何!?ズァークとは「もう1人のボク!」ではないのか!?   作:辛味噌の人

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 この小説はアニメARC-Vを視聴している前提の描写が挟まることが多いです
 アニメ未視聴の方はご注意ください(今更)



愛想のいいショタは怪しい

 

 

「いやぁ……あれから色々あったなぁ……」

 

「ほんとよね……」

 

 俺と柚子は顔を見合せ、疲れた表情でため息を吐く。いやほんと……色々あった……。

 ストロング石島とのデュエルを見た人々が大勢遊勝塾に押しかけたかと思えば、ペンデュラム召喚にはペンデュラムカードが必要だという俺の説明を聞くと今度は手のひらを返して卑怯者呼ばわり……。まあ、ぶっちゃけ1人しか使えない召喚法ってどうなの?とは俺も思うからこれに関しては気にしていないけど。その後タツヤが入塾したり……。

 

「その上沢渡がペンデュラムカードを奪おうとしてくるだなんて……まあ遊矢が勝ったからよかったけど」

 

「ペンデュラムカードを見せてくれ、とか……どう考えても騙し取ろうとしてくる流れじゃんね」

 

 『こうすればよかったんだ!』されるのが見え見えだったので普通に断ってデュエルでボコボコにしましたとさ。

 

「待て待てお前ら!なに説明口調で振り返ってんだ!」

 

「あれ沢渡、まだいたのか」

 

「まだも何も俺たちのデュエルはさっき終わったばかりだろうが!」

 

「お前の完敗でな」

 

「ぐぬぬぅ……!」

 

 いや、デュエルタクティクス自体は大口叩くだけあるな、とは思ったよ?思っただけだけど。

 だが!しかし!まるで全然!この俺を倒すには程遠いんだよねぇ!

 

「クソっ、こうなったら力づくで奪い取ってやるぜ!みんなやっちまえ!」

 

 沢渡が取り巻きをけしかけてきた!

 いきなりリアルファイトとは遊戯王らしくなってきたじゃないか。よっしゃやったるで!

 

「ぐわあーっ!?」

 

 ……と、意気込んだはいいものの、沢渡達は俺が手を下す前に何者かの手によって打ち倒されてしまった。お、俺の獲物が……。

 その下手人は、タツヤ達とそう変わらない体躯の少年だった。

 

「最後までカッコ悪いなぁこの人たち……」

 

「……誰だ君は」

 

 身のこなしや投擲センスからしてどう考えても一般人じゃないんですが……。何?新たなLDSの刺客とかなの?『任務に失敗したお前たちに価値はない……』的なクレイジーショタなの?

 

「僕、紫雲院素良!さっきの君すっごいカッコよかったよ!」

 

「LDSの生徒……って訳じゃなさそうだな。何が目的だい?」

 

 と思いきやストレートに褒められてしまった。一般通過純真ショタの可能性……?にしても謎身体能力すぎるしなぁ……。

 

「ここの生徒になろうかな、とは思ってたんだけどね〜。どうせ習うなら強い人がいいじゃん?君みたいなさ」

 

「あ、ありがとう……?」

 

 ……なんか流れが怪しくないか?

 

「というわけで僕、君の弟子になることにする!」

 

「弟子ぃ!?」

 

「遊矢の!?」

 

 な、なるほどそう来たかぁ〜……。いやいや、俺に師匠とか無理だろ。

 

「悪いけど……軽く教える程度ならともかく、弟子を取れるほど立派なデュエリストじゃないからなぁ俺は……」

 

「うーん、私は遊矢なら立派に教えられると思うけど……」

 

「ちょ、柚子!?やめろよそんな、おだてても何も出ないって」

 

「別におだててるつもりは無いんだけど……」

 

 いやほんとマジでさ、この世界のデュエル塾システムとかにまだ違和感あるんだから。デュエルを教えるって冷静に考えてなんだ……?ルールを教えるとかならともかくそれ以上はひたすら実戦じゃね……?

