勇者カリナ/ソルスター世界、魔王城最終決戦録 ―少女勇者、異世界転移前の最後の足跡― 作:美風慶伍
だが――、
そこから先はまさに〝地獄〟だった。
人間ではなく、魔族が支配する領域。
全ての物理事情が魔族に有利に働くように形作られてる。
まさに人間を排除する大地。
カリナたちはその恐るべき大地をひたすら、目的地に向けて歩き続ける。
本来魔界に住むはずの恐るべき獣が現れたこともある。
「報告! 魔獣出現!」
「全員迎撃体制! 弓兵、銃火兵を中心に遠距離で牽制しなさい!」
「はっ!」
カリナは即座に判断を下し魔獣を葬る。
魔王軍の派遣師団が待ち構えていたこともある。
「敵発見! 魔王軍隷下の魔族兵士の一団です!」
「攻撃陣形編成! 白兵歩兵、重装歩兵を中心に鋒矢陣形に移行! 弓兵及び銃火兵、魔導師兵は、後方からの支援準備!」
「了解!」
攻撃陣形を巧みに操り、敵からの攻撃に耐え、その直後に敵の陣形を崩し、これをしぶとく次々に撃破して行った。
さらには地形を利用したトラップが仕組まれていたこともある。
「地形崩落発生しました! 大地の岩盤に、重力制御魔法を感知!」
「魔導士兵に結界を生成しろと伝えなさい!」
地面崩落を魔法の力で食い止めた状態で静止させ、敵兵が通過した際に魔法を解除することで甚大な被害を引き起こす地形トラップだった。
これらをアルカナヴァンガード全体の連携力と、カリナの巧みな指揮能力で、次々に降りかかる問題を、くじけることなく次々に突破していったのである。
途中、野営を行うが火を炊くことは敵からの発見を誘発する恐れがあるため焚き火すらない過酷な野営となった。
毛布代わりのマントを羽織りながら木陰に寄り添い体を寄せ合って眠りにつく。
カリナが休みに着く時はエルリックが、そのマントを広げて中に入れて温めてやっていた。
「大丈夫か? カリナ」
「エルリック――」
エルリックは、カリナが10歳の時に、ネルガルの軍事国家から救い出された時、以来の付き合いになる。年齢が20歳以上離れているため、親子のような雰囲気になることがある。
「うん、これくらい平気。私がしおれていたらみんながまとまれなくなるから」
「分かった。なら無理はするなよ?」
「うん、ありがとうエルリック」
そう言いながらエルリックの胸に体を預けて、カリナは眠りに落ちていく。
そして、朝日が昇る前の薄明かりの森の中を全員で再び歩き始める。
カリナたち、アルカナヴァンガードは、着実に目標地点に向けて進んで行ったのである。
だが、カリナたちが歩む道はあまりにも長かったのである――
――――
お読みいただきありがとうございます。
感想や読了報告などをいただけましたら、とても励みになります。
続きが気になりましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。
勇者カリナ・未来戦線クロスロード https://syosetu.org/novel/415520/