「ここは...?」
どうやら夢を見ているようだ
──汝、ついにクウガとして覚醒したり───
聞き覚えのある声
あの旧都陥落の日に聞いたあの声だ。ところどころ途切れているが間違いないだろう
ここはどこだろう
見たこともない遺跡のような場所にリョウジはいた。
──すさまじき戦士よ、あゆみをとめること勿れ──
「おい待て!お前は───」
「──誰だ!」
「うぁぁああ!!びっくりしたぜ!急に大声出すなよな!」
驚いたビリーがベッドの横で転げている
見知った部屋。ビデオ屋の自室だ
どうやら気絶している間にビリーがホロウから出てくれたようだ
何はともあれアンビーの無事を確かめなくてはと体を起こす
「ちょ、ちょ、ちょっと待てよ!怪我人はまだ寝てろって!アンビーなら無事だぜ。一階の工房で寝てる」
「そっか...ならいいんだ..」
自分のせいで怪我を負わせてしまった罪悪感が時間差で込み上げてくる
結局足手纏いになっているではないか
弱い自分がでしゃばった行動に出たから、アンビーを傷つけてしまった
「──いおいリョウジ。大丈夫か?なんか顔が暗いぜ」
「うん...大丈夫」
「嘘はよくないぜ。アンビーが怪我したの、自分のせいだと思ってんだろ。」
「...大丈夫だって」
「お前わかりやすいってよく言われねぇか?そんなに気負う必要ねぇよ。アンビーだってそんなふうに思ってねぇって。それに、お前があの白いクウガになってなかったら俺たち帰れるかどうかもわからなかったんだからよ」
そう言ってビリーは頭の上のおしぼりを取り替えて部屋から出ていった
「...」
ビリーがそう言うならと気持ちを切り替え、夢のことについて考え始める
毎日夢で聞いた声。間違いないだろう
見たことのない夢だった
あの声の正体...いったい何者なのだろう...
「はぁ...寝よう...」
「そんなことしてる暇はないわ」
「!?」
アンビーが部屋に突然入ってきた。あまりに唐突でリョウジは開いた口が塞がらない
「まだ金庫はホロウの中にあるのよ。ここで寝ている暇はないわ」
「でもアンビー、怪我の方は大丈夫なのか?」
「あんなの唾でもつければ治るわ」
典型的な昭和の思考にリョウジは開いた口がさらに広がり塞がらなくなる
アンビーはリョウジの顎を持ち上げ、開いた口を閉じる
「私、食べ物は持ってないわ」
リョウジは口を閉じたまま引いた
この様子を見ると、本当に大丈夫そうだ
確かに依頼は半分しか終わっていない。こんなところで寝ている場合ではないのだろう
「俺、多分...中途半端だったんだ」
「急にどうしたの?」
「旧都陥落前に活躍してた仮面ライダークウガは赤かった。ほんとは赤く無いといけないんだと思うんだ。」
「...」
「俺がどう頑張っても白いクウガにしかなれないのは、多分中途半端だからなんだ。多分...」
「でも、あなたは──」
「これからは違う。アンビーを傷つけたあいつを絶対許さない。みんなのためにホロウレイダーになったんだ...中途半端のままでいるわけにはいかない」
「...そう、ちょっと見直した」
もう一度ホロウに入る前に状況を確認するため、工房に邪兎屋のメンツと「パエトーン」が集まっている
「撤退前に目撃した状況だと、対象の金庫は危険度の高いエーテリアスの活動範囲内にある。エーテリアス図鑑での登録名は「デュラハン」上級エーテリアスよ」
「コウモリの怪物もな」
「そうそう、そのコウモリ怪人のことこっちで調べたんだけど“グロンギ”って言うみたい」
「危険度が極めて高く、人を戯れで殺してしまうらしい」
「ゲェ...そんなにやばいやつなのかよ...」
“グロンギ”とは、怪人の一種のことである。動植物の特徴を持ち、ゲームと称し殺戮行動を繰り返している
「リョウジたちが遭遇したのは“ズ・ゴオマ・グ”って名前みたいだよ。なんかエリー都時代にも人々を襲ってはピンチになると逃げてたみたい」
「ダセェ!!」
「そんなことは今は関係ないのよ!作戦を確認するわよ!アンビー!」
「了解。コホン...諸君こちらにある新エリー都の地図を見てくれたまえ。我々の行動計画は上級エーテリアス“デュラハン”とグロンギ“ズ・ゴオマ・グ”を倒して金庫を手に入れることである。」
「.......?終わり?」
「ええ」
「じゃあその新エリー都の地図は何の意味があんだ...」
「ニコは協力者に舐められないようにプロらしく振る舞おうと言ってた。さもないと後々値切り交渉が面倒に──モゴモゴ」
「また余計なこと言って...!ビリー!何で見張ってないのよ!」
「俺のせいじゃねぇって!!」
早速ホロウの中に入った邪兎屋とリョウジ
「えっと...右手は前で...左は腰に...」
「何をしているの?」
「アンビー、見てわかんねぇのか?変身ポーズだよ!変身ポーズ!!」
徐々に脇を締め、ベルトのサイドバックルのボタンを押し...
