結果的にかなり助長になってしまいましたが、どうか第三十二話もよろしくお願いします。
はてさて一体どうしたものか、啖呵を切ったは良いものの、決め手が無い。せめて相手の個性でも割れれば戦い方を選べるんだが…
「おい、雄英の兄ちゃん達!ソイツの個性は多分血を舐めたら発動するタイプだ、動けなくなる!後ソイツの狙いは多分俺と白アーマーだ、さっさと逃げろ!!」
「…有難い、ヒーローの人!だが逃げたら貴方達が死ぬだろう、ヒーローとしてそれは出来ない選択肢だ!」
「ハァ…惜しいな、相手の実力を測れずに立ち向かうか…。」
「そんな事百も承知だ、ヒーロー殺し!」
成程、得物が刃物の理由が分かった。ありがとう路地の向こうのヒーロー。なら接近戦は愚策、距離を取って…
「蒼弓!!」
周りに燃え移らないように絞ってはいるが、それでも路地裏を塞ぐ程の炎だ、普通なら接近は出来ないだろう。が、
「危な…!」
「…ハァ…甘いな。遠距離戦をするにしても、もう少し先を見据えろ。」
炎を斬り裂く投げナイフ。これは多分陽動、右腕ではたき落とす。斜め上前からまた投げナイフ。これも陽動、左腕で弾く。飛び込んで来て左から横に薙ぐ居合。これが多分本命、しゃがんて躱して腹に一発
「甘いと言っただろ…!」
凄いな、避けた刀が返ってきてる。これが燕返しというやつか。しかも左手でナイフも振ってきた。頑張ってナイフは避けるが、刀の方はよけれるか
「させねぇ!!」
瞬間、横から氷が生えてくる。ヒーロー殺しが後ろに下がってくれて良かった、相討ち覚悟で斬られてたら最悪死んだからな。
「不知火、お前もっと他人と協力しろってアイツに言われただろ。もうちょっと人に声かけろ。」
氷で壁を作りながらの轟君のお小言。そうだ、そう言えば言われたなエンデヴァーに。
「…あぁ、そうだったね轟君、ありがとう。じゃあ緑谷君、アイツの後ろに回ってくれ。挟んで潰そう。」
作戦会議の時間を作ってくれるのは有難い、これで少しは動きやすくなるか。
「…不知火君、何か作戦が?」
「まぁ一応考えてはいる。通じるかは分からないけど
「作戦会議は終わったか?」
「…っ!緑谷君、後ろに!」
氷の壁ってそんな簡単に斬れたかなぁ!?
「轟君、壁が欲しい!」
「分かった!」
瞬時にヒーロー殺しと隔てられる。氷の拘束性能を重く見ているのか若干引き気味なのが有難いな。
そして出来た壁を、
「防御してくれよ、緑谷…君!!」
蹴り抜く。これで即席のショットガンの完成だ。氷の塊の隙間からヒーロー殺しの驚く顔が見える。そして緑谷君の驚く顔も。ごめん、
「緑谷君、ソイツを逃さないようにしてくれ!」
「え、わ、分かった!」
多分緑谷君が1番キツい役回りだ、頑張って欲しい。
そして祈る間にも脚は止めない。出来ればこれで時間を稼ぎたいが…
「…鬱陶しい!」
「…!不知火君、壁ジャンプで上から逃げた!」
「嘘だろ!?」
不味い、想定しておくべきだった。緑谷君を破って逃げようとする背中を新技で撃ち抜こうとしてた自分にもっと考えておけと怒鳴りた
…あっ
「…っ!殺させない!」
やっぱり飯田君達を狙ったか。ビルから飛び降りて斬り掛かるヒーロー殺しに飛び蹴り。吹き飛ばしはしたがどうせダメージは殆ど無いだろう。
「轟君、道路を塞ぐレベルの壁が欲しい!後飯田君達の周りに壁を!」
ここで逃がしたらまた面倒な事になる、実にキツいが無力化が最低条件だろう。
「ハァ…つくづく殺すのが惜しくなるな。」
「そのまま飯田君達の事も惜しんでくれると助かるんだが…!」
「それは無理な話だ…!」
「なんでだ…よ!」
まだ高校生なんだから成長の余地アリとして見逃して欲しいな少し位!
