当たり前のように一人称"ンナ"が受け入れられてて怖いンナ
誰がそんな汚染をしたワタ
「──というわけで、今後は僕も彼の隠蔽に手を貸すことになった。この件で何か協力出来ることがあれば、是非僕に連絡してほしい」
そう報告したアキラの言葉に、
「何故パエトーン様が貴方の背中にくっついているのですか!?」
「そっち?」
いや、ビビアンの気持ちはわかるけど。だって今アキラが後ろから俺の肩に顎乗せてゆったりしてるし。
「私ですらそんなことされたことがないのです! パエトーン様! 誰かに体重を預けたいほどお疲れなのであればビビアンの背中が──!」
「すまないビビアン。彼の背中があまりに心地良くてね」
「絶対に許さないのです」
「人殺せる視線向けるのやめてね」
これで俺にヘイト溜まるのおかしいだろ。ライカンさんもそう思いますよね? え、思わない? そっか……。
「しかしライカン、聞けば奴の正体がバレたときに貴様も傍に居たそうだな。お前が傍に居ながら何故こんなことになっている?」
「……たんだ」
「……何だ? 聞こえ──」
「詰んでたんだ。何もかも」
「……な、何があった?」
遠い目をしたライカンさんに対し、珍しく角が取れたような様子でヒューゴが問いかけると、ライカンさんはホロウ内での出来事を簡潔に話し始めた。そして──。
「……まあ、その……なんだ。俺が悪かった。どうやら貴様は、立派に役目を果たしていたようだな……?」
「……わかってくれるか。ヒューゴ……」
何故かお互いの肩に手を置いて労り始めた。俺も理不尽に殺意の籠もった視線を向けられてるから労わってほしいんだけど。
「……なるほど、知らなければそうなるのも無理はない……か」
「アキラ?」
「ビビアン。僕はもう彼から離れるから、次は君が彼の背中に身を預けてみるといい」
「……はい?」
「ちょっと待てお前」
どうしてそうなるんだアキラ。どう考えてもさっき俺にやってたことをビビアンにやるのが一番平和に終わる択だっただろうが。
「いいかいイツキ。ビビアンは君の背中を知らないんだ。だから、それさえ知れば彼女もわかってくれるんじゃないかと思うんだ」
「ごめんもっと意味わかんなくなっちゃった」
本当にどういうこと? ビビアンが俺の背中の良さを知れば、アキラが俺の背中にくっついてたことを納得してくれるかもしれないってことか?
いや、 無理があるだろ。そもそも俺の背中はそんなに良いもんじゃないだろうし、第一ビビアンが俺の背中にくっつくとは思えな──。
「こうなのです?」
「ああ、そうだ」
「……は?」
考えている間にビビアンが俺の後ろに来ていたようで、俺の肩に顎を乗せて、首に手を回していた。
「え。おま、何して──」
「はわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……! たまらないのです……!」
「は!?」
嘘だろ!? ビビアンが俺の背中にくっつくだけでもおかしいのに、あまつさえ俺の背中に心地良さを感じてるなんて、ビビアンに限ってそんなことあるわけが──!
「パエトーン様がお残しになった温もりが、ダイレクトに……!」
「そんなこったろうと思ったよ!!」
知ってた。コイツが俺の背中に心地良さなんて感じるわけがなかった。
まさかすぐ背中にくっついてきたのも、アキラの体温が残ってると思ったからじゃないだろうな……。いや、絶対そうだろコイツ。
「……あの、そろそろいい?」
「良いわけがないのです! まだまだパエトーン様の温もりが味わい足りていないのですから! ……それともまさか、貴方はパエトーン様の温もりを独占しようとでも……?」
「するわけないだろ!! そもそも背中に残った体温とか全然わからんけど!?」
「そうなのですか? この良さが感じ取れないとは哀れすぎるのです……」
「なんで勝ち誇った顔されてんの俺」
どこに勝負の概念持ち込んでんだお前。そもそも体温感じ取りたいなら目の前に本人が居るだろうが。
「パエトーン様を想う気持ちがまったく足りていないのです。仮にも私を差し置いて"右腕"と呼ばれている身なのですから、もう少し自覚を持ってほしいのです」
「だから知らないってそれ……。というか、その称号はお前に譲っただろ……?」
「あんな勝ち逃げみたいな渡し方で私が納得すると思っているのですか?」
「待て、話し合おう。首に手を回してるからってチョークスリーパーをしようとするんじゃない」
「安易に私に背中を許すからこうなるのです」
ニヤニヤしながらビビアンが俺の頬を人差し指でつんつんしてくるが、許すも何も考えてる間に背後取られてた気がするんだけど。
「仕方がないのです。パエトーン様への想いを証明したらチョークスリーパーは勘弁してあげても良いのです」
「想い……?」
「はいなのです。パエトーン様が大好きなら、"「パエトーン」の歌"が歌えるはずなのです」
「証明手段イカれてんだろ」
歌えと? 今ここで? アレを?
「まあ、歌えなくても無理はないのです。そもそもどんな曲かすら知らないでしょうから」
「いや、歌えないわけないだろ。そもそもお前が俺にCD渡してきたんだぞ? 忘れたのか?」
「……ちゃんと、聴いてくれたのですか?」
「……? 折角貰ったんだし、聴くだろ」
「〜~~~ッ!!」
俺の言葉で急に俯いてわなわなと震え出すと、こちらを睨みつけるような表情をして顔を上げた。
「な、なら証明するのですっ!! 少しでも私に付いてこれなかったら即失格なのです!!」
「一緒に歌うんかい」
まあ一人で歌わされるよりマシだけど。え、てかマジで歌うの? そっかぁ……。
「……ふふ」
微笑むアキラの視線の先には、楽しげに歌うビビアンと、仕方なさそうな表情で彼女と一緒に歌うイツキの姿があった。
「どうかいたしましたか? プロキシ様」
「いや。微笑ましい光景だなって、そう思っただけさ。僕の体温なんて、とっくに彼の背中から消えているだろうに」
「……プロキシ。さてはお前、わかっていて誘導したな?」
「何のことだい? ヒューゴが何を言っているのか、僕にはよく分からないな」
そう返して、アキラはビビアンに目を向ける。
(……ビビアン。もしもまだ、君が彼の背中に心地良さを感じているというのなら、それはきっと──)
・イツキ
渋々最後まで一緒に歌った。
まあビビアンが楽しそうだしいっか。
・ビビアン
お開きになるまでずっとくっついてた。
何故か離れる時に少し名残惜しさを感じて首を傾げた。
・アキラ
内心『でもこれリンには見せられないな……』とか思ってたり
・ライカン&ヒューゴ
やっぱ仲良いよね君達
・有能AIのタレコミ
エージェント"ビビアン"がたまに彼の背中に視線を向けてはふるふると首を振っている姿が目撃されています。
主人公の相棒枠選手権(今後の内容に影響はないンナ)
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ライカン
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浅羽悠真