流れるヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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第13話

「(これはっ……!!)」

「オオオオオオオッ!!!」

 

オールマイトのデトロイトスマッシュを押し込んで来る鋼流の一撃、液体金属自体にエネルギーが蓄積され高温にまでなっている。それが更に押し込まれる、だが負けてはいられん!!と腕に更に力を込めた時に手がさらに激しく発光して爆発。

 

「ぐうっ……!!」

 

思わず数歩下がりながらも腕を抑えてしまった、爆炎の奥で腕を払いながらもそこらに金属を飛ばしながらも此方を鋭く見つめて来る鋼流。仮にも自分の一撃を突破されるとは思わなかった。

 

「凄まじい威力だな、シャイニングフィンガーというのかい……?」

「ああ、こちとらあんたみたいな広域破壊が出来ないからな」

「言ってくれるなぁ……(マジ痛い……)」

「更に此処には人質もいる」

 

唐突な人質がいるという言葉、間違いなく嘘だ、いる訳がない。だが畳掛けるように

 

「嘘かもしれないな、本当かもしれない。なら嘘だと決め打ちして俺ごとビルを壊すか?あんたが本気になればこんなビルを丸ごと解体するのは簡単だろ―――なぁ平和の象徴」

「そう言う事か……嘘か真実か、私にはその確証がない。ない以上はその可能性も踏まえて行動せねばならない、私の最大火力を封じる為の策か」

「ああ、それにアンタなら元々ビルを崩壊させない程度に威力は絞るだろうからな、一転集中特化型の技ならば、なんとか抑え込める」

 

オールマイトは全てが恐ろしい、攻撃スピードテクニック、全てがカンストしているといってもいいチートキャラだ。ならば精々パワー位は制限させて貰わなければまともな勝負にもならない。

 

「汚い!!流石ヴィラン汚い!!いやというかマジで狡猾だな!?鋼流少年君マジでそういう事やる為だけにそっち選んだでしょ!!?」

「大体あってる」

「あってたよ!!?」

 

シリンダーの一本を開けてそこへ手を添える、そのまままるで刀でも抜くような所作をするとその手には日本刀のようなものが出現した。それを構えながらも鋼流は悪い顔をしながら続ける。

 

「生憎そういうの危険性は重々承知なんでね、それが原因で俺入院したようなもんだぜ。オールマイトアンタからもヒーロー活動中の時は周囲に群がんなっていってやってくれよ普通にあぶねぇしやること増えんのよ」

「あ~……それについては本当に頭がいたぁああっぶない!!?」

 

刹那、一閃を咄嗟に回避する。さっきまで会話してたのにこういう不意打ちしてくる!?と思いながらも改めて距離を取って安全圏を確保するのだが、鋼流は外れたかと残念そうな顔をする。

 

「ダメですよオールマイト、今の俺はヴィランなんですから……本気で止めないと」

「ぐぬぅっ……先生として褒めるべきか責めるべきか本当に悩ましい所だ……!!」

「でもこういうヴィランいたっしょ?」

「いやマジで居たから授業の練習としても適切だから困ってるの!!」

 

同時にオールマイトはあの異様な切れ味に驚いた、一閃でビルの壁を容易に切り裂いていたが……一体何が……と思ったが、オールマイトの優れた視力がその刀をよく捉えた時、その答えがあった。その刀は極めて微細な振動を行っていた。

 

「まさか超振動カッター……?」

「いやどっちかというとチェンソーです」

「どっちにしろ凄い事やってるね……」

 

兎も角、あの刀に防御は殆ど意味がないという事だ。だがそれが如何した、その程度の事じゃないか。人質がいるかもしれないので十分に力を出せない、条件が身体を雁字搦めにしようとして来るがその程度の事だ。

 

「何故ならば、私はヒーローなのだから!!!」

「―――……いいねぇ、そういう面、グチャグチャにしてやりたくなる……!!!」

「行くぞ、ヴィラン!!!」

 

迷うことなく飛び込んで来る、地面をわずかに蹴っただけで数メートルを詰める、刀を振るう暇もない、残されている手札はスピードとテクニック。ならばそれを使って全てを補うのみだと言わんばかり。が、咄嗟に刀の形状を変化させて棘を生やしてオールマイトの進行ルート上に置いた。

 

「フンッ!!!」

「なっ!!?」

 

オールマイトはそれを無視した、いや腕に棘が刺さっているのにも拘らず、そのまま押し通った。そしてそのまま胸へと手を置いた。何をする気かと思った直後、身体の内部を貫くような凄まじい衝撃が駆け巡り、鋼流は吹き飛ばされて壁をぶち抜いていた。

 

 

「な、なんだ今オールマイト何したんだ!!?」

 

観戦室のモニターで見ていたA組の皆は先程まで押していた筈の鋼流がたった一撃で吹き飛ばされた事に驚きながらも何をしたんだと驚愕していた。オールマイトは唯、相手の身体に手を置いただけにしか見えなかった。

 

「殴ったじゃねぇの!?」

「ケロ、違うわ。心ちゃん先輩は胸に手を置かれてたわ、それなのにその直後に吹き飛んでたわ」

「なんでレゼパイセンじゃねぇんだよぉ!!?」

 

一部では妙な感想も飛んでいるが、皆はオールマイトは何をしたのかとそれを探ろうとしていた中で武術に最も精通していた尾白 猿夫がその答えを出した。

 

