「──わかった止めないよ。その代わり、俺も連れてけ」
それを聞いた猫又はあり得ないといった表情を浮かべ、声を張り上げた
「リョウジ!?なんで着いてくるんだ!これじゃ意味が...!」
「俺はライダー“機密重要指名手配”ってやつらしい。交渉材料として100点じゃないか?」
「...笑えないぞ」
「冗談言ってるんじゃないんだ。このベルトは本来、俺が持ってちゃいけないもんだ」
「そんなこと──」
「だから、だからこれで...元通りにする。」
リョウジは心のどこかで思っていた
この奪った力は、クウガの力は自分が持っているべきではなかったんじゃないか
もし持っていたのが俺じゃなかったらもっと多くの人を助けられたんじゃないか
その思いを消せる一世一代のチャンスかもしれない
「本当に、リョウジはそれでいいの...?」
「ああ、それにお前を1人で行かせるのは危なっかしいしな」
猫又は一瞬悩んだ後、クウガの方を強く見つめ、明るい光が出している方に向きを直し
2人は治安官に変装しているヴィジョン社員に近づいた
「おい、そこのヴィジョンの犬、今すぐ爆破解体本部まで連れてけ。要件はわかるだろ?」
「なんだと?」
「はっきり言ったでしょ?今から私たちは、アンタたちのボスを連れて徒歩でホロウを抜ける。目的は爆破解体本部での交渉だ」
「武装を解いて、住民たちを解放しろ。このオッサンの命はこっちが預かってる」
「そうだ、彼の命が惜しかったら、対侵食装備とホロウを抜ける最短ルートを用意して!」
「兄ちゃん、姉ちゃん、ごめん...あとのことは頼んだ」
同時刻、車両内にて
「猫又!リョウジ!!」
猫又とリョウジが列車の外に出たあと、邪兎屋とシンは列車の中に取り残された
「アンビー!ビリー!早く扉を開けて!」
アンビーとビリーが扉をこじ開けようとするも、扉は人一人分のスペースを確保できそうにない
「ダメだ、ニコの親分!この車両、窓もドアも信じらんねぇほど頑丈だ!」
「ああもう!クソっ!」
「───、───」
「しっ、静かに。外から話し声がする」
列車の外では何やら猫又とリョウジが口喧嘩をしていた
その口喧嘩はすぐに終わり、2人はヴィジョン社員の方へ歩き出す
「ベルトを持つべきじゃない...?あいつ、そんなつまんねぇこと考えてたのか....。隠し事はなしって言ったろうが...」
何かを話したあと、猫又とリョウジはどこかへ歩き出した
「行っちまうぞ!!」
「どけっ!」
シンはビリーを扉の前からどけ、力一杯扉をこじ開けようとしたが、扉はやはり、人が通れる広さを保てない
今度は扉を開けるのではなく、窓を破ろうと殴ってみたものの、ヒビこそ大量に入るが、割れることはなかった
「最悪だ、クソっ!」
シンは窓から二歩ほど距離を取り
ゼクターレバーを上げ、すぐさま下ろした
【RIDER PUNCH】
マッドホッパーから繰り出されたそのパンチの一撃では、拳ひとつ分の穴しか開かなかったが、時間差でアンカージャッキが可動し、列車の窓を粉砕した
「よし、これで後を追えるな」
「いえ、もう不可能だわ。これだけ時間がかかってしまったんだもの、もうあっちはホロウに入っていてもおかしくない」
シンは仮面越しに顔をしかめた
『fairy!リョウジの位置はわかる?』
『助手2号の現在地を特定。進路によると、助手2号と依頼人はおよそ30分後にホロウの出口に到着すると推測されます』
「ってことは、もうリョウジたちを止める方法はないのか?」
「そうだとしても、住民の救助なんて大事、猫又とリョウジ2人だけに背負わせるわけには行かない」
「あぁ、ヴィジョンは人の命をなんとも思ってないんだ。パールマンなんかでうまくいくはずがない」
「でも、列車に乗せるプランが失敗した今、どうやってエーテル適性のない住民を脱出させたらいいの...」
ここ来て計画が行き詰まってしまった
このままいけば住民は解放されるが、猫又もリョウジも失ってしまう
それは避けなければならないが、それ以外に手があるわけではない
「あぁもう!一瞬で全員にエーテル適性を上げる方法があればいいのに!」
「──!そうか...!はなからホロウの中を通らなきゃいい」
「?それ、どう言うこと?」
『シン、それはありかもしれない!危険は伴うが、唯一の方法だ!』
アキラが新しい作戦の概要を説明した
カンバス通りと新エリー都は直線で結ぶ分には遠くはない
ただ、そこをホロウに阻まれているから時間がかかるだけなのだ
そこで、ホロウの習性を利用する
ホロウには、エーテリアスが多く存在するが、その中でも大きな個体は、倒しだけでホロウの縮小を狙える
そうすれば、全員がエーテル適性を持っていなくても、安全に新エリー都まで運べると言うわけだ
そこで今回にターゲットになったのは
『そう、デッドエンドブッチャーだ』
「あのデデデ...デカブツのことか!?」
ビリーが悲鳴を上げた
「俺には、いろんな意味でデカすぎるぜ...」
「そんなに心配するこたねぇ、俺がいる」
『シン、相手は要警戒エーテリアスだよ?油断していると痛い目に──』
「大丈夫だ。どっかの誰かがホロウに入ってもいいように、活動範囲を狭めてたのは俺だ」
全員の空気が凍った
いやまさか、と誰もが疑っている
「いやいや、そいつはねぇぜ!あいつはホロウのあちこちにこんなデケェ爪痕残しちまうんだぜ!?」
「それは俺との戦いであいつがつけたもんだ」
「え...」
「とにかく、デッドエンドブッチャーだのことに関しては俺に任せろ」
『そうだったんだ...じゃ、じゃあ行動を開始しようか』
頭が痛くて泣きそう
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