前回の感想では何故か見えない文字について語っている読者さんが居たンナねぇ……。
今回はそんなことは起こらないはずンナ! 安心してほしいンナ!
「うっっっま! リナさんの料理マジでうっっっま!!」
「うっさ……。そもそもどうやって食べてんのそれ。ヘルメット被ったまんまじゃん」
「そんな細かいこと気にしなくていいじゃんか。なぁカリンちゃん」
「ふぇっ!? ご、ごめんなさい……カリンもどうやって食べてるのか少し気になってました……」
「だよなぁ!? 気になるに決まってるよなぁ!?」
「手のひら返すの早すぎでしょ」
「実は俺手のひらドリルなんだよね」
「しょーもな」
呆れられて辛い。でもリナさんの料理が美味いからプラマイゼロ。なんならプラマイプラスなまである。
「ふふ。美味しそうに召し上がっていただけて、作り手として光栄でございますわ」
「ええ! もう毎日食べても飽きないですね!!」
「は?」
「待って」
今のは違うじゃん。別にプロポーズとかそういうんじゃないってことは誰にでもわかるじゃん。
だからハサミ構えるのやめてね。誤解だからねコレ。
「一旦落ち着こうかエレン、俺は別にヴィクトリア家政の大事なメイド長様を口説こうとしたわけじゃない。リナさんもわかってますよね?」
「まぁ! 口説かれてしまいましたわ!」
「リナさん???????」
わざとらしく頬に手を当てて照れるフリするの辞めてほしい。エレンのエンジンかかっちゃうから。貴重なエネルギーここで消費しちゃうから。
「……用事も済んだし今日は帰ります! それでは!」
「あ、こら!」
追いかけてくるエレンに捕まらないよう、俺は全力で逃げ始める。
これが、俺がホロウレイダーを辞める少し前の出来事だった。
「……望まれるのなら、毎日お作りしても、私は……」
「……ごちそうさまでした」
「ふふ、綺麗に完食してしまいましたわね」
結局全部食べてしまった。というか食べさせられてしまった。
この年になって"あ〜ん"は流石に恥ずかしかった。誰も来なくて良かった……。
「……実は私の料理、普通に食べれる人はほとんど居ないのですよ?」
「……へ?」
じ、自覚してる!? ライカンさんを始めとして色んな人がリナさんには隠し通そうとしていたはずなのに……?
「それを知ったのは偶然ですわ。今までは周囲の方々が私に気を使って、わからないようにしてくれていたのです。……まさか自分がゲテモノを作っていただなんて、思ってもいませんでしたわ」
「ゲ、ゲテモノなんて、そんな……」
「……そうですわね、貴方は美味しく召し上がってくださいましたから……。……ですが、ほとんどの方々からすれば、私の料理はゲテモノでしかありません」
どこか悲しげに俯いて、リナさんは表情を暗くした。
「ショックでしたわ……。料理は私が最も情熱を注いでいたものでしたのに、それが人を喜ばせるどころか苦しめるものになっていただなんて……」
「……これを自認してからというもの、ゲテモノではない普通の料理を作るべく勉強を始めたのですが、知識が増えるその度に今までの自分を否定されているような気分になって……」
「……とても辛い気持ちだったことを覚えていますわ。でも……」
『そういや、リナさんの料理ってどんくらいディニー払えば食べられます?』
『……はい?』
『いや、ホロウを1週間彷徨った後に食べたあの味が忘れられなくて……是非もう一度食べたいなと』
『……あのときは、その……まだ、存じておらず……』
『?』
『い、いえ。それより、私の料理などで本当に良いのですか? ライカンさんやエレン、カリンちゃんの料理の方が──』
『リナさんの料理が食いたいですね俺は』
『……お気遣い感謝いたしますわ。でも……』
『お気遣い……? いや、そういうんじゃなくて、俺は本当にリナさんの料理が食べたいんですよ。マジで』
『…………』
「世辞を言われても悲しくなるだけだから言わないで欲しい。そう思って断ったつもりでしたのに、それでも食い下がる方が居ましたわ」
「……今思えば、当時の私は腹が立ったのでしょうね。年甲斐もなく、『そんなに言うなら食べてみろ』とでも言うかのように、今まで通りの作り方でたくさんの料理をご用意いたしました」
「きっとすぐに音を上げる。そう思っていましたのに……」
『うっっっま!! この味! この味を求めてたんだ俺は!!』
「……私の料理を、それはそれは美味しそうに召し上がってくださいましたわ。
「それを見て、どこか救われた気持ちになりましたわ。普通の料理とは懸け離れたところに向かってしまった私の料理でも、こんなにも喜んでくださる人が居るのだと」
「あの日、正しい意味での料理を振る舞う喜びというものを初めて知ることが出来たのかもしれませんわね」
「そう、なんですね……」
聞いた感じ、話に出てきたのは多分俺のことだろう。
そのときはたまたま無性にリナさんの料理が食べたくなって押しかけただけだったんだが、結果的にリナさんのメンタル快復に役立っていたらしい。ナイスあの日の俺。
「ですが、ひとつ困ったことがありまして……」
「……と、言いますと?」
「その日以降も、その方からのオーダーもありまして、会う度に料理を振る舞わせていただいたのですが……」
うん、確かに毎回料理食べさせてもらった。どれもめちゃくちゃ美味かった。
「実は少し前から、その方が姿をくらませてしまったのです。まだ、
……代金? えっ、ディニー発生してたのアレ? 確かに無料とは言われなかったけども……。
「それって、どれくらいの額になるとか、聞いても……?」
「ふふ、ディニーでは表せませんわ」
「……それは、どういう……?」
「詳しくは言えませんが……
「???」
「もしお心当たりがある人物に会うことがあれば……『ヴィクトリア家政のリナが探している』と、お伝えいただけたら嬉しいですわ」
そう言うと、リナさんは微笑みながら踵を返し、外へと向かっていく。
俺は彼女の言葉の真意がわからず、首を傾げることしか出来なかった。
店の外に出たリナは、ビデオ屋を振り返ることもなく真っ直ぐ歩いて行く。
「ディニーでのお支払いなんて、出来ませんわ。だって──」
「──乙女の純情を踏み荒らした代償は、ディニーでは支払えないでしょう?」
「またお逢い出来て嬉しいですわ。フルメット様……」
映画上映直前であげてるから見直しする時間無かったンナ。
誤字とかおかしい部分あったらごめんンナ。
ンナはこれから隻狼見てくるンナ。