「なんで…駄目だ3人共…辞めてくれ…ソイツは俺が、僕が…僕がやらないと…兄さんの名前を継いだ僕が…!」
…今のは飯田君か。
「…なんだ飯田君、自分でケリを付けたいと?」
「あぁ、そうだ!僕が、僕がやらなければ…兄さんの仇を…」
…そうか、
「じゃあさっさと立ち上がって戦え!」
なら叫んでやらないとならない。
「インゲニウムが飯田君の兄だというのは知っていたさ、だからセンシティブな話だと思って触れて来なかった!復讐しようと言うなら応援位はしてやるつもりだったさ!それが?なんだ、こんだけ周りに迷惑かけて言うに事欠いてそれか!聞いて呆れる!討ちたいならさっさと立て!そんな辛気臭い顔をするな!
インゲニウム!!」
そして出来れば前線に加わって欲しい。流石にコイツを相手取り続けるのはキツい。一応さっきから轟君と緑谷君も再び戦闘に加わってくれてはいるが、まぁそれでもキツい。
「ハァ…戦闘中に余所見とは良い度胸だな…!」
「友への激励を余所見とは酷い…な!」
「その甘さが命取りだ」
だが、
「もっと余所を見るべきだ、ヒーロー殺し。」
「…っあぁ!」
「…!?」
「ナイスだ緑谷君、よくやった!」
だが緑谷君の不意討ちでようやく刀1本か、先は長いな。
「…はぁ、さて、どうする2人共。このまま遅延防御と行っても良いが、自分達を無視して全力で飯田君達を刺されに行ったら流石にキツい。」
本来なら最短経路で刺されに行かれてもおかしくない。それをしないのは…なんだ、信念のようなものか?
「けどやるしかないだろ。」
「けど僕はともかく、不知火君や轟君は昼の強盗事件で結構疲弊していると思う。今はまだ辛うじて均衡を保っていられるけど…」
「…あぁ、知ってたのか。」
「あ、うん。ネットニュースになってたよ。」
「成程、これが片付いたら見るとしよう。だが…」
…
…そうだな、
「…2人共、取り敢えずもう少しだけ殴り合いと行こう。なに、案はある。」
「…本当か?」
「…まぁ一応…じゃあ緑谷君、行こうか!」
「…うん!」
「…逃げる算段を付けていたんじゃ無かったのか?」
「…そんな訳無いだろう…!」
「…ハァ…だろうな…。」
しかし本当なんでサバイバルナイフ二刀流でこんな強いんだコイツ。2対1で挟まれて両方の攻撃を受け流さないで欲しい。
「考え事か…?」
「あっぶ…人にナイフを投げないで欲しい!」
しかも投げたナイフを回収するまでの流れが滑らかだ、何回してきたんだこれ。
…しかしここまで戦闘に動きが無いと焦ってくる。このままズルズル引き延ばしても体力の差で恐らく相手が有利だ。
…仕方無いか…
「…仕方無い、自分の前から逃げてくれ緑谷君!巻き込んだらすまない!」
「…え、えぇ!?」
両の手を前に突き出す。そして火炎放射。幸いにも道路はそこまで広くない。両手を使って全力を出せば道路を覆う位は出来るし、相手は氷の壁を背にしているからそう簡単には逃げられない。せめてちゃんとしたダメージ位は負って欲しいんだが…
「己より戦える者相手に視界を塞ぐ…ハァ…愚策だ。」
「…っつ!」
顎から頬を撫でるような一閃。あまりにも近い。あの炎のどこに穴があったのかは分からないが、この距離だと避ける事は無理に等しいだろう。功を急いた罰か、このまま避けられなかったら血を舐められ動きを止められる。そうなったら2対1か、キツいだろうな。
そうなったらだが。
「…!?」
「やっぱり斬れないだろうと…!」
避ける事は出来ないが、傷の場所を選ぶ位は出来る。相手が自分の事を殺そうとしていない事もなんとなく分かる。ならそれを使うだけだ。
「…貴方が自分を殺そうとしていない事位分かる。だから首等斬れないだろうという前提で釣って、見事かかってくれた。その信念を貫き通した貴方に敬意を込めて、
撃ち抜かせてもらおう。」
今にもナイフを振り抜かんとする右腕を掴む。こうすれば流石に逃げられないだろう。
「
「っっっ!?」
昨日身につけたばかりの新技。実戦で使うのはこれが初だが上手く行った。結果は右手首を貫通、右脚を抉るように掠めた。流石に動きが悪くなると思いたいが…
「…流石に…少しはやり易くなって欲しいんだ
「…甘い!」がぁ!?」
嘘だろ、あそこから投げ飛ばされた。負傷した右腕1本でどうやって?いや、それは良い、このままだと
「少し止まって貰う…!」
不味い、これは流石に避けれない。追い詰められた状態だと殺さないかどうかすら分からな
「おぉ、おおお!!おおおおお!!!」
…飯田君か?