 

「ねえいいじゃん弟子にしてよぉ〜!師匠のペンデュラム召喚に」

 

「と、とにかく俺は弟子とか取らねぇから!そういうことで!解散!」

 

 これ以上話していてもろくな事にならないと悟った俺は、急いで話を切り上げ、素良をおいてとっとと家に帰るのであった。

 

 

 

 

「師匠!」「師匠」「師匠〜!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 か、完全に対処を誤ってしまった……。あの場で完全にキッパリ断っておくべきだったぜ……

 それからの数日というもの、俺は学校でも塾でも、挙句の果てには家でも、素良に粘着される羽目になってしまった。ウチのオカンが「若くて綺麗なお姉さん」呼びで陥落してしまったため、家すらも安住の地ではなくなってしまったのだ。トホホ……。

 

「ちょっと遊矢、景気悪い顔しないの!……大丈夫?」

 

 そんな日々を過ごしていたある日の学校からの帰り道、柚子にそんなことを言われてしまった。仕方ないだろ、最近夢にまで素良が出てきたんだぞ。

 

「だってよ柚子ぅ!素良のやつがさぁ!」

 

「師匠!師匠〜!」

 

「ほらーっ!!」

 

 クソッ!なんで遊戯王の世界に来てまでストーカー被害にあわなきゃいけないんだよ!つーか素良のやつ足速すぎるだろ!ズァークパワー出さないと逃げ切れないんだが!絶対一般人じゃねぇ〜!!

 

『あの小僧のデュエルを受けてやればいいではないか』

 

 最近心身が全く落ち着かないせいで出っぱなしのズァークさんが脳内で仰る。いや俺は弟子を取るつもりは……いや待てよ?

 

「そうかそれだ!」

 

「どったの師匠」

 

「うげっまた……じゃなくて素良!そんなに俺の弟子になりたいなら俺とデュエルしろ!」

 

「えっいいの!?」

 

 目を輝かせる素良に、俺は『ただし!』と指を突きつける。

 

「それはお前がデュエルで勝ったらの話だ。負けたら潔く諦めること!いいな!」

 

「うんうん!いい!なんでもいい!やったー師匠とデュエルだー!」

 

「お前な……まだ師匠じゃねぇって……」

 

 ……ぶっちゃけマジで怪しいんだよなこいつ……。露骨に周りの人間に媚びを売ってる節はあるし、やたらと俺に粘着するしで……。実は敵!とまでは言わないが単純に俺のファンボーイってことはないだろう。

 

 まあいいさ。ようは勝てばいいんだ、勝てば。

 

 

 

 

『アクションフィールド発動!スウィーツ・アイランド!』

 

 というわけで場所を移して遊勝塾。デュエルルームを貸してもらって、素良とデュエルすることになった。本来は俺と素良だけでやるつもりだったのだが、ちょうど塾にいた塾生のタツヤ、フトシ、アユに加えて帰宅していた柚子もギャラリーに加わることになった。

 ちなみにタツヤは以前俺が権現坂とデュエルした時に見学に来ていた子で、フトシは『痺れるぅ〜!』が口癖の太っちょボーイ、アユは素直で要領のいい少女だ。遊勝塾の貴重な塾生である。

 

「わーい!お菓子の国だ!やったー!」

 

「おーい素良、始めるぞ」

 

 まあいいさ。こんなデュエルとっとと終わらせて、このストーカー少年と早いとこおさらばしてやる!

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト以下略!アクショーン!」

 

「「デュエル!」」

 

〈紫雲院素良 LP4000〉

〈榊遊矢   LP4000〉

 

「先攻は俺だ!俺のターン!」

 

 うーんまあまあな手札だな。

 

「いくぜ!おれはEMドクロバット・ジョーカーを召喚!効果でオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンをサーチ!」

 

〈EMドクロバット・ジョーカー Lv4 ATK1800〉

 

「そして俺はスケール4のEMオッドアイズ・ディゾルヴァーとスケール8のオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンをペンデュラムスケールにセッティング!」

 

「きたきた!ペンデュラム召喚!」

 

 俺がスケールをセッティングすると、露骨に目をキラキラさせてテンションをあげる素良。正直こいつにペンデュラム召喚をガッツリ見せるのは若干不安が残るのだが、まあ必要経費と割り切るしかあるまい。

 

「ペンデュラム召喚!現れろ!我がしもべのモンスター達!レベル7!オッドアイズ・ファントム・ドラゴン!オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!降竜の魔術師!」

 

〈オッドアイズ・ファントム・ドラゴン Lv7 ATK2500〉

〈オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン Lv7 ATK2500〉

〈降竜の魔術師 Lv7 ATK2400〉

 

「うわーっ!すごい!レベル7のモンスターが一気に三体も!すごいよ師匠!」

 

「だから師匠じゃねえって」

 

『あの小僧も懲りないな』

 

 おっズァーク、出てきたのか。俺そんなテンション上がってたか……?まあいっか。まだまだ俺のターン!

