長いよぉ〜、番外編みたいなもんなのに長いよぉ〜
シンとの遭遇から数時間前...
「リョウジー!準備できたー?」
「今行くって!!」
今日はビデオ屋の仕入れに行く日だ
リョウジの予定メモにはこう書いてある
1、午前中までに一軒目の仕入れ先を見終わる
2、昼ごはんは13時までに決める
3、午後6時には仕入れを終える
以上
たったこれだけのことをするのにメモはいらないと思いがちだが、うちの兄妹弟は違う
うちの兄妹弟には予期できるアクシデントがある
毎回誰がビデオを選ぶかで喧嘩して時間には確実に間に合わないというアクシデントが
今回はそうならないためにメモを用意しているし、秘策も3人で練ってきた
「ごめん待たせた!早く行こう」
「リョウジ、今日もビミョーなセンスだねぇ〜」
「違うって、これはレトロな良さがあんだよ!」
「あぁ、僕はいいと思うけれど。リンには少し早かったかな」
「ちょっとお兄ちゃん、今のは聞き逃せないよ〜!」
他愛無い雑談を終え、仕入れ先まで車を走らせる
今日はやけに道も空いていて、快適なドライブだった
「さてと、やりますかぁ...」
「姉ちゃん、今回は譲らないから」
「悪いねリョウジ、大人の力を見せてあげるよ」
ビデオを誰が選ぶか、それを円滑に決める秘策
それは....
「「「じゃん!けん!」」」
「「「ぽん!」」」
グー、グー、パー
アキラの勝ちだ
「えぇ!?なんで?」
「すまないね、これが大人の力だ」
「イカサマだ!絶対イカサマだ!!」
「イカサマなんて、とんでもない」
ムカつくドヤ顔でアキラはリンとリョウジに勝ち誇る
その後、予想通りドキュメンタリーやアートばっかりを選ぶアキラを2人はジト目で見ながら一軒目を出た
その帰り道...
「ビデオ屋の本腰入れるって言ってさぁ、なんでスローなのばっかなわけ?」
「そうだそうだ、リョウジもっと言ってやれ〜!」
「2人とも、僕は万人受けするビデオを選んでるんだ」
「“万人受け”ねぇ...」
「ほとんどドキュメンタリーとアートなのに〜?」
「それは、こ、こういう映画を求める人は多いんだよ。新エリー都での生活は大変だからね」
「それってお客さんに失礼なんじゃない?」
じゃんけんの結果にまだ納得のいっていない2人と欲しいビデオが見つかってホクホクなアキラが喧嘩をしているうちに、ビデオ屋に到着した
これで午前の分の仕入れは終わりだ
「リョウジすまない、こっちの箱を持ってくれないかい?」
「あぁ、いいよ」
ビデオのたくさん入ったダンボールの箱を持ち上げ、扉の前にたったアキラは、なぜかドアを開けようとしない
「ええと、鍵はどこに入れたんだったか...」
「お・に・い・ちゃ〜ん、午後の仕入れはあたしに任せてみない?」
「え?どうして──って...まさか」
リンがアキラのポケットからくすねた鍵をクルクルと回しながら勝ち誇ったような顔でこちらを見つめている
「それに、今は表に“もう一つの依頼人”もきてるし、そっちはお兄ちゃんたちに任せてあたしはビデオの仕入れの続きってことで!それじゃ!」
「え!?待て、不公平だろ!」
「まさか、1人で行くのか?リン!」
「しっかり、“万人受け”を選ぶから!」
そう言ってリンは午後の仕入れ先にそそくさと行ってしまった
行ってしまったものは仕方ないと、ビデオを一つ一つ棚に陳列し、整理したあと、アキラはリンを追いかけるためにビデオ屋を出ていった
表に出てみると『羊飼い』が立っていた
『羊飼い』とは、たびたびパエトーンに依頼を持ってきては去っていく、いわば情報屋である
「どうも、『羊飼い』さん」
「おぉ、戻ってたのか。相変わらずむすっとしてんなぁリョウジは」
「...依頼があるんですよね?中で話しましょう」
扉を開けて、『羊飼い』と一緒に店内に入る
早速依頼について話し合おうとした時...
「今回の依頼はとってもイージー、とある記憶素子のはか──」
「リョウジ!」
「うるっさ!なに?てか姉ちゃんは?」
「リンが、リンがホロウに巻き込まれたかもしれない...!」
「エ゜」
「お?シンじゃん、こんなとこで何やってんだ?」
そして現在に至る訳だ
「お前こそ何やってんだ」
「お前が先に言え」
「お前が先に言うべきだ」
「いや、お前が──」
「これって知的財産権の侵害だよね?」
「親にめんどくさいって言われなかった?」
「いいや、でもよく親には顔を顰められた。それってめんどくさいってことなのかも」
「プロキシ先生、何かあったの?」
『アンビー、実は...』
アキラがアンビーにことの経緯を説明した
「なるほど」
「そういう訳なら協力しよう」
リョウジと口論をしていたはずのシンがいつのまにかアンビーの隣に立ってアキラの話を聞いていた
「さっきのお前はどこ行った」
「知らね、ワトソン州じゃない?」
「適当こいてんじゃねぇよ」
「貴様らぁ!治安官の私を差し置いてなんの話をしているんだぁ!!」
リョウジが話の腰を折ってややこしくなったその場を治安局の局員が割って入り、その場を一喝した
「貴様らは何者なんだ...!」
「バットマ──」
『人命救助を手伝いに来たライダーです』
「なら、ライダーIDを提示しろ」
「ら、ライダーID?なんだそれ...」
『リョウジ、適当に数字を言って誤魔化せないか?』
「はぁ...ライダーID B0023、マッドホッパー」
「──!?頭がB00?し、失礼いたしました!」
なんとシンがIDを提示した
申請していたことを知らなかったリョウジとアキラは目を丸くし、くらいが高そうなことを知らないアンビーも目を丸くしている
「そんな頭の数字がB00な俺から命令だ。このガキを連れてホロウを今すぐに出て病院を受診しろ」
「で、ですが...」
「このガキはメモリを使った、それも強力なメモリをな──早くしろ」
「はいっ!ご協力、感謝いたします!」
久しぶりに真面目なシンにぺこりぺこりと頭を下げながら治安局員はロムと救助対象の市民を連れて走り去っていった
その背を見送った3人は今度はシンに目を向ける
「たびたび思うんだけど...お前ってマジで何もんなんだ?」
「ん?ただのジョーク好きなオッサンだよ」
と、誤魔化すようにアンビーに向かって嫌味ったらしそうな口調で言った
「...もうそういうことでいいわ」
もうちょっと我慢して!お願い!!
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
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