「レシプロッッ!!」
…あぁ、良い顔になったな。
「エクステンドォォ!!!」
「…不知火君、立てるだろうか?」
「…ありがとう飯田君。だが、もう少しこのままにしておいて欲しいかな…」
背中が痛い。だがこの痛みと景色は油断の代償だ、そう考えると安いものだろう。
…油断か?普通炎で貫かれた腕1本で投げ飛ばされると思うか?まぁ油断という事にしておくか。
「ありがとうな、雄英の兄ちゃん達。お陰で命拾いした。アイツの事は拘束しといたから心配すんな。」
「…動けるようになったんですか?…ええと…」
「…ネイティブだ、一応プロヒーローやってる。…んだけどなぁ…今回は良いとこ無しだ。アンタ等子供におんぶに抱っこなんて、プロの名が廃れるな。」
「…いえ、最初に貴方がヒーロー殺しの個性を教えてくれなければまず勝てていたか怪しかった。感謝するのはこちらの方です。」
「…ハァ…最近の子供は人が出来てんな。まぁアイツの監視は俺がしとく、呼んだ別のヒーローが駆け付けてくるまでアンタ等は休んどくと良い。」
「…ありがとうございます。」
相手方の厚意を無下にするのもなんだ、ここはお言葉に甘えさせていただこう。
「3人共…ちょっと良いだろうか。」
ん?
「どうしたんだ飯田君。」
話があるなら流石に起き上がるか。
「…3人共、僕の所為で迷惑をかけてしまった。本当に済まなかった。何も…何も見えなくなってしまっていた…!本当に済まなかった!!」
「…あぁ、その事か。だとさ、轟君、緑谷君。」
「え?いや、そんな少なくとも僕は迷惑だとは思っても無いしそもそも飯田君には飯田君の事情がある訳だし!だけど、えっと…その…オールマイトも言ってたんだ。
余計なお世話はヒーローの本質なんだって。」
「僕は君を助けたかったからここで戦った。それが理由だ。」
「…緑谷君…」
「俺も緑谷と同じ考えだ。友達を助ける為にヒーロー殺しと戦った、もう少し相談してくれとは思ったが…」
「轟君…」
「…まぁそうだね、せめて前もって相談してくれたら…いや、今回は側に居ながら君の気持ちに気付けなかった自分達に非があった。飯田君は悪く無いさ。だから今回の話はこれでお終い、それで良いかな、2人共?」
「俺はそれで良い。緑谷は…」
「僕もそれで良いよ。」
「…3人共…!ありがとう…!」
…これで一件落着か
「座ってろっつっただろうが!!」
「…っ!?グラントぐぇ!?」
「なっ…!新手!?」
「落ち着けイグニス、その人はヒーローだ。」
「エンデヴァー!」
遅い!いや場所を伝えずに来た自分達が悪いか、そうだな。
「…色々言いたい事はあるが、取り敢えずヒーロー殺しは警察の方々に引き取って貰う。そしてイグニス、ショート。
避難誘導だけだと言う話を忘れたか?」
…やっぱり詰められるか。
「…いえ、忘れてはいません。ただ、避難誘導中にヒーロー殺しと遭遇し、動けない2人を回収して逃げさせてくれる程情け深い訳では無く…」
「…まぁ良い、その話は後だ。取り敢えずヒーロー殺しを連行、貴様等も警察に色々聞かれるだろう。長丁場の覚悟をしておけ。それと…
「伏せろ!」
は?
脳無?なんで緑谷君を、いやそれはどうでも良い。取り敢えずアレを撃ち落とす。
「エンデヴァー!緑谷君の回収頼みま
「遅い。」…す…」
…なんだ、ヒーロー殺しが飛び出して来て、脳無が墜落して…
…拘束を解いたのか!
「…贋者が蔓延るこの社会も…」
ヒーロー殺しが緑谷君を抱えて着地する。
「徒に“力”を振り撒く犯罪者も…」
脳無の脳にナイフが振り下ろされる。
「粛清対象だ…」
人質を取られた、不味い。だが、
「全ては…」
身体が動かない。いや、動かせない。
「正しき社会の為に…!」
思想犯の瞳が、燃えている。
「…!ヒーロー殺し!」
「待て!」
緑谷君が地面に置かれる。そして、
「贋者…!」
手を伸ばしていたエンデヴァーも、それを止めようとした小さいヒーローも、自分自身も、動けなくなる。
「正さねば…誰かが、血に染まらねば…!」
「“
「来い、来てみろ贋者共…」
「俺を殺して良いのは…
これが、狂気か。
まだ不知火君を書き切っていないのに書きたい子のアイデアがどんどん浮かんで来て困っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
映画版の話も欲しいですか?
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欲しくない
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どちらでも良い