多分今回が一番ピンチだと思うワタ
ガチンナ
「家宅捜索なのです」
「何を言い出してくれちゃってるんだお前は」
突然ビビアンに呼び出されたと思ったらいきなりそんなことを言われた。何を考えてるんだお前は。
「パエトーン様からお聞きしました。なんでも、ビデオ屋にお泊りしたのだとか……?」
「あー、仕入れたビデオの検品してたら遅くなっちゃってさ。そしたら『僕の服で良ければ貸すから泊まっていくかい?』って言われて──」
「詳細は聞いてないのです。……いえちょっと待ってください。服を? 借りた?」
「え? うん」
「パエトーン様の? 」
「服を?? 」
「借りた???」
「近い近い近い近い」
すんごい圧で顔近づけてくるのやめてほしい。目が真っ黒だぞお前。
「……まあ、その件はいずれ問い詰めるとして。今は家宅捜索なのです」
「だから家宅捜索って何?」
「わからないのですか?」
心底呆れたような表情で溜め息をついて、ジトーっとした目でこちらを見つめてくる。いや、脈絡無さすぎてわかんないって。
「いいですか? 誰かとお泊り……他人の家にお邪魔するということがあるのなら、自分の家に誰かを招待する機会だって有り得るのです」
「お呼びする相手が貴方の正体を知っている人ならば問題はないでしょう。けれど、"イツキ"という一般人の側面しか知らない人物を招待する場合、貴方の正体がバレてしまう可能性があるのです。……なんなのですその顔は?」
「え、いや……そういや初めてビビアンから名前呼ばれたなって」
「〜~~~ッ!!!!!! 今はそういう話はしてないのです!!!」
頬を膨らませたビビアンにポコポコと叩かれる。ごめんて。
「……とにかく! 貴方の家に誰を招いても問題ないのか、私には確かめる義務があるのです!!」
「いや、別に正体知ってる人ならまだしも、知らん人は家に呼ばないって……」
「なら私が行っても問題ないのでは? それに、貴方のガバガバ具合は信用出来ないのです。秒でパエトーン様にバレたことをもうお忘れになられたのですか?」
「ゔっ……」
それを言われると強く出れない。でもちょっと待ってほしい。そもそもアレはライカンさんですら"詰み"と表現するような状況であってだな──。
「ちなみに貴方が言うことを聞かない場合、『15を忘れるな』と言うようにと──」
「よーし行くぞビビアン! 家宅捜索頼んだ!!」
あのときのゴタゴタで忘れられてたと思ったらバリバリ覚えられてた。
15。それはライカンさんが下した裁定の数字。クランプスの黒枝ならぬクランプスのライカンさんだ。
……本人に言ったらめちゃくちゃ怒られそうだし、黙っとこ。*1
「ここが、貴方の……」
家の前まで来ると、先程までの勢いはどこへやら、少し緊張したような面持ちでこちらに顔を向けてきた。
「そ、その……提案した私が言うのもアレなのですけど、今日でなくても良かったのですよ? ほら、来客用にお掃除とか──」
「掃除なら定期的にやってるし、常に片付いてる状態は維持してるから、気にしなくていいぞ?」
「そ、そうなのですか? そ、それなら……」
なんで言い出しっぺが弱気になってんだ。なんてことを思いつつ、ビビアンを家にあげた。
彼女は借りてきた猫のように大人しくなると、キョロキョロと家の中を見渡し始める。
そして、ある一点で視線が止まった。
「……あ」
かつてビビアンから受け取ったパエトーングッズの数々。それらが飾られたコーナーに目を向けると、彼女はゆっくりとその場所に近づいていく。
「……これ、一番最初に渡した……」
「これは、あのときの……。あ、これも……」
俺はベッドに腰掛け、パエトーングッズに夢中になるビビアンに目を向ける。
そんなに気になるもんかね? 別にお前の家にもあるものだろうに。
「……全部」
「ん?」
「全部、こうやって大事にしてくれていたのですか?」
「大事にって……。まとめて保管してあるだけだろ?」
「そ、そういうことではないのです! だってこれ、どれも全然汚れてないのです!! 普通なら埃のひとつくらい被っているはずなのです!」
「……それは」
……まあ、隠すようなことでもない、か。
「その、まあ……なんつーか……ビビアンが心を込めて作ったもんだろ? そんなモノに埃なんか被せられないなって、そう思っただけで……」
「────ッ」
ポトリと、ビビアンは手に取っていたグッズを床に落とした。
「……──貴方は」
「──貴方と言う人はっ……!」
ビビアンは俯きながらそう言うと、ズンズンと距離を詰めてくる。
ちょっ!? な、なななななっ!? 何何何何何何!?
