お金貯まったからホロウレイダー辞めるわ   作:イグアナ

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うわダッッッッッッサ。(タイトルを見て)
マジでダサいンナ。二度とネーミング担当するんじゃねぇぞンナ。




28話:マサマサ式・エーテルドーピング

 

「で、でき……た?」

「おおおおおおおおおお!!! 出来てる! 出来てるぞマサマサ!!」

 

 数ヶ月もの特訓の末、浅羽悠真は己の身をエーテリアスへと意図的に異化させる技術を身に付けた。

 

「これが悠真の──」

「"マサマサ式・エーテルドーピング"だ!」

「ごめん、その名前は本当にダサいからやだ」

「えっ」

「……残念だけど、僕もその意見には同意かな」

「おいプロキシ兄、裏切るのかお前」

「裏切るも何も、最初から僕はそのネーミングに難色を示していたはずなんだが……」

「そんな…………」

 

 膝をついて崩れ落ちるフルメットにボンプ(アキラ)は苦笑いして、その後エーテリアス(浅羽悠真)へと視線を向ける。

 

「それで、調子はどうなんだい? やっぱり生身の身体とは感触が違ったりするのかな?」

「なんというか……上手く言えないけど、ホロウに馴染むような感じがするね。ホロウ内でしか存在を保てないエーテリアスだからこその感覚……なのかな。でも、意識が何かに飲まれるような感覚はないね。見た目はご覧の有様でも、心は正真正銘、浅羽悠真だよ」

「なるほど。それ聞けて安心したよ」

「さて、一旦人間体に戻ろうかな。ねぇ、これどうやって戻るの?」

「戻り方……? えっと……なんかこう、自然に」

「えっ」

 

 フルメットの言葉に浅羽悠真が固まる。

 

「あのさ……まさか『感覚(フィーリング)で』とか言わないよね? 僕、割と理屈とか大事にしてるタイプなんだけど」

「……ごめんマサマサ。俺、人間体に戻るのはなんか最初から出来てさ……。……その、特に考えてやってるわけじゃないんだ。だから──」

 

 謝りながら、フルメットは土下座の体勢へと移行した。

 

「──感覚(フィーリング)でお願いします」

「ンナァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?!?!」

 

 この後、浅羽悠真は人間体に戻れるようになるまで数日を要した。*1

 

 

 


 

 

 後日、浅羽悠真は定期診断を受けるために病院へ赴いていた。

 

 当初の予定日より半月ほど遅れて病院にやってきた彼に対して、主治医はやんわり注意をしつつも診断を始めたのだが、全ての診断が終わると、主治医は驚いたような様子で浅羽悠真に話し始めた。

 

「──信じられません。検査の結果を見るに、君の心臓と肺は正常な人のそれと比べても遜色ありません」

「……本当、ですか?」

「ええ、私も自分の目を疑っています。ですが、数値は嘘をつかない。何度データを見ても、君の心肺機能は正常性を取り戻している」

「じゃ、じゃあ……僕の、寿命は……」

「一般的な平均寿命まで生きることも十分に可能でしょう。もっとも、君は仕事柄、死と隣り合わせな状況がよくあるでしょうから、"普通に生きていれば"という枕言葉は付けさせていただきますが」

「……そう、ですか」

「念のため今まで通り薬は処方しますが、今後1週間の間に発作が一度も出なければ薬の服用を止めても問題ないでしょう。勿論、定期的な報告はしてもらいますがね」

「……はい」

 

 ここまで話して、主治医は溜め息をついた。

 

「……はっきり言って、こんなことは有り得ません。間違いなく君に何かあったのだと、我々は考えています。エーテル適性減退症候群は現在も治療法が見つかっていない不治の病ですから。……要因に、何か心当たりは?」

「ありません」

「……相変わらず、君は嘘が下手ですねぇ」

「ゔっ……」

 

 伊達に浅羽悠真を長年診てきていないというべきか、主治医はあっさりと彼の嘘を看破した。

 

 顔をしかめる浅羽悠真を見て、主治医はどこか柔らかい雰囲気で笑みを浮かべた。

 

「心配しなくても追及したりしませんよ。君が言わないべきだと考えているのなら、きっとそれが正しいですから」

 

「まったく……君は定期報告が大抵遅れていましたし、通院も全然して来ない。来るとすれば、それは無理をして苦しそうな顔をしているときがほとんどでした。そんな君には、たくさん手を焼かされましたが──」

 

「──そんな君がここまで快復したことを、我々は心から喜ばしく思います。どうかまた、その元気な顔を見せに来てください。浅羽悠真さん」

 

 


 

 

 

「あはは……心臓と肺、治ってたみたい……」

「本当かい!?」

「持病も治るのかぁ……。……え、なんで?」

「……多分、モード:エーテリアスのおかげだと思ってる」

 

 "エーテルドーピング"改め、"モード:エーテリアス"。

 

 体積が肥大化したり、人体とはかけ離れた造形に変貌するわけでもないが、人の身を一時的にエーテリアスへと異化させ、身体性能の向上や、エーテル運用の精度向上など、様々な恩恵が与えられる。

 

