お金貯まったからホロウレイダー辞めるわ   作:イグアナ

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原作の流れを若干変えてるから許されるかちょっと怖いンナ
でも書きたいもの書くンナねぇ……!(本性顕現)




25話:生意気言って申し訳ありませんでした

 星見雅が所持する"骸討ち・無尾"は妖刀である。

 

 かつてその妖刀は、持ち主である星見雅の精神を乗っ取り、彼女を人斬りの修羅にすべく暴走した。

 

 妖刀の暴走により星見雅の目が鋭い殺意に塗れたその瞬間、イアス(リン)と朱鳶が彼女をホロウに押し込んだことで、彼女が市民を傷つけることは避けられたが、その代わりと言うべきか、ホロウ内のエーテリアスが次々と彼女に斬り伏せられていく。

 

「ど、どうしよう……! 雅さんをホロウに押し込んだのは良いけど……」

「あれでは周囲のエーテリアスが全て斬られるのも時間の問題ですね……。エーテリアスを殲滅させたら次はどこに矛先が向かうのか、想像出来ません……」

「そうだよね……。何か、考えないと……」

「アレ放っておくのはちょっとって感じだよなぁ」

「そうそう。────え?」

 

 リンと朱鳶がチラリと後ろを向くと、フルメットがまるで最初から居ましたよと言わんばかりに首を縦に振っていた。

 

「「なんで居るの!?(何故いるんですか!?)」」

「いや、こっちからすると三人が急に入ってきたんだけど……」

「言ってよ!! いくらなんでも心臓に悪いじゃん!!」

「ごめんて」

 

 フルメットは軽く頭を下げると、視線を星見雅へと向けた。

 

「で、真面目な話したいんだけど、どういう状況?」

「なんというか、えっと……」

「なんと、お伝えすれば良いか……」

 

 刀のことを口外してはならない。星見家とそう約束したリンと朱鳶が言いづらそうにしていると、フルメットは察したように頷いた。

 

「言えない話ね。じゃ、ひとつだけ確認させてほしい。『今の星見雅(あいつ)は正気じゃない』……そうだな?」

「うん。そう、だけど……」

「了解。そんだけわかればいいや」

「ちょっ……!?」

 

 朱鳶が彼を止めようと手を伸ばしたのも気にせず、フルメットは最後のエーテリアスを斬り伏せた星見雅の前に姿を晒した。

 

「なんだよ。今日は随分怖い目してるな、お前」

「…………」

「ほら、来いよ。次の相手は俺がするからさ」

「…………ッ!」

 

 フルメットの言葉を聞いて彼女は刀に手をかけるが、刀を握った手をカチカチと震わせるのみで、斬りかかる気配がない。

 

「……そっか。やっぱり星見雅(お前)、中で頑張ってるんだな。……なら」

 

 すぅっと、フルメットは息を吸った。

 

「星見雅! 中で抑え込むことだけ考えろ! 表(・)の(・)こ(・)と(・)は(・)気(・)に(・)す(・)る(・)な(・)!」

 

「安心しろ! お前じゃないお前に斬られてやるもんか!! よくわからんけど、さっさと屈服させてこい!!」

 

 フルメットが言葉を言い終えるのと、星見雅が彼に斬りかかるのは、ほぼ同時だった。

 

 

 


 

 

 時間にして5分弱、フルメットは星見雅の猛攻を凌ぎ続けていた。

 

「ふははははははははは!!! お前の正体は知らんが恐るるに足らず!! こちとら今まで星見雅(本物)に斬られまくってんだよぉ!!」

「ッ!!」

「ちょろい! ちょろちょろすぎる! 普段もこんなだったら逃げるのも楽なんだけどなぁ!! あっはっはっは!!!」

「ッッッッッ!!!!!!」

 

 フルメットが敢えて挑発するような発言で注意を引くと、彼女の表情にあからさまな怒りが滲み出た。

 

「うーん……なんて言うんだろうな。お前の戦い方、後方互換性があるからって最新のゲーム機で二世代くらい前のゲームやって満足してるみたいな感じするんだよな」

 

「最新のゲーム機で最新のゲームを遊んでこそスペックを最大限に味わえるんだぞ? 星見雅をお前に合わせようとするんじゃなくて、お前が星見雅に合わせなきゃダメだろ。二世代前のゲーム(お前の戦い方)じゃなくて、最新のゲーム(星見雅の戦い方)じゃなきゃさ」

 

