勇者カリナ/ソルスター世界、魔王城最終決戦録 ―少女勇者、異世界転移前の最後の足跡― 作:美風慶伍
この戦いの最も重要な魔王城攻略、その主体を担うのがカリナ率いる直属軍である魔法剣士騎士団アルカナヴァンガードである。
「そして、残るは1つ。魔王城ダークフォージだ。前の7つの戦闘の経緯を鑑みながら、魔王城の攻略と魔王直臣勢の討伐を行う。担当は我々〝魔法剣士騎士団アルカナヴァンガード〟と〝牙狼騎士団〟〝リザードマン戦闘兵団〟〝ドラゴン種族戦闘軍団〟となる」
牙狼騎士団は獣人勢力の中でも、もっとも戦闘力の高い狼系の獣人たちから構成されており、騎馬国ガルガンダインで訓練を受け、獣人たちの中では唯一、正式な騎士団として活動している連中だ。アルカナヴァンガードと共に切り込み部隊の役目を担っており、その赫々たる戦果は語りぐさと成っている。率いるのは狼獣人のゲオルグだ。
「この牙にかけて戦果をあげてご覧に入れます!」
リザードマン戦闘兵団はかつては魔王軍隷下で戦力の一翼を担っていたが、魔王直臣勢からリザードマンそのものが冷遇され魔王軍における長年の貢献を踏みにじられ、それまでの当主が敗死したことで決裂。勇者カリナの思想に賛同したことで反旗を翻し、自由連合軍に参戦した経緯がある。忠実にして有能であり、一度、主君を決めてからは忠義を貫いている。率いるのは槍を得意とする猛将ケラブノスだ。
「我ら鱗の民の戦力、ご覧あれ!」
そして、ドラゴン種族、彼れらはもともとは人間と魔族との間で〝傍観主義〟を維持していたのだが、複雑な経緯から地位を落とし、魔王軍に使役されるに至った。これをカリナたちとの戦いの中で、魔王軍と決別することを決意しリザードマン種族とともに反旗を翻して今日に至る。率いるのは竜将マルセウスだ。
マルセウスは本体は巨大なドラゴンだが、人間たちと交流する際は分身体である分離霊体を使う。今ここにいるのは流麗な貴族衣装に身を包んだ美丈夫の青年である。
「いよいよですね、聖剣の巫女様」
勇者カリナは聖剣の巫女とも呼ばれる。聖剣レギオンブレイドの担い手でもあるからだ。
「はい! これまでの労苦が報われる時が来ました。ゲオルグ殿も、ケラブノス殿も、戦果を期待しています!」
「はっ!」
「おまかせを!」
こうして全ての作戦内容は下命された。カリナが一歩進み出て、皆に視線を向ける。
「皆さん」
視線が一斉にカリナに向けられる。浮ついた空気は一切ない。
「いよいよ決戦の刻です。平穏な日々を取り戻すためにはなんとしても、この戦いに勝利し魔王ヴァルガリアスを撃たねばなりません。今回の作戦は全てが緻密な機械のように連携し合い、それぞれが他の作戦に影響します。それだけにより一層の努力が求められます! 全力をかける覚悟で望んでください!」
「はっ!」
返答の声すら一つに揃っており、彼らの心意気は一つにまとまっていた。カリナは聖剣を抜剣して天に向けて掲げた。
「天命のもとに我らは訴える! 全ての命に自由を! 我らに自由を!」
その声に全員が呼応する。それぞれに抜剣し天を示す。
「我らに自由を!」
そして、剣を鞘に収めて、カリナはあらためて宣言する。
「行動開始!」
ここに魔王城攻略の最終戦が開始されたのである。
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勇者カリナ・未来戦線クロスロード https://syosetu.org/novel/415520/