チートっぽい能力より、運動神経が欲しい。   作:用務員級学徒

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籠喜


幕間

籠喜たちが親交を深めている最中。

 

秘匿された部屋へと戻った彼は、そこに置いてある機器の一つが鳴っているのに気づき、少し息を吐いた。

考えることは、同じか。

 

「見てたね?さては」

 

耳元へその機器をあてがい、口を開く。

 

「随分な挨拶じゃないかねぇ?まずは()()()()とでも言うべきだよ。弟君」

 

()()()()()()に言われたくないけれど?……まあ、全部掴んでるんだろう?姉さん」

 

「話が早いねぇ…最近会ってないんだから、もっと遊ぼうという気概はないのかい?前に()んだりしたりはしないのかい?」

 

「下品だよ。はぁ…それどころじゃないんだ。意外と仕事が多くてねぇ。書類とか立場とか、大変なんだよ?わからないだろうけど」

 

「失礼な。私だって教授職に就いたことはあるんだ。理解してるさ。理解してる上で遊ぼうといってるんだよ。わかるかい?」

 

「ハスールと話してると、時々姉さんのことを思い出すよ」

 

くくく、と互いに笑い合う。

 

「どうかな?あの子は。結構頑張ってみたんだけれど」

 

「想像以上だね。考えを聞いたときはどうかと思ったけど…上々。ハスールも素晴らしい実力だし……」

 

「…ねえ、さっきから話しているハスールっていうのは、あの子と戦ったっていう子だよね?」

 

「そうだけれど……なにかあった?」

 

「想定外だよ。私が言っていたもう一人は、もうしばらく後……籠喜くんがある程度適応してからだ」

 

「……は?」

 

「想定外の天才だよ。それこそ……弟君にも届きうる、ね」

 

「……気にかけていて正解だった。在野にいるのも、捨てがたいね」

 

「ああ。もっとも、彼に目的の力は──」

 

「──良いよ。それぐらいは理解してる。所詮、プロトタイプだ」

 

「はは、人に言う言葉じゃないね」

 

「知ってる。こうでもしないと落ち着けないのさ。どうも、ね」

 

「ふぅん……まあ、それも美徳。何も感じないのも、また美徳さ。それで?これからどうするんだい。普通に鍛錬を積むと?それとも、外付けにするかい?なんなら、私の子たちからいくつか見繕ってもいいけど」

 

「……それをやるなら、新規製造が良いね。おそらく、どれも難しい。なんなら、僕が作るよ」

 

「そのレベルか。なるほど…それは確かに、想定以上の出来だね。わかったよ。弟君に任せるとしよう」

 

「うん。それと…まあ、しばらくは様子を見ながら鍛錬だね。外付けだけで対処できるとは、到底思えない。情報は不足してるけど、それでもこれは分かる。」

 

「はは……いいセリフだね。それじゃ、私はしばらく観察に努めるとするさ。……ああ、それと、天使と悪魔のことだけど」

 

「…また来るの?はぁ…計画が狂わないといいけど」

 

「逆に、利用してしまえばいい」

 

「ああ、それは──」

 

そこで、会話は終了した。

向こうから、一方的に。

 

「はっはー……相変わらずだね。ま、いいさ」

 

 

これから始まる。

終わったはずの話も、始まるべき話も、語り継がれる話も。

たとえ、成功でも、失敗でも。

 

いつかは笑い話にするために。




カゴキ
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