何!?ズァークとは「もう1人のボク!」ではないのか!?   作:辛味噌の人

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 この小説書くためにMDで遊矢なりきりデッキ作ったりしてるんですけど、ペンデュラムの難しさを再認識させられています。明らかに他の召喚法より考えることが多い……。

 そして今回難産でした。でもギリ毎日投稿は守れたよハルトォォォォォォ!!


舞網チャンピオンシップ ②

 

 沢渡との試合に無事勝利した俺は、続けて行われる素良対黒咲の試合を観戦するために、柚子達と共に観客席に居た。

 ……正直、色んな意味で安心して応援できない試合である。素良はなんとなく怪しいし、黒咲は言わずもがなだし。

 

「素良!俺と遊矢に続け!」

 

「オッケー任せて!僕もお客さんを大満足させちゃうからね〜!」

 

 権現坂の応援に反応して、素良がこちらに手を振ってくる。そんな朗らかな素良に対して、黒咲は険しい顔のまま。……胃が痛くなってきた。黒咲に負けたら洗脳されるとかだったらどうしよう……。

 

「遊矢……?顔色が悪いわよ?大丈夫?……そんなに素良が心配?」

 

「まあ心配というか、なんというか……」

 

 そんなことを考えていたら、柚子に心配されてしまった。しまったな、顔に出てたか……。柚子を心配させるとは、不覚……。

 

「そんなに強いの?あの黒咲って人……?遊矢はあの人のこと知ってるんでしょ?」

 

「そこまで知ってるわけじゃないけどな。ただ強いのは間違いない……と思う」

 

「遊矢がそこまで言うなんて……。素良、大丈夫かしら?」

 

 RRについてはそれなりに詳しいが、黒咲本人に関しては不審者としてネタにされていたことくらいしか知らない。ARC-Vちゃんと見ておけばよかった……。

 ただ弱いキャラにランク13のモンスターが与えられたりはしないだろう。今の黒咲が所持しているかは不明だが、少なくともライジングリベリオンを持つに相応しいデュエリストではあるはずだ。

 ……いざ敵対した時、俺でも勝てるかどうか……。

 

『本日の第3試合のスタートだ!まずはアクションフィールドのセレクトです!フィールド魔法発動!選ばれたのは……未来都市ハートランドだ!』

 

 ……は?

 

「ハートランド……!?」

 

 馬鹿な、何故ハートランドがアクションフィールドに?この世界にハートランドはもちろん、童実野町もデュエルアカデミアもネオドミノシティも存在しないことは確認済みだ。となるといわゆるファンサービスの過去作要素……?

 

「どうしたの遊矢?そんなに驚いた顔して」

 

「い、いやなんでもない」

 

 またしても柚子に訝しがられてしまったが、今はそれどころではない。2人の方に目線を戻すと、素良は少し驚いたような表情をしただけだが、黒咲はあからさまに動揺している。黒咲とハートランドに何か関係が……?

 

 この世界にハートランドが存在しないことは確認済みだ。だが黒咲とハートランドには間違いなくなにかの因縁がある。過去にこのアクションフィールドで何かがあった、程度なら問題ない。ないのだが……。

 ここで次元戦争というワードや、あの日零児と話した内容が引っかかってくる。それらを考慮に入れると……。ハートランドがある次元、仮にZEXAL次元としよう。ZEXAL次元から黒咲はやってきた……。その目的は赤馬零王に囚われた瑠璃を助けるため。そういう話の流れになるのだろうか。

 

 だが、どちらにせよ何故アクションフィールドとしてハートランドが存在するのかは謎のままだ。この大会の主催であるレオコーポレーション、ひいては零児が何かを企んでいるのか?赤馬零王とは別に?

 洗脳問題と合わさって、俺の中で零児への疑惑が大きくなっていく。黒咲の動揺具合からして想定外の事態なのは間違いない。そう考えるとやはり洗脳事件の首謀者も黒咲ではなく零児か?

 

「ちょっと遊矢?どうしたのよ。もう試合始まっちゃうわよ?」

 

「あ、ああすまん。少し考え事をしてた」

 

「さっきから様子おかしいけど、大丈夫……?どっか悪いの?」

 

「いや全然大丈夫だ。柚子は心配しないでいい。気にしないでくれ」

 

「遊矢……」

 

 ……これは、どうするべきか。騒ぎになるのを覚悟で本部席に突撃するか……?しかし零児が本格的に怪しくなってきた以上、無策で突撃すべきでは無いのも事実。ズァークがいるとはいえ、まかり間違って俺が洗脳されでもしたら目も当てられない……。

 

 俺がうんうんと考え込んでいる間に、デュエルが始まり進行していく。序盤はゆっくりとした立ち上がりだったが、どうやら先にスパートをかけたのは素良らしい。

 

「レディースエーンジェントルメーン!これより皆様にご覧頂きますのは、本家本元の融合召喚でございます!」

 

「素良ったら遊矢の真似しちゃって……遊矢?」

 

「本家本元の融合召喚……?」

 

 本家本元とはどういう意味だ。そもそも融合に本家も分家もあるものか。俺や真澄が使う融合は本家ではないと?