 

「お楽しみはこれからだ!俺はEMオッドアイズ・ディゾルヴァーのP効果発動!手札、フィールドのモンスターを融合素材とし、ドラゴン族の融合モンスターを融合召喚できる!」

 

「融合召喚!?師匠が!?」

 

 ふっふっふ、驚いてる驚いてる。でも融合するだけで驚かれるとやっぱちょっと恥ずかしいな。まだこの感覚に慣れないなぁ……融合とか魔法効果使うだけじゃないか。

 というか素良の表情に驚き以外の色もある気がするのは気のせいだろうか。……まあいっか!

 

「俺はオッドアイズペンデュラムドラゴンとドクロバットジョーカーで融合!二色の眼持ちし竜よ!今こそ天空の虹彩の力と混じりあえ!融合召喚!!現れ出でよ!レベル7!渦巻く力持ちし竜!オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン!」

 

〈オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン Lv7 ATK2500〉

 

「『まだまだァ!俺はレベル7のオッドアイズファントムドラゴンと降竜の魔術師でオーバーレイ!』」

 

「今度は……エクシーズだって!?」

 

 お、素良の表情がさらに妙な感じに……。融合かエクシーズかになんか思うところあるのかね?

 

「レベル7が2体ってことは……もしかして、ストロング石島の時の!」

 

 お、勘がいいなタツヤ。こいつの効果は相手ターンにも使えるから便利なんだよな。

 

「『正ッ解!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!闇の帳を切り裂きしは、新たな力を得た反逆の牙!!エクシーズ召喚!!現れろォ!ランック7!ダーク・アンセリオン・ドラゴン!!』」

 

「遊矢兄ちゃんすげぇ!融合とエクシーズを1ターンでやっちまった!痺れるゥ〜!」

 

「でもあのモンスターを出してる時の遊矢お兄ちゃん、ちょっと怖いかも……」

 

「俺はこれでターンエンド!さあかかってこい素良!」

 

「最高だよ師匠!これは僕もいきなり本気でいっちゃうからね〜!」

 

 あんにゃろ、暗に最初は本気出すつもり無かったって言ってんな?舐めやがって……。

 

「僕のターン!ドロー!僕は永続魔法トイポットを発動!効果により手札を1枚捨て1枚ドロー!僕がドローしたのはレベル3のエッジインプ・シザー!レベル4以下なのでトイポットの効果で特殊召喚!」

 

«エッジインプ・シザー Lv3 ATK1200»

 

 素良が回し始めたのは……ちょっと見覚えあるなあのカード。たしか……えっーと……エッジインプは確か融合テーマ……。

 

「そして僕は手札からマジックカード、融合を発動!手札のファーニマル・ベアーと場のエッジインプ・シザーで融合!」

 

 お、合ってた合ってた!つーわけでここを通す訳にはいかねぇな!

 

「させねぇよ!俺はオッドアイズボルテックスの効果発動!表側EXデッキからドクロバットジョーカーをデッキに戻すことでお前の融合の発動を無効にして破壊!」

 

「なんだって!?表側EXデッキ?そんなものがあるなんて!?」

 

「ペンデュラムモンスターは、フィールドから墓地に送られる時、代わりにEXデッキに表側で加わるのさ!そして融合デッキの特徴にして最大の弱点!融合を止められたらなにも出来ないこと!」

 

『面白みのない戦法だな、もう1人の我。正直つまらんぞ』

 

 お黙りズァーク!マジレス戦法して悪いが、俺は何がなんでも素良を弟子にしたくない!なぜなら面倒くさいから!

 

「くっ……!なら僕はモンスターをセットして……カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 苦しそうな顔でカードを伏せた後、アクションマジックを取りに走る。……やっぱ身体能力エグいだろあいつ。

 

「俺も負けてられねえな。ズァーク!力を貸せ!」

 

『フン、任せろ』

 

 俺もズァークの力を借りて飛び回り、アクションカードを取りにいく。……別に今は要らないカードだなこれ。でもまあ素良の取ったアクションや伏せカードの効果次第では……どうだろ、やっぱ要らない気がする。

 

「俺のターン!ドロー!……よし!」

 

 このカードなら確実に勝てる!

