タイトルがド直球罵倒で草ンナ
草じゃないが
あれから数日、体調が快復したこともあり、俺はライカンさんに現状報告をすることにした。
「というわけで、儀玄さんに話しちゃいました」
「…………」
ライカンさんは俺の言葉を聞くと、目の辺りを押さえながら上を向いた。
「……ガチンナ?」
「ガチンナ」
「はぁ……。あのですね、何度も聞きますが、本当に隠すつもりはあるんですか?」
「ありますよ! ……ただ、今回は看病してもらっちゃいましたし、何も返せないのは流石にと思いまして」
「……看病?」
後ろから、可愛らしくも恐ろしい声が聞こえた。
「看病って、なんのことですか? カリン、何も聞いていませんよ?」
「えっ!? えっと……その、看病っていうのはえっと……そ、そう! 殺戮戦士:キラーボンプマン3号のメンテナンスをしてもらったというか──」
「カリン、この人は風邪を引いた癖に外出して倒れたんですよ」
「ライカンさん!?」
『少しは反省しろ』とでも言いたげな表情で語ったライカンさんの言葉を聞いて、後ろからの圧が増大する。
「イツキ様……何か困ったことがあったら教えてくださいって、カリン言いましたよね?」
「風邪を引いたなんて聞いていませんよ? どういうことか、説明してくださいますか?」
答えを間違えれば終わる。目が笑っていない笑顔を向けてくるカリンちゃんには、そう思わせるような圧があった。
「え、えっと……。大人なんだし、風邪くらいどうにでもなるからさ! カリンちゃんに伝えるほどのことじゃないかなぁって!」
「………………」
「無言で詰め寄ってこられると怖いんだけど!? そのニッコリした笑顔は何!? ……あの、カリンちゃん? カリンちゃん!?」
話はライブ当日、キラーボンプマン3号が儀玄によって襲撃犯の溜まり場から運び出された少し後まで巻き戻る。
襲撃犯を全滅させた下手人がその場から消えた僅か数分後、一人の虚狩りが現場に到着していた。
「……これは」
壊滅させられた襲撃犯達を見て、その虚狩り──星見雅は、この状況が誰の手によって引き起こされたのかを把握した。
「先程微かに感じたあのエーテル、恐らくヤツのものだ。だが一手……いや二手、遅かったか……」
もっとエーテルへの造詣が深ければと、星見雅は自分の知識不足を悔いた。
「……ずっと斬り合ってくれると、そう言ってくれたではないか」
「何故私から逃げるのだ、フルメット……」
しゅんとして表情を落とす星見雅の元に、彼女を追いかけてきた面々がようやく追いついた。
「あちゃー……あの様子を見るに、雅課長が着いた時にはもう逃げられた後でしたかねぇ」
「ボス、とっても落ち込んでる。なんだかかわいそう……」
「どうにかしてあげたいですが、全力で逃げる彼を捕らえられるのは私達の中だと課長くらいしか居ませんし……」
星見雅を見て対ホロウ6課の各々が言葉を発する中、着いてきた朱鳶が不思議そうに首を傾げた。
「あの……どうして雅はあんなにも落ち込んでいるのでしょうか? 雅が彼の足取りを追っているのは知っていますが、あの落ち込み様は、あまりにも……」
彼女の疑問に、月城柳が口を開く。
「なんというか……課長はその、あの人から『ずっと斬り合ってやる』というような言葉を言ってもらえたと思い込んでいるようで……。課長からすればその言葉は……えぇっと、
「な、なるほど……。だからなんですね……」
「大方、言われた言葉を都合良く曲解したか、存在しない記憶でも生やしたか……。雅課長、あの人のことになるとちょっと……いや、かなりIQ下がりますから」
「メットにぃがそんなこと言うはずないもんね!」
「…………
蒼角の言葉に対し、朱鳶は少し目を逸らして答える。
「似たような言葉は、その…………」
「確かに……雅に向かって、宣言していましたね」
「「「……………………」」」
彼女の言葉に対ホロウ6課の各々が無言で顔を合わせ、改めて朱鳶の方に顔を向けた。
「「「……………………えっ?」」」
「た、助けてくれ! 俺はまだ何もしてないんだ!!」
星見雅が襲撃犯の溜まり場に辿り着いたのとほぼ同時刻、エレンは一人の男を壁際に追い詰めていた。
「残念だけどお縄は確実。でも、回答次第では痛くしないで捕まえたげる」
「ちくしょう……折角逃げれたと思ったのに……!」
ジャスティスボンプマン0号を儀玄が運び去ってから、星見雅が現場に到着するまでの僅かな時間。ギリギリのところで意識を保っていた男は何とかその場から離れることに成功したが、惜しくもエレンに見つかってしまった。
「さっき、あいつのエーテルを感じた。そんで、あんたはその方向から逃げてきた。なら答えはひとつでしょ。
「何をって、訳のわからねぇボンプ頭をしたイカれたロボット野郎……いや、絶対中に人が入ってた気狂い着ぐるみ野郎に俺達は全滅させられたんだ……」
「……ふーん、やっぱ居たんだ」
その言葉を聞いて、エレンはやはりフルメットが襲撃犯を殲滅させたのだと確信した。
「で、その気狂い着ぐるみ野郎はどこ行ったの?」
「し、知らねぇよ! そもそも気絶したフリしてたんだから、見てねぇしよぉ!!」
「……あ、そ」
もう有益な情報は無さそうかなと、エレンが男への興味を失いかけたところで──。
「ひっ!? ま、待てっ! もう一人! そいつだけじゃなくて、もう一人居たんだ!!」
「……もう一人?」
「あ、あぁ!! き、綺麗な姉ちゃんだったぜ!? そいつが、あの気狂い着ぐるみ野郎を連れてどこかに消えたんだ!」
「…………………………」
『………………は?』
・イツキ
しっかり詰められた。ごめんなさい。(土下座)
・ライカン
粛清はカリンに任せて帰った。
ガチンナが徐々に口癖になりつつある。
・カリン
それはもう怒った。ぷんぷん。
・星見雅
存在しない記憶……じゃ、ないらしい。
・対ホロウ六課の皆様
えっ
・朱鳶
原因アレかぁ……(白目)
・エレン
綺麗な女の人? は? 誰それ? は?
何? どういうこと? 今でも連絡取ってる人がいるってこと?
てかその女だれ? は?
・儀玄
ライブ以降、定期的にビデオ屋に通う師匠の姿がよく目撃されているらしい。
・有能AIからのタレコミ
マスター達が居ないときに『ここまで距離があって疲れた』とか言って彼に寄りかかったりして甘えられると隠蔽するの大変なんですが?