 いや俺も真澄も、融合召喚はすれど「融合」のカードは使わないから、そういう意味でいえば素良や柚子達の方が本家と言えるのかもしれないが……。それにしたって違和感のある言い回しである。

 

 俺がさらに混乱している間にもデュエルは進んでいく。そんな中、俺の耳に黒咲の言葉が飛び込んできた。

 

「守るだけで精一杯……。はじめはそうだった。圧倒的な敵に対して、俺達はとにかく自分を守るだけで精一杯だった。俺達は一人、また一人と失われていった。そんな絶望的な戦いの中で俺達は学んだ……!生き延びるには勝つしかないのだと……!」

 

「なんだ?黒咲は何を言ってる……?」

 

 俺はてっきり瑠璃が攫われたから黒咲が追ってきた、それだけの話だと思っていた。だが黒咲の言い方を聞くに、既に次元戦争は始まって……?

 

「遊矢は聞いてなかったけど、あの人さっきも言ってたわよ?故郷が戦場になった、とか……」

 

 怪訝そうな顔で柚子が言う。柚子は半信半疑の表情だったが、俺に次元戦争が既に始まっている事実を真実として認識させるには十分な情報だった。

 ……これ、大会なんかやってる場合なのか?おそらく黒咲の故郷とはハートランドのこと。ならばハートランドは既に絶望的な状況におかれているということで……。

 ドン・サウザンド……いやおそらくは赤馬零王の仕業だろう。遊馬達はどうしている……そもそも存在するのか?

 

 俺の内心を置いてけぼりにしてデュエルは進む。デストーイシザーベアーを繰り出し攻める素良に、黒咲もライズファルコンを召喚し巻き返す。展開としては素良が攻め続けているはずなのだが、それをいなされ反撃されている形だ。

 黒咲は険しい表情ながらも余裕をもってデュエルを進めているのに対し、素良の表情からは余裕が失われていく。

 

「素良、いつもみたいな余裕が無いわね……」

 

「ちょっと遊矢お兄ちゃん!黙ってないで一緒に素良を応援してあげようよ!」

 

「素良もだけど、遊矢お兄ちゃんらしくないわ!ずっと難しい顔して……」

 

「あ、ああ。すまん」

 

「痺れるくらい上の空だぜ……」

 

 クソ、いきなり情報量増えやがって!ちったぁ加減してくれ!

 そんなことを考えていると、ついに素良がライズファルコンを戦闘破壊することに成功した。成功はしたのだが……。

 

「ランクアップマジック!ラプターズフォース!この戦闘で破壊されたライズファルコンを特殊召喚し、ランクが1つ高いRRににランクアップさせる!獰猛なる隼よ!激戦を切り抜けしその翼翻し、寄せ来る敵を打ち破れ!ランクアップ、エクシーズチェンジ!現れろ!ランク5!RRブレイズファルコン!」

 

「ランクアップマジック……!」

 

 それそのものに驚きはない。RRというのはRUMを多用して展開を行うテーマだ。ただZEXALにおいてRUMというのは特別なカードで、一般人に扱えるものではない。黒咲がアストラル世界に縁を持つ、もしくはシンプルにZEXALとは設定が違うだけ……。流石に後者か?

 

 そしてブレイズファルコンの効果と戦闘により、素良のフィールドは更地になりライフを削られる。それと同時にハートランドが壊れていく。……アクションフィールドとはいえ、気分の良いものではないな。

 

「薄ら笑いはどうした?少しは狩られる者の気持ちが分かったか?貴様たちはいつも笑いながら俺の仲間たちを襲い続けた……!だがもはや俺達は無抵抗で打ち倒される獲物ではない!」

 

「はぁ?余裕がない?冗談言うなよ……!こんなデュエル、キャンディ舐めながらだって僕にはできる!遊びさ……!本気でやるわけないじゃん!僕の仲間だってそう!みんな遊びで君達を狩ってるんだ!」

 

 ……素良もクロだったか。言い分的には赤馬零王側の人間としてハートランドを侵略していたらしいな。確かに怪しいと思ってはいたが、いざ本性を出されると残念なものがあるな……。素良のことは嫌いでは無かった。

 