 浅羽悠真が目をつけたのは、その恩恵の中のひとつ──。

 

「自動再生……怪我した部位をエーテルで自動修復する能力がモード:エーテリアスにあるでしょ? きっとそれの適用範囲は、怪我だけじゃない」

 

「かつて僕を死の淵から呼び戻した治療薬。師匠が残してくれた僕専用の特効薬を自分に打ち込んだときの感覚が、きっとまだ僕の身体に残っていたんだ。だから自動修復の能力は、多分それを感知して──」

 

「……悠真の心臓と肺が正常ではないと判断して、擬似的に治療薬の効能を再現した。……いや、身体に刻まれた治療薬の効能を元にそ(・)れ(・)以(・)上(・)の(・)修(・)復(・)を(・)行(・)な(・)っ(・)た(・)……そういうことかな?」

 

「さっすが相棒! 理解が早いね!」

 

「つまりマサマサの師匠が残してくれた薬と、エーテルドーピングあっての完治ってことか。……他の患者さんに同じことをするってのは難しいな」

 

「そうだね。あとエーテルドーピングはダサいから止めて」

 

「生みの親俺なんだが!?」

 

 不満そうに抗議するフルメットだったが、特に気にする様子もなく浅羽悠真はスルーした。

 

「というか、仮にモード:エーテリアスだけで治るとしても一般的な治療法とするには土台無理な話だと思うよ。だってエーテル運用に定評がある雲嶽山の宗主様が匙を投げたんでしょ?」

「そうだな。『お前さん、流石にそのエーテル運用は変態が過ぎる……』とか言われたっけ」

「あのときの師匠、頭抱えてたなぁ……」

 

 アキラが思い出すのは、儀玄にモード:エーテリアスの存在を教えた時のことだった。

 

『……???』*2

 

『……?』*3

 

『…………??????』*4

 

 こんな感じで永遠に首を傾げている彼女の姿は、今でもアキラの記憶に強く残っている。

 

「とはいえ、マサマサはまだ制御が完璧じゃないから、も少し特訓する必要はありそうかな」

「う〜ん、それは確かに。また特訓の付き合いお願いしても良い?」

「勿論。それに、他にも決めることとかあるからさ」

「他にも? それは一体────」

 

 


 

 

 

「だ──か──ら!! 決めポーズはこうだろこう!?」

「いやいや! ぜっっったいにこっちだね! 自分のセンスが壊滅的なことにそろそろ気づいてくれないかな!? そして僕に任せてくれないかな!?」

「プロキシ兄ィ! どう思う!?」

「やれやれ……。まったく二人とも、くだらないことで争うのはよしてほしい。それで、議題は確か、2人同時にモード:エーテリアスを解放したときの決めポーズだったかい?」

 

 

「──なら、決めポーズはこれに決まってるだろう?」

「第三勢力……だと?」

「残念だよ相棒。どうやら僕らは戦わなきゃいけないらしい……」

「何を言ってるんだい二人とも。様々な映画を見た僕からすれば、こういうのを考えるのはいわば本職……素直に聞き入れてほしいものだけど」

「マサマサ、こいつ敵だ」

「何言ってるの? この場の全員敵でしょ?」

「最後まで我を通した者が勝つ……。もうここは遊び場じゃないんだフルメット。悪いけど、こればかりは僕も譲れない」

「はっ! 残念だったなプロキシ兄! 最終的に決めポーズを取るのは俺達2人! つまり、お前の発言力は俺達よりも低いんだよ!!」

「なら僕も混ざろうじゃないか。君たちが同時にモード:エーテリアスを解放するときには、必ず僕もその間に挟まって決めポーズを取ろう。これは確定事項だ」

「へぇ……本気だね、相棒」

「おい待てマサマサ! 三人となればまた話は変わるぞ!? 二人でのポーズと三人でのポーズじゃ芸術のスケールが──!」

 

 

 

 

 

 

『──はぁ、くだらない言い争いですね』

「男の子って感じだねぇ。珍しくお兄ちゃんもヒートアップしてるし」

『まったく……決めポーズならば"アレ"しかないでしょう』

「Fairy?」

 

 くだらない争いにFairyが混じって更に状況がカオスになるまで後数秒──。

*1:
対ホロウ六課の面々にはサボりだと思われて事なきを得た

*2:
言ってることがよくわからないという顔

*3:
よくわからないけどちょっとわかりかけてきたかもという顔

*4:
やっぱりよくわからないという顔






・フルメット
いつまでも少年の心を忘れないバカ1号
足元からエーテル噴射すれば空飛べるんじゃねって思ったらそのまま頭から壁に突っ込んでマサマサに大爆笑された

・浅羽悠真
バカ2号
壁に突っ込んだフルメットを見て笑いすぎて涙出しながら『へったくそだなぁ』とか言って自分が同じ事したらその場で一回転して地面とキスするハメになってフルメットに大爆笑された

・アキラ
バカ3号
まともなのは僕だけだな……とか思いつつ、二人がゲラゲラ笑いながらエーテルビームぶっ放して遊んでるところを見て『混ざりたいなぁ……』とか思ってた。

・儀玄
話を聞いて宇宙猫状態になった人
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