第十一話もよろしくお願いします。
体育祭までの日々はあっと言う間に過ぎ去った。
そして今、クラスの控室に皆集まっている。
かつてのオリンピックとは違いこの雄英体育祭はあくまで日本独自のイベント…とは言っても日本中の人々が注目する。自分のような一介の高校生には身に余る緊張だ。
…だから出来れば精神統一をしたかったんだが…
「皆!準備は出来てるか!?もうすぐ入場だ!!」
「コスチューム着たかったな」
「公平を期す為着用不可だってさ」
「なんかワクワクしてきたーッ!」
「全員ブチ殺してやらぁ…!」
「うっかりパイタッチしても仕方ねぇ…そうだよなぁ…
ぐへへ…」
皆心臓に毛でも生えてるのだろうか。
というより2人程犯罪者が居なかったか?
静かに入場の時間を待つ轟君や障子君が少数派になって
「緑谷…」
…どうしたんだろうか轟君、思い詰めた顔をして。
「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う。」
「へっ!?うっ、うん…」
…本当にどうしたんだ轟君。
「でも、お前オールマイトに目ェかけられてるよな?」
…あぁ、その事か。確かにオールマイトは同じような個性を持つ緑谷君を気に入っている。だがそれがどうしたと言うのだろうか。
「別にそこ詮索するつもりは無ぇが…お前には勝つぞ。」
おお、宣戦布告。しかし何故だろうか。緑谷君には悪いが、わざわざ宣戦布告する程の何かがあるのか?
「轟君が何を思って僕に勝つって言ってるのか…は、分かんないけど…
そりゃ君の方が上だよ…客観的に見ても…」
…緑谷君。
「でも…!!皆…他の科の人も本気でトップを狙ってるんだ。僕だって…遅れを取る訳にはいかないんだ!
僕も本気で獲りに行く!!」
「…おお」
…凄いな彼は。普段は自分を卑下するきらいがあっただけに、ここまで強く言い返せるとは思わなかった
「…そして不知火、お前もだ。」
…はい?
「あの戦闘訓練の時の借りはここで返させてもらう。」
「…いやそれは、ほら、あれは個性の相性上勝てて当然と言うか、むしろあれで最後まで睨み合いにされたあたり轟君の方が実力は上と言うか…まぁ…」
不味い。考えていないが宣戦布告された時の返事なんてそんなもの。
「関係無い、お前にも勝つぞ。」
「…分かった、お互い全力で頑張ろう。」
…全く心臓に悪い。あれで切り上げてくれたから良かったものの…
『もうすぐ入場でーす!準備お願いします!』
もうそんな時間なのか。…結局精神統一は殆ど出来なかったな。
『雄英体育祭!!ヒーローの卵達が我こそはと!シノギを削りに削る年に一度の大バトル!!』
『どうせテメー等アレだろコイツ等だろ!?入学早々ヴィランの襲撃を受けたにもかかわらず!鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!』
『ヒーロー科!!1年A組だろぉぉぉ!?』
鼓膜を、いや、全身を揺らす紹介と、割れんばかりの大歓声。不味い、口から心臓がまろび出そう。
そして他のクラスの人達が入場して、主審であるミッドナイト先生が開会式を進行する。
「今更だが…18禁ヒーローなのに高校に居ても良いのだろうか?」
「良い」
本当に心臓に毛が生えているのだろうか?
『静かになさい!選手代表!!
不知火 炎星!!』
「…はい!!」
…今日はこればっかり言ってる気がするが不味いな。
考えてた言葉全部忘れた。
「…宣誓!僕達は!常日頃から積み重ねてきた努力を以て!正々堂々スポーツマンシップを則り、雄英高校生として恥じる事の無いよう、全力で皆と相対する事を!
誓います!」
一拍置いて、割れんばかりの大声。
…良かった。相澤先生から事前に言われていたのにしどろもどろだったら、除籍までは行かずとも絶対何かされていた。
『さぁ、早速第一種目行きましょう!いわゆる予選よ!
毎年ここで多くの者が
さて運命の第一種目は…これ!『障害物競走』!!」
A〜Kまでの11クラス総当たりレース、スタジアム外周約4kmを使用した障害物競走。…短いな。
そしてコース通り走れば何をしても良い…成程、キツイな。妨害ありのレース、しかも恐らくだがボーダーラインが凄く高い。恐らく1割残るかどうかだろう。
しかも皆の前でスポーツマンシップに則るとか言った手前、妨害をしにくくなってしまった。不味いな。
『さぁさぁ位置に付きまくりなさい!』
…まぁ、嘆いても変わらない。さっさと位置に付かねば。
皆がひしめく後ろに付く。が、まずスタートのゲートが狭い。恐らくここが第一の篩だろう。全く、雄英も意地が悪い。
ゲート上部のランプ、最初3つ点灯していたそれが1つずつ消えていく。最後の1つが消えたその瞬間、
『スタート!!!』
飛び出す。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。