雄英高校2日目。いくら雄英がヒーロー養成学校だと言っても高校であることには変わりない。他の高校と同じく英語等の基本科目も存在する。
しかし教えてくれるのはプロヒーローだ。
『んじゃ次の英文の内間違っているのは?おらエヴィバディヘンズアップ!盛り上がれー!!』
…うるさいな。いやわざわざプロとしての貴重時間を消費して教えてくださるのはとても有難いが、こればっかりは個人の好みなのでどうしようもない。プレゼントマイク先生には悪いが、個人的に授業は静かな方が集中出来るのだ。
後授業は思ったより普通だった。
昼休み。せっかくなので食堂で食べることにする。
雄英高校の食堂ではクックヒーロー『ランチラッシュ』が作る凄く美味しい食事が安価に食べれるらしい。
…授業が終わってすぐ来たつもりだったが、既に結構並んでいる。席があるだろうか?
席が確保出来て良かった。流石にカツ丼を持ったままうろつくのは邪魔でしかないだろう。
「おっ不知火。隣良い?」
耳郎さんか。ご飯は人と食べる方が美味しい派なので喜んで迎え入れる。
「午後からの『ヒーロー基礎学』って何すると思う?」
「午後からのヒーロー基礎学…最初だからお互いどんな個性で何が出来るかとか話し合う感じだと思うけど…
本来ここで個性把握テストをする筈だったのかな?」
「あぁ…確かに凄いありそう。ていうか入学式って飛ばして良かったの?」
「さぁ…多分駄目な気がするけど…耳郎さんはいきなり実技、例えば戦闘訓練ってあると思う?」
「流石に無いとは思いたい…ウチの個性戦闘向きじゃないからさ。」
…そういえば、耳郎さんの個性が何か知らないな。
「そういえば、耳郎さんの個性ってどんなものなの?」
「ウチ?ウチの個性は『イヤホンジャック』。このプラグになった耳たぶを使って心音を衝撃波として出したり、床とかに挿して足音聞いたり出来る
って感じ。不知火の個性は?」
「自分の個性は昨日見たと思うけど…両手足から炎を出せるってだけだね。一応空を飛んだりとかは出来たりするけど…」
「むっちゃ戦闘向きじゃん。」
「逆に言えば戦闘以外出来ないと言えるけどね。その点耳郎さんの個性は索敵も衝撃波で戦闘も出来そうだと思うけど。」
「まぁ…そう言われるとそうだけどさ…あっ昼休みもうすぐで終わる!」
「えっ嘘」
不味い(料理は上手いが)。すぐ食べなければ。
「わーたーしーがー!!普通にドアから来たぁ!!」
おお。人生初の生オールマイト、流石に格好良い。
クラスが沸き立つ中オールマイト先生がヒーロー基礎学の概要を端的に述べながら出したのは、BATTLEと書かれたカードだった。おお…戦闘訓練。
「そしてソイツに伴って…こちら!入学前に送ってもらった『個性届』と『要望』に沿って誂えた…
『
おお…!壁が開いて棚が出てきた…!