「わかる? お前の戦い方、時(・)代(・)遅(・)れ(・)な(・)ん(・)だ(・)よ(・)ね(・)」

「ッ!!!!!!!!」

 

 今までにない殺意を帯びて、彼女の刀がフルメットに肉薄する。

 

 ──が、彼はその刀を片手で掴んで止めた。

 

「………………ッ!?」

「やっぱりさ、あんな斬撃何度も受けてたら目が肥えちゃうんだよね。お前は星見雅のスペックを何も活かせてない」

 

 そう言って、フルメットは刀から簡単に手を離した。まるで、脅威とも思っていないかのように。

 

「ッ……!」

「今、何で一歩後ろに引いた? さっきまでの斬ろうって意思はどこにいった?」

 

 フルメットが一歩詰める。

 

「俺のこと、斬りたいんだろ? なら、星見雅(あいつ)に主導権を戻せば良い。お前が真に最強を目指すなら、それが一番の近道だ」

 

「ダメだって言うんなら……仕方ない。理解してもらえるまで、永遠に斬り合い続けるしかない」

 

「──覚悟しとけよ。たとえお前が嫌だと言ったとしても、ずっと斬り合ってやるからな」

 

 その言葉に、星見雅の指がピクリと動いた。

 

 

 


 

 

 自身の精神世界の中で、星見雅は妖刀に宿る歴代当主の念と交渉していた。

 

「私の刃となれ、悪だけを断つために。かつてお前たちに犠牲を強いた悪ともども、私が討ち取ってくれよう」

 

「お前たちに払われる犠牲は、我が母上で終わりだ……。これよりは、私の手でお前たちを真(まこと)の天下無双にしてくれる!」

 

 彼女の力強い宣言に、歴代当主は嘲笑うかのような反応を見せる。

 

『無垢……』

『理想……』

『──貪欲』

『未熟!』

『そして傲慢……。我らが見てきた中で、かようなまでに身の程を知らぬのは二人目じゃ……』

『……だが、面白い……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──というかあの、生意気言って申し訳ありませんでした。この力、どうぞ使い倒していただければ……』

「……は?」

『諦観……』

『敗北……』

『──無欲』

『未熟!』*1

 

 何故か急にネガティブなワードを使い始めた歴代当主達に星見雅が面食らっている間に、彼女の視界がボヤけていく。

 

『……おぬしが厄災とあ(・)の(・)男(・)に立ち向かうそのときを、我らは見守ろう……。若き、星見よ……』

「待て! 何か良い雰囲気で終わろうとするな! 何だ!? 一体お前たちに何があったのだ!?」

 

 誰も彼女の疑問には答えない。やがて、星見雅の意識が表に戻っていく。

 

「俺の────だろ? なら────お前が真に────の近道だ」

 

(……なんだ? 誰の、声だ……?)

 

「──なら……仕方ない。──永遠に斬り合い続けるしかない」

 

(永遠に、斬り合う……?)

 

「──覚悟しとけよ。たとえお前が嫌だと言ったとしても、ずっと斬り合ってやるからな」

 

 は(・)っ(・)き(・)り(・)と(・)聞(・)こ(・)え(・)た(・)その言葉に、星見雅はピクリと反応した。

 

「──フルメット?」

「……お? 元に戻ったか!」

 

 『良かった良かった』と言って納刀するフルメットとは裏腹に、星見雅は逆に抜刀した。

 

「……あの、星見さん?」

「ふふ、ふふふふふ……」

「えっと、正気に戻った……で、いいんだよな?」

 

 その言葉に彼女は答えない。

 

 何故なら、星見雅の耳は確かに聞き届けていたからだ。彼の『ずっと斬り合ってやる』という言葉を。

 

「……そうか。そうかそうか、そうだったのか……。すまないフルメット、私はお前の気持ちに気がつけなかった」

「ちょっと待ってほしい。何か重大な思い違いをしてる気がするんだけど──」

「ならば今すぐに斬り合おう! お前の言う通り、ず(・)っ(・)と(・)──!」

「状況考えろやこの修行大好き狐がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

 目をキラキラさせた虚狩りから全力で逃げるフルメットを見て、リンと朱鳶は苦笑いしたのだった。

 

*1:
自分への戒め





・フルメット
このあと逃げた。
本物と斬り合いたいわけないだろいい加減にしろ!!


・星見雅
フルメットを追いかけようとしたところで体力が尽きて膝をついた。
原作通り体力は消耗してたからね、仕方ないね。

本人的には熱烈なプロポーズを受けて承諾したつもり。父親にはガッツリ惚気ている。
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