何!?ズァークとは「もう1人のボク!」ではないのか!? 作:辛味噌の人
A.ダメです
いつの間にか日間ランキング4位になってました。本当に読者の皆さんありがとうございます。期待に添える文章がかけるようこれからも頑張らせていただきます。
「闇討ちだと!?遊矢はそんな卑怯な真似などせんわ!」
「んあ、権現坂?」
柚子の行方不明事件から少し経ち、俺たちは今日も遊勝塾で授業を受けていた。
……と言っても、正直な話修造さんの知識量は大したことがない。融合までは多少分かっていてもシンクロやエクシーズになるとさっぱりで、仕方ない話だが俺の方が知識量は多い。
それはまあ仕方の無いことではあるのだが、問題は柚子やちびっ子3人組にも俺が色々と教えているせいで、修造さんの教えることが無くなってしまっているのである。この事実を知った修造さんが落ち込むのを見た時には少し罪悪感が湧いた……。
ちなみに素良はシンクロの知識が欠けてはいたが、融合とエクシーズに関してはほぼ完璧だった。……この世界の常識に則って考えると、正直融合使いなのにエクシーズの知識まで豊富なのはなんか怪しさを感じる……。
そんなわけで、最近の授業はもっぱら講義というよりは俺の豆知識披露会のような感じになっていたのだが……。そんな時、冒頭の権現坂の叫び声が聞こえて来た、という訳だ。
なんだなんだと表に出てみると、そこに居たのは権現坂と、例の沢渡の取り巻き3人組であった。だが沢渡本人の姿は見当たらない……。あいつの性格からして、何かあったなら自分で出てきそうなものではあるのだが。
「よう権現坂、何があったよ」
「おお遊矢!この漢権現坂、足腰を鍛えるためのランニング中にこの3人が遊勝塾を覗き込んでいるのを見つけてな。問い詰めたところ、昨夜遊矢が沢渡を闇討ちしたなどとけしからんことを言うのだ!」
「闇討ちぃ?沢渡を?おいおい俺はそんなことしてな……」
してな……して……えっと……。
〜少年回想中〜
「『沢渡ィ!』」
「ガハッ……!た、助け……!やめっ……!」
〜回想終了〜
「えっと……まあ……一般的に闇討ちとされる行為ではないかと……」
「遊矢ー!なんだその歯切れの悪い台詞は!まさか本当に……!」
「ちゃうんすよ権現坂さん。いやほんとマジで。闇討ちはしてないっす」
そもそも元を辿ればあいつが柚子に手を出したのが……あれ?手は出してないんだっけ?もうひとりのボクが割り込んだとかで……。
……柚子に手を出そうとしたのが悪い!うん。
「忘れたとは言わせねえぞ!」
「俺達もその場に居て見てたんだからな!」
「証人が4人!いや5人いるぜ!沢渡さんと俺達、そしてそこのお前!」
「「「だよねぇ?柊柚子ちゃん?」」」
こいつら無駄に息ピッタリだな……事前になんか示し合わせてんのか?
「確かに見たはずだぜ!沢渡さんを襲った犯人、榊遊矢の顔を!」
「え、えっと……確かに遊矢そっくりではあったけど……。多分あれは遊矢じゃないと思うわ」
「おいおいドッペルゲンガーでもいたってのかよ!下手な言い訳するんじゃねえ!」
「確かに榊遊矢が襲ったんだ!」
「可哀想に沢渡さん……大怪我して入院中だよ」
はいダウト。俺が引っ掴んだ時にはそんな大怪我してる素振りはなかったぞ。せいぜい服がちょっと破れてたくらいで……。それはそれとしてなるほど、そういう建前のせいで珍しく沢渡本人はこの場には来てないのか。
「嘘言うな!遊矢お兄ちゃんはそんなことしない!」
「そもそも襲おうとしたのは沢渡の方でしょ!」
「いいや間違いなく榊遊矢だった!」
平行線だな……。正直色々掘り返されるとなると俺もちょっとやらかしてるからな、適当な落とし所つけたいんだが……。ほらデュエルで決着つけようぜデュエルで。俺が3人抜きするから。
「あーもう何がなんだか全然分からん!誰か説明してくれ!」
混乱する修造さんがそう叫んだ時、1台の高級車がやってきて、俺たちの前で止まった。そしてその車の中からひとりの女性が降りてきた。
「説明は私からさせていただきます」
「あ、アンタ、LDSの……!」
「はい。理事長を務めております、赤馬日美香と申します」
えっ何その髪型……?どういうファッション……?
