温度差で風邪を引かせたい今日この頃
シリアスは書くの苦手ンナ
プロキシ妹から聞いたホロウの出口。偽りの制限時間である15分が経過する前にその場所へと辿り着いたが、やはり出口は既に消滅していた。
「念のため来てみたけど……やっぱ無いよな」
AIとはいえ辛いことをさせてしまったと、俺は少し罪悪感を覚えた。
だが、それよりも──
「……ははっ、情けないな。今になって怖くなってくるなんて……」
犠牲になっても良いと思った。プロキシ妹とヴィクトリア家政の全員が助かるなら、俺の命くらい安いもんだって、そう思った。
けれど、死ぬことが怖くないかと言われれば話は別だったらしい。
すぐに死ぬわけでもなく、じわじわと自分が自分でなくなっていきながら
想像するだけでも身体が震えてくる。俺はあとどれくらい
「……ま、殿を申し出たときに恐怖を表に出さなかっただけで上等だろ。お天道様だって、そんくらい許してくれるよな」
誰に言うわけでもなくそう口にして、俺は壁に寄りかかるように座った。
「てか、俺がエーテリアスになったらどうなるんだろ。バケモンになっても刀とか使うのかな。人を傷つけられないような弱い個体であって欲しいけど、それはそれでプライド的なアレが──……」
「……あー……ダメだな、こりゃ……」
遂に声まで震えてきた。自分から残ったってのになんつーザマだ。ほんと、この場に誰も居なくて良かった。情けなさすぎて誰にも見せられないぞこんなん。
身体の奥底がナニかに侵食されていくのを感じる。
あぁ、これがエーテル侵食ってやつか。これが身体全体に行き渡ったとき、俺は──────。
「──…………ん?」
侵食されていくのを感じ取れる……? つまり、言い換えれば体内に入ってきたエーテルを
「そういや、エーテルって電力に変換されるくらいにはエネルギーとして優秀な面もあるんだよな。てことは、必ずしも有害というわけじゃない……のか?」
ホロウ内でエーテルを長時間浴びた者はエーテリアスになるが、では逆に電力を長時間浴びた者がエーテリアスになるかというと、そういうわけではない。
要は、使い方さえ誤らなければ、身体が取り込み方さえ間違えなければ、侵食されるどころか、むしろ有用に扱うことだって可能なんじゃないか……?
「……ははっ、馬鹿らしい」
そんな言葉とは裏腹に、俺の口元は笑みを浮かべていた。
「でも、ただこのまま震えて待つくらいなら、諦めずに馬鹿やる方が俺らしいよな」
自然と足に力が入り、俺はその場に立ち上がる。
もう一刻の猶予もない。でも、それは諦める理由にはならなかった。
「上等! 待ってろエーテル! 今すぐ掌握してやっからな!!」
力強くそう宣言した俺は──
「うわ凄ぇ! ビーム出せた! エーテル凄い! もしかしてもっとぶっとく出来る!? うわ出来る! エーテル凄い!! エーテルさん可能性無限大じゃないっすか!!」
──数時間後にはエーテルでビームを撃ちまくる馬鹿と化していた。
ビデオ屋での手伝いを終えて帰路についたライカンは、イツキの事を思い返していた。
(まさかあんなところに居たとは……灯台下暗しとはよく言ったものです)
(見たところ何かに巻き込まれたわけではなさそうで安心しました。……ですが、それでも予断を許さない状況であることに変わりはありません)
(ホロウ内限定とはいえ、大気中のエーテルを行使しての身体機能・防御性能の強化。加えて謎のビーム……。生死の境で会得したエーテルを扱う技術とはお聞きしましたが、到底真似出来るようなものではない。公になればどうなるかなど、想像したくもありませんね……)
(外でも強いというのに、
「あ、ボス」
「おっと、エレンですか」
偶然路地裏から出てきたエレンがライカンに声をかけ、二人は道の端に移動して立ち止まった。
「珍し。普段ならそっちから気づくのに」
「いけませんね、少し考え事をしていたのですが……」
「ふ〜ん……ボスでもそういうことあるんだ」
「ですが、それで目の前のことが疎かになってはいけません。この件については自戒いたします」
「真面目すぎだって……」
『ま、ボスらしいけど』と、エレンは呆れたように付け加えた。
「ところで、エレンはここで何を? わたくしはプロキシ様のところから帰るところですが」
「あたしも用件済ませたから帰るとこ。無駄骨だったけど」
「無駄骨……?」
「そ」
エレンは気怠げにそう言って、ジロリとライカンに視線を向けた。
「ねぇボス。改めて言うけど、もしアイツのことで何かわかったらすぐに教えてね」
「いっぺん噛みついてやらないと気が済まないから」
「……ええ、勿論」
去って行くエレンを見送ったあと、ライカンは彼女が出てきた路地裏をチラリと覗き込み──
──そこに傷だらけで倒れるフルフェイスヘルメットの男を見て、色々と察したのだった。
・イツキ
バカ。
ビームが出せることに気づいてからは丸一日ビーム打って遊んでた。
男ならビーム打てるようになったら夢中になって遊ぶだろオォン!?
取り込んだエーテルをエネルギーに変換することで身体機能と防御性能を向上させることが可能で、とりあえず雑に強いのでホロウ内ではデフォルトで使用するようにしている。ここから意図して必要以上にエーテルを注ぎ込むとモード:エーテリアス状態になり、更に強化される。
ビームや
あとエーテル居合終の段・超圧縮エーテル解放斬り(本人は当時ネーミングセンスに自信アリ)もこのタイミング。
・ライカン
他陣営はおろか、身内にも知られるわけにはいかないという状況になり辟易している。
だがそれよりも再会出来たことを喜んでいたりする。
なのでライカンは普段よりどこか機嫌が良かったのだが、エレンは気づかなかった。
・エレン
バチギレサメっ娘
偽物だと思いつつも足を運んだら案の定偽物だったのでボッコボコにした。
本物見つけたら取り敢えず噛む。話はそれからだ。