「着替えたら順次、グラウンドβに集まるんだ!」
…流石にワクワクしてきた。いきなり戦闘訓練、しかも自分で考えたコスチュームを着て
「…最初は話し合いと言ってたのは何処の誰だっけ?」
「…耳郎さん、多分話し合いもある…と…思う…よ?」
…自分が述べた考えがすぐ否定されるととても恥ずかしい。
男子更衣室でコスチュームに着替える。
と言ってもそこまで奇抜ではない。肘上から先と膝上から先を出した丈夫なコンバットシャツのようなものと、ベルトのポーチに入った小物類少々。珍しい物といえば、手の甲や膝、脛等を隠す特注のサポーターと靴。なんと個性を発動して燃やしても個性を使い終わると火が消えてくれる。つまり個性発動の邪魔をせず敵の攻撃等を防いでくれるスグレモノ。科学の進歩は偉大である。
グラウンドβに集まった生徒にオールマイト先生が話すのは今日の戦闘訓練の設定。
ヒーロー側とヴィラン側に分かれて2vs2。
ヴィラン側が市街地のアジト内に核兵器を隠しており、ヒーロー側がヴィラン側両方を事前に渡された『確保テープ』で捕まえるか核兵器を確保…タッチするかでヒーロー側の勝利、ヴィラン側がヒーロー側2人を確保テープで捕まえるか15分経過でヴィラン側の勝利。設定がアメリカン極まりない。そしてペア分けはクジらしい。
出来れば話したことのある耳郎さんか障子君がペアだと有難いが…
耳郎さんがペアだった。有難い。
「よろしく不知火。」
「こちらこそよろしく、耳郎さん。」
そして相手のペアは…推薦で入ってきた轟君と障子君。
相手がヒーロー側らしい。
最初の組、ヴィラン側の爆豪·飯田ペアvsヒーロー側の緑谷·麗日ペアの戦闘は散々だった。爆豪君は独断専行で飯田君と連携をせずアジト扱いのビルを半壊させ、緑谷君も同じく片腕を犠牲にビル半壊、麗日さんも訓練であることに甘えた立ち回りでマトモに動いていたのが飯田君1人という事態に。MVPは飯田君だった。
ビルを変えて2回戦目…つまり自分達の番。せめて1回戦目より建物への被害は抑えたいが…
与えられた準備時間でビルの中に入り、耳郎さんと作戦会議を始める。
「さて、お互いの個性は昼休みに把握したとして、問題は轟君をどうするかなんだけど…」
轟君…推薦で雄英高校に入ったエリート中のエリート、単純な殴り合いでも勝てるか怪しいが、何より個性が強い。右半身で凍らせて左半身で燃やす…自分の個性を半身で使わないでほしい。そして障子君も肩から生えた触手の先端から腕や目等自身の身体の器官を複製出来る汎用性の高い個性を持っていて、本人のフィジカルも強い。正直言って、相手にしたくない。
「相手ペアの行動で1番最悪なのが、ビル全体ごと自分達を凍らせる事だと思うけど、耳郎さんはどう思う?」
「ウチも同感。けど不知火ならどうにか出来るんじゃ?」
「自分だけならね。耳郎さんの分の氷を溶かして戦闘態勢に付くとなると、少し無理しなければならない。
…いや、案があるにはあるけど…」
「どんなの?」
「それは…」
「ではヒーローチーム、轟焦凍·障子目蔵vsヴィランチーム、不知火炎星·耳郎響香チームの試合を始める!双方用意は良いか!それでは、スタートだ!!」
オールマイト先生の合図直後、ビル全体が凍っていく。そのまま自分の膝…腰…胸…で止まった。
「耳郎さん…降ろすよ…!よい…しょ…」
「ありがと、身体大丈夫?」
「心配してくれてありがとう、大丈夫だよ。それより…はいこれ。頑張って障子君と睨み合ってほしい。」
「そっちこそ、轟との一騎打ち頑張って。」
自分達が考えた作戦は単純だ。自分が耳郎さんを肩車して凍結を食らう人数を減らし、個性が使えない森林地帯等て使う(予定)の拳銃(ゴム弾)を耳郎さんに使って貰って障子君を足止めしてもらい、自分が轟君をどうにかする。
…単純だが運任せだ。少しミスすると恐らく負ける。
しかしこれ位しないと勝てるか怪しいのだ。
「来た!2人とも走ってきてる!」
…来たか。ならやる事は1つだ。
クラウチングの姿勢、両手足に集中、階段から登ってきた轟君を一瞬で下の階に落とす。
「今!」
合図と共に発信、障子君を無視して轟君の腹にラリアットをかましながら階下に飛ぶ。腕で防がれたが最初の目的は達成だ。
「ッ…お前…!」
「…悪いが、ここからは一騎打ちだ。来ないなら自分から行かせてもらう…!」
勝てるかは怪しいが、全力は尽くさなければならない。
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