俺は更なる厄介事の気配よりも、理事長サンの謎すぎる髪型の方に気を取られてしまうのだった……。
【朗報】デュエルで決着がつきそう。
理事長サン曰く、俺が実際に闇討ちしたかどうかなどは重要ではなく、LDSの生徒が遊勝塾のような弱小塾の生徒に負けたという風評が広がることが問題なのだという。メンツの問題ですね分かります。
そしてその汚名を濯ぐべく、LDSと遊勝塾とでデュエルして決着をつけたいのだとか。こっちが勝った場合は今回の件は不問。向こうが勝った場合は遊勝塾をLDSに取り込む……という条件だ。
正直な話、こちらにメリットがカケラもない。無いのだが……これを蹴ったとしても経済力の暴力で殴られたら普通に買収されちまうからな遊勝塾……。
遊勝塾がLDSに取り込まれたとしても俺にはなんの問題もないのだが、柚子や修造さんはそうはいかない。それに、俺もなんだかんだ遊勝塾には思い入れがあるからな。そうなるのは正直相当に気分が悪い。
「そうやって遊勝塾を人質に取って、俺からペンデュラム召喚を奪ってLDSのものにしたい、と」
「人質だなんて人聞きが悪いですね。ですが、ペンデュラム召喚を私たちのものとしたい、ということに関してはその通りと言っておきましょう」
ぶっちゃけペンデュラム召喚がLDSを中心に普及する分には俺としても拒否する理由は無い。というか真正面からストレートに『ペンデュラム召喚普及させたいから協力してくれ』と言われたら二つ返事で了承していただろう。
だがわざわざ遊勝塾、ひいては柚子(あと修造さん)を人質にするようなやり方が気に入らねぇ!
「分かった、その話乗ってやる。俺がアンタんとこの看板をボッコボコにしてやるよ」
「あら威勢がいいですね。ですがこれは塾同士の戦い。3人の選抜メンバーによる三本勝負の形を取らせて頂きます」
「チッ、選抜メンバー総勢俺1名ってのは?」
「それは許可できませんね」
クソ、やっぱダメか。正直俺ひとりで全員叩きのめすのが1番話が早かったんだが……。
「そうよ、そんなのダメよ!全部遊矢に任せっきりなんてできない!私だって遊矢の力になりたいの!」
「そうそう、僕にもやらせてよ。デュエルを独り占めなんてダメだよ遊矢」
「ウム!この漢権現坂、お前たちの塾を守りたい気持ちに感動した!俺も協力させてくれ!」
「柚子、素良……ありがとう。あと権現坂も気持ちは嬉しいけどお前部外者だろ」
「ぶがっ……!」
仕方ないじゃないか事実なんだから……。
「どうやら話はまとまったようですね。では始めましょうか!」
という訳で俺たちはLDSのデュエル場に移動し、遊勝塾をかけた三本勝負が始まるのだった。
俺、柚子、素良の前に立ちはだかるのは奇抜な髪の男子、褐色肌の美少女、そして野生児っぽい男子の3人。あれがLDSのエリートかぁ……。
「当然先鋒は俺だ。そっちは誰を出すんだ?まあ誰が出てきても結果は変わらないけどな」
「あら、もう勝ったつもりですか?この3人は我がLDSが誇る各コースのエース」
「聞こえなかったか?結果は変わらないって言ったんだ」
「……大した自信ですこと。貴方の相手をするのは彼です」
「LDSエクシーズコース所属、志島北斗だ」
「志島北斗……今年の公式戦58戦53勝、ジュニアユース選手権の優勝候補だよ遊矢お兄ちゃん!」
「エクシーズコースねぇ……俺もエクシーズを使うと知って当ててきたのか?」
「お前のエクシーズなんか僕が蹴散らしてあげるよ。ペンデュラム召喚もろともね!」
またなんともかませっぽい台詞を……。
そんな軽口を叩きながら、俺たちはデュエルフィールドに入る。とっとと蹴散らして後続の柚子と素良を安心させてやらないとな。
「頑張れ遊矢!アクションフィールドオン!フィールド魔法コスモサンクチュアリ発動!」
「ハハハッ!よりによって僕が1番得意とするフィールドじゃないか」
「なにぃ〜!?」
修造さんェ……。あの人なんというかツキがないよなぁ……。
「なーに気にするな修造さん。どこだろうと俺が勝つよ」
戦いの殿堂に集いし以下略!