 本性を現した素良と黒咲のデュエルは、一時的に素良が追い込んだものの、更なるランクアップを見せつけた黒咲の勝利に終わった。過程でアクションフィールドは酷く破壊されたが……。俺にとってはそれどころではない。

 素良は病室に運ばれ、黒咲は去っていく。……ここは黒咲を追うべきだな。

 

「遊矢!?どこ行くの!素良の見舞いには……!」

 

「すまん!それどころじゃない!」

 

 というか素良は今はどうでもいい。気を失って病室に行ったなら後回しだ。後で締め上げるにしても今は黒咲が優先だろう。

 

 俺は本部席の方に走る。黒咲と零児が手を組んでいるのなら、本部席の近くに先回りしておけば、本部席に突撃せずとも黒咲を確保できるはず。黒咲経由で零児に連絡を取ることも可能だろう。

 

 ズァークの力も借りて全力で本部席近くまで先回りした俺は、しかし黒咲を確保することはできなかった。というより本部席には零児の姿すら無かった……。おそらく、黒咲は零児の本拠地の場所を教えられていて、そちらに向かったのだろう。

 

「クソ!失策だ……!黒咲を捕まえた時、デュエルディスクにGPSでも取り付けとくんだった……!」

 

 こんなに苛立つのは転生してからいつ以来か……?もしかすると初めてかもしれない。零児への疑念、黒咲を確保したい焦り、そして素良への怒り……。様々なものが俺の中で渦巻いているのを感じる。

 

「……うん?着信か?」

 

 そんな時、デュエルディスクに着信が入った。……柚子からだ。

 すまん柚子、今は話せる気分じゃない。着信を切り、その旨を素良の見舞いには行かないことと合わせてメールで送った。

 そして俺はスタジアムを出て、適当な公園のベンチに座り込む。正直、考えなければならないことが多すぎて、1人になりたかったし、何も考えなくていい時間が欲しかった。

 

「俺はどうすればいい……?何をするべきだ……?」

 

 考えたくないのに考えてしまう。本部席から零児がいなくなっていた以上、本部席に突撃するのは無駄だ。大会が進み俺が優勝すれば、零児も俺の前に姿を表さざるを得なくなるだろうからそれを狙うか……?いっそシンプルに大暴れして零児が表れざるを得なくなる状況を……いやそれでは黒咲と同じになってしまう。

 

 うんうんと唸っていた俺の元に、再び着信が入る。またしても柚子だ。それに気づけば辺りはかなり暗くなっていた。思ったより俺は余裕が無いらしい……。

 

「話したくないって言っただろ……」

 

 ただ何かしらの緊急事態の可能性もある。重い腕を上げて着信に応じると、酷く焦った様子の柚子の声が聞こえてきた。

 

『遊矢!?聞こえる?遊矢!』

 

「どうした柚子!何があった!」

 

『素良が……素良が病室から逃げ出したって!』

 

「なんだと!?」

 

 俺はまたしても己の失策を悟った。そうだ、本性を晒した素良が逃げ出すことを考慮してむしろ病院に張り付いているべきだったのだ。黒咲を優先している場合では無かった……!

 

「柚子!何か手がかりはあるか!?」

 

『なにも……どこに行ったかわからないの!』

 

「クソッ!こっちでも探す!切るぞ!」

 

『あ、遊矢……!』

 

 いてもたっても居られず走り出す。だがどこに?なんの手がかりもなく、がむしゃらに走って見つけられる訳が……。

 

『もう1人の我よ。素良とやらの居場所が知りたいのか?』

 

「ズァーク!?お前、なんか分かるのか!」

 

『ああ、我には見えているぞ。教えて欲しいか?』

 

 もったいぶってねぇで早く教えやがれ!

 

『クク、ならば教えてやろう』

 

「がっ、熱っ……!?」

 

 急に心臓の辺りが熱くなり、同時になにかに導かれるような感覚を覚えた。それに何か、デッキが光って……?

 

「オッドアイズ達が光って……呼んでいる……?クリアウィングも、ダークアンセリオンも、スターヴヴェネミーも……」

 

 感覚とカードに導かれるままに俺は走り出す。ズァークの声はもう聞こえなかった。

 そして俺が辿り着いた広場にいたのは、デュエルに負けたらしく、倒れ伏した素良と……。

 

「もう一人の……俺……?」

 

「お前は……?」

 

 俺そっくりの顔を持つ、黒い衣を纏った少年だった。

 

 





 自分で書いておきながら転生トマト視点だと怒涛の展開すぎて可哀想になってきました。
 あ、黒咲VS素良(1戦目)は個人的ARC-Vベストバウトだと思ってるので是非見てください。

 誤字報告等よろしくお願いします
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