「…お疲れ。」
「ありがとう耳郎さん、仇は取ってきたよ。」
上鳴君を投げ飛ばして勝利した第1戦目。この時点で既に疲れた自分を皆暖かく迎えてくれた。
「上鳴ィィィ…!!お前の仇はオイラが取ってやるからなァァァ…!!」
…訂正、血涙を流す一房の葡萄に怨嗟の念を送られた。
新手の怪談噺だろうか?
「不知火お前ェェェ!!何女子に自分の体操服着せてんだお前うらやまけしからん!!」
「…障子君、尾白君、この葡萄が何を宣っているのか分かるだろうか?」
「…すまん不知火、俺には分からん。」
「俺もだ。」
じゃあ誰も分からないだろう、解散。
「オイ不知火無視してんじゃねぇ!もっと言うべき事があるだろ!」
「…峰田君もああやって投げられたいのかい?君なら投げるどころか叩き付けても大丈夫だろう?その頭のもぎもぎで。」
「…今回は見逃してやる!オイラに感謝しろよ!!」
何目線なんだ彼は。…まぁ良い。
「…分かった、感謝しよう峰田君。その感謝の念と言ってはなんだが、伝言を1つ伝えよう。
…本日中に上鳴君は3枚、峰田君は5枚の原稿用紙に反省文を書いて提出、出来なければ退学だと言っていたね。
誰からのかは言わなくても分かるだろう?」
「………嘘…だろ…?」
絶望と諦念が入り混じった顔を向けてくる。可哀想なのでニッコリ微笑み返してあげたら、まるで死神でも見たのかと言わんばかりに驚いて逃げて行った。酷いな。
「…さっきのって本当?」
「…先に自分から反省の意を示す方が彼等の為にも良いと思った、よってアレは嘘ではなく優しさだ。」
「前から思ってたけどアンタ割と良い性格してるよね。」
「ははは、酷いな耳郎さん、尾白君も酷いと思うだろ…何故こっちを見ないんだ尾白君?」
障子君も目を逸らさないで欲しいんだけど?
さて、少し時間を飛ばして尾白君対切島君。試合は終始切島君の有利に進んでいた。
まず切島君の個性を尾白君は破ることが出来ない。もしかしたら方法自体は有るのかもしれないが、乱発出来るものでも無いだろうし、切島君が警戒したら通るかも怪しい。まぁそもそも彼の防御を破れる人が少ないが。
正面から行けるのは爆豪君位じゃないだろうか?
次に切島君本人が凄く動ける。何せ彼は実技試験3位だったのだ。しかも上2人は移動手段を持つのに対し、彼は生身で走らねはならない。身体能力なら自分は恐らく負けている。尾白君も動けない訳ではない(むしろかなり動ける方だ)が、身体能力に殆ど差が無いなら差が付くのは個性と本人の実力だ。故に彼は負けた。
…正直言って、尾白君は友人と言える数少ない人だから次に進んで欲しかったが、まぁ負けたのなら仕方が無い。
彼は憐れみや同情を望まないだろう、労いの言葉はシンプルで良いか。
続いて爆豪君対麗日さん。…まぁ、麗日さんが負けた。
策という策と身体を何度も吹き飛ばされ、秘策だろう瓦礫の『流星群』も効かず。最後は麗日さんが気絶して終了した。
だが周りの、特に大人達の反応が頂けなかった。
全力でやっている爆豪君に向かってブーイングは無いだろう、ブーイングは。爆豪君はやりたくてやっている訳ではない…多分。恐らく彼は警戒していたのだ、麗日さんの個性を。
触れた物を無重力状態にする麗日さんの個性。触れられたら爆豪君とてタダでは済まない。だから触らせない為に彼は彼女を吹き飛ばし続けたのだ。
だが何時までも不満を垂らすべきではない。自分には自分の戦いが有るのだから。
「それじゃあ行ってくるよ、耳郎さん、尾白君、障子君。しっかり応援して欲しい。」
「あぁ、精一杯応援させてもらおう。」
「不知火こそ、全力出して来いよ。」
「頑張れ。万が一アンタが負けたら骨は拾ってあげる。」
「…彼の蹴りは拾う骨が折れそうだけどね。」
次の対戦相手は飯田君、彼もかなりの実力者だ。
負けないようにしなければならない。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
既に何度かお伝えしましたが、9月から投稿頻度が落ちると思います。どうかご了承ください。
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