「「デュエル!」」
〈志島北斗 LP4000〉
〈榊遊矢 LP4000〉
「さぁ北斗、貴方の力を見せておやりなさい」
「わかりました理事長。先攻は僕がいただく!僕はセイクリッドグレディを召喚!その効果で手札からセイクリッドカウストを特殊召喚!」
〈セイクリッド・グレディ Lv4 ATK1600〉
〈セイクリッド・カウスト Lv4 ATK1800〉
げ、セイクリッド!?お、思ったよりもガチだなコイツ……。なるほどエクシーズコースのエースを名乗るだけはある。
『ほう、消化試合だと思っていたが思ったよりはやるようだな、LDSとやら』
ズァークさんも感心しております、と。いやまあ負ける気はないけどね。
「そしてカウストの効果!グレディとカウストのレベルを5にする!僕はグレディとカウストでオーバーレイ!星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク5!セイクリッドプレアデス!」
〈セイクリッド・プレアデス ランク5 ATK2500〉
先攻プレアデスってマジでガチじゃねえか……。柚子が当たってたら負けてたな。
「僕はこれでターンエンドだ」
ただやはりプレアデス単品でターンエンドなあたり、まだまだ甘いと言ったところか。思った以上ではあった。あったけどそれじゃあ俺を倒すには程遠いんだよねぇ!
「俺のターン!ドロー!俺はスケール1のオッドアイズペルソナドラゴンと、スケール8のオッドアイズミラージュドラゴンを、ペンデュラムスケールにセッティング!」
「いきなりペンデュラム召喚か!」
「ペンデュラム召喚!現れよ!我がしもべのモンスター達!レベル2、EMオッドアイズシンクロン!レベル5、EMスカイマジシャンガール!そしてレベル7!オッドアイズペンデュラムドラゴン!」
〈EMオッドアイズ・シンクロン チューナー Lv2 ATK200〉
〈EMスカイ・マジシャン・ガール Lv5 ATK2000〉
〈オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン Lv7 ATK2500〉
このスカイマジシャンガールは、失踪するより前に親父が俺にくれたカードだ。俺のデッキとめちゃくちゃシナジーがあるとかじゃないけど、割と便利なのでありがたく使わせてもらっている。
そんなことを考えていると、何となくだがスカイマジシャンガールが胸を張った気がした。精霊でもついてるのか?……まさかな。
「チューナーモンスター!?エクシーズだけでなくシンクロも使えたのか!」
「ちなみに融合も使えるぜ。そしてお前はプレアデスのバウンス効果を使わなかった……。プレアデスでバウンスできるのは1枚のみ。オッドアイズシンクロンをバウンスしたところで通常召喚されるため意味がなく、他の2枚をバウンスしてももう一方とシンクロされる恐れがあるからだろう?」
「くっ……!よく理解してるじゃないか……」
俺の読みは正しかったらしく、苦々しげな表情を浮かべる北斗。ヨシ、勝ったな。正直バウンスされてたら負けるとは言わないけど若干めんどくさかったからな……。
「そして俺が出したシンクロモンスターをバウンスすれば一気に有利になれる……。そう考えたはずだ。……一見正しいように見えるその選択、だが実は大いなる間違い!」
「なんだって!?」
「『俺はレベル5のスカイマジシャンガールに、レベル2のオッドアイズシンクロンをチューニング!輝く翼、神速となり天地を照らせ!シンクロ召喚!!現れろ、レベル7!クリアウィング・ファスト・ドラゴン!』」
〈クリアウィング・ファスト・ドラゴン Lv7 ATK2500〉
「シンクロ召喚……!だが!プレアデスの効果発動!オーバーレイユニットをひとつ取り除き、フィールドのカード1枚を手札に戻す!僕が選択するのはクリアウィング!」
「『無駄だ!クリアウィングの効果!EXデッキから特殊召喚されたモンスター一体を対象に発動!その効果を無効にし、攻撃力を0にする!』」
「なんだって!?あ、アクションカードを……」
沈黙するプレアデスを見て、慌ててアクションカードを取りに走る北斗だが、時すでに遅し、だ。
「『バトル!俺はオッドアイズペンデュラムドラゴンでプレアデスを攻撃!螺旋のストライクバースト!そしてオッドアイズの効果!戦闘ダメージを2倍にする!リアクションフォース!』」
「うわぁーっ!!」
〈志島北斗 LP0〉
〈WINNER 榊遊矢〉
これまた見事に吹っ飛んだ北斗を眺めていると、アクションフィールドが消えていく。まずは一勝、これは規定路線だが……次に出るのが素良なら問題ないだろうけど、柚子の場合どうなるかな……。他の2人も北斗と同じくらい強いと仮定した場合、正直柚子が勝てる未来が見えない。
そんな懸念をひとまず振り払い、俺はこちらに笑顔で手を振る柚子に、同じく笑顔でサムズアップするのだった。
瞬殺した北斗くんですが、ぶっちゃけスタンダード基準だとめちゃくちゃ強い部類に入ると思います。彼の活躍がみたい方はアニメを是非。……アニメでもそんな扱い良くないけど。
活躍させてあげたい気持ちはあるのですが、転生トマトにこんなとこで苦戦されると先が思いやられるので……。
誤字報告等よろしくお願いします。