結果的に言えば、鋼流 心は無事に二度目の1年A組としては馴染む事が出来たと言っていいだろう。半ば無理矢理副担任の役目を押し付けられてしまったが、相澤曰くそういう風に扱った方が色々と合理的だという事だが、後輩兼同輩のあれこれを手伝う事が出来ると前向きに考えていたら何時の間にか
「あら、鋼流君レゼちゃんとの結婚式っていつの予定?」
「はっ結婚式?いや、まだ恋人、なんですけど……?」
「ああっ成程、今は恋人として楽しもうって期間ね?若いっていいわね~」
「是非式には呼んでくださいね、僕としても教え子のあれこれには一度出席したかったんですよ」
「ちょっと待ってください何で結婚決定的になってるんすか!!?」
「だってオールマイトが言ってたわよ、レゼちゃんにスピーチ頼まれてどんな風にやるべきかって相談受けたのよ」
「レゼエエエエエエエ!!!?」
何故か結婚が決定的になっていてもう既に外堀どころじゃない、既成事実や差異が既にぶん投げられて出目が自分以外の全員に提示されているような状況になっていた。
「だって、するじゃん」
「いやまあするでしょうけど確定的にもなってない事を触れ回るなよ!!?」
帰宅後、滅茶苦茶レゼに抗議した。そんな事がありながらも二回目の1年生がスタートしたので授業も既に習っている事ばかりだが復習のつもりで受けるのであった。
「先輩~此処の授業って毎度こんな感じなんすか~?ちょっと進み早いっすよ~」
「電気~この位で根を上げてたらついて行けないぞ、まだまだ新学期早々だから全然ギア上げてないからな」
「あれでかよ!?中学の時と全然ちげぇ~……」
「やっぱり、こういう感じの授業だったんですか?」
「まあね~でもまあ俺達の時はクラスに陽気な奴多くてちょくちょくマイク先生が絡んで来て授業遅れて結果として授業が一時期クッソハイスピードだった事もあったよ響香ちゃん」
クラスの一員として当然のように受け入れられており、授業の相談を受けたりする事もあれば
「なあ先輩、アンタ2年生に顔利くんだろ?」
「まあ利くといえば利くけど元同級生な訳だし」
「年上のお姉様を俺に紹介してくれませんかお願いします!!!」
「え~……留年してからもう顔合わせてねぇからすっげぇ気まずいんだけど……つうか実君、まだ雄英入学して二日目じゃん、焦り過ぎ」
「何言ってんだ花の高校生活を無駄にしたくねぇんだよぉ!!!」
「……一理、あるな」
「あるんだ!!?」「なんだかんで鋼流先輩ってノリいいよね~」
「ケロケロ、心ちゃん先輩って結構お茶目なのね」
そんなバカ話に花を咲かせたりもしている、因みに呼び名は基本先輩か鋼流先輩、心ちゃん先輩と言う事になった。最後のはなんかどっかのテニス部の2年生っぽい呼び名だが気にしないようにしている。そんなこんなで遂にこの時間がやって来た。
「私がぁぁぁぁ……普通にドアから来たぁ!!!」
「先生~他授業中っす」
「おっとこれは失礼!!」
『すげぇ冷静に突っ込んだ!!?』
教室に入って来たのは現代における大英雄、平和の象徴とも言われる程の№1ヒーローであるオールマイト。日本が平和である理由はオールマイトがいるからである、と言われる程の偉大なヒーローが今年から雄英高校の教師となり、文字通り教鞭をとって授業をする訳だが……興奮する訳でもなく、騒ぐ事も無く平静に他クラスの迷惑になるから静かにして~というツッコミをする鋼流はまた一つ、クラスの尊敬を集める事になった。
「さて、それでは早速行こうか!!私が受け持つ事になっているのはヒーロー基礎学!!少年少女たちが目指すヒーローとして土台、素地を作る為に様々な訓練を行う科目だ!!正にヒーローになる為には必須とも言える!!単位数も多いから気を付けたまえ!!」
