お金貯まったからホロウレイダー辞めるわ   作:イグアナ

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ちょっと情報多くなった感あって草ンナ
まあ一旦頭出しくらいのレベルだと思ってほしいンナ




43話:フィオニーちゃんがヤバい

「それにしてもあのときはびっくりしちゃった! たった一日お出かけしただけなのに、お兄ちゃんとあんなに仲良くなっちゃうんだもんね!」

「あはは……。そ、そうですかね……?」

 

 アキラに正体がバレてから数日、今度はリンさんと二人で買い出しに行くことになり、俺は正体がバレないよう注意しながら行動を共にしていた。

 

 ちなみに今回はライカンは着いてきていない。どうしても外せない用事があるんだとか。

 

 逆に言えば外せない用事でなければ来てくれるということだ。あまりにも面倒見が良すぎる。流石ライカンさんだ。

 

 ちなみにそれを本人に伝えたら『ふざけるなよ』って言われた。おかしいな。感謝を伝えただけなのに。

 

「でも、男同士なんてそんなもんですよ。一日一緒に行動すりゃ、大抵仲良くなりますって」

「そういうものなのかなぁ? いくらお兄ちゃんが人たらしとはいえ、あんな急に距離が縮まることなんてあんまりないんだけど……」

 

 人たらし度で言えばお前も大概だぞプロキシ妹。アキラのこと言える立場じゃないからなお前。

 

「……というか、どっちかというとお兄ちゃんの方がグイグイ行ってるような気がするんだよね」

「え?」

「だって、話しかけるのいっつもお兄ちゃんの方からでしょ? イツキさんがビデオのパッケージ見てるときにひょこって横から顔出したり、ライカンさんとイツキさんが話してるところに混ざりに行ったり……。なんというか、普段お兄ちゃんがしないような行動をしているような……」

 

 アキラさん? 行動が迂闊すぎてプロキシ妹に怪しまれてますけど? というか俺も気づくべきだったかもしれないけど!

 

「確かにイツキさんは良い人だけど、どうしてお兄ちゃんはあんなに──」

「すみませーーーーーん!!」

 

 プロキシ妹の言葉を遮るように声が聞こえてきた。声のした方向に視線を向けると、ボールが足元にコロコロと転がってきていた。

 

「ごめんなさい! 俺達のボールがそっちに──って、イツキにぃ!?」

「お、ショウタか」

 

 声をかけてきたのは近所に住んでる子供だった。へぇ、普段はこっちの方にも遊びに来てるのか。

 

「なんだよイツキにぃ! 今日は仕事のはずだろ!? それなのにデートか!? てか彼女居たのか!?」

「ちげーよ! ちゃんと仕事だよ! あとこの人は彼女じゃなくて雇用主だから!」

「こよーぬし?」

「あー、アレだよアレ。俺が働いてるところの店長様だ。つまり、すっごく偉い」

「偉いのか!! すっげぇな姉ちゃん!!」

「お、大袈裟だなぁ……」

 

 いやでも店長は実際偉いだろ。お前の判断一つで俺のクビ飛ばすくらい訳ないんだぞ? ま、よっぽどのことしない限りはそんなことしないと思うけど。

 

「ほら、向こうで友達待たせてんだろ? 早く戻ってやれよ。それと、知らない人にボールが飛んでかないように気をつけてな」

「へへっ、わかってるって! じゃあなイツキにぃ! また今度遊ぼうな!」

「わかったわかった。今度な」

 

 ぽんぽん頭を撫でながらそう言ってやると、ショウタは『約束だぞ!』と言いながら、パタパタと友達の所へと戻っていった。

 

「今の子、お知り合い?」

「はい、近所に住んでるんです。たまに一緒に遊んでもらってます」

「あははっ、そっかそっか。……お兄ちゃんがイツキさんを気に入る理由、ちょっと分かったかも」

「? それって、どういう──」

「──あ、ごめん。ちょっと待ってね」

 

 プロキシ妹が鳴り始めたスマホを手に取ると、画面を見て申し訳なさそうに手を合わせた。

 

「ごめんっ! 話の途中で悪いんだけど、無視できない電話だからちょっと出てくるね! 申し訳ないんだけど、少しこの辺りで待ってて貰えるかな?」

「あ、わかりました。そういうことならこの辺に居ますね」

「ありがとう! ホントにごめんね!」

 

 無視できない電話ってことは、エージェントの誰かからだったりするのかな。プロキシとしてそんなの無視するわけにもいかないだろうし、すぐ終わる電話でもないだろう。となると、プロキシ妹が戻ってくるまでには多少時間がかかるはずだ。

 

 

 ……折角だし、ショウタ達にジュースでも買ってやるか。

 

 


 

 人混みから少し離れた場所まで移動し、リンはスマホに耳を当てた。

 

「もしもし、ダイアリン?」

「もしもーし、オペレーター番号2 4 9 3(にーよんきゅーさん)番カスタマーセンターのダイアリンでーす」

「いやこれ専用回線だよね?」

「やだなぁ、そこは流れに乗ってクレームのひとつでも吐いてくださいよー」

「そちらのオペレーターさんが悪戯電話をかけてきたんですが、切ってもよろしいでしょうか?」

「あー!! 待ってください待ってください! すみませんって! ちゃんと用事があるんですよー!」

「本当にぃ?」

「ほんと! ほんとです!!」

 

 慌てた声音のダイアリンに少しくすりと笑って、リンは彼女に問いかけた。

 

