「お~パイセン怪我大丈夫か~?」
「大丈夫じゃなきゃここにはいないさ。だけどリカバリーガールはオールマイトにキレてた、生徒相手なんだからもうちょっと加減しなって」
「まあ相手がヴィラン想定だからそこまで加減するかの設定って割と難しいよね、心ちゃん割といい演技したし」
「お前に言われたらおしまいだ」
戦闘訓練も終了した頃合、皆が帰って来た。午後全てがヒーロー基礎学だった為か戦闘訓練で丸々終わってしまった。そんな中、爆豪だけが妙に神妙な顔をしたままで席について帰る支度を始めている。
「というか平然のようにレゼパイセンもいんのな」
「まあ私本来今日一日オフだからね、ぶっちゃけ暇なのよ」
「インターンだとそういう事もあるのね」
「そう言えば緑谷いねぇな、あいつ如何した?」
皆が帰って来たのに緑谷だけがいない状況、如何したのかと尋ねてみると……如何やら戦闘訓練で深手を負ってしまって保健室に運び込まれたらしい。相手は爆豪と飯田のペアで、相方となった麗日を行かせるために一人で爆豪の足止めを行っていたらしい。
「成程ねぇ……」
「まあ緑谷の事も気になるけど、それよりも俺達が着になるのは―――」
「おい鋼流パイセンテメェレゼパイセンとはどういう関係だぁぁぁぁぁ!!!?」
切島のそれを遮りながらも飛び掛かるように胸ぐらを掴んで来て揺さぶって来る峰田、憤怒を浮かべながらのそれは唯のそれではない迫力がある。
「おい峰田お前何やってんだよ、鋼流先輩に失礼だろうがよ」
「そうだぞ相手に乗りながら胸ぐらを掴むなど、雄英の名に恥じる行為だぞ!!」
「うるせええええ!!!それ以上の問題なんじゃあああああああ!!!!」
「まあでも、峰田の発言を肯定する訳じゃないけど、なんかパイセン如何知って距離近いよね」
「うんうん凄い気心が知れてるって感じするよね」
と女子の芦戸と葉隠が酷く楽しそうに詮索を試みて来る。それと同時に峰田のプレッシャーも加速度的に上昇していく、如何するよ、とレゼに視線で問うとこうしよう、と帰って来る。
「は~い付き合って同棲してま~す」
「いいやがった……」
いい感じに収めてくれると期待していたらそんな事せずに全部ぶっちゃけやがった……そしてその直後に来るのは―――
『えええええええええええええええっ~!!!!???』
『ふざけんなああああああああああああああああああああっっっ!!!!!!????』
当然、黄色い歓声と嫉妬と殺意に満ち溢れた赤い絶叫である。黄色は勿論女子たちで赤い絶叫は一部男子である。
「マ、マジ!?マジでパイセンたち付き合ってんの!!?というか同棲って何一緒に住んでるの!!?」
「うん一緒に住んでるよ、毎朝一緒に起きて一緒にご飯食べてるし、シャワーも一緒だよ」
「それは別だ」
「どういう経緯で!!?告白はどっちが!!?」
「ふふふ~ん聞きたいかい?」
『聞きた~い!!』
「わ、私もそ、その、興味がその殿方との共に生活するというのはどのような……!!?」
芦戸、葉隠、麗日、そして八百万と言った女子たちはもう聞きたくて聞きたくてしょうがないといった感じで目を輝かせている、そんな中で鋼流は峰田と上鳴に掴みかかられていた。
「ふざけんじゃねぇぞパイセンテメェ!!!あんな美人な彼女がいる上に同棲してるだとぉお!!!?」
「毎朝あの美人なパイセンのパイパイを拝み放題とか羨ましすぎんだよぉおお!!!写真幾らで売ってるくれる!!?」
「写真はねぇし誰が売るか。それと俺とは仲良くしておいた方がお得だぜ?」
「「誰が仲良くなんかするかぁぁぁ!!!」」
「2年生の女の子紹介して貰って甘い一時、過ごしたいと思わないかい?」
「「鋼流先輩今後ともどうぞ仲良く宜しくお願い致します!!!」」
「うむ、苦しゅうない」
「心ちゃん先輩、慣れてるのね」
殺意と妬みの絶叫は一瞬で従順に変化して一斉に土下座する二人にそれでいいのかお前ら……という視線が向けられてしまうのだが二人は土下座をやめない、それだけ出会いが欲しいという事なのだろう……。
「あの、鋼流先輩!!」
そんな流れを変えたのは現A組で一番熱い男、物理的ではなく精神的に最も熱い男となりつつある切島であった。
「俺、今回の訓練で凄い事に気づけました!!俺の個性は硬化で防御じゃ誰にも負けない自信があった。だけど防御力だけじゃ勝てねぇ事もあるって分かった、回避の重要性って奴を先輩のお陰で知れました!!マジ有難う御座いました!!!」