「そうそう、俺みたいに留年する羽目になるから」
「HAHAHAHAナイスボケだ鋼流少年!!そして、今日はこれ、戦闘訓練!!!」
その手に持ったプレートには「BATTLE」と書かれている。好戦的且つ野心家な生徒達はメラメラと炎を燃やす。それと同時にオールマイトが指を鳴らすと教室の壁が稼動をし始めていく。そこに納められているは各自が入学前に雄英へと向けて提出した書類を基に専属の会社が制作してくれた
「着替えたら各自、グラウンドβに集合するように。遅刻はなしで頼むぞ」
『ハイッ!!』
「うおっ先輩のクソかっけぇ!!」
「さよけ?」
ハルドメルグとしてのヒーローコスチュームは黒色のアンダーシャツに各部を赤いラインが走っている銀色の装甲を装着、更にベルトや腕や足には何やらシリンダー状の装備も装備されているのも特徴だ。
「各部アップデートし続けながら使ってるコスチュームでな、思い入れもある。コスチュームは逐一更新していくのも大切だぜ、ほら普段使いの服だって成長すると着れなくなるじゃん」
「成程!!コスチュームも自分の成長と共に変更し、最適化していくことも重要だって事なのですね!!」
「というか、天哉君だったんだ……顔隠れてるから分からなかったよ」
そんなこんなでそれぞれが思い描いたコスチュームを身に纏って戦闘訓練が始まる前にオールマイトがこれから行う戦闘訓練に対する説明を入れる。
「今我々がいるのは入試を行った運動場β、だが同じ事をする訳ではない。ヴィラン退治は屋外での発生が目立つけど統計的には屋内の方が凶悪ヴィラン出現度は高い、故にこれから行うのは屋内での戦闘訓練!!だけどこれは入試から二歩ほど踏み込んでいる、故に―――鋼流少年」
「へい」
「君にはぜひ模範演技っていう訳じゃないけど、手本を見せてあげて欲しいんだ」
成程そう来たか……周囲からの目が一斉にこちらに向けられる。
「君は既にプロヒーローの仮免を習得してインターン経験もある、実質的にこの中で君は教員側と言っても差し支えない。どうかな?」
「まあ授業としても見本があった方がやり易いでしょうしね、いいですよ」
「よし、断られたらどうしようかと思ったよ」
「んじゃ断ります?」
「HAHAHA冗談キツいな~……えっマジで断らないよね?」
タブンネ。
「それで俺の相手は?」
「それは―――」
「私だよ」
振り向いてみると何時の間にか、レゼが居た。ノースリーブの白ブラウスにスリット入りの黒いショートパンツとニーハイというよくする恰好をしているが、恐らくこれもコスチュームなのだろうな……と思う。
「うわっいつの間に!!?」
「なになになにどっから現れたの!?」
「すげぇ美人だなおい!!?」
突然すぎる登場に自分だけがビックリしていたわけではなく、他のメンバーも驚愕していた。個性は潜入系じゃないのにどうやっているのだか……。
「彼女はレゼ少女、元々は鋼流少年の同級生であり、彼と同じで仮免拾得者で現在もインターン中の優等生さ。今回は特別に2年生ではあるけど1年の授業のお手伝いをしてくれる事になったのさ」
「宜しくね~気軽にレゼでいいからね」
挨拶を行っている間に鋼流はオールマイトに耳打ちをして事情を尋ねる。
「いや2年の授業とかあるんじゃないんですかレゼって……」
「実はね、今日はこっちでのインターン予定だったらしいんだけどその予定が無くなっちゃったんだって、それで休みになったんだけど折角だから手伝いって申し出てくれたんだよ」
「そう言う事もあるんすね……」
こそこそ話を終えつつも改めてオールマイトは咳払いをする。
「さてそれでは手本を見せるとしようかな」
「ンで俺はレゼと戦えばいいんですか?」
「いいや違うよ、君はレゼ少女と組んで―――私と戦うのさ!!」