「そういうところなのです!!」
「ぐぇっ!?」
俺の前まで来たビビアンに両肩を押されてベッドに倒れ込むと、顔を真っ赤にした彼女が俺の上に跨ってくる。
「……ビビアン?」
「貴方のそういうところがっ! そういうところが……っ!」
目をぐるぐるとさせたビビアンが、言葉にもならない声をまくし立ててくる。
……落ち着いて考えろ。このビビアンの様子、そして、マウントポジションを取られたこの状況……。
この状況、もしかして──!
──もしかしてこれ、今までの鬱憤を晴らそうとしてる? 今から俺めちゃくちゃ殴られるやつ……?
ちょっと待ってほしい。俺明日も普通に仕事なんだよ。ビビアンの気持ちはわかるけど、顔とか傷ついたらアキラとリンさんは勿論、お客さんにも心配をかけてしまいそうだ。
せめて少しは、手心を加えてもらえるよう交渉すべきじゃないか……?
「……その、ビビアン」
「俺、明日も仕事だからさ。するなら、目立たないところにしてくれないか……?」
「それと──出来れば、痛くしないようにしてくれると、助かる……かな」
「────ッ!?!!!?!!!!?」
「……きゅう」
ビビアンはとんでもない表情をすると、そのまま情けない声を出して意識を失い、俺の上に倒れ込んできた。
「……えぇ」
どーしよ、これ……。
「お元気そうでなによりであります! プロキシ殿!」
「前に借りたビデオの続編、借りに来てやったぞ」
「二人ともいらっしゃーい! あのビデオね! 今持ってくるから待ってて!」
パタパタと駆けていくリンを横目に、鬼火はアキラに話しかける。
「ところで、新人バイトとやらは居ないのか? 新しく人員を増やしたと聞いているが」
「彼は今日お休みなんだ。今頃ゆっくりしているんじゃないかな」
「そうなのですか? 是非ご挨拶をと思ったのですが……残念であります」
「そんなに心配しなくても、ウチに来てくれればいつでも会えるさ。リンも喜ぶし、良ければ気軽に遊びに来てほしい」
「はい! ありがとうございます!」
「……遊ぶのは構わないが、遊びにかまけて日々の訓練を怠るなどということがあれば……わかっているな?」
「勿論であります!」
『わかっているならいい』と少しぶっきらぼうに言った鬼火に対し、アキラはどこか微笑ましく思いながら口を開く。
「そういえば、彼女は元気かい?」
「彼女……? ああ、
「公には亡くなったことになっているだろう? 僕らに協力出来る事はあるかい?」
「端から見ていてあまり不自由そうには見えないが……。もし何かあれば相談させてもらうとしよう」
「ゔゔ、自分は未だに呼び慣れないのであります……。平常時はまだしも、緊急のときにはどうしても前の呼び方が出そうになって……」
「……確かに、それは僕らも気をつけなければいけないな」
「──
トリスタンって誰ンナ……?
そんな名前のキャラ原作には居ないし、ンナはちょっとよくわかんないワタ……。
主人公の相棒枠選手権(今後の内容に影響はないンナ)
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ライカン
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浅羽悠真