「って言われても俺なんにもしてないからマジ何も言えねぇ……」
「折角だから心ちゃん色々教えてあげたら?前のクラスでも個性についての見方とか鋭かった方だし、それ生かして教える側だった事多かったじゃん」
それは記憶を失う前の事で……と言おうとしたのだが、既に皆は先輩から教えを貰えるぞ~!!!とハイテンションになっているのを止める事は出来ないのだが……
「下らねぇ、留年野郎とじゃれてぇ奴だけじゃれてやがれ」
「お~お~言ってくれるねぇ、まあ好きにすればいいさ。ンでそっちも帰んの?」
「ああ、先輩の話は興味深いんだけど、用があって次の機会って事にさせてくれ」
「いいさ、んじゃまたね~」
帰りたがっている二人はさっさと帰らせながらも反省会兼個性の発展を目指した研究会が始まる事になってしまった。
「んじゃまずは……硬化から始める?」
「オッス!!!」
トップバッターは話を切り出した切島の硬化から始める事になった。
「個人的にはこの中だと近接攻撃力だと緑谷に並ぶものがあると思うよ俺は」
「えっ防御力じゃなくってすか!!?」
「硬いってのはそれだけでも攻撃力が高いって事なのさ、空手やってる人の拳が硬いって聞いた事ないかい?そういう人に殴られるとマジで石でも殴られているような痛みを感じるのさ。攻撃は最大の防御っていうじゃない?だから攻撃にも積極性を出したらいいね、後は回避の重要性に気づいたなら機動性を上げるのもいい。走り込みを増やして、スタミナとスピードを上げる事を目指したらどうかな、速度を出しながら硬化した拳が飛んで来るって感じたら……怖くね?」
切島は純粋にその言葉を受けて感銘を受けた、自分の硬化は防御こそが真価を発揮するものとばかり思っていたが、そうではない。文字通りの最強の矛にも最強の盾にもなれる。
「も、燃えて来たぜ!!!飯田スピードアップのメニューでいいのあったら教えてくれねぇか!!?」
「うむっ俺でよければ協力させて貰うよ!!」
「パイセン、次俺!!俺の帯電にも一言くれよ!!」
「オイラのもぎもぎにも~!!」
直後に緑谷が入って戻ってきた、腕の包帯こそ巻いているがそこまで怪我は深くないらしいが……爆豪が先程出ていったのを聞くとそれを追いかけていってしまった。
「なんかあの二人ってあるのかな、パイセン達知らないだろうけど、なんか訓練中に話してたみたいなんだよね~」
「同じ中学だって話は聞いたけどね~」
「ケロケロ、爆豪ちゃんが一方的に緑谷ちゃんを嫌っている……というよりも、なんて言ったら良いのかしら……気に入らないって感じはするのだけど」
色々と気になるが、それを詮索するのも野暮という物だろう。その後に戻って来た緑谷も交えつつ反省会をしていると見回りをしていた1年B組のブラドキング先生から反省会をするのは実に結構だが、そろそろ暗くなるから今の内に帰った方がいいと言われて、今日は此処までにするのであった。
「パイセン、レゼパイセンの生写真頼むぜ~!!!」
「出来れば俺の分も~!!」
「誰が撮るかよ、んじゃな~」
「すっかり人気者だね」
「慕ってくれてるのか、それともいい遊び相手と思われてるのかは謎だけどな」
同じ家なので帰る道も一緒、隣同士に歩きながらも当然のように恋人繋ぎで帰る二人に女子たちはキャーキャー言いながらも茶化して来るのを受けながし、ついでに峰田と上鳴のそれも拒絶する。
「明日はインターンで福岡かぁ……やだぁ行きたくない……」
「我が儘言わないの……」
インターンをしている身であるので本来は色々と忙しい筈のレゼ、こういう風に一緒に帰る事が出来る日は寧ろ珍しい。そんな日が終わろうとしているのが酷く不服そうな彼女の頭を撫でてやる。
「電話とかで声は聞こえるんだから頑張ろうよ、俺だってレゼと会えないの寂しいのは一緒」
「……じゃあ今日一緒に寝て」
「まあ、その位だったら」
「ついでにお風呂も、あと夕ご飯は全部はいあ~んで、じゃないと憂さ晴らしにホークスの股間蹴り飛ばして来る」
「やめてホークスのゴールデンイーグルがゴールデンホークスになっちゃう!!?」
「なればいい、あれ絶対チャラ男だから」
「見た目がそれっぽいだけでは!?」
「っ!!!?な、なんだ今の寒気……心君から頼まれた調べ物にこれって……もしかして彼の家族って……いや多分レゼちゃん関連だな……」