「それで、何かあったの?」

「何かあったというわけじゃないんですけど……その、照ちゃん先輩からプロキシさんに確認してほしいと言われてることがありまして……」

「確認?」

「はい。えーっと……その、フルメットさんについてなんですけど、あれから何かわかりました?」

「あー……ごめんダイアリン。フルメットさんについては、まだ何も……」

「ですよねぇ……」

 

 電話口の向こうでダイアリンが溜め息をついた。

 

「実はその、照ちゃん先輩からタレコミがありまして……。曰く、『フィオニーちゃんがヤバい』と」

「フィオニー……?」

「あたしの先輩なんです。フルメットさんとは結構関わりがあったらしいんですけど……その、けっこーしょんぼりしちゃってるみたいで……。照ちゃん先輩が『あんなフィオニーちゃん、ザオちゃんもう見てられないよぉっ!』ってこっちにヘルプ飛ばしてきたんですよ」

「……フルメットさんとその人、そんなに仲良かったの……?」

「んーと、前に見たときはフィオニー先輩がおんぶされてましたよ」

「おんぶ!?」

 

 『私ですらされたことないのに!』という言葉が喉まで出かけたが、リンはなんとか抑えた。

 

 そもそもリン側がボンプの身体な時点でおんぶする選択肢は出そうにもないのだが、そんなことを考えられる余裕は今の彼女には無かった。

 

「やー、羨ましいですよねぇ。色々甲斐甲斐しくしてもらってたみたいですよー?」

「……羨(・)ま(・)し(・)い(・)?」

「黙秘権を行使します」

 

 それはもう実質答えなのでは。そう思ったものの、リンは口にしなかった。

 

「……とりあえず、状況はわかりました。照ちゃん先輩にも伝えておきます」

「う、うん! ごめんね、力になれなくて……」

「謝るなんてよしてください。プロキシさんも辛いのは同じでしょうしね。……それと、最後に一つお願いしても良いですか?」

「いいけど……何かな?」

「ありがとうございます。それじゃあ……」

 

 

「もしあの人に会うことがあれば、伝えてほしいんです」

 

「専用回線でも、サポートセンターの窓口でも、なんでもいいですから」

 

「もう一度、ダイアリンに声を聞かせてほしいと」

 

 


 

 

「ヴェリナ! ヴェリナーッ!!」

 

 書類を片付けるヴェリナの元に、ノルムーが慌てた様子で駆け込んで来る。

 

「そんなに慌ててどうしたのノルムー? 緊急の用件かしら?」

「緊急なんてもんじゃねぇのだ!! やっべぇのだ!!」

 

 ノルムーはスマホを取り出すと、ヴェリナの座る机の上にバンと置いた。

 

「これを見るのだ!!」

「……これは」

 

『よし、傷つけずに回収出来たな』

『いつ見ても凄いね。僕の目じゃキミの太刀筋は見えないよ』

『あんがと。でもおだてても何も出ないぞ?』

 

 ノルムーが置いたスマホからは動画が再生されており、そこには二人……ではなく、一人の男とボンプの姿が映っていた。

 

「あら、また彼の映像が発掘されたの?」

 

 ノルムーが今まで見てきた地上のボンプのメモリーには、ちょくちょくと彼の姿が登場することがあった。

 

 その中には、彼がボンプをエーテリアスや悪意ある人間から守ろうとする姿が数多く映っており、会ったことすらない人物ではあるものの、二人からのイツキへの評価はかなり高いものになっていた。

 

 更に、これはヴェリナの意図したところではなかったのだが、ノルムーがボンプ達にその映像を公開したことで、ロスカリファに在住する市民ボンプの意識が少し変わりつつあった。

 

 市民ボンプにとって、地上への評判は相変わらず低いものではあるものの、『地上にはこういう人間も居る』として、地上(外)と直接繋がる仕事を担っているヴェリナや外計局への当たりの強さが多少軽減されるに至った。

 

 そんな背景もあって、ヴェリナは会ったこともないイツキにかなり感謝をしているというのが現状なのだが──。

 

『今日で引退するつもりなんだよ、俺』

『…………ん?』

 

「……? 聞き間違いかしらノルムー。彼の口から引退という言葉が聞こえた気がしたのだけれど」

「ヴェリナ。現実から目を逸らすのは止めるのだ」

 

『……い、引退? それは、どういう……?』

『え? いや、ホロウレイダー辞めるって意味だけど……』

『………………ちょっと待ってほしい』

 

 この喋るボンプの言葉にヴェリナはとても共感した。本当にちょっと待ってほしかった。だって思考が追いつかないから。

 

 そうして、何も考えられぬまま映像は進んで行き──。

 

『キミがそう言うなら仕方ないね。じゃあ、最後のホロウ脱出案内と行こうか』

『おう、任せたぜ。プロキシ兄』

『……今までありがとう。フ(・)ル(・)メ(・)ッ(・)ト(・)』

 

 初めて彼の名を知れたのと同時に、彼の引退を知ることとなったのだった。





・イツキ
ダイアリンとなんかあった ←NEW!
フィオニーとなんかあった ←NEW!
ヴェリナから感謝されてた ←NEW!
ノルムーからの評価が高い ←NEW!

お前そろそろいい加減にしろンナ

・リン
おんぶ……。私もしてもらったことないのに、おんぶ……。

・ダイアリン
なんかあったらしい。

・フィオニー
フルメットのことを"全自動不幸全回避マシーン"と呼んでいた。

主人公の相棒枠選手権(今後の内容に影響はないンナ)

  • ライカン
  • 浅羽悠真
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