「あれは、発勁……!?」

『知っているのか尾白!!?』

「中国拳法なんかにある技術の一つだよ。筋肉の運動や重心移動、バネなんかを効率的に使って相手に大きな衝撃を与える身体操作の一種なんだ」

「そうかあれがオールマイトのスマッシュの中でも滅多に使う事に居ない超近距離戦特化のスマッシュ、LOUISIANA SMASH!!!」

 

 

「な、なんつう威力、だよ……ぐっ……」

 

端的に言えば手を置き、そのまま一気に押し出されただけ。ただそれだけなのにこれだけの威力が発揮される、そしてこれならば周囲への影響を最小限に抑える事も出来る、流石オールマイト……平和の象徴と言われるだけの事はある……と思っているとパートナーと意思疎通を取る為に渡されたインカムに通信が入る。

 

『大丈夫今の音』

「キッツぃ……マジ痛い……レゼのあれこれよりずっとやべぇよこれ……」

『まあ流石にオールマイトと比べられたら私のそれなんてね……』

 

レゼのそれは個性を併用して加速した拳や蹴りを放つ物、だがオールマイトは自前の肉体でそれをやるのだから寧ろ性質が悪い。どうなっているんだ本当に。

 

「予定通りに頼む……準備は?」

『もう終わってるよ』

「んじゃそういう事で……」

「お仲間との相談は終わったかい」

 

ぶち抜いた壁に手を掛けながらも入ってくるオールマイト、表情に笑みこそ浮かべているがそれが纏っているのは圧倒的なプレッシャー、本当のヴィランにはこれが叩きつけられているのだから溜まったものではない……、

 

「さあ、核は何処にあるのかな?」

「誰が言うかよ」

「じゃあもう一発かな……?」

 

手を再び胸へと置かれた、その時、爆発音が響き渡った。大地震が起こったかのようにビルが揺れていく、連続して爆発音が響く中でオールマイトは咄嗟に取ったのは崩れて落ちて来る破片を弾いた事だった。それは自分の身を守る為ではない、鋼流を守る為の行動だ。それを見てこの人は、きっと本当のヴィランが相手でもこれをやったんだろうなぁ……と思わせた。

 

「これは―――」

「動かない、方がいいと思うよ?」

 

壁の穴から姿を見せたレゼはニコニコと笑顔を作りながらもワザとらしく手を高く上げており、それは指パッチンのポーズで固まっている。まるで何かのスイッチだと言わんばかりに……。

 

「今、このビルの各所に仕掛けた爆弾の一部を起爆させたの。あと数か所起爆されたらこのビルは……ボンっして、ぐしゃ……って訳」

「HAHAHA、そうなったら君達も生き埋めだぞ」

「だから何」

 

極めて冷淡で平坦な声色が帰って来た。本気で何とも思っていないとしか思えないような……声が、聞こえて来て、オールマイトは喉を鳴らしてしまった。

 

「貴方を貶める事が出来たらそれだけで私達としてはいいんだよ、核も損傷させて放射能汚染を起こせる?あはっヴィランとしてはこれ以上ない名声だと思わないかな、貴方なら分かるでしょ。ヴィランにはどうしようもない程に救えない奴らがいる、それが私達だよ。さあ、如何する?」

 

張りぼてだと分かっているが、核は本物だと思って行動しなければいけない以上はやらせるわけにはいかない。そしてやる時にはやるのが真の賢しいヴィラン……。

 

「だったら、君の仲間を解放してほしいならそれを直ぐにやめて投降しなさい」

「やだ、それだったら核を起爆して諸共死ぬだけ」

「クッ交渉の余地がない……!!」

「良い判断だレゼ、その調子で頼むぜ」

「うん、一緒に死のうね」

「ああ、死んでやる」

 

オールマイトはこれ見本になるかなぁ……!?と本気で葛藤した。確かに真に賢しいヴィランは闇に潜むから屋内戦闘訓練しましょうって言ったけど此処までやる!?と流石のオールマイトも言葉が出なくなってきて唯々時間が過ぎ去っていくと……時間切れのアラームが鳴り響いた。

 

『せ、制限時間いっぱい!!ヴィランチームが勝利条件を満たしました!!』

 

「いやぁ~勝った勝った、心ちゃんナイス演技~」

「レゼこそ、流石マイハニー」

「やだもっと言って」

 

立ち上がりながらもお互いのあれこれを賞賛しあう二人、そんな二人を見ながらもオールマイトは本当に末恐ろしい二人だ……と思いながらも言葉に詰まってしまった。こういう時は何て褒めればいいんだろうか……演技力が凄かった?策略が凄かった?でもそれってヴィランとして凄かったよ!!みたいな褒め方になって傷つけたりしないかと頭をフル回転させて導き出した答えは―――

 

「二人とも実に素晴らしかったぞ!!ヴィランの行動や思想についてのあれこれが実に活かされているね!!流石だぜ二人とも、しかしまさかあそこまで徹底した凶悪ヴィランを演じられるとは思わなかったよ……」

 

ヒーロー基礎学で重要視されるヴィランの思考や思想についてのあれこれを褒める事だった。オールマイト的には結構考えた末の褒め言葉だったが、二人は少しだけ照れていた。

 

「いやぁ~そんなお似合いの二人だなんて♪」

「いや言ってないけど……まあヴィランをやるならこの位は徹底してやって、これを攻略してやるぞって気概を後輩兼同輩に持ってほしいですからね」

「流石にいきなりこれは難易度高いような気もしなくもないが……」

 

兎も角、屋内戦闘訓練の見本として、レゼとコンビでオールマイトに挑んだ結果としてはルールを利用した時間切れで勝利をもぎ取ったのであった。

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