は公に言えないような深い理由とかあれば……とライカンは思わずには居られなかったが、今回の本題はそこではなかった。

 

「では、そのお金はどうやって稼いだのですか? 確かにホロウレイダーは稼げますが、いくら何でもその年で辞めるほど稼げるとは思えません」

「あぁ、なるほど」

 

 納得したように頷くと、イツキはさらりと回答を口にした。

 

「ほら、例の件で俺のホロウ内滞在可能時間が実質無限になったじゃないですか。だからとりあえず目についた依頼を大量に受注して、数日間ホロウを渡り歩いて依頼を完了させまくれば一ヶ月から数ヶ月分くらいの稼ぎを一気に生み出せるという寸法です」

「……コイツ」

「今コイツって言った?」

「いいえ」

 

 『少し目を離してるうちに何してるんだコイツ』というのがライカンの率直な感想だった。

 

「少し目を離してるうちに何してるんだコイツ」

「心の声そのまま出力してませんか?」

「黙りなさい。蹴りますよ」

「ごめんなさい」

 

 自らが最大限の信用を置くプロキシが"最強のホロウレイダー"と呼ぶ人間とは思えないくらい、綺麗な土下座だった。

 

「で、でもホロウ内の方が動きやすいんですよ。むしろ外より快適というか……」

「あぁ……確か、"エーテルドーピング"でしたね」

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 またもや床を転げ回る馬鹿が誕生した。

 

「わかってますよね!? わかってて言ってますよねライカンさん!?」

「ふっ……失礼。そう言えば、プロキシ様が命名し直していたのを思い出しました。正しくは──」

 

 

 

「──モ(・)ー(・)ド(・):エ(・)ー(・)テ(・)リ(・)ア(・)ス(・)。そんな名称でしたね」







本当です
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本当 です
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ガチ です
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ガチ ンナ
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ガチンナ

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