「変身!!」
リョウジは眩い光に包まれ、仮面ライダークウガグローイングフォームに返信した
「お!サナギじゃねぇ」
「ライダーとして文字通り一皮剥けたのね、リョウジ」
「ねぇやなんだけどその言い方」
「そう?私はいい表現だと思うけど...」
雑談もほどほどに、エーテリアスを倒しながらホロウ内の金庫の座標に近づいていく。
「やっぱクウガって言ったらスターライトナイトみたいに真っ赤なボディだよなぁ...赤く無いのはなんか理由があんのか?」
「多分それは俺が──」
「ちょっと!なにそこでだべってんのよ!アタシの金庫ちゃんがホロウの中で助けを求めてんのよ!?」
『ん?す─まないH.D.Dの調子が──わ─』ブツッ
「ちょっとプロキシまで!こっちは大金叩いて雇ってんのよ!?インターノットで低評価をつけるわよ!!」
ニコがイアスの頭をベシベシ叩きながら文句を言っている
「様子がおかしいな...イアスとの“かんかくどうき”も切れてる」
イアスは叩かれた頭を痛そうに抑えながらンナンナとニコに抗議している
「わかったわかったわよ!アタシが悪かったわ!...でも、何で急にプロキシとの通信が切れたのかしら?」
原因を考えていると、突如イアスが黙って歩き始めた。
「ちょっとイアス!どこいくのよ!そっちはエーテリアスが...」
イアスは歩みを止めない
次から次へとエーテリアスが顔を出し、イアスに襲いかかる
「イアスっ!」
クウガがエーテリアスを倒していく
右ストレート、左フック、掴みかかって右膝蹴り、もう一度右ストレート、体を捻って後ろ蹴り
身体能力がビギニングフォームに比べて格段に上がっている
それだけじゃない、後ろからくる攻撃を察知することもできる
「リョ...クウガのやつめちゃくちゃ強くなってねぇか?クウガってあれでも全力じゃないんだろ?」
「そうみたいね...」
そんな話をしている間にイアスはどんどんと離れていく。それを見かねたニコがイアスをヒョイと持ち上げ、抱っこする。
「もう!ほんとどこいくのよ!じっとしてなさい!」
「ラダゴラゲサバ ラァジョギ クウガゾダゴグジョギジャングザ」
ニコが顔を上げるとそこにはコウモリの姿をした怪物“ズ・ゴオマ・グ”が立っていた
その姿は最初に遭遇した時より成長しており、爪と髪が伸びている
「ギャアアアアア!!!」
ニコが声をあげて一目散にビリーとアンビーの方へ逃げていく
逃げていったニコを追わず、ズ・ゴオマ・グはクウガへと向きを変える
「リントンリバダゾグスゴソババゲンギクウガジョ ボボゼギベ!」
「実はずっと探してたよ...お前をなぁ!」
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