 

「俺はセッティング済みのPスケールを使ってペンデュラム召喚!手札より現れろ!怒れる竜!オッドアイズ・ファントム・ドラゴン!」

 

〈オッドアイズ・ファントム・ドラゴン Lv7 ATK2500〉

 

「またペンデュラム召喚……!」

 

「『そしてダークアンセリオンの効果発動!エッジインプシザーの攻撃力を半減させ、自身の攻撃力に加える!』」

 

〈エッジインプ・シザー ATK1200︎ →600〉

〈ダーク・アンセリオン・ドラゴン ATK3000→3600〉

 

「バトルだ!まずはボルテックスドラゴンで裏守備モンスターを攻撃!」

 

「くっ、ファーニマルベアーは破壊される……」

 

「『ダークアンセリオンでエッジインプシザーを攻撃!反逆のライトニングフルブラスト!』」

 

「それは通さない!アクションマジック回避発動!」

 

 素良がアクションマジックを使って攻撃を凌ごうとする。ここでボルテックスの効果を使ってもいいが……あえて使わない!

 

「ダークアンセリオンの攻撃は無効化されたが俺にはまだモンスターが残っている!ファントムドラゴンでエッジインプシザーを攻撃!夢幻のスパイラルフレイム!」

 

「くっ、僕はトラップカード、びっくり箱を発動……!」

 

「ここだっ!ボルテックスドラゴンの効果!表側EXデッキからペンデュラムドラゴンをデッキに戻してびっくり箱の発動を無効にし破壊!攻撃は続行!」

 

 素良が苦々しげに発動したトラップカードを無効にする。あっぶね、やっぱアクションマジックにボルテックスの効果切らなくて良かった……。

 

〈紫雲院素良 LP4000-1900=2100〉

 

「でもこれで師匠の攻撃は終わり!次のターンのドローで……!」

 

「『いいや!次のターンは無い!オッドアイズファントムドラゴンの効果発動!このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時、Pゾーンのオッドアイズカードの数×1200のダメージを相手に与える!』」

 

「遊矢兄ちゃん、痺れるくらい怖いぜ……」

 

「遊矢お兄ちゃんのPゾーンにはオッドアイズペルソナドラゴンと、EMオッドアイズディゾルヴァーがあるわ!」

 

「つ、つまり与えるダメージは……」

 

「『よって与えるダメージは2400!終わりだ!やれオッドアイズ!幻視の力、アトミックフォース!』」

 

「うわぁーっ!!」

 

〈紫雲院素良 LP0〉

〈WINNER 榊遊矢〉

 

 ふぅ……やれやれ、ちゃんと勝てて良かった。

 

「というわけで素良、俺の勝ちだ。悪いが弟子入りの件は無かったことにしてくれ」

 

 ……応答が無い。素良は座り込んで俯いたままである。子供相手にやり過ぎちまったか?ストーキングされて鬱憤溜まってたとはいえ……。

 

「すごい!すごいよ遊矢!とっても強かった!」

 

「おお」

 

 と思ったらいきなり笑いながら飛び上がってきた。情緒不安定じゃないか?こいつ。

 

「こんなに強いデュエリスト僕初めて見たよ!すごいすごい!」

 

「褒めてくれるのは嬉しいけどさ、おだてても弟子入りは無しだぜ?」

 

「わかってるって!その代わりさ、僕のデュエル友達になってよ!またデュエルしたい!」

 

 こいつ、なかなかのデュエル狂いだな。結構ボコボコにしたつもりだったんだが……。それともこの世界だとこれがデフォなのか?

 

「それくらいなら別にまあいいけど……あ、でも俺の事ストーキングするのはナシだぞ?俺の家にも俺が呼んだ時以外は来ないこと。分かったか?」

 

「うん、分かった!これからよろしくね遊矢!」

 

「ああ、よろしく」

 

 こうして俺のストーカー問題は解決し、その代わりに友達が1人増えたのだった。ちゃんちゃん、と。

 

 

 

「そうだ遊矢……またデュエルしよう。次こそは僕が絶対に勝つ……絶対に……!」

 

 





 オッドアイズボルテックス……緩い融合素材で万能無効が立つのはアニメだと強すぎるかもしれねぇ……
 そしてズァークさん、出てくるのが基本デュエル中しかない上にデュエルやりたいマンなせいでシンプルに便利なパワーソースになってる……。

 デュエル構成って難しい。そう思いました。アニメのデュエル構成してた方には尊敬の念しかありません。
 素良が弱い気もしますがまあまだ飴舐めてる舐めプモードということで……。

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