個性「炎」   作:ドゥルガー

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第十四話

 予想通り、最初は皆緑谷君が有す1000万Pを狙う。まぁそれはそうだろう。一度獲って防衛すれば次の種目に確実に出れるのだから、狙わない理由が殆ど無い。

…まぁその単純な事がとても難しいのだが。

 

「…来たぞ不知火。」

「分かっているよ心操君。」

待つこと少し、ようやく騎馬が来た。見た所B組の女子だけで構成された騎馬のようだ。騎手はサイドテールの元気そうな女子。

「一組だけならまだなんとかなるだろ…うっ!?」

「…なっ…!?」

突如として後ろから鉢巻を引っ張られる。寸での所で止めて引っ張ってきたであろうものを掴むと…人の腕だ。

「腕…なんでこんな…?」

「反応速っ…ごめん皆、しくった!」

「ドンマイ切奈、次がある!」

…成程、この腕は彼女…相手後騎馬の切奈さんのものか。確かによくよく見ると彼女の腕が半ば程から無い。

「成程、敢えて正面から来ることで後騎馬の個性使用を隠し、奇襲を必ず通す…そちらには良い参謀が居るようだ、危ない所だったよ。」

「止められた所為で説得力無いんだけど…取り敢えず、腕返してくんない?」

…さてどうするか、返しても別に良いが…そうだな…

「分かったよ切奈さん、それじゃあ…あ!!」

騎手の横に向けて思いきり投げる。少しは時間が稼げるだろう。

「嘘でしょ…拳藤!」

「不知火あんたそれは…!」

成程、あの騎手は拳藤さん…手を巨大化出来るのか

「…危ない!」

「つっ…!?」

尾白君が尻尾で何かを弾く。

「痛っちょっと刺さった!…何だ、角!?」

「ありがとう尾白君!」

「Oh…sorry、でも勝負なので、許しーて下され候。」

出てきたのは2人で構成された騎馬。さっきの角は見たところ騎馬の女子の個性だろうか。

2対1か…少し不味いな。

「皆緑谷君や轟君あたりを狙うと思っていたんだけれど…返り討ちにでも遭ったのかな?」

隙を見て少し向こうを見ると、幾つかの騎馬が氷漬けになっている。恐らく轟君だろう。

「1000万が予想以上に粘って狙いにくくてよ…おまけに氷野郎まで参戦してくるから、無駄に時間食うより二手に分かれようってことになったんだ。

…とか思ってらあっちはあんなことになっちまうし…」

…確かにあんな所には突っ込みたくないだろう。

しかしそれは緑谷君、轟君の両騎馬を見逃して他のチームを潰すという事だ。万が一両方のチームが次に進んだ場合、後2チームしか残れない。

「…つまりあの2チームを放ってこっちでドンパチやろうと言いたい訳だ。」

「その通り。あっちの1000万争い、轟のチームが1000万を奪えば緑谷チームは0Pで脱落だ。仮に緑谷チームが守り切っても、恐らくこちらに手を伸ばしてはこない。

ポイントからして轟チームも最終種目に進んじまうが、それでも残り2チームの枠がある。だったらそこに滑り込めば良いだけだ。お前等の騎馬は、アイツ等より断然やりやすいし…な!!」

 

途端、青山君の足に白く粘つく液体が降りかかる。

即座に固まって硬くなり、青山君を動けなくしてしまった。

 

「不味…青山君牽制!今叩き割る!」

「ウィ☆」

青山君のビームで突っ込んでくる拳藤チームを止めてもらい、その間に踵落としで無理矢理白を砕く。

「お前等…不知火、囲まれてる!」

どうやら後ろからの攻撃は尾白君が防いでくれたようだ。

「ありがとう尾白君…だがこれは不味いな。」

 

「てっきり残り2枠を賭けた乱戦になると思っていたけれど…徒党を組んで袋叩きとは。」

 

周囲には数組の騎馬がこちらを囲むように立っている。

 

 

 

「なるほど、流石に入試主席は頭が回るね。」

後ろから傲慢さが滲む声が聞こえてくる。振り返ると、首に何本もの鉢巻をかけた金髪の男子がいた。恐らくB組の生徒だろう。そして見せびらかすように指で回しているのは…爆豪君の鉢巻だ。

 

「成程…最初からクラス対抗をしたかったようだ。」

「卑怯なんて言わないでくれよ?君達がただ馬鹿みたいに前しか見ず突っ走ってる間に、より効率的に戦える方法を頭を使って考えただ…」

 

全速力で加速、彼の首の鉢巻を全て引き抜く。

 

「け…」

 

返す刀で彼の首に足を掛け、宙に浮かぶ。

 

「さ…?」

 

 

 

「…まさか、卑怯とは言わないよ。ただ…

 

こちらも少し全力を出そう。

 

卑怯なんて言わないでくれよ?」

 

多対一は躊躇したら負ける。

 

 




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