個性「炎」   作:ドゥルガー

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遅れてしまい大変申し訳ありません。
最近は学業の方が佳境に入って益々時間を割くのが難しくなってきました。
第二十九話もよろしくお願いします。


第二十九話

 昼、社員食堂。せっかくなので轟君と食べることにする。…何か最近カツ丼しか食べていない気がするな。まぁ良いか。

「やぁ轟君、特訓の方はどうだい?」

「…ある程度の操作は出来るようになったが、周りを巻き込まないようにするのが難しいな。」

「そうだね。自分も炎を扱う上で最初に躓いたのがそこだった。まぁこればっかりは繰り返しあるのみだからね、轟君ならすぐ出来るだろう。」

「…そういやお前、どこで個性の訓練してたんだ。」

…どこで、か。何気に初めて聞かれたか。

「…まぁ言っても良いか、祖父が持ってる山にある廃墟が練習場所だったね。雨風を凌げる屋根と壁があって非常に便利だった。」

そう言えばしばらく会ってないな。

「と言うより、何で急に?」

「…個性把握テストの時、お前と爆豪だけ個性の練度が高かったからな。何かコツでもあるのかと思ったんだが…」

「コツかぁ…さっきも言ったが、やっぱり反復が1番だ。繰り返せば伸びていくからね。」

「そうか、ありがとう。」

「いや何、友達が困っていたら話を聞いてあげるのが道理だろう。お互い様さ。

…と言うより、もうそろそろ食べ終わらないと間に合わなくないかな?」

「…お前いつの間に食べ終わってたのか。」

「コツの辺りからかな。まぁ自分は先に行って始めてるよ、それじゃあ。」

轟君には申し訳無いが、自分は速くあのじゃじゃ馬を乗りこなさなければならないのだ。

 

 

 

 

 

「…10秒、これ以上は縮めれんか?」

「…そうですね…威力とか射程を下げれば…もっと速く出来ますが…うぉぇ…吐きそう…」

キッっツい。暑さで腕と脳が溶けそう。と言うより何でまだ足りんなみたいな顔してるんだ?高校生が10秒で赫灼熱拳出せるなら万々歳じゃないのか?」

「貴様は敵がわざわざ10秒も待ってくれると思っているのか?」

「…出てました?口から。」

だとしたら不味いな、脳が働かなくなっている証拠だ。

「全部な。とにかく、最低でも後5秒は縮めたい。

…が、その様子だと詰まりそうだな。今日はやめにするか?」

「…今何時ですか?」

「そうだな、大体5時半と言った所か。」

5時半…昼を食べてから4時間半は経ってるのか。

「…一旦部屋でシャワー浴びてきて良いですか?」

「あぁ。一度頭を冷やしてこい。」

「…ありがとうございます…」

頭を冷やせば多少は糸口が見つかるだろう。

 

 

 

 

「…あ゙ぁ゙ぁ゙…」

溶けかけたように熱い全身が水で冷やされる。

本音を言うと氷風呂に入りたい気分だが水シャワーでも十分だ。頭を冷やせば多少は脳も動く。

 

…が、どうしようか。

確かに発射まで10秒必要なのは致命的だ。しかも撃つ為に手を使うから発射までの間は手から炎を出せない。一応両足だけで飛べない事も無いが機動力は確実に落ちる。そこを叩かれたら本末転倒だ。一度エンデヴァーにどうやって使っているのか聞いてみるか?だがまず赫灼熱拳…ヘルスパイダーの原型みたいなモノだとか言っていたが、そんな大層なもの使う機会は来るのか?

 というよりそもそもの話、前隙を減らすという方向性は合っているのか?いくら前隙を減らしたと言ったって、手が使えなくなる以上隙自体はどうしても出来てしまう。

 …結局はそこに行き着くか。どうにかして腕を増やせないもの

 

 

 

…ん?

何だ、何か引っかかる。

撃つ為に手を使うからその間手から炎を出せない。そうだ、それは前提だ。

赫灼熱拳ヘルスパイダーの原型みたいなモノ、良く分からないがエンデヴァーが言うならそうなんだろう。

 

…エンデヴァーはそのヘルスパイダーをどうやって使っている?

 

 

 

 

 

「…エンデヴァー!」

「速かったな、どうした?」

「…ヘルスパイダーって、どうやって撃っています?」

エンデヴァーの顔に笑みが浮かぶ。恐らく第1段階は通過出来たらしい。

「気になるか…一度しか撃たんから、良く見ておけ。」

 

 

 

瞬間、空気が熱を帯びる。

エンデヴァーの指先に陽炎が生じる。

そして、

 

 

 

「…ありがとう、ございます…!」

「何か分かったか?」

「はい、貴方のお陰で。」

何だ、気付けば簡単な事だ。どうしてこんな事で頭を悩ませていたんだ。

「エンデヴァー…

 

これ、手で撃つ必要は無いですよね?」

 

「…詳しく説明してみろ。」

「はい。実を言うと、前隙を短くする方向は行き詰まりかけてたんですよ。自分は両手足から炎を出して飛ぶ。ですがあの技を手全体から撃つとしたらいくら前隙を短くしたとて実戦では禄に使えません。

が、さっきシャワーでふと思いついたんです。

 

そもそも手を使わなければ良いと。」

「まだ試せていないので出来るか分かりませんが、飛ぶ為に掌を使って、あの技を指辺りで溜めて撃てないかと。万が一撃てるとしたら、そもそも前隙をどうのこうのする必要が無いんですよ!」

「…良く考えたな、だが語るだけでは結果は出んぞ。」

「はい、だから今から挑戦します。見ていて下さい。」

 

 まずは地に足付けたまま、掌と指に集中する。

飛んで撃つだの難しい事は後だ、今は分けて撃つ事だけ考えろ。

まずは掌から。炎は出せる。ここまでは大前提。

次いで指。人差指と中指を揃えて指先に集中する。掌の炎の制御が揺れるが許容範囲、そのまま出し続けろ。

溜めろ、絞れ、出来るだろう、自分なら。そうだ、そのまま、前に突き出せ、

 

 

 

「…っらぁ!!」

 

 

 

 

 

「…1日で分けて撃つ事に辿り着いたか、良くやったな。」

「…どうも…ありがとうございます。」

集中し過ぎたか、少しキツいな。

「次は空を飛びながら撃てるようにしろ。

 

…だが、今日は終わりだ。明日からパトロールに出るからもう休め。」

「…分かりました、ありがとうございました。」

壁は超えた。後は磨くだけだ。

 

 

 

 

 




要約
不知火君、飛びながら赫灼熱拳を撃てるようになる。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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